tag:blogger.com,1999:blog-53251053154491861102024-03-06T13:24:08.224+09:00千葉さとしの「帰ってきた”クラシックを聴いてます”」~恥ずかしがりながら帰ってまいりました藤原琢磨http://www.blogger.com/profile/14684633102288815357noreply@blogger.comBlogger464125tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-46014437441199692452024-01-03T01:41:00.002+09:002024-01-03T01:41:13.392+09:00「Maestro」見ました<p> 近所の劇場での公開を待ちきれず、電車でちょっと行ったところの、音のいいことに定評のある映画館さんで見てまいりました、「Maestro」、邦題「マエストロ :その音楽と愛と」。もちろん、このタイトルは直接にはご存知レナード・バーンスタインその人を指すわけだけれど、この映画の内容はフェリシアさんの「女の愛と生涯」ですね。それもいわくつきの、だけど最高の才能、レナード・バーンスタインを愛して結婚し(てしまっ)た女の生涯。そして、レナード・バーンスタインへの「魚に説教する聖アントニウス」。ご覧になられたクラシック音楽好きの方向けの表現ではありますが、あまり説明する気にはなれません。ご容赦ください。</p><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><iframe allowfullscreen="" class="BLOG_video_class" height="349" src="https://www.youtube.com/embed/gJP2QblqLA0" width="543" youtube-src-id="gJP2QblqLA0"></iframe></div><br /><p>まず、私はバーンスタインに甚大な影響を受けているし、心底尊敬している、ということをまず最初に書いておかないといけないのです。彼の指揮姿をたくさん見て(当時はLD!!)、それでアマチュアながら吹奏楽の指揮をするようになってしまったくらいには、彼に影響されました。生まれが遅かったから彼と個人的に関わる機会もなければ、実演を聴くことさえできませんでしたが、彼は私の先生です。こう断言できます。</p><p>そのうえで、言わないといけない。とにかく面倒くさい人なんですよ、レナード・バーンスタイン氏は。才能と魅力がダダ漏れで、しかし抜けてるしなにかゆるい。若き日に指揮者として大活躍の鳥羽口に立つ機会を得ても、ミュージカルで当たりがあっても、妻がいて家族もいるのにボーイフレンドがいて、それでも満ち足りることのない、巨大すぎる器の人。そんな大成功に至る才能に満ちた人が、自らの方向に、内面には自信を持ってないんだからほんとうに扱いに困る。ここの文に(笑)ってつけようかと思ったけれど、きっと近しい人たちは彼との関わりの中でこの上なく楽しい思いをした反面で、凄く苦労されたんだろうな、と、彼についての本を読むだけでも感じていたのです。その在り様が、この映画では嫌になるくらい映像化されていまして。いちおう、何十年来のファンなので、こうしてフェリシアさん視点で彼女が先立つ1978年頃までのバーンスタインと、その後を見せられるのはなんとも、重い。少なくとも、ファンとしては知っていても考えたいことではないもので。そういうところがある人、とよーくわかってるんですけどね。レニーの娘さん、ジェイミーの幼少期じゃあいられない大人の私たちは見なかったことにはできない。本当にね、面倒くさい人、そして最高の音楽家。んもう。</p><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><iframe allowfullscreen="" class="BLOG_video_class" height="337" src="https://www.youtube.com/embed/2pH9aYowxFs" width="510" youtube-src-id="2pH9aYowxFs"></iframe></div><div style="text-align: center;">彼が亡くなる数ヶ月前のPMF、このリハーサルの放送を見て感銘を受けていなかったら、多分違う人生を送っただろう、そう思うくらいには影響を受けている自覚があります。</div><p><br /></p><p>映画の大前提として、彼が最高の音楽家であったことは共通認識となっている、だがこの映画「Maestro」はそれが評伝として、成功した音楽家のキャリアが描かれる作品、ではないのです。グレン・ミラーやベニー・グッドマン、レッド・ニコルズの映画を見るような期待感で劇場に足を運んだり、再生ボタンを押すのは、お勧めしません。人によっては、昔出版されたジョーン・パイザーによる評伝を読んだ時に近い反応を示されることもあるんだろう、と思っています。そんな反応を呼ぶのもまた仕方のない、厄介さんなんです、レニーさんは。それでも、と繰り返すけれど、本当に才能があるし音楽家として本当に努力された人であり、一般的な言い方をするなら間違いなく20世紀最大の音楽家の一人、成功者です。日本では今、かつて大手芸能事務所を率いた人が生前行ったあれこれ(曖昧)で問題視されているけれど、人によっては彼をその同類と見てしまうんだろうな、とも覚悟している、別に私は関係者でもなんでもないのだけれど…それでも、とまた言わないといけない。そういう人を愛して、生涯その「バス」を降りなかった、フェリシアさんの生き方を、そして彼女の目に映るレニーさんを、描いた映画でした。(この記事、実は続きます)</p>chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-17878028679050124962020-10-12T19:01:00.002+09:002020-10-12T23:37:42.638+09:00NHK「ベートーベン250」プロジェクト 放送予定(2020年10月・作業中)<p>こんにちは。千葉です。</p><p>10月も数々の番組でベートーヴェンな公共放送、以下にリスト(と気が向いたらコメント)を。進行形で追加していきますので、出遅れた点はご容赦を…</p><p><a href="https://www4.nhk.or.jp/c-cafe/" target="_blank">●クラシックカフェ ベートーベン特集(9)</a> 10/1 NHK FM</p><p><br /></p><p><a href="https://www4.nhk.or.jp/P4158/" target="_blank">●第89回日本音楽コンクール 最終予選</a> 10/12~16 NHK FM(うち、ベートーヴェン演奏は10/12、15のみ)</p><p><a href="https://www4.nhk.or.jp/c-cafe/" target="_blank">●クラシックカフェ 「ブルックナーの交響曲第9番他」</a> 10/14 NHK FM</p><p><a href="https://www.nhk.jp/p/c-club/ts/6N5K88R4Q5/" target="_blank">●クラシック倶楽部</a> デニス・マツーエフ ピアノ・リサイタル(10/14)、福間洸太朗 ベートーベンを弾く(10/15)</p><p><a href="https://www.nhk.jp/p/lalala/ts/57LY35Q588/" target="_blank">●ららら♪クラシック 「Road to ベートーベン4 オペラ 不変のメッセージ」</a> 10/16 Eテレ</p><p>ここまでの三回は再放送でお送りしてきた「Road to ベートーベン」、新作にして稲垣吾郎さん出演回なのでどうぞご覧ください。…例によって配信ないかもなので、念のため録画など各位ご準備くださいませ。</p><p><a href="https://www4.nhk.or.jp/classicmeikyu/" target="_blank">●クラシックの迷宮 「歌えば、天国!」</a> 10/17 NHK FM</p><p><a href="https://www.nhk.jp/p/ongakukan/ts/69WR9WJKM4/" target="_blank">●クラシック音楽館 「ベートーベン特集(2) 革命の作曲家 ベートーベン」</a> 10/18 Eテレ</p><p><a href="https://www4.nhk.or.jp/premium/" target="_blank">●プレミアムシアター 「ルツェルン音楽祭2020 ほか」</a> BSプレミアム 10/18</p><p><br /></p>chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-9585803786147225642020-09-19T16:47:00.002+09:002020-09-22T23:05:06.847+09:00NHK「ベートーベン250」プロジェクト 放送予定(2020年9月)<p> こんにちは。千葉です。</p><p>昨日の開幕特番の放送を見て、かなりの番組を使った一大企画だと理解できたNHKの「ベートーベン250」プロジェクト。そういえば昨日の昼に<a href="https://www.nhk.jp/p/ts/Z6Z2KGJYLV/episode/te/GLYLW6481R/" target="_blank">こんなのも放送してました</a>よ、ええ(残念ながらNHKプラスでの配信はなかった)。<br />なのですが、今のところその情報をまとめたものが<a href="https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=24978" target="_blank">この「アンバサダーに稲垣吾郎さん!」の記事</a>しかない。今放送している「土曜スタジオパーク」でも番組を紹介しているけれど、私がほしいのは端的に番組情報なんだよ!</p><p>と、ないものをただねだっても不毛なので、サクッとまとめてみることにしました。<br />なお、番組名は放送局表記に従って「ベートーベン」、自分の言葉で書いている部分は「ベートーヴェン」と表記が混在しますがそこはご容赦ください。<br />さらに、<a href="https://www.nhk.jp/p/meikyoku/ts/7886RXJ868/" target="_blank">「名曲アルバム」</a><a href="https://www.nhk.jp/p/ts/Z6Z2KGJYLV/" target="_blank">「名曲アルバムプラス」</a>、<a href="https://www4.nhk.or.jp/sketch/" target="_blank">「名曲スケッチ」</a>については割愛します。放送予定はリンク先をご覧ください。<br />イヴェントなどの告知もここに入れておきます。</p><p><a href="https://www.nhk.or.jp/event/symphony/" target="_blank">●「オーケストラでつなぐ 希望のシンフォニー」</a><br />すでに最初の演奏会は終わってしまっていますけれど、国内各地のアンサンブルがベートーヴェンの交響曲+αの演奏を披露する機会を公開収録、後日放送する一連のプロジェクトです。</p><p><a href="https://www.nhk.or.jp/lalala/beethoven250/" target="_blank">●「あなたが選ぶベートーベン・ベスト10」</a><br />(もしかするとここが本体サイトなのか?)とも思いますが、体裁としては「ベートーベン250」プロジェクトのいち企画であるベスト10の投票ページ、です。11/16までの期間内に、3曲までを選んで投票してください(と公共放送様が申しております)。</p><p>なお。お前の更新なんて待っていられるか!俺は自分の部屋に戻る!(それ違う)という方はNHKオンラインの検索窓に「ベートーベン」と入れて、放送予定を確認していただくほうが早いでしょう、当然のことですが。4K8Kは別途確認が必要ですので注意してくださいね(豆知識)。<br />ではおことわりはここまで。</p><p style="text-align: center;">*************</p><p>●ベートーベン250開幕特番「今こそベートーベン!」 9/18(金) 21:30~/9/19(土) 15:35~ どちらもEテレ</p><p>視聴済みなのでかんたんにコメントを。ベートーヴェン役を演じたことでも知られる稲垣吾郎さんが、作曲家として尊敬しかつ指揮者としてフューチャー・オーケストラ・クラシックスと交響曲全集を録音した久石譲さんとそれぞれの視点から語るベートーヴェン像は、学究的ではないけれど広く伝わるものだったのかな、と。NHKプラスでの配信がないのは残念でしたが、舞台映像を豊富に使った結果なのかなあ…とかこの辺はちょっと歯がゆいです。</p><p><a href="https://www4.nhk.or.jp/meiensou/" target="_blank">●名演奏ライブラリー ▽ウィーンの名ピアニスト パウル・バドゥラ・スコダ</a> 9/20(日) 9:00~ NHK FM<br /></p><p>番組ではスコダがフォルテピアノで演奏したベートーヴェンのピアノ・ソナタ第九番 Op.14-1が放送されます。</p><p><a href="https://www4.nhk.or.jp/kakecla/" target="_blank">●×(かける)クラシック ▽第19駅 グルメ×クラシック(3)</a> 9/20(日) 14:00~/9/21(月) 7:25~ NHK FM</p><p>放送予定曲にはベートーヴェンはなく、平野レミさんのお話でベートーヴェンの話題が出る模様。そうそう、最近聴くようになった<a href="https://www4.nhk.or.jp/fab4-2020/" target="_blank">「ディスカバー・ビートルズ」</a>、月末担当はレミさんのお子さんだし(←言い方!トライセラトップスのヴォーカル、和田昌と紹介しましょう)、その奥方は最近再放送されているらしい某ドラマの野田恵さんですよね。うん、ご縁ありそう。</p><p><a href="https://www.nhk.jp/p/ongakukan/ts/69WR9WJKM4/" target="_blank">●クラシック音楽館 ベートーベン特集(1) 人間・ベートーベン</a> 9/20(日) 21:00~ Eテレ</p><p>稲垣吾郎さん出演の「クラシック音楽館」。ちょっと自分で書いてみて不思議な違和感がありますね(笑)。<br />「交響曲第3番を題材に」というその内容を<a href="https://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2020-09-20&ch=31&eid=33284" target="_blank">番組表からチェックする</a>と、マリス・ヤンソンスが東京で披露したバイエルン放送交響楽団とのチクルスからの映像を軸にピアノ曲もはさみつつ「人間・ベートーベン」を紐解く内容になる模様です。<br />なお、稲垣吾郎さん出演の「クラシック音楽館」は三回の予定です。</p><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><iframe allowfullscreen="" class="BLOG_video_class" height="266" src="https://www.youtube.com/embed/bPCjjf0HF6A" width="320" youtube-src-id="bPCjjf0HF6A"></iframe></div><br /><p><a href="https://www.nhk.jp/p/c-club/ts/6N5K88R4Q5/" target="_blank">●クラシック倶楽部 西村尚也&アンドレア・バッケッティ デュオリサイタル</a> 9/22(火・祝) 5:00~ BSP</p><p>「<a href="https://www.tokai-jh.ed.jp/life/03.html" target="_blank">東海中学校・高等学校講堂</a>で収録」とあったので一瞬(学校コンサートかな)なんて思ったのですがさにあらず。登録文化財の昭和初期建築なのだとか。勉強になりました。<br />番組ではヴァイオリン・ソナタ第五番、いわゆる「春」が放送されます。</p><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><iframe allowfullscreen="" class="BLOG_video_class" height="266" src="https://www.youtube.com/embed/3Iel6XvmlW0" width="320" youtube-src-id="3Iel6XvmlW0"></iframe></div><br /><p><a href="https://www4.nhk.or.jp/maro/" target="_blank">●まろのSP日記 第23集 ベートーベン特集</a> 9/22(火・祝) 9:05~ NHK ラジオ第一</p><p>気象情報、ニュースをはさみながら午前中をまるまる使って放送されるあたりに、我らが放送交響楽団の偉容を見ました(嘘です)。実はこの日、昼からは<a href="https://www4.nhk.or.jp/zanmai/" target="_blank">「今日は一日ショパン三昧」</a>で、その後にはいつものように「ベストオブクラシック」(選でタリス・スコラーズの演奏会)と、クラシック三昧のNHK FMなのでした。<br />ちなみに「三昧」、司会に林田理沙アナウンサーのお名前がありますね…<a href="https://www.nhk.or.jp/shutoken/net/20200730.html" target="_blank">テレビのクラシック音楽番組への登板が待たれる彼女</a>の大仕事、お時間ある方はぜひ。</p><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><iframe allowfullscreen="" class="BLOG_video_class" height="266" src="https://www.youtube.com/embed/ggEEWXok2vc" width="320" youtube-src-id="ggEEWXok2vc"></iframe></div><div style="text-align: center;">「三昧」には川口成彦さん、反田恭平さんも出演されます(そっちを告知しようよ私…ってか本筋…まろさんごめんなさい)。</div><div style="text-align: left;"><br /></div><div style="text-align: left;"><a href="https://www4.nhk.or.jp/c-cafe/" target="_blank">●クラシックカフェ ▽ベートーベンのピアノ・ソナタ「月光」他</a> 9/23(水) 14:00~ /10/1(木) 7:25~ NHK FM</div><div style="text-align: left;">おなじみの二時間番組、前半がハイドンからベートーヴェンへ、そして後半がドビュッシーとブリテンという二部的な構成のようです。ベートーヴェン作品はコヴァセヴィチによるソナタ Op.27-2です。</div><div style="text-align: left;"><br /></div><div style="text-align: left;"><a href="https://www4.nhk.or.jp/P5274/" target="_blank">●ベートーベン 第9 アンドリス・ネルソンス指揮 9/23(水)</a> 14:00~ BS8K</div><div style="text-align: left;"><br /></div><div style="text-align: left;">BS8Kなんてどこで見られるんだ!というお気持ちの方もいらっしゃるかとは思いますが、<a href="https://www.nhk.or.jp/bs4k8k/4k8kcampaign/" target="_blank">NHKの施設などで受信公開をしています</a>ので、お近くなら、時間の都合がつくなら、どうでしょうか(強くは押せない)。</div><div style="text-align: left;">この演奏は全集収録の時期のもの、BS8K放送開始以来のおなじみコンテンツですね。</div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><iframe allowfullscreen="" class="BLOG_video_class" height="266" src="https://www.youtube.com/embed/gv-RgvgtZ1E" width="320" youtube-src-id="gv-RgvgtZ1E"></iframe></div><br /><div style="text-align: left;"><a href="https://www.nhk.or.jp/anime/classica/" target="_blank">●アニメ クラシカロイド ベトセレクション(全3回)</a> Eテレ</div><div style="text-align: left;"><div>ベストセレクションじゃないんですベトセレクションなんです。ベトさんメイン回を以下三回のセレクションとして放送、なのです。わかる方にだけ伝わってください(笑)。</div><div><br /></div><div>9月9日(水)「闇、その向こう」/9月16日(水)「ちがいのわかるおとこ」/9月23日(水) 「宇宙からのアンコール」</div><div><br /></div><div><a href="https://www4.nhk.or.jp/P1928/" target="_blank">●カルチャーラジオ 芸術その魅力 「ベートーベンの生涯とその作品」</a> NHK ラジオ第二 毎週水曜</div><div><br /></div><div>三か月かけてワンテーマを掘り下げる「カルチャーラジオ」、このテーマでは平野昭先生が出演されています。納得。</div><div>…ただし、7月からシリーズが始まっていますのでこの番組はもうゴールが近いのです。<a href="https://www.nhk.or.jp/radio/ondemand/detail.html?p=1928_01" target="_blank">一週間のみではありますが聴き逃し配信も利用できます</a>ので、よろしければぜひ。</div><div><br /></div><div><a href="https://www4.nhk.or.jp/P5819/" target="_blank">●世界最高峰のステージ・パフォーマンス 英国ロイヤル・オペラ 歌劇「フィデリオ」</a> 9/25(金) 13:00~ BS8K</div><div><br /></div><div>数少ない今年の収録映像、英国ロイヤル・オペラの「フィデリオ」もBS8Kで放送されます。</div><div>なお、このオペラハウスのことなので、上演作についてはYouTubeでもたくさん発信してくれていますよ、例によって。</div><div><br /></div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><iframe allowfullscreen="" class="BLOG_video_class" height="266" src="https://www.youtube.com/embed/BkAJEy31g1I" width="320" youtube-src-id="BkAJEy31g1I"></iframe></div><div><br /></div><div><a href="https://www.nhk.jp/p/lalala/ts/57LY35Q588/" target="_blank">●ららら♪クラシック 「Road to ベートーベン(1) 楽聖を育てた街 ウィーン」</a> 9/25(金) 21:00~ /(木) 10:25~ Eテレ(再放送情報は未確認)</div><div><br /></div><div>こちらの番組では四回シリーズでRoad to ベートーヴェン再放送。ここでも平野先生、また納得。です。</div><div><br /></div><div><a href="https://www4.nhk.or.jp/bescla/" target="_blank">●ベストオブクラシック 選 マテュー・デュフォー フルート・リサイタル</a> 9/28(月) 19:30~ NHK FM</div><div><br /></div><div>再放送ではありますが、シカゴ交響楽団からベルリン・フィルへと華麗すぎる飛躍を決めたフルーティストのリサイタル。ベートーヴェンの作品はアンコールで一曲だけ、ですけど(笑)。</div><div><br /></div><div><a href="https://www4.nhk.or.jp/P6238/" target="_blank">●8Kスペシャル いまよみがえる伝説の名演奏・名舞台 (1)バーンスタイン</a> 9/30(水) 14:00~ BS8K</div><div><br /></div><div>先日「クラシック音楽館」でも一部放送されたこの「第九」も放送開始以来の推しコンテンツ、に感じますね。ユニテルがヴィデオではなくフィルム収録してくれたおかげで、その映像が本来の持つポテンシャルを知る機会が今訪れている、わけですね。そう考える私はこの高精細化には賛成しています。でも、当たり外れはあるかな…(カラヤン美学は恩恵が少なかった、と感じました)</div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><iframe allowfullscreen="" class="BLOG_video_class" height="266" src="https://www.youtube.com/embed/eCiz9XMW_jA" width="320" youtube-src-id="eCiz9XMW_jA"></iframe></div><br /><div>一気に9月分を拾ってみましたが、これを通しでやったら駄目ですね、記事長すぎ。まずは9月分としてこれを公開しておきます。ではまた。</div></div>chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-11526124489405995132020-07-15T15:32:00.001+09:002020-07-15T15:32:57.880+09:00かってに予告編 ~東京フィルハーモニー交響楽団 7月定期演奏会<a href="https://www.tpo.or.jp/">●東京フィルハーモニー交響楽団 7月定期演奏会</a><div><br /></div><div>2020年7月</div><div> 15日(水) 19:00開演 会場:サントリーホール 大ホール</div><div> 17日(金) 19:00開演 会場:東京オペラシティ コンサートホール</div><div> 19日(日) 15:00開演 会場:Bunkamuraオーチャードホール</div><div><br /></div><div>指揮:佐渡裕</div><div>管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団</div><div><br /></div><div>ベートーヴェン:</div><div> 「コリオラン」序曲</div><div> 交響曲第七番 イ長調 Op.92</div><div><br /></div><div>6月になって、東京フィルハーモニー交響楽団はようやく演奏会を開催できた。都のガイドラインによる制約から来場者を減らし、また来日不可能のため指揮者を変更し、それらに伴ってプログラムを変更し、という困難を乗り越えての演奏会の模様は、MBS系列で放送された「情熱大陸」でご覧になった方も多かったことと思う。</div><div>…使われなかったようなのでここで書いておくけれど、オペラシティでの公演の後来場者としてコメントを求められた私は「このような素晴らしいことができる楽団に舞台がないのは不幸なことだし、それを私たちが楽しめないのも本当に不幸なことだ」「以前とは違う状況だけれど、なんとかやっていけるようにできることをして共に音楽を続けたい」といった話を求められるままにしました。(ニュースのヒマネタなら数秒しか使えないだろうに、ずいぶんと聞き出すなあ)と思いながら答えた映像が世界に流れなくてよかった(いや大事なのはそこじゃない)。</div><div><br /></div><div>さて。昨今は「禍福はあざなえる縄の如し」と思わされることばかりで、いいニュースには必ずと言っていいほどに残念なお知らせもついてくる。6月の定期に来場した方はもれなく見ただろう<a href="https://www.tpo.or.jp/information/pdf/2020re3.pdf">東京フィルの今後の定期演奏会の内容変更</a>は、演奏会の再開を手放しで喜んでばかりもいられない、そんな気持ちも同時に喚起した。これを書いている今日、さらに残念なことに8月定期として開催予定だった定期演奏会(本来は今年3月予定)の中止も発表されている。つまり、プレトニョフと東京フィルによる演奏会は2020年には行われない。「わが祖国」全曲演奏会自体は2021年3月に再延期されるわけだが、これでまた一つの舞台が失われたことが惜しまれる。</div><div>(ここの部分、本当にわかりにくい書き方で申し訳ないのだけれど、このわかりにくさが今の状況なのだと思ってもらいたくてつい)</div><div><br /></div><div>定期演奏会の改組は残念なお知らせだけれど、それを経なければ前に進めない、そんな困難な前提と向き合うのが2020年の現実なのだ、とうそぶいて深呼吸して、あらためて明るいニュースである開催される7月定期に目を向けよう。</div><div><br /></div><div>本来なら4月に意欲的なバーンスタイン・プログラムで登場するはずだった佐渡裕が、この困難の中で東京フィルの指揮台に帰ってくることになった。演奏時間こそ長くはなかったけれど、さすがに舞台転換に声楽に、と今はまだクリアできない条件を伴ったそのプログラムは披露されない(いつの日か実現されますように)。その代わりに、生誕250年を迎えたベートーヴェンの二曲による約一時間のプログラムで定期演奏会は開催される。悲劇的な序曲、そして舞踏の高揚を窮め尽くす交響曲、佐渡裕と東京フィルはどう聴かせてくれるだろうか。今や希少な機会となった演奏会、好演を期待したい。</div><div><br /></div><div>**********</div><div><br /></div><div>今回も都のガイドラインに従っているため、短めの演奏時間に加え来場者を絞っての開催となるため、聴きたくても聴きに行けない、という方が多いだろうことは本当に残念なことだし、また、最近になっての感染拡大に見える状況も心配だ(心配と自衛くらいしか、一個人にはできないのが歯がゆい)。</div><div>そんなご時世なのだから、行き帰りも含めて十分な配慮をして、事後にもトラブルなく演奏会が成功裏に終わるよう努める。皆様御存知の通り、”新しい時代”の演奏会の聴衆にはこの配慮が求められています。状況は厳しいですけれどやれることをしましょう、そして音楽がライヴで聴ける可能性をつなぎましょう。以上、最後の段はただの聴き手の私からのお願いでした。</div>chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-3360236107169093082020-06-23T15:29:00.004+09:002020-06-23T15:34:16.612+09:00公演再開のためのキープディスタンス・エクスペリエンス 資料編<div>こんにちは。千葉です。</div><div><br /></div><a href="https://opera.jp.net/archives/9483">先般ミューザ川崎シンフォニーホールで開催された「公演再開のための キープディスタンスコンサート」について、オペラ・エクスプレス様に寄稿しています。</a>よろしければご覧ください、あわせて<a href="https://www.kawasaki-sym-hall.jp/">ミューザ川崎シンフォニーホールのサイト</a>もご覧になるのがよりよい見方ではないかな、と思います。<div>中川英二郎氏は、本来なら今月はこのランチタイムコンサートに加えて「スライド・モンスターズ」のツアーでもミューザ川崎シンフォニーホールに登場する予定でした。来年に延期となってしまいましたけれど、様々なアンサンブルでそれぞれに個性的なサウンドを聴かせる中川英二郎氏の帰還を、楽しみに待ちたいと思います。</div><div><br /></div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><iframe allowfullscreen="" class="BLOG_video_class" height="266" src="https://www.youtube.com/embed/KT_yOgUghFQ" width="320" youtube-src-id="KT_yOgUghFQ"></iframe></div><div><br /></div><div><br /><div>さてこの日の試演会、ミューザ川崎シンフォニーホールはどのような準備をして臨んだのかと気になる方も少なくないのでは、と想像します。そこで、私が会場で思いつくままに撮った写真を以下に貼ります。ご参考になりましたら幸いです。</div><div>(今後、テキストは更新予定です)<div><br /></div><div>まずは入場前。</div><div><br /></div><div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEj9OxhSGG7GZrUEmfoWQhhyphenhyphenYb3lThqKGtrZhGlYEad5LUG_zzQV9F-R68l_mv8kZcoWqzS_ffOflKhYsEw8mkPsNpSF1BLgZTP48lYixoUzR57APGlIrPKre7oc9XzozZ5RNrqlH5T-7fA6/s1600/1592740860930205-0.png" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;">
<img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEj9OxhSGG7GZrUEmfoWQhhyphenhyphenYb3lThqKGtrZhGlYEad5LUG_zzQV9F-R68l_mv8kZcoWqzS_ffOflKhYsEw8mkPsNpSF1BLgZTP48lYixoUzR57APGlIrPKre7oc9XzozZ5RNrqlH5T-7fA6/s1600/1592740860930205-0.png" width="400" /></a></div><br /></div><div>奴らは相変わらずチャラい。それがむしろ安心感を誘うのはなんでしょうね(笑)。ちなみにヴィジュアル下部のMASK、これは「Music Aventure Summer Kawasaki」です。ぜひお見知りおきを。</div><div><br /></div><div>そしてホワイエ。</div><div><br /></div><div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEg7vep2GtHlIK-9V7kQFttGmZ0kzMzTlLk25ctrhS8mFhiovtP-MnCxayWaH-LnzUE9EZ0AzGq9Z5QxdJgXLK2rquIYiJJgyCJvxYFon8EdrpXeltQhSf5JeoxUiZ6nI6x3X9FgU29jQhI5/s1600/1592740849427111-1.png" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;">
<img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEg7vep2GtHlIK-9V7kQFttGmZ0kzMzTlLk25ctrhS8mFhiovtP-MnCxayWaH-LnzUE9EZ0AzGq9Z5QxdJgXLK2rquIYiJJgyCJvxYFon8EdrpXeltQhSf5JeoxUiZ6nI6x3X9FgU29jQhI5/s1600/1592740849427111-1.png" width="400" />
</a>
</div><br /></div><div>ベンチも間を空けて使うよう案内があります。</div><div>客席に入るとこんな感じです。</div><div><br /></div><div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEh3kh-YcLMpO81BxCuU303LKnDbfUkEw7FFaNZiUwp7-3BpktT0RcEoF1rSNtsemZYS0Y6Irgi4UfK4gMQfAqRbpn5pJy7S_n05lDRNxRqJN54TO-AahC2te_BZGL73OgiiNiIHmHwVoSD9/s1600/1592890933454891-0.png" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;">
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</a>
</div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><br /></div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjjOCFXFBlYtsQlroXE27K-B51ynKkRUujSGQ-1i4BMEAjpvtm_P4PUwUJjD8Skcg5dYu5GEZvY6TfgEZsxUo9h3vRPfn1vt833i1bOPi4w0V5WSh0e5VOOFqiE-PHi6HUWAHK7KnbmARi1/s1600/1592890930277425-1.png" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;">
<img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjjOCFXFBlYtsQlroXE27K-B51ynKkRUujSGQ-1i4BMEAjpvtm_P4PUwUJjD8Skcg5dYu5GEZvY6TfgEZsxUo9h3vRPfn1vt833i1bOPi4w0V5WSh0e5VOOFqiE-PHi6HUWAHK7KnbmARi1/s1600/1592890930277425-1.png" width="400" />
</a>
</div><br /></div></div></div><div>一席空けて座るよう案内してあり、この紙は下の写真のように貼られていました。この日は2ブロックしか使っていませんが、全体ともなるとけっこうな作業です。</div><div><br /></div><div>さらに場内を巡回している案内の方は、これを示して歩いていました。</div><div><br /></div><div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjNgnZ1pi45pIQVWrzr9Gs4C1l9rQHFXaqFvHfgOhuKIvYJTQeCTmwV9AJgsnLKeyr7HHxWHPGih8jtBvywop2gu2RklbEPtd81WHbvKc6WyZ0NfS4LY36nZvbCSzQi8xuA_8NbaQsA0lUv/s1600/1592890927325118-2.png" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;">
<img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjNgnZ1pi45pIQVWrzr9Gs4C1l9rQHFXaqFvHfgOhuKIvYJTQeCTmwV9AJgsnLKeyr7HHxWHPGih8jtBvywop2gu2RklbEPtd81WHbvKc6WyZ0NfS4LY36nZvbCSzQi8xuA_8NbaQsA0lUv/s1600/1592890927325118-2.png" width="400" />
</a>
</div><br /></div><div>いろいろ変わってはいるけれど、ステージはいつものミューザ川崎シンフォニーホール。帰ってきました。</div><div><br /></div><div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiM6rcnMwNKwddl2Cd8fjUN7hoc-dkM0Q8q7gaRuU-PpF3dKRGBSOTWy7L5CjTQqbh4qfCPJ_ojPd2q0qhHb0Dc-S8nytJynKQpkRTmrZPahTSCp-wabtrASf806Qd8kKX6z53M3PGg6WdH/s1600/1592890924678523-3.png" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;">
<img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiM6rcnMwNKwddl2Cd8fjUN7hoc-dkM0Q8q7gaRuU-PpF3dKRGBSOTWy7L5CjTQqbh4qfCPJ_ojPd2q0qhHb0Dc-S8nytJynKQpkRTmrZPahTSCp-wabtrASf806Qd8kKX6z53M3PGg6WdH/s1600/1592890924678523-3.png" width="400" />
</a>
</div>この写真でもピアニストとバンジョーの席が離れているのがわかりますし、トロンボーンのスタンド近くには水抜き用の受け皿(状のもの)が見て取れます。</div><div>なおここで一応書いておきますが、一般に「つば抜き」と言われがちな管楽器の水抜きですが、あれはほとんどは結露による水滴ですね。この日も中川氏は演奏開始前、つまり音を出していない時間帯に結露した水分を排出していることがよくわかりました。</div><div><br /></div><div>さて終演後の意見交換会の模様から。一枚目に指写っててごめんなさい(笑)。</div><div><br /></div><div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEitd8d7lslB81K-qJSahEXQEPUBCeuESuJue-fnUQnTD8mv6LGIgnBTS39L3LamTY0G9sSxeKuhsrLCVVyeWCzFG2KQJtDU7CYRhKDR4-XwsN9m8hpWSaRckHm6p4MZuvaFaPhvOPu0eIH0/s1600/1592890921546666-4.png" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;">
<img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEitd8d7lslB81K-qJSahEXQEPUBCeuESuJue-fnUQnTD8mv6LGIgnBTS39L3LamTY0G9sSxeKuhsrLCVVyeWCzFG2KQJtDU7CYRhKDR4-XwsN9m8hpWSaRckHm6p4MZuvaFaPhvOPu0eIH0/s1600/1592890921546666-4.png" width="400" />
</a>
</div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><br /></div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgbx5j3XOqqeoggo7OPecYzkORagLUOBH_RPQy94C4UoV2FsLWTQBYUVIqQd4Nvv4Y0a92yuQ8bicu5mG9LlYKlQMIAB2lWeGhOSpjXDUDnl8Cxn99Vn_5Ko4SHWRXO3Yz_jDyNil7NSFOp/s1600/1592890918302850-5.png" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;">
<img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgbx5j3XOqqeoggo7OPecYzkORagLUOBH_RPQy94C4UoV2FsLWTQBYUVIqQd4Nvv4Y0a92yuQ8bicu5mG9LlYKlQMIAB2lWeGhOSpjXDUDnl8Cxn99Vn_5Ko4SHWRXO3Yz_jDyNil7NSFOp/s1600/1592890918302850-5.png" width="400" />
</a>
</div>終演後のトリオからもコメント。聴衆の前で演奏できてうれしい、とのお言葉がありましたがこちらこそ「目の前で演奏してもらえて、それに拍手が贈れて本当にうれしい」と強く感じましたよ。</div><div><br /></div><div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
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<img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEi-0Nz8IHy5Sikz8l39dYNIW1W9kKyAocAuLeKE9jRsw_LdLDbpBghb1yX2OCis0xoflLrRW3eiRA9YHuhq35zUn3jZQtg76QGN65rEhmBVvCgko0SDX0gZDj0s-kWvHAnc2QvZELsbd-r5/s1600/1592890914616986-6.png" width="400" />
</a>
</div>ロビーにはこんな掲示が。<a href="https://www.kawasaki-sym-hall.jp/">ミューザ川崎シンフォニーホールのホームページ</a>にあるもの同様とは思いますがご参考まで。</div><div><br /></div><div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjPyOfyLjlio8occS7_olsSt_ISDBPId14ItzSQLsagm_14cj2J1WXnP3fZazUDWdvvstoCfUmWqMza_yC7WBcaX2RQRN2K0fDFoMQ5YVOxvLBpggC8kC5bKyq5KDlwMyWWz53YKAuJEc4i/s1600/1592890911665308-7.png" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;">
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</a>
</div>チラシ掲示のところでは、公演の度重なる変更にこのような形で対応していました。</div><div><br /></div><div>以上がこの日私が気づいた諸々のこと、でした。ヤツも皆さんの来場を待っていると思います。状況が整った方から、十分な準備をした上で会いに行ってやってくださいませ。</div><div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
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</a>
</div><br /></div><div>最後に。</div><div>ビルも少々さま変わり。スポーツ用品店が撤退したスペースは、今こうなってます。</div><div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiSWfHmZLyWX9x0MBsqwmzCWWv4GFSdMbBbwMGa2Qkih3KAtjoTPJHHG5ulIHfZ4LycznvHn7dAwOVXbr8hgzJl0XxItKheokBs7agalxXksJExq3CrVkDo5hWDoXQCJagcc00fFkYAqCO5/s1600/1592890904559164-9.png" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;">
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</a>
</div><div><br /></div>でかいコンビニです。次回来場の際にご活用ください。</div><div><br /></div><div>**********</div><div><br /></div><div>では失礼して、ミューザ川崎シンフォニーホールの新たな船出に乾杯(お酒飲みたいだけ)。また会場でお会いしましょう。</div><div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
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</a>
</div><br /></div>chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-80058495083350012802020-06-21T02:53:00.002+09:002020-06-21T02:53:42.542+09:00かってに予告編 ~東京フィルハーモニー交響楽団 6月定期演奏会<a href="https://www.tpo.or.jp/information/detail-20200605-01.php" target="_blank">●東京フィルハーモニー交響楽団 6月定期演奏会</a><br />
<br />
2020年6月<br />
21日(日)15:00開演 会場:Bunkamura オーチャードホール<br />
22日(月)19:00開演 会場:東京オペラシティコンサートホール<br />
24日(水)19:00開演 会場:サントリーホール 大ホール<br />
<br />
指揮:渡邊一正(東京フィル・レジデントコンダクター)<br />
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団<br />
<br />
ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」序曲<br />
ドヴォルザーク:交響曲第九番 ホ短調 Op.95 『新世界より』<br />
<br />
※当初予定のミハイル・プレトニョフ指揮による公演から内容が変更されました<br />
<br />
私が東京フィルの公演について、恒例の「かってに予告編」を書くのもほぼ四ヶ月ぶりだ。基本的に聴きに行く予定のコンサートについて、自主的に(きれいな言い方)ご紹介させていただくものだから、要はあのチョン・ミョンフンとの「カルメン」から東京フィルの公演に行けていない、というわけだ。<br />
そのコンサートからの遠ざかりが自分由来であれば仕方のないことだ、実際に地方に住んでいた時期にはコンサートなんてまったく行けなかった。それでも、数多くの演奏会が開かれているのであればいつか放送なり録音なりで触れる機会も出てくるだろう、そう思って耐えることもできた。しかし2020年前半のこの空白はそうではない。日本一多忙な、とも言われる東京フィルハーモニー交響楽団の演奏会が、まったくなかったのだ。3月に予定されていたプレトニョフとの「わが祖国」は8月に延期開催される予定だが、4月に予定されていた佐渡裕によるバーンスタイン・プログラムは公演中止となった。演奏機会が本当に希少な作品を取り上げるはずだったのに。<br />
<br />
そしてこの6月定期も、プレトニョフとの演奏会のはずのところ、マエストロ来日不可能のため、またCovid-19対応のガイドラインに沿った形への変更を行った上でなんとか開催される運びとなったわけである。<a href="https://www.tpo.or.jp/information/detail-20200605-01.php" target="_blank">その経緯や対応については、オーケストラからのお知らせを見てほしい。</a><br />
<br />
**********<br />
<br />
ここで私は「自分が伺う予定の定期演奏会」の話しかしていないから、「公演の空白と言っても3月と4月の二つだけ」のように見えてしまったなら、それは大変に申し訳ないが誤解だ。「日本一多忙な」と言われる東京フィルは伊達にそう呼ばれているわけではなく、自身の主催公演に加えてバレエやオペラでの演奏、そして数多くの委託公演に参加しているのだから。皆様も最近よく目にする、アーティストやコンテンツの名を冠した「オーケストラ・コンサート」「シネマコンサート」の存在はご存知だろう、それらの数多くに登場する東京フィルハーモニー交響楽団がこの4ヶ月の間に失った公演の数は相当のものだろうと、聞くまでもなく容易に想像がつく。その影響を直視するのが憚られて、調べることさえも気後れする。<br />
その間に私にできたのはせいぜいが<a href="https://www.e-onkyo.com/music/album/cokm42648/" target="_blank">首席指揮者アンドレア・バッティストーニとの新譜「幻想交響曲/舞楽」をダウンロード</a>することくらいだったので、その無力感たるや。いやそんなことより、音楽の可能性を開花させる機会を奪われた音楽家の皆様の胸中如何ばかりか、そして演奏団体の存続は大丈夫なのか。心配しかできないのがもう、なんとも…<br />
<br />
<iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?ref=qf_sp_asin_til&t=clacale-22&m=amazon&o=9&p=8&l=as1&IS1=1&detail=1&asins=B085RP5NQC&linkId=7b9f328d9748ba6435a65b2987bf42c0&bc1=ffffff&lt1=_top&fc1=333333&lc1=0066c0&bg1=ffffff&f=ifr" style="height: 240px; width: 120px;">
</iframe><br />
新譜レヴュー、近日お出しします。筆が遅くて申し訳ない。<br />
現時点では「良い録音でこれらの作品が聴けることは幸いである、そしてこれが日本のオーケストラによるものなのだからますます喜ばしい」とのみ。<br />
<br />
湿っぽい話が長くて申し訳ありません。この機会を逃すとこの話をしておくタイミングがないのです。演奏活動が部分的にではあっても再開されるから、やっとこの話ができる。私はそう考えています。<br />
幸いなことに、これまでに世界各地の演奏団体の試みが報告されており、合奏については比較的安全に実施できそうな見通しがあるように私見している※。国からの緊急事態宣言が解除された今、演奏会を開くのは自然なことだ。なにせ音楽家には演奏したい思いがありそのための高度に専門的な能力がある。そして私たち聴き手もいつまでも再生環境に左右される配信で満足してはいられない。目の前で生まれる音に出会うために演奏会に足を運ぶことの楽しさを知ってしまえば、演奏会が開かれていない日々がこれ以上続くことを受け入れられましょうか。<br />
<br />
※声楽、とくに合唱については東京二期会が7月に演奏会を行うという朗報もあったけれど、ポジティヴな見通しを否定する情報もあり、私については判断を留保させていただきたい。<br />
<br />
上述のとおり、演奏会は予定を変更して開催される。プレトニョフが来られない以上、シチェドリンによる「カルメン」とチャイコフスキーの組曲という、彼独自のプログラムは変えるしかないことを残念に思う気持ちがないわけではないけれど、活動再開にあたってこの変更はありなのではないか、とも感じる。かつてないほどの空白を埋めるのに、気心の知れたマエストロを招くのは自然なことだ。そして曲目を見れば、冒頭はオペラを得意とする東京フィルからの久しぶりのご挨拶であり、劇場への愛を示す「セビリアの理髪師」序曲。そして変わってしまった新しい世界への第一歩としてのドヴォルザークの交響曲。うん、いいと思います。<br />
<br />
それは私だって「新世界」がアメリカ合衆国を指すことやら民謡や音階を部分的に採用していること等など、もちろん存じておりますが(あやしい)、創作を終えて作者からも時代からも独立した作品にはこういうめぐり合わせの妙、よくあるものです。今このときに体験することでこういう感じ方をする(してしまう)のが受容する側に与えられた自由のひとつなのだから、そこは積極的に楽しめる方を選ぼう、私のスタンスはそういう傾向がありますね…(今気づいたのか)。私のことはさておいて。<br />
いよいよ、6/21から東京フィルハーモニー交響楽団は演奏会を再開します。この日付を埋められる日が来たことを喜び、今度は再びの空白とならぬことをお祈りして本稿を終えましょう。<br />
<br />
そうそう、Covid-19の流行のあと、演奏会は音楽家と主催者と、そして聴衆が協力しないと実施すら難しい時代になりました。<a href="https://www.tpo.or.jp/information/detail-20200617-01.php" target="_blank">来場予定の皆様は、必ず団からの対策案内を熟読して、体調に気をつけて会場に向かいましょうね。私からもお願いします。</a><br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/xcm8qbs6uIw" width="560"></iframe><br />
こうした活動もぜひご覧ください。chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-6286225952241176312020-03-25T12:00:00.001+09:002020-06-24T00:00:31.398+09:00夏の主役は君だ! ~フェスタサマーミューザKAWASAKI 2020 ラインナップ発表<div>※変更後のプログラム発表を受けて、この記事の改稿ではなく追加で文章を書くことにします。しばらくは古い情報をそのまま載せていることになりますので、チケット入手のための情報などは<a href="https://www.kawasaki-sym-hall.jp/">ミューザ川崎シンフォニーホールのホームページ</a>をご覧ください。</div><div><br /></div>2020年3月25日(水)、ついに「フェスタサマーミューザKAWASAKI 2020」(以下サマーミューザ)のラインナップが発表された。今年は現今の状況に鑑み恒例の記者発表は行われなかったけれど、そのラインナップはこれから夏まで音楽ファンの注目を集め続けていくことだろう。サマーミューザがあるから、失われた”2020”にはならない、ラインナップを読み込んで私はそう確信した。<br />
<br />
<a href="http://www.kawasaki-sym-hall.jp/festa/" target="_blank">>フェスタサマーミューザKAWASAKI2020 公式サイト</a><br />
<br />
今年は7月23日(木・祝)に開幕し、8月10日(月・祝)まで19日間にわたって数多くのコンサートが連日開催される(7/27、8/3は演奏会なし)。例年通り、首都圏のオーケストラによる特色を活かした公演の数々の饗宴、ホールアドバイザーによる趣向を凝らした企画、そしてゲストの登場と、サマーミューザは今年も”毎日でも通いたい”魅力的なプログラムを用意してきた。昨年初の首都圏外から参加した仙台フィルハーモニー管弦楽団に続いて、今年は群馬交響楽団がサマーミューザに登場する(8/4)ことも注目を集めるだろう。<br />
<br />
ではそのプログラムの魅力を読み解こう。<br />
今年のサマーミューザは、一つの軸として生誕250年を迎えたベートーヴェンを据えた。N響、群響、東京フィル、新日本フィルがミューザでの公演で取り上げるのに加え、「出張サマーミューザ@しんゆり」は両日ともが「オール・ベートーヴェン・プログラム」だ。オーケストラ公演に通いつめれば交響曲第五番から第九番、ヴァイオリン協奏曲にピアノ協奏曲(一、四、五の三曲を一公演で!)、そしてめったに演奏されない三重協奏曲までが披露される。さらに小川典子が「ピアノフェスタ」で取り上げる「悲愴」ソナタもあるのだから、存分にベートーヴェンの音楽を楽しめようというものだ。<br />
<br />
多彩な独奏者が登場するのも今年のサマーミューザの魅力の一つだ。定番のヴァイオリン、ピアノも名手たちが揃うのだが、ギターにサクソフォン、ハープに「第九」の独唱陣と、公演に彩りを添えるだけには収まらない音楽家たちが連日のように登場してくれる。<br />
<br />
個別に気になる公演をあげるなら、”夏祭りだから”とばかりに凝りまくった企画を披露してくれる下野竜也と読響+反田・務川(7/29)、ミューザ初登場となるアンドレア・バッティストーニと東京フィル(8/2)、近年クラシックへの本格的なアプローチが際立つ久石譲と新日本フィル(8/4)、飯守泰次郎と本格的なプログラムを披露する東京シティ・フィル(8/7)、あたりは聴き逃がせないと感じる。<br />
<br />
仙台フィルハーモニー管弦楽団に続いて招かれた群馬交響楽団は、映画「ここに泉あり」でも印象的に用いられた「第九」でミューザデビューを飾ってくれることとなった。新本拠地・高崎芸術劇場がお披露目されたばかりの群響が、群馬交響楽団合唱団、独唱陣とともに聴かせてくれる”真夏の第九”、酷暑に負けぬ熱演に期待したいところだ。<br />
<br />
また、今年のサマーミューザでも、ジャズ企画は継続される。国府弘子が小川典子とのコラボ(7/24)、ベースの井上陽介らとのコラボ(7/26)で活躍してくれるのは心強い。<br />
<br />
アウトリーチ公演は今年も充実しており、「こどもフェスタ」として開催されるホールアドバイザーの小川典子による「イッツ・ア・ピアノワールド」(7/24)、かわさきジュニアオーケストラ発表会(8/6)の二公演、そして市内の音楽大学による演奏会(洗足学園の恒例”バレエとのコラボ”公演は7/31、女性が輝く昭和音大のコンサートは8/5)は廉価で楽しめるコンサートとして今年も好評で迎えられるだろう。無料企画の「音と科学の実験室 夏ラボ!」や、「若手演奏家支援事業2020 ミニコンサート」も開催されるので、夏休みの親子には気軽にミューザに足を運んでみてほしい。<br />
<br />
そうそう、今年のサマーミューザのタイトルは「みんな大好き夏音(サマーミューザ)」である。少しゆるいこのテーマに、新ヴィジュアルのヌケ感はもしかすると(川の向こうで世界的イヴェント開催中だし)なんて衒いがあったのかな、とも思える。だがプログラムを、出演者を見れば堂々たる本格的音楽祭として、この夏の主役になってしまうのは確実である(市民の贔屓目はあるにしても)。チャラくてもいい、ガチでもいい、存分に音楽を楽しむ夏の到来を待とうではないか。<br />
<br />
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhXUS-tx22rcrNw8pU2ZYbUsVjX-LIMol8w7x61LrlFtVYPWUs-dgIYC0OCm187bCZk5eaP462yUwBr7fWtU5kSCj5M108TBN0gOyZKMKNtfEntzxdz_TQaZshr1QIRy4asvKhMRz9JuJY/s1600/FSM2020_KV_a4.jpg" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="1600" data-original-width="1151" height="320" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhXUS-tx22rcrNw8pU2ZYbUsVjX-LIMol8w7x61LrlFtVYPWUs-dgIYC0OCm187bCZk5eaP462yUwBr7fWtU5kSCj5M108TBN0gOyZKMKNtfEntzxdz_TQaZshr1QIRy4asvKhMRz9JuJY/s320/FSM2020_KV_a4.jpg" width="230" /></a></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<span style="font-size: x-small;">(バッハさん以外は半笑い…性格悪そう、なんて言いませんよ、ええ)</span></div>
<br />
最後に残しておいたこれも決して忘れてはならない、夏祭りの焦点のひとつである。ご存知ミューザ川崎シンフォニーホールを本拠地に活躍する我らが東京交響楽団だ。東響は今年も開幕公演、出張サマーミューザ、そしてフィナーレと活躍してくれる。<br />
開幕公演は定期公演の同プログラムがすでにチケットが入手困難となっていたノット&東響によるマーラーの第五番(!!!!)である。各位、ご用意はよろしいか。<br />
そしてフィナーレでは、先日の配信でも東響と見事にスウィングしてみせた原田慶太楼が登場する。東響が誇る名手景山梨乃によるグリエールの協奏曲、長身を活かしてダイナミックな指揮姿が魅力の原田による「シェエラザード」ももちろん注目なのだが、今回はその間に置かれるかわさき=ドレイク・ミュージックによる”新作”も見逃してはならない。メインの「シェエラザード」をモティーフとして披露される即興は、その創造のプロセスから興味深いものとなるだろう。※<br />
前述したとおり@しんゆりは秋山指揮、オール・ベートーヴェンによる堂々たるプログラムと、どのコンサートも今の東響の充実を存分に示してくれることだろう。<br />
<br />
<a href="http://www.kawasaki-sym-hall.jp/festa/news/detail.php?id=1271" target="_blank">※残念なことだが、昨今の状況によってフィナーレコンサートにイギリスの「ドレイク・ミュージック」の参加はなくなった。きっと次の機会がある、と思いたいが…</a><br />
<br />
そうそう、これはミューザと東響の仕込んだ小ネタだと思うのだが、パンフレットをくまなく見てほしい。下段のアイコン説明に「祝!ベートーヴェン生誕250年」に並んで「祝!マーラー生誕160年」が用意されているのだが、実は今回のサマーミューザでマーラーを披露するのはノット&東響だけ、なのである(笑)。ラッヘンマンとマーラー、ノット&東響のケミストリーへの期待を込めた、ミューザからのちょっとした遊びを私はとてもうれしく拝見した次第である。<br />
<br />
そしてこれはサマーミューザの直後となるのだが、<a href="https://tokyosymphony.jp/pc/news/news_4289.html" target="_blank">3/28に予定されていた定期演奏会は8/13にミューザ川崎シンフォニーホールで開催される、と昨日発表された</a>。今まさに心待ちにされている”復活”の時として、フェスタサマーミューザが無事開催されることを、私は心から祈っている。chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-2912756562245650362020-03-20T13:43:00.001+09:002020-03-21T10:47:39.835+09:00かってに予告編 ~東京交響楽団 東京オペラシティシリーズ 第113回他団体に先駆けて行われた東響の、そしてびわ湖ホール「リング」の配信は、人々の音楽を求める声の大きさを、我々聴き手も音楽家の皆さんも強く認識する機会になったと感じる。新型コロナウイルスが世界的パンデミックとみなされるようになった今、世界でも各地で配信を積極的に行うようになったを踏まえれば、今回の危機的状況に対して東京交響楽団(とその本拠地であるミューザ川崎シンフォニーホール)が選択した”音楽によってコミュニケーションを取り続けよう”という姿勢の妥当さが示されたと言えるのではないか。初回に10万、二回目に7万という大勢がミューザでの東響のサウンドに触れてくれたことは、その素晴らしさを降りに触れて表明してきた私にとってもこの厳しい状況下で喜ばしいニュースとなった、と感じる。<br />
<br />
その無観客演奏会の配信の大成功によって、日本のクラシック音楽界の注目を一身に集めた東京交響楽団がついに主催演奏会の再開を決めた。このことは賛否があるのだろうが、私は支持する。<br />
生物としての存在を脅かされるCOVID-19も危険なことは疑いようのないことだが、それに由来してなんの補償もない”自粛”を続けることで経済的・社会的生物としての私たちも殺されてしまいかねない。そのバランスを取りながらできることをし、してはいけないことを避ける、今はそれくらいしかできることはない。私はそのように考える次第だ。<br />
<br />
こんな当たり前のことを真剣に言揚げする必要がなくなる日が早く来てくれることを心より願っていることも付言しておく。さて、<a href="http://tokyosymphony.jp/pc/news/news_4285.html" target="_blank">その演奏会開催のための詳しい注意事項もオーケストラからは発信されているので、来場されるすべての方がご一読されることを私からもお願いしたい。と、演奏会を問題なく開催するためのご案内はここまで。</a><br />
<br />
************<br />
<br />
<a href="https://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=dtWd84S4ZEU%3D" target="_blank">●東京交響楽団 東京オペラシティシリーズ 第113回</a><br />
<br />
2020年03月21日(土) 14:00 開演 会場:東京オペラシティコンサートホール<br />
<br />
指揮:飯森範親<br />
チェロ:新倉瞳<br />
管弦楽:東京交響楽団<br />
<br />
ラヴェル:ラ・ヴァルス<br />
ファジル・サイ:「11月の夜想曲」チェロと管弦楽のために(新倉瞳による委嘱作品)<br />
ラヴェル:<br />
道化師の朝の歌<br />
スペイン狂詩曲<br />
ボレロ<br />
<br />
東京交響楽団の正指揮者として、数多くの演奏会に登場してきた飯森範親は、本年度を持ってそのポストを降りる。…だが4月からは特別客演指揮者として今後も共演を続けていくので飯森と東響の関係が大きく変わるわけでもないように思うが、今度の演奏会が一つの区切りとなることは疑いようもないことだ。その演奏会で飯森は、ラヴェルの作品を集めたプログラムを披露する。数々の新作や知られざる傑作の初演(日本初演含む)を手がけてきた飯森と東響のひとつの区切りがこのような選曲になるというのはちょっと不思議な気もするのだが、東響の精緻なアンサンブルはラヴェルにはよく似合うし、飯森の高い読譜力はラヴェルのスコアを最適な響きに編み上げてくれることだろう。<br />
<br />
こんな感傷的な気分も高雅に受け流し(おい)さて何を書こうかと考えつつプログラムを見ていて、ラヴェルとサイの組合せによって昼と夜の、明と暗のコントラストが繰り返し示されることに気がついた。綺羅びやかな舞踏会の幻想(ラ・ヴァルス)から「11月の夜(想曲)」(これはやはり”11月の階段”を踏まえた題なのだろうか)へ、そしてまた(道化師の)朝、から夜への前奏曲から舞曲を経て祭りの狂騒へ(スペイン狂詩曲)。こう並べられるとこの文脈で「ボレロ」をどう捉えたものか、そんなことを考え始めてしまうのが私の癖なのだ。<br />
しかしここで結論を引き伸ばすこともないだろう。会場の静寂に刻まれ始めるリズム、そして次第に高揚しその頂点で終わるこの音楽を、この文脈では「真昼」に至る作品と受け取りたい。<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/05Q9Wouh2z8" width="560"></iframe><br />
…こう書いてきて、この読みを導いたのはこのバレエの記憶のせい、と思えてきてしまった。飯森と東響の”ラストダンス”、完全燃焼を期待しよう。<br />
<br />
いちおう、穏当な話も。ラヴェル作品はすべて舞踏を想定した作品である。もちろん、千鳥足の酔漢の足取りを舞踏と言ってしまうことには異論もあろうと思うけれど、ラヴェルが描き出すこの道化師の足取りから耳目を離せないのも皆様ご存知のことと思う。この観点からは、”ラストダンス”説がより強められるわけだが、より広く東響のプログラミングを見てくれば「2月川崎定期のスペイン・プログラムへのレスポンス」(ヴァラエティに富んだスペインもの!…はっ!「スペインの時」につながるか←それは無理筋)など読みももちろん可能だ。久しぶりのコンサートで私自身が何を受け取れるものか、大いに楽しみにしている。<br />
<br />
*************<br />
<br />
さてテレビのCMに出ていたり、ドレスのプロデュースをしてはいても、新倉瞳はガチの音楽家である。今回初演される※ファジル・サイの作品も彼女による委嘱である。眉目秀麗な異性だからと音楽的評価をしにくくなる、というのは悪しきルッキズムなので克服しましょう(←私への注意喚起)。<br />
<br />
この新作については、現時点ではSNSにアップされたリハーサル映像でほんの一部が聴けるだけなのだが、サイの作品を知る人ならおなじみの”空気”を感じさせる作品であるように思える。<br />
<br />
<blockquote class="twitter-tweet">
<div dir="ltr" lang="ja">
飯森マエストロもアップしてくだ🦏ました <a href="https://t.co/MdxFateuVj">https://t.co/MdxFateuVj</a> <a href="https://t.co/Yp6VAYli4s">pic.twitter.com/Yp6VAYli4s</a></div>
— 新倉瞳 Hitomi Niikura (@hitomi_cello) <a href="https://twitter.com/hitomi_cello/status/1239909063531450369?ref_src=twsrc%5Etfw">March 17, 2020</a></blockquote>
<script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script><br />
<br />
初演であれば予習のしようもないところなので、ここはひとつ私が大好きなパトリツィア・コパチンスカヤによるヴァイオリン・ソナタでも聴いてその”空気”を感じておいてください(ただのゴリ押し)。<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/NSiaHkSzBYQ" width="560"></iframe><br />
<br />
さあ久しぶりの生音、存分に楽しませていただきましょう。<a href="http://tokyosymphony.jp/pc/news/news_4285.html" target="_blank">ご来場の皆様、くれぐれも万全の準備をされますよう</a>。もちろん私も万全の体制で臨む所存であります。chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-29757510606177830162020-03-12T00:31:00.003+09:002020-03-14T09:45:54.015+09:00かってに予告編 ~モーツァルト・マチネ 第40回/無観客ライブ無料配信「東京交響楽団 Live from Muza!」初回のニコニコ生放送における「無観客演奏会」の試みが大好評裏に終了し、東響&ミューザのファンとして安堵している。…いや、本当に多くの人たちがミューザでの東響のサウンドに触れてくれたのは喜ばしいことなのだが、自分個人としては配信前より一層”あの場で音楽を聴きたい”という思いが強まっている。欲張りなものである。<br />
さて配信を聴かれた皆様、今度は近代の作品で揃えた名曲全集とはまた違う”ミューザの東響”の本領ともいえる演奏会をぜひご覧あれ。ということで例の予告編行ってみよう。<br />
<br />
<a href="https://www.kawasaki-sym-hall.jp/news/detail.php?id=1230" target="_blank">●モーツァルト・マチネ 第40回</a><br />
<br />
2020年3月14日 (土) 11:00開演 会場:ミューザ川崎シンフォニーホール<br />
<br />
指揮:原田慶太楼<br />
ピアノ:金子三勇士<br />
管弦楽:東京交響楽団<br />
<br />
※フルート四重奏:八木瑛子(首席フルート奏者) 水谷晃(ヴァイオリン/コンサートマスター) 武生直子(首席ヴィオラ奏者) 伊藤文嗣(首席チェロ奏者)<br />
<br />
モーツァルト:<br />
フルート四重奏曲第三番 ハ長調 K. 285b<br />
交響曲第三五番 ニ長調 K.385 「ハフナー」<br />
ピアノ協奏曲第一三番 ハ長調 K. 415 (387b)<br />
<br />
モーツァルトの時代、演奏会はまだジャンルで分かれきっていなかった。オーケストラの演奏会に歌手によるアリアや器楽の独奏が挟まれることも数多あって、その演奏時間の長さたるや貴族ならざる我々にはあまり考えたくないほどのものだ。もちろん、全部付き合っていたわけではないだろう、とも思うけれど。<br />
そのような演奏会の伝統はベートーヴェンの頃にも続いていて、よく知られた「田園」「運命」(←あえて、ね)が初演された演奏会はその二曲でも十分に長いのに、ピアノ協奏曲第四番(!!)など他の作品が演奏される、半日がかりの長大な演奏会であったことは比較的知られている。今回のモーツァルト・マチネはそんな歴史を想い出させる、創意あるプログラミングだ。<br />
だがいくら川崎市がザルツブルクと姉妹都市で、ミューザの開演を告げる音がかの地の鐘の音で、モーツァルトを得意とする東響がミューザで展開してきたシリーズであっても、朝からそんな重たいプログラムを取り上げるわけではさすがにない。だが今回の演奏会は短くはあるけれど、そんな往時の音楽のあり方を思わせてくれるものとなるだろう。なにせ、まずは室内楽で始まって交響曲を演奏し、最後にピアノの協奏曲で締める、というのだから。<br />
<br />
マンハイム滞在期の作品ともされるフルート四重奏曲第三番では、先日の演奏会で「牧神の午後への前奏曲」で活躍しフルートの八木、そして首席奏者たちによる親密なコミュニケーションが楽しめるだろう。<br />
続く交響曲第三五番は、ハフナーさん(当時の貴族)のためのセレナードを改作した作品で、その祝祭的な雰囲気はモーツァルトの交響曲の中でも独特なものだ。私としてはこの作品のフィナーレについてなら「疾走する」モーツァルト像を認めてもいいと思う。偉そうですみません。<br />
そして最後はウィーンで、フリーランスの音楽家として活路を求めていた時期のピアノ協奏曲だ。モーツァルトの名を冠したシリーズの、今季の演奏会最後を飾るのにモーツァルト自身の楽器だったピアノが活躍する作品を選ぶのは実に妥当と言えるだろう。<br />
<br />
そんなプログラムを、オーケストラをドライヴすることについては既に定評を得つつある原田の指揮で、内外で活躍する金子のピアノで楽しめるのは幸いなことである。スダーンの時代から数々の名演を聴かせてきた”東響のモーツァルト”に、新たな名演が加わることを期待して、土曜の朝を迎えようではないか。<br />
<br />
************<br />
<br />
と、通常のスタイルで書いてきましたが、先日の配信で初めて聴いた皆さんは、<a href="https://live2.nicovideo.jp/watch/lv324590792" target="_blank">構えず楽しみにニコニコ生放送のページにアクセスしてください、ぜひ</a>。ミューザの音響の素晴らしさは室内楽でも発揮されることは経験上良く知っていますので、一曲目からモーツァルトの魅力をお楽しみいただけることは私が保証…するまでもないですね、先日の配信で八木さんのファンになった皆様には。<br />
もし曲がわからないのがちょっと、と思われるようなら曲目のところの「K.(数字)」の部分で配信サイトあたりを検索すればまあ、何かしらありますので。<br />
<br />
この無観客演奏会・無料配信は窮余の一策ではあるけれど、これでより多くの人が東響の、ミューザの魅力を知ってくれるなら一ファン、一市民としても嬉しく思います。<br />
次回は午前中の公演ですので、皆様お寝坊などされませぬよう(笑)。<br />
<br />
追記。<br />
前回のコメントなどでの意見を踏まえ、二回目の配信となる<a href="https://qa.nicovideo.jp/faq/show/11582?site_domain=default" target="_blank">今回はニコニコ生放送の機能の一つ「ギフト」を導入した</a>、とのことです。<a href="https://live2.nicovideo.jp/watch/lv324590792" target="_blank">さてどうなりますか、まずはリアルタイム視聴、ですよ!</a>chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-74700041971141396442020-03-08T00:01:00.002+09:002020-03-08T19:41:25.688+09:00かってに予告編 ~ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第155回 Live from Muza!3月に入り、政府からの「要請」を受けてクラシック音楽の公演は激減している。そんな中で、東京交響楽団と本拠地のミューザ川崎シンフォニーホールが興味深い試みを発表した。<a href="https://live2.nicovideo.jp/watch/lv324588340" target="_blank">コンサートとしては開催を中止した、ミューザ川崎シンフォニーホール主催の「名曲全集(3/8)」</a><a href="https://live2.nicovideo.jp/watch/lv324590792" target="_blank">「モーツァルトマチネ(3/14)」</a>の二公演を、ニコニコ生放送で無観客演奏ライヴ配信&レコーディング・CD発売する、というのである。<br />
以前から東響は<a href="http://tokyosymphony.jp/pc/news/news_4083.html" target="_blank">自主公演の配信「TSO Music & Video Subscription」</a>を実施していること、ノット監督との録音の縁でオクタヴィアレコードとの連携がスムースなことなど、いろいろの要素があるとは思うのだが、今回のような危急の時にニコニコ生放送での無観客演奏配信に踏み切るとは。この苦難を来場を予定していた従来のファン以外の層にも東響の、ミューザの音が届く機会に転じてみせたことに、拍手を送るしかないのである。<br />
<br />
そしてこれは私事ですが、おかげさまで事前から少しずつ書き溜めておいたメモをまとめてお出しできる機会を得たわけで、例によって「かってに予告編」をお送りしたい。ささやかながら予習のお供に、復習のよすがにご利用いただけましたら幸いこの上なく。<br />
なお、<a href="https://www.kawasaki-sym-hall.jp/blog/" target="_blank">公式の「予告」は曲目解説を含めてミューザ川崎シンフォニーホールのブログに掲載されています。野良の予告(笑)が信用ならないとお考えの向きにはリンク先をご覧いただけましたら。</a><br />
<br />
<br />
<a href="https://www.kawasaki-sym-hall.jp/news/detail.php?id=1230" target="_blank">●無観客ライブ無料配信 「東京交響楽団 Live from Muza!」 ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団「名曲全集第155回」</a><br />
<br />
2020年3月8日(日) 14:00開演 会場:ミューザ川崎シンフォニーホール<br />
<br />
指揮:大友直人<br />
ピアノ:黒沼香恋(ミューザ・ソリスト・オーディション2017 合格者)<br />
オルガン:大木麻理(ミューザ川崎シンフォニーホール オルガニスト)<br />
管弦楽:東京交響楽団<br />
<br />
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲(1894)<br />
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調(1931)<br />
サン=サーンス:交響曲第三番 ハ短調 Op.78 「オルガン付き」(1886)<br />
<br />
ご覧のとおりのフランス近代音楽によるプログラムである。いわゆる印象派の元祖ともいわれる小品、そしてWWIを生きのびた作曲家による美しい協奏曲、ホール自慢のオルガンが効果的に活躍する”印象派以前”の堂々たる交響曲と、”フランス音楽”とくくられる作品群の幅広さを端的に示す好選曲だ。<br />
<br />
冒頭で演奏されるドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」は、少しでも近現代のクラシック音楽に興味を持って書物に当たるなら、必ず大文字で記されている作品だ。しかしこの曲は演奏時間わずか十数分のもの、なにゆえそこまで特別扱いされるのか…といえば、それこそ本一冊と言わずなにかの書物の一章を読んでいただくのがいいのだけれど、それより何よりまず音を聴いてみるのがよろしかろう、と思う次第。<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/JoWpZw9fN0E" width="560"></iframe><br />
<br />
続いて演奏されるのは、ラヴェルが晩年に取り組んだピアノ協奏曲のうち、いわゆる”両手”、ト長調の協奏曲だ。ジャズ風の曲調、美しい旋律が印象的な第二楽章など魅力に溢れた作品だが、映像で見てみるとそのにぎやかさに対してあまりに小さい編成に驚かされる。なるほど、これは第一次世界大戦あとの、厳しい時代に生まれた美しい音楽だったのである。<br />
<a href="https://www.youtube.com/watch?v=UtQDZaMcl14" target="_blank">(この曲は割と動画があったけれど、ちょっと貼りにくいこれをあえて用意しておきたい。トリッキィで仕掛けが多すぎるこの曲で、こんなことができるなんて。いつ視聴しても感嘆してしまう演奏です)</a><br />
<br />
最後に演奏される交響曲を聴くことで、もしかするとドビュッシーがもたらした変革がより理解できるかもしれない。サン=サーンスという多彩な才能が全盛期に残したこの作品は「19世紀には革新的、20世紀には保守的」とみなされてきた、なかなか複雑な歴史を持っている。それでも20世紀には主にオーディオ方面での人気が高く、長きに渡って人気作として愛されているサン=サーンスの代表作の一つだ。管弦楽にオルガンが加わったときの表現力は、体験してみないとわからないところがあり、体験してしまえばこれは間違いなく「名曲」だと言うしかないのである。<br />
オーディオ側からのアプローチが多かったこの曲は名録音で楽しむのもいいのだが、ミューザ川崎シンフォニーホールのように素晴らしいオルガンを持つ音響の良いホールで演奏されるなら最高の経験になる。実演では会場の空間を圧倒する大音響のみならず、背景として場面を支え存在感を示したり、とオルガンをよく理解した作曲家が凝らした技の数々がどこまでも感じ取ることができるけれど、さて今回の配信ではどこまで聴き取れるだろうか?<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/5GrO47WJKTI" width="560"></iframe><br />
<br />
せっかくの配信イヴェントなので、動画増量でお送りしています(笑)。冗談はさておき、クラシック音楽はいま「聴こうと思うなら割と聴くことができる」状態にあるのです、とお伝えしたい気持ちもありました。<br />
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*************<br />
<br />
2011年の大震災の際に、ミューザ川崎シンフォニーホールは大きな被害を受けてしばしの休館を余儀なくされ、ホールはほとんどのイヴェントが開催できず、東京交響楽団は本拠地での演奏ができない事態に追い込まれた。しかしそのとき「音楽のまち かわさき」を体現する存在として市内各地での演奏を充実させることで、災いを好機に変えるよう全力を尽くしてくれた。今回の”災害”はまた違った性格の、なんとも厄介なものではあるのだが、それをも音楽で乗り越えようとしてくれることには、一音楽ファンとしてお礼申し上げたい。そしてこのホールに足繁く通う川崎市民として、全世界の皆様に「どーですかミューザ川崎シンフォニーホール!どーですか東京交響楽団!」と、この機会にアピールしてあげたい。<br />
なお、今回の危機を受けて東京交響楽団は素早くもこの発表の前にYouTubeで「第675回定期演奏会」を配信をしていた。バークリーの有名なテーゼを引くのも野暮というものだけれど、オーケストラは存在するだけで意味があるのではない、その音を誰かに届ける存在なのである。今回の発表を受けて、そう感じたことを思い出した。私はその音を聴き届けたい、そう願う者である。<br />
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<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/7px0YMl2AGw" width="560"></iframe><br />
<a href="https://chibaweblog.blogspot.com/2019/11/67572.html" target="_blank">なお、この定期の予告はこちら。ご参考まで。</a><br />
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最後にひとつ。残念なことだが、当初発表のプログラムで予定されていたリリ・ブーランジェ作曲「春の朝」は著作権の都合により演奏されない。この名曲で編まれたフランス音楽プログラムに、知られざる早逝の女性作曲家の最後の作品を入れるあたりが「実に大友直人らしい選曲」と感じていたものだから、このカットは惜しい。このプログラムではドビュッシーのあとの、ラヴェルの前の時代の作品として再発見される機会となったことだろうに、と。<br />
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<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/i4JeeXilFKo" width="560"></iframe><br />
<br />
だがしかし、それも今回の”コンサート”開催の中では瑕瑾にすぎない。この知られざる作品が再度取り上げられる機会を信じて待つとしよう。<br />
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<br />
(追記)<br />
終演後の東京交響楽団からのリリースによれば視聴者数は約10万人に及んだとのこと。私も視聴していたが、「無料じゃ申し訳ないから課金させてくれ」といったコメントが多かったことには、なにかのヒントがあったように感じた。詳しくは後日、次回の予告でまた言及します。</div>
chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-89446346450538138272020-02-18T02:24:00.001+09:002020-02-19T16:24:50.717+09:00かってに予告編 ~東京フィルハーモニー交響楽団 2020年2月定期演奏会「カルメン」<a href="https://www.tpo.or.jp/" target="_blank">●東京フィルハーモニー交響楽団 2020年2月定期演奏会</a><br />
<br />
2020年2月<br />
19日(水) 19:00開演 会場:東京オペラシティコンサートホール<br />
21日(金) 19:00開演 会場:サントリーホール 大ホール<br />
23日(日・祝) 15:00開演 会場:Bunkamuraオーチャードホール<br />
<br />
指揮:チョン・ミョンフン<br />
合唱:新国立劇場合唱団(合唱指揮・冨平恭平) 杉並児童合唱団(児童合唱指揮・津嶋麻子)<br />
管弦楽:<a href="https://www.facebook.com/TokyoPhilharmonic" target="_blank">東京フィルハーモニー交響楽団</a><br />
<br />
キャスト 役名(声域):歌手名の順<br />
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カルメン(メゾ・ソプラノ):マリーナ・コンパラート<br />
ドン・ホセ(テノール):キム・アルフレード<br />
エスカミーリョ(バリトン):チェ・ビョンヒョク<br />
ミカエラ(ソプラノ):アンドレア・キャロル<br />
スニガ(バス):伊藤貴之<br />
モラレス(バリトン):青山貴<br />
ダンカイロ(バリトン):上江隼人<br />
レメンダード(テノール):清水徹太郎<br />
フラスキータ(ソプラノ):伊藤晴<br />
メルセデス(メゾ・ソプラノ):山下牧子<br />
<br />
かつてチョン・ミョンフンがバスティーユ・オペラ、パリ・オペラ座の監督として活躍していたことは21世紀も20年経ってしまえばもう昔話だろうか。残念ながら私は当時彼のオペラ上演には触れられなかったけれど、その活躍は当時残されたいくつかの録音からも察せられるわけで、羨まし口惜しい限りである。そして現在の彼は、ご存知のとおりフィレンツェやミラノでヴェルディ作品を任されるほどの世界最高のオペラ指揮者の一人であり、東京フィルハーモニー交響楽団の名誉音楽監督として多くの公演に登場してくれている。<br />
彼が東京フィルの舞台に定期的に登場してくれることのありがたみというものを、どう言い表したらいいのか私はいつも言葉に迷ってしまう。その音楽の作られ方は、様式的にまとめてしまえるようなものではなく、また聴くたびに新たな発見をもたらしてくれるものだから。少ない身振りからも濃密な音楽を導き出し、時に身体を左右に大きく揺さぶりながら音楽をどこまでも力強く展開していくマエストロの、長年の経験・知見のこめられた音楽を通り一遍のフレーズに落とし込むのは失礼に思えて、ひとりその感動を噛み締めてスコアを眺め直したりしてしまうのである。<br />
さてこの2月定期でそんなマエストロが取り上げるのは誰もが知っている、と迷いなく言い切っていいだろうジョルジュ・ビゼーの「カルメン」だ。<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/FrO3w5y6rlU" width="560"></iframe><br />
<br />
プロスペル・メリメの原作によるこのスペインを舞台としたオペラはあまりにも広く知られていて、もはや先入観なしに受け取ることこそ難しい。いわくスペイン、いわくジプシー女(ロマ)とバスク男の、ファム・ファタール、転落していく朴訥な男…演出によっては、さらにそれらのイメージが強化されまたは異化されて、「カルメン」というオペラはもはやある種の人間による”神話”のようにすらなっている。<br />
だがしかし、である。たとえばこの作品を称揚したニーチェはワーグナーの対極にある、あまりに人間的なドラマとして高く評価したはずだ(ワーグナーへのあてつけもこめて)。またこの作品の内容、主題、表現が後のヴェリズモ・オペラに与えた影響も忘れてはいけない、過度のロマン性や観念化からは遠いところにこそこの作品の本質はあるはずなのだ。<br />
「カルメン」という作品について原作も参照しつつ突き詰めて考えるなら、「ある男と女の物語」まで還元されうるだろう。朴訥だが決して弱くない男と、嘘つきで欠点の多い、しかしそれでこそむしろ輝く一人の女の物語。そう、きっとこのオペラの本質は、登場人物たちの強いキャラクターやスペインという魅力的な土地を抜きにしても成り立つ、人間の物語だ。そしてそれを彩るのはビゼーの簡潔ながらよく響くオーケストラによるスペイン風の名旋律の数々だ。<br />
<br />
オペラとして上演されるときは演出家の視点が入ってくるから、作曲家が示そうとしたものに少なからぬ要素が付加されてくる。そう、例えばこんなふうに…<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/WM2hdW319dQ" width="560"></iframe><br />
<br />
だが演奏会形式は違う、そこで示されるのは音楽で示されるドラマ、そのものだけだ。<br />
もちろん、歌手たちは無表情で歌うわけではないし、東京フィルのコンチェルタンテ形式上演はオペラをきちんとドラマとして示してくれる。それでも、焦点が普通の上演より音楽そのものに当てられることは確実である。そして東京フィルの2月定期では、その舞台を完全に取り仕切るのが、もはや並ぶものとてそうはいないチョン・ミョンフンの指揮なのだ。彼が選んだキャストたちによって、何よりドラマに強い東京フィルによって「カルメン」の本質が示されることは疑いようもない。幸いにも三日間の公演が予定されているので、ぜひどこかの公演で”チョン・ミョンフンと東京フィルの「カルメン」”を体験してほしいと切に願う。<br />
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<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/nU1lV8nZKJ4" width="560"></iframe><br />
<br />
さてこれは先ほど紹介した動画の後半である。カリクスト・ビエイト演出によるこの舞台とは全く違う印象になることは、かってにお約束させていただこうと思う。<br />
<br />
今回の公演を前に、東京フィルハーモニー交響楽団はSNSを駆使してかなりの情報を発信してくれているので、会場に向かう道すがらにでもぜひご覧あれ。<br />
・東京フィルハーモニー交響楽団 <a href="https://www.facebook.com/TokyoPhilharmonic" target="_blank">>Facebook</a> <a href="https://twitter.com/tpo1911" target="_blank">>Twitter</a><br />
<br />
あと私からは、メリメによる原作小説を一読されてみることをオススメしたい。私は読後に映画「羅生門」的なオペラ「カルメン」の舞台を想像するほどに、作品の見方が大きく変わった、と思う。chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-71731968121406650772020-02-09T17:41:00.001+09:002020-02-09T17:41:05.007+09:00「サエグサシゲアキ1980s」を前に来し方を思った「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」は自動遊球機になったおかげなのか、最近また多く話題に登るようになっている。そんな流れに乗った面もあるのだろうか、間もなく東京交響楽団が演奏会でそのスコアを演奏する。であればガンダム直撃世代のひとりとして何か書いておかねばなるまい。<br />
<br />
<a href="http://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=cTc8m9tKJUI%3D&p_concertCategoryId=rgLaaw53RgI%3D" target="_blank">●東京交響楽団 特別演奏会 「サエグサシゲアキ1980s」</a><br />
<br />
2020年2月12日(水)19:00開演 <a href="https://www.bunkamura.co.jp/access/" target="_blank">会場:Bunkamuraオーチャードホール</a><br />
<br />
指揮:梅田俊明<br />
管弦楽:東京交響楽団<br />
<br />
三枝成彰:<br />
「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」(1988)<br />
交響曲「動乱」(1980)<br />
<br />
1980年代に幼少期を過ごしたものは幸いである、知らぬ間に当時の名音楽家たちの創り出した音に触れていただろうから。今なおご健勝でいらっしゃる、主に特撮で活躍されていた渡辺宙明、すぎやまこういち(「伝説巨神イデオン」、というより今では「ドラゴンクエスト」シリーズか)のような大御所、そして「聖戦士ダンバイン」の坪能克裕(寡聞にして他の仕事を存じ上げなくて申し訳ない)、「重戦機エルガイム」の若草恵のような、また惜しくも亡くなられた羽田健太郎(「超時空要塞マクロス」の仕事の鮮やかさ!なお「イデオン」ではサントラに参加してスリリングなピアノを聴かせてくれている)、…などなどの先達に伍する形で、当時の青少年たちに強い印象を残した作曲家、それが三枝成彰だ※。<br />
<br />
※「逆襲のシャア」の頃までの彼は、本名の三枝成章名義で活動しており、おそらくはそこを意識して演奏会タイトルもひと捻りしたものと思われるのだけれど、本文中ではこれ以降もオーケストラに倣って「三枝成彰」と表記させていただく。<br />
<br />
本放送こそ低視聴率に苦しみ打ち切られて終わった「機動戦士ガンダム」(以下「ガンダム」)だが、放送開始翌年からリリースされた300円からラインナップされたガンプラが飛ぶように売れ、ガンプラブームから始まったガンダム人気は放送当時のファン層のみならずより若年層までを鷲掴みにした。本編こそ終わっていても再放送は繰り返されたし劇場版も公開、そしてガンプラでもMSVなど新要素の供給もあって「ガンダム」人気は長く続き、それを受けて1985年にはついに「ガンダム」の正当なる続編「機動戦士Ζガンダム」(以下「Ζガンダム」)が放送されるに至るのだ。<br />
「Ζガンダム」のサウンドトラックで一年に渡って三枝のサウンドに触れる、それは80年代にガンプラを作っていた青少年の音楽的義務教育だった、と言ってもただの戯言にはならないだろう。主人公たち青少年の交流を描くシティポップス的軽やかさから恋人たちの想いを描くメロウな旋律、そしてマーラーやショスタコーヴィチにも通じる重厚なサウンドまで駆使して一年の長丁場を楽しませてくれた三枝成彰に、当時の青少年の一人として恩義を感じないわけがないのである。ちなみに当時の彼は40代、その働き盛りにおいて、前作を彩った渡辺岳夫・松山祐士の後を引き継いだのだった。<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/DJghXrUMDAc" width="560"></iframe><br />
<br />
「Zガンダム」は、「ガンダム」の物語で描かれた地球連邦とスペースノイド(作中では宇宙移民が実現されており、その住まいとして作られたスペースコロニー生活者を指す)の対立として行われた一年戦争が終わった後、地球連邦内の方針違いによる分裂(それも思惑ベースで見ればいくつもの勢力がある)が起こり、またジオン残党の脈動など多数の勢力が覇を競う展開を描く、相当に複雑な話となっていた。主人公目線で見れば”宇宙で始まり地上に降下、そして転戦からの再び宇宙での戦いへ…”という、最近の「機動戦士ガンダムUC」にまで踏襲される定番の展開だったから当時の青少年たちもついていけたけれど、とても複雑な作品なのだ。その複雑さ、スケール感故に「Zガンダム」は多くの青少年を振り落としてしまい「ガンダム」ほどの広い人気を得たとは言えず、それに続いた「ZZガンダム」は複雑に過ぎた前作の印象を払拭するために迷走し…と、人気作を続けるのは難しく、完結させるのもまた難しいのである。それはついに完結した「スター・ウォーズ」を見てもわかることだ。ファンの期待に応えるべきか、それともまた別の道を示すのか。<br />
…と、延々と「Zガンダム」の話ばかりしているといつコンサートの話につながるのかと疑問を感じられてしまいかねないので、そろそろ「逆襲のシャア」の話に移ろう。<br />
<br />
「Ζガンダム」が「ガンダム」の正当な続編であったように、「逆襲のシャア」(1988)は”アムロとシャアの物語”として「Ζガンダム」の正当な続編であり、そのサウンドトラックはどちらも三枝成彰が手がけている。ここで一度、アムロとシャアの物語は一つの終りを迎えるのだが、異様なまでに圧縮された物語づくりを得意とする富野由悠季の手腕が本作で頂点を極めた感もあって傑作として長年愛されている。作中数多くのセリフがネットジャーゴンとして流布し、後続の作品が大小数限りなくオマージュを捧げていることはご存知のとおりだ。かく言う私は、無理めなミッションを前にすると本心はさておき一度は「やってみる価値ありますぜ!」と言ってしまいます。心がモブですみません。<br />
<br />
さて物語は前作までの展開を受けているから、焦点は「地球連邦は一つの勢力に戻った、あとは宇宙に住むスペースノイドたちをどうするか」となる。そんな状況の中で、なんと「Ζガンダム」でエゥーゴのメンバーとして活躍したクワトロ・バジーナことシャア・アズナブルは、ネオ・ジオン勢力に身を寄せて自らの本来の出自であるキャスバル・レム・ダイクンの名をもちらつかせながらネオ・ジオンのリーダーになっている。つまるところ、アムロのいる地球連邦軍の敵、その親玉になっているのだ。かくして再びアムロとシャアの物語は最初の「ガンダム」と同じ、二人の対立の物語として描かれることになる。<br />
アムロやシャアに加え、サイド6の能吏となっているカムラン・ブルームやブライト・ノアら旧ホワイトベースの面々が時を経て違うポジションで登場する他、ニュータイプ適性のある少女クェス・パラヤ(偽名エア)やブライト艦長の息子ハサウェイ、アムロのメカニックとして活躍するチェーン・アギら新キャラクターも重要な役割で多く登場して地球連邦とネオ・ジオンの最後の戦いが行われる、それが「逆襲のシャア」の物語の大枠だ。<br />
ここまで前提が多く、作中で語られるべき内容も多い、しかし映画はいかんせん尺、使える時間に限界がある。だが前述の通り、その制約の中で富野由悠季はちょっと考えられない密度で物語を描いた。「本来なら半年くらいかけてテレビシリーズで放送すべき内容だったのではないか?」、再見するたび、初見でそう感じたことを思い出す。タイトルが示すとおりシャアがネオ・ジオンでしようとしていること、シャアが本当に求めていたことを軸にして、”アムロとシャアの物語”はここで終局を迎える。<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/cv_-5fQeaXQ" width="560"></iframe>
<br />
さて本作は「Ζガンダム」の正当な続編なので、音楽も三枝成彰が続投している(実は先ほど少し触れた「ZZガンダム」も彼の作なのだが、なかなか再放送されないせいもあるのかどうにも印象が薄い。ここからは本当に「ZZガンダム」の話はしない)。「Ζガンダム」で聴かせてくれた多彩なサウンドは更に洗練され、また劇場版ということもあってより重厚なものとなっている。その充実ぶりは映画として観てもも十分に伝わるほどだが、単独に音楽としてCDや配信で聴けばさらにその見事さが伝わるものだ。では、それをライヴで聴けばどうなるのか?もしかすると刻が見えたりしてしまうかもしれないけれど、こればかりは会場で体験していただくしかない。<br />
ただ、ひとつ予言しておこうと思う。コンサートの前半のあと、すべての聴衆の脳内では小室哲哉のシンセが、木根尚登のギターが、そして宇都宮隆のヴォーカルが脳内で流れるだろう…(ただし会場ロビーでの歌唱は推奨しません)<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/SBvr7QkRQxM" width="560"></iframe><br />
<span style="font-size: x-small;">エンディングで流れるTMネットワークの「BEYOND THE TIME 〜メビウスの宇宙を越えて」は、先般放送された「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」の放送版でもLUNA SEAによるカヴァーで使われた。TMとLUNA SEAの時を超えたコラボは、さしてポピュラー音楽を聴かない私でもちょっと感じ入るものがあった。そうそう、<a href="https://www6.nhk.or.jp/anime/topics/detail.html?i=6073" target="_blank">「THE ORIGIN」の再放送もぜひ。</a></span><br />
<br />
*************<br />
<br />
後半で演奏されるのは、映画「動乱」の音楽から、三楽章の交響曲として編み直された作品だ。最近では<a href="https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/284/1669526/index.html" target="_blank">吉永小百合と高倉健の初共演として、先日「プロフェッショナル」でも紹介されていた</a>から、興味を抱かれた方も少なくないところだったろう、この選曲はタイムリィだといえる。<br />
この交響曲は過去に井上道義の指揮、藤原真理のチェロ、神谷郁代のピアノ、東京フィルハーモニー交響楽団による録音もあるのだが、今では希少盤ゆえ入手するのもなかなか難しい。だが映画の方ならレンタルなどで比較的視聴しやすいので、気になる方はそちらを見てほしい。この予告も参考になるだろう。<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/yOumwxkxxPg" width="560"></iframe><br />
<br />
二・二六事件をベースに、架空の登場人物たちのドラマ※を描いた「動乱」(1980)は、「Zガンダム」より古い作品だからそれだけ作曲者も若い。二大スター初共演、そして時代は激動の昭和とこれほどの大作に三枝が抜擢されたあたりにもなにかドラマがありそうに思うけれど、さてそのあたりはどうなのか。<br />
よほどの才気を放っていたのではないか、当時の若き三枝は。そう考えて振り返れば「11PM」の司会をしていたことも相当の抜擢だったのだな、と考えてしまうがこれは余談なのでこの辺で。<br />
<br />
※この映画は、どう観ても日露戦争からの日本の歴史をなぞっているのだが、作品の最後に”これは架空の話”と強調しているのである、驚くべし。予定していた原作が使えなかったなどの理由もあるという話ではあるのだが、ここまで旧軍(のように見えるもの)を描いてその姿勢がアリなのか、そこだけは大いに気になる。<br />
<br />
作曲された時代がまだ冷戦の真っ最中であること(映画の公開はあのモスクワ・オリンピックの年である1980年だ)を考えれば驚かされるほどに調性的で耳に優しい音楽には、今も変わらぬ三枝の信念が見え隠れするように思う。プッチーニやラフマニノフをさらに濃厚にしたようなメロウな旋律を迷いなく使う手法はオペラを主戦場にした彼の現在の作風にも通じるものだし、内面の機微を室内楽的編成で描き出す親密な音楽から”時代そのものの激動”を描くが如き大編成オーケストラによるスケールの大きい音楽まで駆使することまで、「Ζガンダム」「逆襲のシャア」を経験している私たちはよく知っている。時代的な近さももちろんだが、手法的にも近いこの二作を並べて演奏することの必然性はありすぎるほど、なのだ。<br />
<br />
そして、である。先ほど延々と語った「Ζガンダム」のサウンドトラックには、映画「動乱」からの転用がある。音楽を意識しながら映画を観ていると、確かに映像は二・二六事件と思える映像なのだが、音だけを聴いているとティターンズがどこまでも横暴だったり戦闘がモビルスーツで行われていそうな気持ちになる。最終盤の演説だってそうだ、高倉健さんがダカールで正体を明かして支持を求めるのではないかと心配になる。吉永小百合さんが強化されてトラウマから東京の街を拡散ビームで…なんて展開さえ見えてしまいそうだ(やりすぎましたすみません)。<br />
もちろん、作品の成立順では逆なことはわかった上での戯言である。「逆襲のシャア」の音楽をコンサートで聴く機会がある、その気配に反応するたぐいの皆様は、きっとまだ見ぬ映画をもとに書かれた交響曲「動乱」も楽しめます、と申し上げたかった。回りくどくて申し訳ない。ここぞという場面でピアノとストリングスを活かす書法は、「Ζガンダム」「逆襲のシャア」とも共通するものだから、ガンダムファンの各位もきっとこの交響曲からも多くを受け取れることだろう。「動乱」について、個人的にはチェロとピアノの独奏の使い方に注目したい。<br />
<br />
※<a href="http://animestyle.jp/2014/07/15/7520/" target="_blank">腹巻猫(劇伴倶楽部)様の「サントラ千夜一夜」にも転用について言及があります。興味ある方はぜひリンク先でご覧くださいませ</a>、幅広い時代の、あまりにも多くの作品のサントラについて論及されておりますので「Ζガンダム」のみならず気になる作品のものを、ぜひ。<br />
…ちなみに、「動乱」ではこれが楽器編成を変えてそのまま使われています。さあどこでしょうか(知っている人には説明無用のこれ、です)。<br />
<blockquote class="twitter-tweet">
<div dir="ltr" lang="ja">
Ζガンダム見たことある人なら誰しも一度は聞いている木琴 <a href="https://t.co/HtRc0xWDAF">pic.twitter.com/HtRc0xWDAF</a></div>
— つみ (@tumiewokaku) <a href="https://twitter.com/tumiewokaku/status/1033305799508996096?ref_src=twsrc%5Etfw">August 25, 2018</a></blockquote>
<br />
いい加減長くなったのでこのあたりでまとめよう。<br />
私たちより少し上の世代なら、佐藤勝や早坂文雄(黒澤映画などでおなじみ)、伊福部昭(「ゴジラ」ほか)、冬木透(「ウルトラセブン」)らの音楽によって問答無用に「日本人によるクラシック音楽」に出会ったのだろうと思う。その出会いが私たちの世代になると三枝成彰や本文中にその名(と作品)を挙げた方々によるものとなるのだろう。2019年にガンダム40周年としてさまざまな企画が登場し、おそらくは私たちと近い世代の福井晴敏が「機動戦士ガンダムUC」やそれ以降の作品で、「Zガンダム」以降の作品からの影響を濃厚に感じさせながら、宇宙世紀の物語の続きを描いてみせた。言ってみれば福井はファンの期待に応える道を選んだわけだ。これは「The Origin」で宇宙世紀の「それ以前」を描いた安彦良和に近い発想と言えるかもしれない、安彦の作品ではシャアが中心的な存在として描かれていることも含めて。しかし一方で、富野由悠季は「Gのレコンギスタ」で新たな世代に向けて、また別の人間たちのドラマを志向した。この両方の道で、「ガンダム」は今なお新しい世界を示しうる、潜在力のある作品でありうることを示してくれた、と言えるだろう。<br />
<br />
このように作品としての「ガンダム」は区切りを超えて新たな道を進んでいる、そして今年2020年にはガンプラも40周年、ついに宇宙にまで届こうとしている。「逆襲のシャア」の正統な続編※、「閃光のハサウェイ」の劇場公開も発表された今こそ、「逆襲のシャア」を、その作品を彩った三枝成彰の80年代を振り返るのにふさわしい。それをすべき時があるならば、それはまさしく今なのだ。<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/f3O4I4eivgc" width="560"></iframe><br />
<br />
*************<br />
最後に本当に余談。<br />
<br />
「Ζガンダム」の頃の三枝は、嘉納治五郎…じゃなくて役所広司が宮本武蔵を演じた<a href="https://www2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009040216_00000" target="_blank">NHK 新大型時代劇「宮本武蔵」</a>のサウンドトラックも手がけている。そのテーマ曲は吹奏楽に編曲されてコンクール課題曲として広く演奏されたのでご記憶の方も多いだろう。…だが。テューバにはまっっっっっったく面白くない楽譜に、今に至る「エレキベースやシンセサイザーにやらせたいことはその楽器でやるべき、お願いだから」という信念を形作られてしまったことにだけは、もうテューバを吹いていない今でもお礼は言えない。冗談です。<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/g52TdRAiisk" width="560"></iframe><br />
<span style="font-size: x-small;">今ちゃんと聴いてみると、吹奏楽のあれとは相当に違うのだった、テーマ曲。それにしても若いなあ、嘉納治五郎(違)。</span>chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-18630591113617072202019-12-19T00:33:00.003+09:002019-12-22T00:05:18.992+09:00かってに予告編 ~東京フィルハーモニー交響楽団 令和元年特別「第九」演奏会<a href="https://www.tpo.or.jp/" target="_blank">●東京フィルハーモニー交響楽団 令和元年特別「第九」演奏会</a><br />
<br />
2019年12月<br />
19日(木)19:00開演 <a href="https://www.operacity.jp/concert/" target="_blank">会場:東京オペラシティコンサートホール</a><br />
20日(金)19:00開演 <a href="https://www.bunkamura.co.jp/orchard/" target="_blank">会場:Bunkamuraオーチャードホール</a><br />
21日(土)19:00開演 <a href="https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/" target="_blank">会場:サントリーホール 大ホール</a><br />
<br />
指揮:チョン・ミョンフン<br />
独唱:吉田珠代(ソプラノ)、中島郁子(アルト)清水徹太郎(テノール)、上江隼人(バリトン)<br />
合唱:新国立劇場合唱団、多摩ファミリーシンガーズ(児童合唱)<br />
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団<br />
<br />
ベートーヴェン:交響曲第九番 ニ短調 Op.125 「合唱」<br />
エルガー:「戴冠式頌歌」より 第六曲「希望と栄光の国」<br />
<br />
間もなく迎える2020年1月から新たなシーズンを迎える東京フィルハーモニー交響楽団は、昨年から今年にかけてシーズンの区切りを変更するにあたり、この一年を平成から令和への改元を祝う、変化の一年を寿ぐシーズンとして位置づけるかのように演奏会を行ってきた。そんな”一連のシリーズ”を締めくくるためだろうか、年末の第九公演もまたその一環として独自のプログラムで開催される。<br />
<br />
新シーズンも見据えれば、チョン・ミョンフンが東京フィルとオーケストラの中核的なレパートリィをあらためて取り上げることでさらなる高みを目指していることは容易に察せられよう。2020年シーズンには「カルメン」、ベートーヴェンとマーラーの第三番を演奏するチョン・ミョンフンと東京フィルがその直前に披露する「第九」が、通例通りの年末イヴェントに収まるだろうか、いやない。SNSで東京フィルが伝えてくれているリハーサルからの言葉からも、その見識、意気込みのほどが伝わってくる。<br />
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<blockquote class="twitter-tweet">
<div dir="ltr" lang="ja">
📯ベートーヴェンの誕生日とされる本日<br />
マエストロ・チョン・ミョンフンによる『第九』リハーサル初日を迎えました<br />
<br />
「偉大な作曲家の人生後期の作品は演奏が本当に難しい。<br />
マーラー9番、ブラームス4番、ブルックナーの後期作品、<br />
そしてこの『第九』…演奏不可能と言ってもいい位だ。」とマエストロ <a href="https://t.co/5l5PqOykHI">pic.twitter.com/5l5PqOykHI</a></div>
— 東京フィルハーモニー交響楽団 (@tpo1911) <a href="https://twitter.com/tpo1911/status/1206514159606591489?ref_src=twsrc%5Etfw">December 16, 2019</a></blockquote>
<script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script><br />
<a href="https://www.facebook.com/story.php?story_fbid=2922262417786674&id=755125181167086" target="_blank">(コメント全文はFacebookでご覧ください)</a><br />
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<br />
さて、先日私が秋山と東響の第九について書いた際に言及したことを今一度思い出してほしい。「今年は、東京のオーケストラにポストを持つマエストロたちによる、期待せざるを得ない公演がある」、「過去にいくつもの演奏会で強い印象を残してくれたマエストロと楽団の顔合わせで、この作品を体験できる機会はそう多くない」。そう、この公演もその意味合いから見逃すことのできない公演のひとつ、なのだ。<br />
<br />
チョン・ミョンフンは、かつて東京フィルとベートーヴェンの交響曲全集を録音しているが、それはある意味でオーケストラの”統合の象徴”のような意味合いがあった。今となっては「彼の指揮だから、当時の合併直後のオーケストラでもここまで登ることが出来た」という記録にも思える。バッティストーニと首席指揮者に迎え、プレトニョフや自身との演奏会でより充実を見せるオーケストラとなら、果たしてどこまで行けるのか。そんな私たちの期待は、そのままマエストロと東京フィルのものでもあるだろう。<br />
東京フィルの演奏は、第九のあとにも恒例の東急ジルベスターコンサートやニューイヤーコンサート、そしてNHKニューイヤーオペラなどで聴くこともできるのだけれど、まずはこの機会を逃す手はない、と私は思う。10年以上も前のレコーディングとは比べようもない、今のチョン・ミョンフンと東京フィルだからできる「第九」を、どれだけ高い期待で迎えても裏切られることはない。そう私から断言しておこう<br />
<br />
なお、今回第九のあとに演奏されるエルガー:「戴冠式頌歌」より 第六曲「希望と栄光の国」は、みなさんもよくご存知の作品の原曲である。そうそう、開幕公演のバッティストーニのコンサートではアンコールに演奏していたことを思い出すなら、チョン・ミョンフンがシーズンの締めくくりにこの曲を演奏することに一層の感慨があるだろう。加えて言及しておくならば、今年退位した、マエストロの音楽的友人である上皇ご夫妻への思いもここにはあるのだろう。この一年だけではなく、この何十年かへの思いを乗せた、特別な演奏会を私も気合を入れて聴かせていただこうと思う。<br />
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<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/R2-43p3GVTQ" width="560"></iframe><br />
(余計なお世話とは思うけれど、今回演奏されるのはこの曲の原曲)<br />
<br />
ということで、私にとってこれまで経験のない年末二回目の「第九」に向けて、期待は高まる一方である。先日の秋山と東響は14型だったが、チョン・ミョンフンと東京フィルはこの顔合わせのことだから大編成のモダン編成だと推測していいだろう。で、私の三回目の「第九」は…という話はまた次回に。ではまた。<br />
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<a href="https://www.tpo.or.jp/concert/" target="_blank">※12/20のオーチャードホールでの公演は僅少ながらまだ残席があるとのことなので、この機会を逃したくない方は、ぜひ。</a><br />
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追記。<br />
「第九のあとに別の曲を演奏する機会はもうないでしょう」とマエストロが語られた、という話をSNSでみました。さもありなん、とは思いますが、初日の好演を聴いたあとに私が「それなら」という思いでこれを聴いておりました。今年だからこそのプログラムに、この季節だから許されることとして。<br />
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<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/u6m4i2vrdAc" width="560"></iframe>chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-55217561055808441082019-12-13T14:54:00.000+09:002019-12-14T10:56:30.119+09:00かってに予告編 ~ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第152回なにも、日本での「楽団のモチ代稼ぎ」というスタートにケチをつけたいわけでもなければ(諸説あります)、年中行事になってしまったことに批判的なのだよ、なんて強めの意志表示でも何でもなく、と前置きして。私には、年末に”第九”ことルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲交響曲第九番 ニ短調 Op.125 「合唱」を聴く習慣が、ない。たまに気が向いて録音を聴いたなら、その後はしばらく積極的に聴かないようにする、例年ならそのくらいの付き合い方をしている作品なのだ。なにせ扱いが難しい、ちゃんと聴いたら大変だし雑に聴くのは申し訳ない。<br />
<br />
だが今年はそんなことを言っていられない。宗旨替えか、貴様ノンポリめ!…そんな罵倒を覚悟してでも(ないない)聴かねばならない、東京のオーケストラにポストを持つマエストロたちによる、期待せざるを得ない公演があるから、だ。過去にいくつもの演奏会で強い印象を残してくれたマエストロと楽団の顔合わせで、この作品を体験できる機会はそう多くない。こんな機会を前に、少しくらい日程が近いからなんだというのか。その最初の公演が、こちら。<br />
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<a href="https://www.kawasaki-sym-hall.jp/calendar/detail.php?id=2401&y=2019&m=12" target="_blank">●ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第152回</a><br />
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2019年12月14日(日) 14:00開演<br />
<br />
指揮:秋山和慶<br />
<a href="http://www.shannonleeviolin.com/" target="_blank">ヴァイオリン:シャノン・リー</a>(第7回仙台国際音楽コンクール第2位 ※最高位)<br />
独唱:吉田珠代(ソプラノ) 中島郁子(メゾソプラノ) 宮里直樹(テノール) 伊藤貴之(バリトン)<br />
合唱:東響コーラス(合唱指揮・冨平恭平)<br />
管弦楽:東京交響楽団<br />
<br />
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第一番 ト短調 Op.26<br />
ベートーヴェン:交響曲第九番 ニ短調 Op.125 「合唱」<br />
<br />
秋山和慶と東京交響楽団の恒例イヴェント、「第九と四季」は昨年をもって終了した。だが今年も東響との第九は演奏される、それもミューザ川崎シンフォニーホールで。<br />
<br />
この夏に、「フェスタサマーミューザKAWASAKI」の<a href="http://www.kawasaki-sym-hall.jp/blog/wp-content/uploads/2019/07/10_0806w.pdf" target="_blank">出張サマーミューザ@しんゆりで聴いたブラームスの第一番</a>は、休館明け直後の「ミューザの日」で演奏されたサン・サーンスの抜粋は、秋山和慶の端正な造形を超える何かの一端を感じさせてくれたように、私は思っている。それが何なのか、きっと「名曲全集」でもう少し示されるのではないか。長年の結びつき、だけでは収まらない秋山と東響の現在、多くの方が体験してくれますように。<br />
<br />
なお、この公演では前半にブルッフのヴァイオリン協奏曲第一番が演奏される。ソリストは第7回仙台国際音楽コンクール最高位のシャノン・リー、招かれてミューザの舞台に初登場だ。<br />
<br />
<blockquote class="twitter-tweet">
<div dir="ltr" lang="ja">
12月14日(土)に開催されるミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団名曲全集第152回に出演のため来日した第7回SIMCヴァイオリン部門最高位(第2位)受賞者シャノン・リーさんからメッセージをいただきました。 <a href="https://t.co/SSNpgjVLsF">pic.twitter.com/SSNpgjVLsF</a></div>
— Sendai International Music Competition Official (@sendai_simc) <a href="https://twitter.com/sendai_simc/status/1204961929506111490?ref_src=twsrc%5Etfw">December 12, 2019</a></blockquote>
<script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script><br />
<br />
この動画で彼女の演奏をまず聴いてみるのもいいだろう。選曲がちょっとコンサートの前に聴くには向かない気もするけれど。<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/T5lrcbkNwM8" width="560"></iframe><br />
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あと一回は、いわゆる第九を聴くのが決まっているのでその予告も書くことになります。どうもチケットは完売した模様なのですけれど。ではまた。chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-19665530693035470382019-12-13T14:11:00.000+09:002019-12-13T14:11:04.466+09:00竹中亨「明治のワーグナー・ブーム ~近代日本の音楽移転」の話、とさて読んだ本の話を。<br />
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<iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?ref=qf_sp_asin_til&t=clacale-22&m=amazon&o=9&p=8&l=as1&IS1=1&detail=1&asins=4120048411&linkId=788d8186f865f53290dd46f142272e0b&bc1=ffffff&lt1=_top&fc1=333333&lc1=0066c0&bg1=ffffff&f=ifr" style="height: 240px; width: 120px;">
</iframe><br />
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ちょっとタイトルからの予想とは違った。もっとドタバタした感じを予想していたし、もっと無理やりな受容史をどこか想像していたのだなあ、とこの肩透かし感から思い当たるけれど、そんな先入観も仕方のないものなんですよう、と少し言い訳から始めたい。<br />
<br />
たとえば。「モオツァルト」という有名な評論がある。まあ、名著と他人の評価に乗ってしまってもいいんですけど、今の目ではちょっと厳しいところも多い。”上演されてもモーツァルトのオペラを音だけで聴くわ”とかのくだりは本当にキツい。もっとも当時、戦後日本で良いオペラの上演を期待するほうが確かに夢想しすぎではあるので、気持ちは汲んであげられなくもない、とも思うけれど、ここまで評価されている本でも時代には囚われざるを得ないのだ、ということは指摘したい。<br />
そう、時代の制約というのはいつでも誰にでもあるのである。私だって今のYouTubeやスポーティファイの、またはオンラインラジオ配信時代の人から見れば(なんであの人これ聴いてないの不勉強だよね)と思われていることだろう。そう、CD世代なんてもう時代遅れで情報量勝負なんかしたら勝ち目がないのである。もっともそんな勝ち負けなんてどうでもいいのだけれど。<br />
<br />
え〜つまりですね、戦後ですら、冷戦期ですら、21世紀になってすら…どの時代だってそれぞれの制約あって音楽を受容している、そういう認識をまず前提に置きたい。そういう話です、回りくどくてすみませんね。技術が発達した今も時代の制約はある、ましてや明治期においておや。文明が開化する前の時代からの洋楽受容、ドタバタしないほうがおかしいと思うのですよ。まして、モオツァルトですらオペラ体験は諦められていた時代の「ワーグナーブーム」ですよ?ドタバタだったり無理やりじゃないと考えるほうが難しくないですか?(正当化)タイトルからは、そんな面白おかしい本なのかなって想像したんですよね。<br />
<br />
ですが本書はそういうドタバタなエピソードや、明治期の”ざんぎり頭を叩いてみれば”的風刺を集めたものではなく、まっとうな研究成果でした。副題の「近代日本の音楽移転」をていねいに追い、歴史的経緯をきちんと読み手に認識させるものです。その中で紹介されるエピソードも悲喜こもごものドラマを感じさせるもので、個人的には大河ドラマ「いだてん」のスタイルでドラマにしてほしいくらいに興味深い。欧州文化との対峙ということであれば、スポーツより音楽のほうが先行しているわけですし。<br />
そうですね、前半は考えるとして、後半の主人公は小澤征爾さんで「ボクの音楽武者修行」をベースにするのはどうですか。なにより映像化されれば音楽もつくから映えると思います。コンクールをクライマックスにできるから「のだめカンタービレ」「蜜蜂と遠雷」に続け!ってなもんですよ!!…もっとも、考証がすっごく大変になりますけど…(えっ本気だったの)<br />
<br />
ちなみに。本書のタイトルが示す「ワーグナーブーム」、なんと音はほとんど聴かないで、それでも流行ったというなかなか味わい深い現象なのでした。気になった方は本書を、ぜひ。<br />
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<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/SVGZvz5-IkM" width="560"></iframe><br />
そしてクレメンス・クラウスのワーグナーが私の最近のマイブーム(©みうらじゅん)。クラウスがあと数年でも生きていたら、いろいろ違ったんじゃあないか、なんて思う今日このごろ。<br />
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さて。せっかく名前を出したので、ここでいよいよ最終回を迎える<a href="https://www.nhk.or.jp/idaten/r/" target="_blank">「いだてん ~東京オリンピック噺~」</a>の話をします。傑作です。<br />
<br />
いつも書いている通り、私は来年の世界的大運動会をスルーします。ここでは何も書きませんし、Twitterなどでも言及しない、できるだけ開催期間には都内にも行きません(なぜならフェスタサマーミューザKAWASAKI 2020があるから←運動会関係ないじゃんねえ!)。<br />
そんな私はこのドラマにどう向き合ったかといえば、初期の「タイトルロゴのトリスケルが気持ち悪い」(横尾忠則のデザインでそう反応できる初さがちょっとうらやましい)だの「来年のための広告かよったく」「この視聴率…」なんて世評とは無縁に、初回から今に至るまでずーっと楽しく見てきました。もっとも初回を見るまでは私も(実際のオリンピックのためのもんだったら引くなあ…)と思ってました。しかし凝りまくった初回の構成に魅了されて、それ以降は録画してでも見逃さずここまで伴走してきました。楽しかったなあ…<br />
<br />
大河ドラマについて、私はそんなに熱心な視聴者ではなかったのですが「龍馬伝」以降はたぶんほとんどのエピソードを見ているはず、です。その前だと仲間由紀恵見たさに…いやその話はいいか。それ以降だと「平清盛」は本当に、最高に面白かったですよね(再放送されてほしい。ちゃんと見ればわかってもらえると思うので)。<br />
一年かけてひとつの大きいドラマを描ける大河ドラマという枠は、うまく使えば凄まじいものにもなりうるし、まあそれほどではなくても長く見ていればそれなりの愛着は湧くものです。そんな私でも無理だった作品は(自重)。余談の余談はこのへんで。<br />
<br />
ここで紹介した本もそうですが、そもそも開拓者の話は先が見通せずに苦労することの連続でございます。そのドラマが現在進行形で描かれるなら、成功物語の中の過去のエピソードとして語られるそれとは違い、上手く進まない試行錯誤の繰り返しだってありましょう。<br />
たとえば本作、前半の金栗四三時代を「よく知らない人の、あまり楽しくもない話」と見る人もいたでしょう。だがしかし彼の、また天狗倶楽部たちの時代になされた苦闘があったからこそ、ドラマは1964東京オリンピックに到れる、そう宮藤官九郎はじめ制作陣は考えた、のだろう。<br />
実際のオリンピックはまだ知らないが高邁な理想を世界と共有する国際人(で何より面白い人)嘉納治五郎、走ることだけが得意な金栗四三、その二人を軸としつつ有名無名の人々を虚実ないまぜにしながら(壮絶なほどに”実”の分量が多いのが「いだてん」の凄いところで困ったところでもあるだろう)、狂言回しに後の古今亭志ん生を配して時代を活写しつつ明治から大正へ、そして第二部の主人公、田畑政治が激動の昭和を生き抜いて1964年に至る遠い道の、その始まりをまず用意した。<br />
初参加のストックホルムから戦後の復帰まで、先行者たちの苦労と成功と巨大な失敗があって1964があり、それとどう関係するかはよく知らないが2020が待っている。来年のそれが、「いだてん」に描かれた先行者たちの苦闘を無に帰してしまわなければいいと思う気持ちはあるが、大運動会そのものの回避を決めている私には関係のないことである。諸行無常。<br />
<br />
一年見てきた中でも、忘れがたい場面はカイロでのIOCでなんとか東京開催を取り付けたあとの帰路、船中でまだ外交官の平沢和重と嘉納治五郎が「一番面白かったこと」を語りあったところだ。私の中では完全に「神々の黄昏」の終盤、ジークフリートの昔語りに重なってしまって、もう楽しげな話を笑顔でしている二人を見ながら泣けて泣けて仕方がなかった。<br />
このエピソードの前、嘉納先生は多忙に過ぎて”いだてん”のことすらすぐには思い出せない状態で、ある意味で自分の過去を裏切っていた。また田畑が問うとおり開催に向けて活動するオリムピックを「これがあなたが世界に見せたい日本なのか」と信頼する身内に否定されてしまっている、恐ろしいほどの孤独の中にあった。それでも恐れず前進を続けた英雄は、裏切り者に刺されたのではないけれど前を向いたままに亡くなってしまった。宮藤官九郎が描出し役所広司が演じ、スタッフが作り上げた嘉納治五郎は最後の瞬間まで楽しさを基準に物事を捉える痛快児のまま退場していった。こんな英雄の、最後の回顧を死亡フラグなんて安い言葉で収めたくはない。<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/ocpR_RhWapQ" width="560"></iframe><br />
<br />
さて、少しだけ音楽的思いつきも書いておきましょう。まずはこの場面を御覧ください。<br />
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<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/WHt0eAdCCns?start=1224" width="560"></iframe><br />
<br />
開会宣言に続いて演奏される、公募で採用された今井光也によるこのファンファーレ、映画では強調されませんけれど「東京オリンピック ファンファーレ マーチ」とかで検索すればもっと鮮明に全曲聴くことができます。適当なものがなかったのですみません。<br />
<br />
で、ですね、このファンファーレのあとに古関裕而作曲のマーチが続く、というのが演奏会などでは一般的なものなんですけれど。<br />
どうだろう、このファンファーレのあとに「いだてん」テーマ曲を演奏するのは。行進なんかじゃあ収まらない、大好きなものへと駆け出す思いが意外にハマるんじゃないかなあ。最終回を前に、そんなことを考えている私なのでした。<br />
<br />
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</iframe>chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-26537822281023637632019-12-09T23:44:00.003+09:002019-12-09T23:44:44.748+09:00BS世界のドキュメンタリー 「トマト畑のワーグナー」<a href="https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/253/2145780/index.html" target="_blank">●BS世界のドキュメンタリー 「トマト畑のワーグナー」</a> (12/10 18:00~ 再放送予定)<br />
<br />
ワーグナーを聴かせてトマト作り、と言われるとまずは信憑性に疑問を感じる「モーツァルトを聴かせて熟成させた」的なものを想起する。だからこの番組も疑似科学的な、半分ネタ的な話なんだと思って見始めた。まあ、ワーグナーが流れるなら守備範囲でもありましょうし。<br />
だが見終わって言えるのは、このドキュメンタリーは高齢化日本でこそ広く見られてほしい、ということだ。過疎の地元を離れて大学で学んだ男が、地元に戻ってトマトを作り、そのトマトでソースを作り…と、この番組はそんなチャレンジの物語だった。そしてここで描かれていたのは高齢化の先に見える希望がない地域でどうやって未来を作るのか、ということだ。タイトルの含意は、そのどこにでもあり普遍性あるのエピソードの中に、ワーグナーの音楽もあった、というだけの話だった※。そして流れた音楽はワーグナーだけではなく、プッチーニやギリシャ音楽も流れるし、トマトを育てることと音楽との関係も語られている。なんでも、「味を求めるならワーグナーだが、収量を求めるならギリシャ音楽」なのだとか…(笑)<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/OIODQ5YdF7I" width="560"></iframe><br />
<br />
※しかしタイトルは原題も「When Tomates Met Wagner」なので、この邦題がツカミ狙いのものではないことを付記しておく。<br />
<br />
ワーグナーを聴かせて無農薬トマトを育て、そのトマトでオーガニックフードを作って販売していく過疎の、高齢化の村。手作りの素朴で味のいいトマトソースは、その過程でビジネスに出会い、試行錯誤する。差別化のためチアシード入りソースを求められて試行錯誤する終盤はなかなか味わい深い。いい味の品を作れている自信はある、だがそれだけではニーズに応えられない。高齢化の村が現代のグローバルなビジネスに出会って戸惑うさまも、普遍性のある出来事だろう。そして何より、少子高齢化のこの国では、この村が示すものは決して絵空事ではありえない。劇場上映であればちょっと見に行きにくいかもしれないが、せっかく我れらが公共放送が放送してくれているので、ぜひ見てみていただきたい。その先の思考は、視聴した私たち、それぞれの仕事である。<br />
<br />
<a href="http://www6.nhk.or.jp/wdoc/index.html" target="_blank">>NHKオンライン BS世界のドキュメンタリー</a>chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-20877722558665717422019-12-09T23:35:00.000+09:002019-12-13T14:11:39.843+09:002020-2021年度 ミューザ主催公演 ラインアップ発表<a href="https://www.kawasaki-sym-hall.jp/news/detail.php?id=1184" target="_blank">ミューザ川崎シンフォニーホールの次年度主催公演ラインナップが12月6日、発表された。</a>すでに東京交響楽団の新シーズン公演として発表済みの<a href="https://www.kawasaki-sym-hall.jp/performance/2020/88.php" target="_blank">「名曲全集」</a>、<a href="https://www.kawasaki-sym-hall.jp/performance/2020/89.php" target="_blank">「モーツァルトマチネ」</a>については別記事で詳報するため本稿では割愛(必要に応じて参照)する。最終日の<a href="https://www.kawasaki-sym-hall.jp/blog/?p=11860" target="_blank">「ほぼ日刊サマーミューザ」</a>で告知済みの「フェスタサマーミューザKAWASAKI2020」(7月23日〜8月10日)も同様。<br />
<br />
各公演について詳しくはリンク先でご覧いただくとして、やはりひとつ取り出して語られるべき焦点は秋の「スペシャルオーケストラシリーズ」になるだろうと思う。今年は10月にノット&東響の「グレの歌」を、そして11月にパーヴォ・ヤルヴィとロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、アンドレス・オロスコ・エストラーダとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ズービン・メータとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が立て続けに登場する、これ以上はなかなか想像できない程の濃密さであったが2020年はどうか。結論を言ってしまえば喜ぶべし、来年もいずれ劣らぬ三つのオーケストラがミューザの舞台に登場してくれる。10月3日にサー・サイモン・ラトルとロンドン交響楽団、11月に入ってワレリー・ゲルギエフとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とバイエルン放送交響楽団(指揮者未定)のコンサートが予定されている。<br />
<br />
ここでまず触れなければいけないのはバイエルン放送交響楽団について、だろう。印刷されたパンフレットや、リンク先でご覧になった方もお気づきのとおり、この公演はマリス・ヤンソンスの指揮で予定されていたものだ。聴衆からも音楽家の同僚たちからもますます尊敬を集めていたマエストロの訃報は多くの方がご存知のことと思う。ミューザ川崎シンフォニーホールのサウンドをこよなく愛してくれた、かつて「アルヴィド・ヤンソンスの息子」として、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団を率いる注目の若手として現れ、昨今では押しも押されもせぬ巨匠となった彼が、このホールに次に登場することはない。<br />
<br />
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
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<div style="text-align: center;">
<span style="font-size: x-small;">12/7に訪れたミューザ川崎シンフォニーホールでは、彼の生前の写真を掲出してその死を悼んでいた。</span></div>
<br />
「ミューザのような素晴らしいホールをこのオーケストラのために」と尽力していたさなかの死は無念であろうと想像する。また、PDFデータ版からマエストロの写真と予定されていた曲目を削除しなかったことからも察せられる、ミューザ川崎シンフォニーホールの無念も如何ばかりか。バイエルン放送交響楽団とコンセルトヘボウ管、ふたつのオーケストラと見事な演奏を、最高のホールで披露してくれた相思相愛とも言えたヤンソンスとミューザ川崎シンフォニーホールの関係は、予定されていた来年には続かなかった。もう彼のブラームスは聴くことが出来ない。奇しくも彼の亡くなった日の、一年後が公演予定日だった。<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/riffZeJ7jus" width="560"></iframe><br />
<br />
ヤンソンスと同様にこのホールを愛してくれている(そして地元にミューザのようなホールを作ろうと奔走している)サー・サイモン・ラトルが現在率いるロンドン交響楽団との初のミューザ公演に、マーラーの交響曲第二番を用意していたことに、なんとも言えない感慨を覚えるのは私だけではないだろう。ラトルにとって指揮者を目指すきっかけの一曲であり、愛するホールの聴衆に自らのパートナーを紹介するために選んだのがこの作品であることは想像に難くない。ラトルにとってもマーラーの第二番は特別な作品であるし、それを東京公演ではなくミューザに持ってきてくれることの意味はそれだけでも十分に重いものだ。ラトルとロンドン響の新時代が活気あることは前回の来日公演を会場で聴いて、また放送や録音などで見知っている方も多いことと思うので、この公演への期待はそれだけでも高いものとなる。長年のファンとしても、来年の最大の注目公演としてフォントを大きくして書いておきたい。<br />
だが、このタイミングでこのプログラムが発表されることに、ついヤンソンスのことも考えてしまう。ベルリンを退任後にバイエルン放送響との録音もしているラトルが、彼の死を悼むために用意したプログラムではない、そんなことはわかっていてもつい考えてしまう。これはラトルとヤンソンス、現代を代表するマエストロたちがミューザに寄せてくれる愛がなせるめぐり逢わせ、なのだろうか。<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/F5RIpXSKwn4" width="560"></iframe><br />
<br />
今年はサマーミューザにPMFオーケストラと登場したゲルギエフがウィーン・フィルと何を聴かせてくれるかは調整中とのことだが、現在マリインスキー劇場管と素晴らしいチャイコフスキーを披露しているというマエストロがどんなプログラムで私たちを驚かせてくれるか、期待しよう。<br />
<br />
なお、前述したとおりロンドン響(10月)からウィーン・フィルとバイエルン放送響(11月)の間には短くない空白があるように見えるが、この間にはノット&東響の「ペレアス」・「トリスタン」定期やモーツァルトマチネ(リゲティまで演奏!)、名曲全集(矢代秋雄!!ブルックナーの第六番!!!)もあるので、否応もなく充実した演奏会が二ヶ月も続いてしまうのである。サマーミューザと並ぶもう一つの”高峰”は、来年も相当な高みに私たちを導くことだろう。<br />
<br />
*************<br />
<br />
恒例のシリーズ公演の中で、大きめの変更が行われるのは<a href="https://www.kawasaki-sym-hall.jp/performance/2020/92.php" target="_blank">ランチタイム/ナイトコンサート</a>だ。同じアーティストが趣向を凝らしたプログラムで昼・夜の二回公演で(しかも廉価で!)楽しませてくれていたこのシリーズは、新年度には基本的にランチタイムコンサートのみのシリーズとなり、一部の公演で別シリーズとして行われてきた「ワインBAR」シリーズとして併催される。また、ミューザ自慢のオルガンを披露する機会となるランチタイムコンサート(4、7、11、翌年3月)ではオルガンツアーも新設されて、日頃は見られないミューザの舞台裏を回れるということなので、ミューザファンの皆様には続報をお待ちいただきたい(来年1月に詳報予定とのこと)。<br />
<br />
また、年明けて2020年1月から始まる「MUZAスペシャル・ナイトコンサート」の新シーズン(2020年6月~)も発表されている。スライド・モンスターズにナベサダのビッグバンド、ザ・キングズ・シンガーズと、日頃のミューザに登場する顔ぶれとは一味違う面々のサウンドがこのホールにどう響くか、注目しよう。<br />
<br />
他にもいくつもスペシャル・コンサートが発表されたが、中でも注目したいのは聖金曜日の翌日にバッハ・コレギウム・ジャパンが披露してくれる「マタイ受難曲」だろう。残念ながらミューザ公演はないのだが、鈴木優人が東響とメンデルスゾーン版を披露した直後のタイミングで鈴木雅明がBCJとオリジナルのマタイを、ミューザで披露してくれる。あの劇的にすぎるとまで当時は評された作品がミューザでどのように響くものか、大いに期待したい。<br />
<br />
そんなわけで、新シーズンもミューザ川崎シンフォニーホールはその響きに見合う、素晴らしい音楽家たちが続々と登場してくれる。一人でも多くの人に、その最高のサウンドを体験してほしいものだ、といつものように感じた私である。今シーズンの公演もまだまだ続くので、ぜひ川崎駅前のミューザ川崎シンフォニーホールに足をお運びいただきたい、と一人の市民として申し上げよう。<br />
<br />
追記。公開後にバイエルン放送協会のこの動画を見つけた。冒頭メータ、ラトルと続くのがまた、何かのめぐり合わせに思えてしまうのだった。<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/KgR-RhQv0Iw" width="560"></iframe><br />
<br />
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<br />
2019年12月<br />
7日(土)14:00開演 <a href="http://www.kawasaki-sym-hall.jp/" target="_blank">会場:ミューザ川崎シンフォニーホール</a><br />
8日(日)14:00開演 <a href="https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/" target="_blank">会場:サントリーホール 大ホール</a><br />
<br />
指揮:マーク・ウィグルスワース<br />
ピアノ:マーティン・ジェームズ・バートレット<br />
管弦楽:東京交響楽団<br />
<br />
モーツァルト:ピアノ協奏曲第二四番 ハ短調 K.491<br />
マーラー:交響曲第一番 ニ長調<br />
<br />
個人的な話で恐縮だが、12月定期に登場する二人の音楽家とはタイミングなど合わず、今回ようやく実演に触れられるだろう、という運びであることを申し上げておく。好評を受けての再登場、それ故に私もこうして”新しい”音楽家に出会えるわけである。皆さまのお声があって、東響がそれに応えてくれているおかげである。有難いありがたい。<br />
<br />
*************<br />
<br />
指揮のマーク・ウィグルスワースだが、私が彼の名を知ったのはあるディスクを新譜情報の中に見つけたときだったと思う。その盤はマーラーの「大地の歌」、しかしシェーンベルク/リーンの編曲による室内楽版、というもの。まだ男声二人による録音もそれほど多くはない頃に、このような謎の版※を選ぶ彼は何者なのか。そう思ってはみたけれど、その音を聴くには先立つものがなかったその頃のこと、私は名前のみ記憶して現在に至っている。<br />
<br />
※ウィグルスワースの録音は1995年、それに先行してフィリップ・ヘレヴェッヘとアンサンブル・ミュジック・オブリークが録音していたことは後になって知り、その盤は今も愛聴している…という話は前にも書いた気がする。<br />
<br />
そんな昔のことを思い出し、<a href="https://www.markwigglesworth.com/recordings/" target="_blank">彼のサイトでディスコグラフィを確認して</a>みれば何ということでしょう、実に私向きの曲ばかり録音していらっしゃる。東響への来演も五回目になるというのに何をしていたのか、と反省頻り、である。いや、いよいよ聴く機会が来たのだと、ポジティヴに捉えておこうか…<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/lA_R81Nz5JM" width="560"></iframe><br />
<br />
そしてもう一人、ピアニストのマーティン・ジェームズ・バートレットは、私がウィグルスワースという指揮者の名を知った頃に生まれたという、若き才能だ。もっぱら「オーケストラに客演してくれることでしか新しい独奏者に出会っていない」タイプの人間が、2018年3月に登場した際に聴き逃したのは実に惜しいことだった。場合によってはこれが生涯の痛恨時ともなりかねないほどに、彼はキャリアを順調に進めているようだ。アンドラーシュ・シフにマスタークラスに招かれ※、<a href="https://www.youtube.com/watch?v=b5bA6ok-F3g" target="_blank">今年は初のCDもリリースし</a>…と順風満帆で東響の公演に再登場してくれるわけだ。アーティスト写真として使われている写真と、CDジャケットの写真で相当に雰囲気が変わっているから、きっと今回登場する彼もより大人びた感じになっているのかな、などと想像する次第だ。<br />
<br />
※ロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージックでのマスタークラスはYouTubeで視聴できる。コミュニケーションの中で音楽が作られていくさまは実に興味深い。<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/IzTdpTHIgkc" width="560"></iframe><br />
<br />
…と、私にしては珍しく公演の紹介を人の話ばかりしているが、それもそのはず今回のプログラムはもはや王道ともいうべき「モーツァルトのピアノ協奏曲とマーラーの第一番」というもの、私ごときが掘り下げるまでもなく演奏会が楽しめよう、と思ってしまうからである。<br />
もちろん、ここにも当然”企み”は存在している。まず「モーツァルト晩年の協奏曲を若き才能が」演奏し、「マーラー若き日の意欲作を円熟のマエストロが」演奏するという、あえてのミスマッチがここにはあらかじめ組み込まれている。そして、先日のノット監督とのマーラー、モーツァルトを経験した後でのこの二人の作品を東響がどう響かせるか、そして客演する二人の音楽家の個性は。幸い、12月定期は本拠地ミューザ川崎シンフォニーホールとサントリーホールでの二公演が予定されているので、「初日だが本拠地」もしくは「二日目目のサントリー」、お好みでお選びいただくのもいいし、いっそ両日を聴き比べるのも楽しいだろう。昨今の東響は同じプログラムを重ねて演奏するたびに表現を深め、その都度新鮮な演奏を聴かせてくれることは約束されているのだから。<br />
<br />
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<br />
2019年11月<br />
<a href="https://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=CNKgciqUXIk%3D" target="_blank">23日(土・祝) 14:00開演 会場:東京オペラシティ コンサートホール</a><br />
<a href="https://tokyosymphony.jp/pc/concerts/list?p_concertCategoryId=2X9bntqJAEI%3D&p_concertSeasonId=KeBacb%2BvsNs%3D" target="_blank">24日(日) 11:00開演 会場:ミューザ川崎シンフォニーホール</a><br />
<br />
指揮:ジョナサン・ノット<br />
オーボエ:荒絵理子<br />
管弦楽:東京交響楽団<br />
<br />
リゲティ:メロディーエン ※23日のみ<br />
R.シュトラウス:オーボエ協奏曲 ニ長調 AV.144<br />
モーツァルト:交響曲第四一番 ハ長調 K.551 「ジュピター」<br />
<br />
ノット&東響のモーツァルト、といえばまず思い出されるのはあのダ・ポンテ・オペラだろうか。あれほどのモーツァルトを経験できたことは実に幸福なことで「生涯の記憶になった」と言ってしまっても全く過言ではない。自由自在でちょっとしたフレーズからもドラマが立ち上がるモーツァルトは、スダーン時代の古楽寄りのアプローチから大きく飛躍した演奏で、即興性とドラマの両立、そして何よりそのスリリングな美しさは特筆ものであった。<br />
そしてノット&東響の古典は演奏といえば、<a href="https://chibaweblog.blogspot.com/2019/11/play-backkawasaki2019.html" target="_blank">この夏に披露されたベートーヴェンの第一番を思い出さないわけにはいかない。</a>作曲家への、作品へのイメージを覆してくれたあのスリリングな体験を、今度はモーツァルトで!しかもK.551!!と、いくら期待したって期待しすぎということはないだろう。<br />
<br />
そしてそのモーツァルトへ、第二次世界大戦を経て”回帰”したシュトラウスによる古典的なオーボエ協奏曲は、同時代の「新古典主義」との落差についいろいろと考えてしまうところがある。だがしかし、古典派の作品や彼のオペラを想わせるその音楽はどこまでも美しく、作曲の経緯や時代、作曲者の思いからは少し離れて音楽に身を委ねたい気持ちもある。さてノット監督はどちらの方向からこの作品を聴かせてくれることだろう(全く違う方向かもしれない、と思わせるのが昨今のノット&東響のスリリングなところである)。<br />
独奏は東響が誇る首席奏者、荒絵理子だ。先日の定期、あのマーラーでも存在感を示した彼女の、また違った音楽性を堪能しようではないか。<br />
<br />
*************<br />
<br />
そして23日のオペラシティ公演でのみ演奏されるリゲティだが、今年の7月にノット&東響が披露した作品群よりは小さい作品だ。1960年代の「2001年」で使われた作品群や、1980年代の高度に複雑化された作品群とはまた違う、旋律的なリゲティ・サウンドが私たちの耳を鋭敏にしてくれることだろう。<br />
<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/AFCupFUwlT8" width="560"></iframe><br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/AprDqEvUtmI" width="560"></iframe><br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/xWkGaKBH8gk" width="560"></iframe><br />
<br />
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<br />
<a href="https://www.kawasaki-sym-hall.jp/festa/" target="_blank">●フェスタサマーミューザKAWASAKI2019 東京交響楽団 オープニングコンサート</a><br />
<br />
2019年7月27日(土) 15:00開演<br />
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール<br />
<br />
指揮:ジョナサン・ノット<br />
ピアノ:タマラ・ステファノヴィッチ<br />
管弦楽:東京交響楽団<br />
<br />
バリー・グレイ:「ザ・ベスト・オブ・サンダーバード」〜ジョナサン・ノット スペシャル・セレクション(オリジナル・サウンドトラックより)<br />
リゲティ:ピアノ協奏曲<br />
ベートーヴェン:交響曲第一番 ハ長調 Op.21<br />
<br />
「酷暑の夏を過ごすなら、空調が十分に効いたコンサートホールで」というのは半分冗談で言ってきたことなのだけれど、灼熱の七月も下旬までくればもう冗談にもならなくなってきた、フェスタサマーミューザの開幕はそんな時期だった。<br />
私個人で言えば、先週の凄絶な演奏会を経たから、ようやくお祭りの開幕を喜べる。先の長い話に思いは残るけれど、まずは目の前のフェスタに向き合おう。そう切り替えて開幕公演へと向かった私である。<br />
<br />
この数年の恒例となりつつあるノット&東響による開幕公演は、例によってというべきか独特ながら魅力的な作品が並ぶプログラムだが、その<a href="https://chibaweblog.blogspot.com/2019/07/kawasaki-2019day1.html" target="_blank">読み解きについては予告として書かせてもらったのでここでは割愛</a>。編成は一曲目に演奏された「サンダーバード」がこの日では一番大きく、変則の16型だった。当然ながら、コントラバスが下手に来る対向(両翼)配置だ。<br />
<br />
いろいろと注目を集めた「サンダーバード」について、リハーサルが始まった段階でオーケストラがこんな投稿をしていて、はてどんな編成かと思っていた。<br />
<br />
<blockquote class="twitter-tweet">
<div dir="ltr" lang="ja">
今日のリハーサルも《サンダーバード》から。<br />
オーボエ無しの編成のため、今回チューニングをするのは……? <a href="https://t.co/DtprF1Q2KP">pic.twitter.com/DtprF1Q2KP</a></div>
— 東京交響楽団 TokyoSymphony (@Tokyo_Symphony) <a href="https://twitter.com/Tokyo_Symphony/status/1154248093811933184?ref_src=twsrc%5Etfw">July 25, 2019</a></blockquote>
<script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script><br />
<br />
オーケストラが入場して着席して得心する、ダブルリード・セクションがそのままサクソフォンで代用されているのである。この編成、聴いてみればなるほど、スタジオのバンドに求められる多彩な音色を表現出来て、加えてクラシカルにポピュラーにと、多様なジャンルに対応できる経済的というか効率のいい編成なのだった。<br />
だがこの曲の演奏についてまず触れなければいけないのは、かつて見たことのないレヴェルだった、ノット監督のノリノリ具合だろう。入場時の笑顔からしていつも以上、冒頭のキュー出しが待ちきれないような指揮台上の素振りは本当に「子供時代の夢、憧れ」を今から音として示すことへの喜びがあふれるようであった。監督が楽しそうで私も幸せである(このコンサートでは何度もそう思ったので、この点についてこれ以降は割愛する)。ある世代の子どもたちが固唾を飲んで見つめたあの映像が蘇る、不協和音からの猛烈なアレグロへの展開も、最近ますます安定感も出てきた東響の厚みのあるサウンドで奏でられ、堂々たるセレクションが開幕を飾ってくれた。<br />
<br />
そうそう、事前にシンセサイザーの岡野氏がこんなツイートをしていて気になっていたのだが。<br />
<br />
<blockquote class="twitter-tweet">
<div dir="ltr" lang="ja">
今日は、ミューザ川崎にて東京交響楽団のサマーフェスタミューザのリハーサル。<br />
指揮は、音楽監督のジョナサン・ノットさんで曲はバリー・グレイの「サンダーバード組曲」<br />
オイラは有馬先生にエレクトロニクス系をご指導いただき、シンセサイザーパートを演奏。 <a href="https://t.co/d7KirtWJVL">pic.twitter.com/d7KirtWJVL</a></div>
— 岡野勇仁 (@pianoya) <a href="https://twitter.com/pianoya/status/1154010335176617984?ref_src=twsrc%5Etfw">July 24, 2019</a></blockquote>
<script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script><br />
<br />
なるほど、あのカウントダウンはシンセサイザーから鳴らして呼応する不協和音がオケから、ということだった。ミューザのリニューアルで新しくなったPAの威力もフェスティヴァル開幕早々に発揮されたわけである。<br />
<br />
次に演奏されるリゲティの協奏曲のためのセッティングで動かされる舞台セリに、私の脳内では「サンダーバード」の反芻が止まらない(もっとも私だけかもしれない、ヤシの木が倒れてマスドライヴァー風の滑走路が登場する映像が見えていたのは)。<br />
<br />
さてこの独特なピアノ協奏曲の弦セクションは6型、管は各一人、そして打楽器も一人。なのだが、よくあるティンパニ一人ではない。そのあたりについては、このツイートも参照してほしい。<br />
<blockquote class="twitter-tweet">
<div dir="ltr" lang="ja">
最後にリゲティ《ピアノ協奏曲》リハーサル。この曲の「もう一人のキーパーソン」とも言えるのが、パーカッション奏者綱川淳美。これらの打楽器全てを一人で演奏します。さて全部で何種類あるのでしょうか……!? <a href="https://t.co/wlUNXPPuEt">pic.twitter.com/wlUNXPPuEt</a></div>
— 東京交響楽団 TokyoSymphony (@Tokyo_Symphony) <a href="https://twitter.com/Tokyo_Symphony/status/1153927242860228608?ref_src=twsrc%5Etfw">July 24, 2019</a></blockquote>
<script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script><br />
<br />
この日の独奏者はエマールの共演者としても知られるタマラ・ステファノヴィチ。こう書けば(あっモダンな作品に相当強いひとだ)と伝わることと思うけれど、そんな彼女もまた面白ツイートをしていた。<br />
<br />
<blockquote class="twitter-tweet">
<div dir="ltr" lang="en">
My page turner photographed Ligeti score after rehearsal(that she did perfectly) to practice.<br />
I had good,less good or great page turners ,but she deserves a medal.🙏🏻🥇<a href="https://twitter.com/Tokyo_Symphony?ref_src=twsrc%5Etfw">@Tokyo_Symphony</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/lovejapan?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#lovejapan</a></div>
— Tamara Stefanovich (@TStefanovich) <a href="https://twitter.com/TStefanovich/status/1154327063723151362?ref_src=twsrc%5Etfw">July 25, 2019</a></blockquote>
<script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script><br />
<br />
この日の演奏を体験すればタマラの言うこともわかる、事前に準備を進めてきた東響から、あえて打楽器の話が出てくるのもわかった。この作品ではピアノの打楽器的性格を強めてリズムをより強く示し(それも相当に複雑なそれ!)、そのダブル(影であり分身)として打楽器を用いているのだ。ずれながら呼応し合うピアノと打楽器はもはや二人のソリストとして、どこまでも独自でスリリングな音楽を展開してくれた。これだけの複雑な曲なのに演奏が終わってみれば場内は大喝采、その盛り上がりにむしろ戸惑っているかのようなタマラ、マエストロ、水谷コンマスの姿は微笑ましくもあった(先日の「レクイエム」でもソリストの二人はどこか戸惑っていた、そういえば)。<br />
<blockquote class="twitter-tweet">
<div dir="ltr" lang="en">
Amazing time and felt like a rock star-Tokyo public I 💓you!!!<a href="https://twitter.com/Tokyo_Symphony?ref_src=twsrc%5Etfw">@Tokyo_Symphony</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/jonathannott?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#jonathannott</a><a href="https://twitter.com/hashtag/ligetipianoconcerto?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#ligetipianoconcerto</a> <a href="https://t.co/b16vBBjwmw">pic.twitter.com/b16vBBjwmw</a></div>
— Tamara Stefanovich (@TStefanovich) <a href="https://twitter.com/TStefanovich/status/1156172018137612288?ref_src=twsrc%5Etfw">July 30, 2019</a></blockquote>
<script async="" charset="utf-8" src="https://platform.twitter.com/widgets.js"></script><br />
<br />
演奏者各位にももちろんなのだけれど、ノット&東響が関係を深めてきた道のりをともにし、「名曲全集」が多彩な選曲をする中で幅広い音楽を受容してきたミューザ川崎シンフォニーホールの聴衆にも、私から拍手を送りたい。かつてなら、サントリーホールや東京オペラシティでしか体験できなかっただろう積極的な受容がここでは行われている、と感じられる最近のミューザの聴衆の反応は実に喜ばしい。最高の音響に見合った聴衆もまた育っているのだ、と思える瞬間がここにはあった。この日の演奏会からミューザでも「オーケストラの入場時に拍手で迎える」のが定番となってきたように思うけれど、この日は何より「東京交響楽団の皆さん、おかえりなさい」という再会の喜びがあったように感じられた。<br />
<br />
そしてメインに置かれたのはノット監督がこよなく愛するベートーヴェンだ。だがしかし、ここにその曲を置くのか?と少なくない聴衆がプログラムを見たときに思ったことだろう。大編成のサウンドトラック、そして20世紀の独特な協奏曲の後に、まさかの第一番なのだから。<br />
師であるハイドンの影響をまだ強く感じさせるこの交響曲は、第三番、第五番のような巨大な革新を成し遂げた作品とは言いにくいし、第七のような人気曲でもない、もちろん第九のように誰もが知る音楽でもない。しかしモーツァルトやハイドンとは明らかに違う個性がある難しい作品、であればコンサートでの”居場所”をなかなか見つけにくい作品とも言える。その作品をメインに置いて、果たしてどのような演奏が行われるものか、その音楽は私達を納得させてくれるのか。もちろんノット&東響への信頼はある、それでも実際に聴いてみなくちゃわからない…そんな期待と迷いが入り混じった休憩を経て、再び客席につく。12型(おそらく)の編成は、広いミューザの舞台には小さく感じられて、先ほどの迷いがまた頭をよぎる…<br />
しかし、である。冒頭のトリッキィな序奏から始まった音楽は、若者の挑戦的な小品というよりは、「ハイドンの第一〇五番」とでも言いたくなるくらいのスケール感があった。雄弁、自由自在、気宇壮大、…そんな言葉が演奏を聴く中で次々と思い浮かぶ、作品への先入観を大きく覆すその音楽は、冒頭から最後の一音まで場内を魅了した。トランペットはロータリー、ティンパニはケトルといういつもの”ベートーヴェン編成”で安定したサウンド、力強さと繊細さが併存し、ときに無作法なまでにアイディアが飛び出してくる作品が内包していた可能性が次々に現れる、どこまでも刺激的な音楽、それがベートーヴェン最初の交響曲だったのだ。もちろん、リスクを恐れないノット&東響なので少々の小傷はあったけれど、緩急自在のテンポ感、変幻する表情はどこまでも魅力的なもの、圧巻の演奏だった。それだけの演奏を称賛する圧倒的な喝采でコンサートは終わった。<br />
そうそう、ノット監督のカーテンコールでのノリノリっぷりは、後世まで語り継がれてもいいだろう。なんなら帰国の便にサンダーバード一号を手配して差し上げたくなるほどにご機嫌なそのカーテンコールで、酷暑の夏祭りの開幕は記憶されていい。マエストロの「Festa is GO!」に力強く背を押され、かくしてミューザの夏祭りは始まった、のである。<br />
<br />
ここまでの大団円を予想していたわけではなかったけれど、この楽しさを期待して私はこのプログラムをホモ・ルーデンス、遊戯する人間のプログラムと読んだのだった。またいつもの「予想通り、期待以上」の演奏会に出会えて幸せであった。<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/qdTBZhNVxco" width="560"></iframe>chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-85628961814478154202019-11-22T13:07:00.000+09:002019-11-22T13:07:00.662+09:00かってに予告編 ~東京フィルハーモニー交響楽団 2019シーズン・11月定期演奏会●東京フィルハーモニー交響楽団 2019シーズン・11月定期演奏会<br />
<br />
2019年11月<br />
<a href="https://www.tpo.or.jp/concert/20191122-01.php" target="_blank">22日(金) 19:00開演 会場:東京オペラシティコンサートホール</a><br />
<a href="https://www.tpo.or.jp/concert/20191123-01.php" target="_blank">23日(土・祝) 15:00開演 会場:Bunkamuraオーチャードホール</a><br />
<br />
指揮:ケンショウ・ワタナベ<br />
ピアノ:舘野泉<br />
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団<br />
<br />
ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調<br />
マーラー:交響曲第一番 ニ長調<br />
<br />
東京フィルハーモニー交響楽団は、今年の前半に交響曲第八番から「大地の歌」、そして第九番とマーラー晩年の傑作群を演奏してきた。それもバッティストーニがオペラ的性格の強い第八を演奏し、精緻な管弦楽法が魅力的な歌曲集でもある「大地の歌」はオペラにも新しい作品にも強い沼尻竜典が取り上げた。そしてマーラーの遺した最高の作品と言ってもいいだろう第九をチョン・ミョンフンが凄絶な演奏をしてくれたのは忘れがたいところだ。<br />
チクルスとして特別な機会を作ったわけでもないのにこれらの作品が充実した演奏で披露された後、マーラーを取り上げるのはなかなか度胸のいるところだろう。そこで誰が次にマーラーを、どの作品を取り上げるのか。ひそかに私が注目していた「東京フィルの次なるマーラー」が、この週末演奏される。なにも”恐れを知らぬ若者”を登場させようと誰かが企んだわけではないだろうけれど、指揮は1987年生まれのケンショウ・ワタナベ、選曲は一度最晩年まで進んだ「東京フィルのマーラー」をまたスタートラインに戻すように、交響曲第一番だ。若い世代の指揮者により奏でられる、作曲家若き日の交響曲に期待しよう。<br />
<br />
まだ私も実演で聴いたことがないケンショウ・ワタナベについては、アシスタントコンダクターを昨シーズンまで務めたフィラデルフィア管弦楽団がこんな動画で送り出している。こんなに愛された若きマエストロが、世界への雄飛にあたってまずは東京フィルに登場する、そんな流れがちょっといい。<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/TZ57j0VOmnc" width="560"></iframe><br />
<br />
なお、最近ハンス・ロット作品がなぜか連続して取り上げられた後、ということでも今回の演奏会は注目だろう。<br />
<br />
*************<br />
<br />
さて、前半に置かれたラヴェルの左手のためのピアノ協奏曲だが。<br />
ヴィトゲンシュタインの委嘱による左手のためのピアノ作品の中でももっとも演奏される、なにより充実した作品を、現在ヴィトゲンシュタインに負けず劣らず積極的な委嘱・演奏活動で左手のためのピアノ作品を広めている舘野泉が演奏する。これ以上の説明は無用だろう。こちらも好演を期待する。<br />
<br />chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-85777829802674096392019-11-16T11:59:00.000+09:002019-11-16T11:59:04.087+09:00かってに予告編 ~東京交響楽団 第675回定期演奏会 / 川崎定期演奏会第72回●東京交響楽団 <a href="https://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=ibxIIkjHfbA%3D" target="_blank">第675回定期演奏会</a> / <a href="http://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=f5M%2FAXBYS7Y%3D" target="_blank">川崎定期演奏会第72回</a><br />
<br />
2019年11月<br />
<a href="https://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=ibxIIkjHfbA%3D" target="_blank">16日(土) 18:00開演 会場:サントリーホール</a><br />
<a href="http://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=f5M%2FAXBYS7Y%3D" target="_blank">17日(日) 14:00開演 会場:ミューザ川崎シンフォニーホール</a><br />
<br />
指揮:ジョナサン・ノット<br />
管弦楽:東京交響楽団<br />
<br />
ベルク:三つの管弦楽曲 Op.6<br />
マーラー:交響曲第七番 ホ短調<br />
<br />
ありがたいことに、2019年は10月から三ヶ月連続で「ノット&東響」の演奏が聴ける。川崎市民である私には東京交響楽団は”我が街のオーケストラ”であり、そして東響は市が誇るミューザ川崎シンフォニーホールが本拠地なのだから、そこに音楽上の責任者が多く登場してくれるのはある意味自然なことではある。だが、この”自然”がなかなかにありがたい、有難いことなのだ。聴き手が願えば多忙なノット監督のスケジュールが開くわけではない…しかし今年、来年とノット監督はこの三ヶ月を東京交響楽団との時間に当ててくれる。それを喜ばないでいることなんて、私にできるわけがないじゃあありませんか。<br />
<br />
ともあれ、この有難い三ヶ月も折り返しに来た。その中間点にあたる定期公演では、先月の「グレの歌」からの流れを意識したと思えるプログラムが披露される。シェーンベルクに大きい影響を与えたマーラーの交響曲をメインに、シェーンベルクに師事し、ともに十二音技法を開拓したベルクの、最も”マーラー的”な作品を前に置くプログラムはもはやそれだけでまったくスキのない、ある意味で完成されたものだ。20世紀初頭のウィーン音楽界が開いた”扉”を示し、そしてその道がどこにつながっていったかを一夜で示してくれることだろう。<br />
<br />
正直な話、ここまで説明のいらないプログラムである以上、解題はそう必要ではないように思う。来場される皆様が、それぞれに予想し期待して各日の公演を楽しまれるのがよろしいでしょう。私からはただ一言、お聴き逃しなきよう、とのみ。<br />
<br />
************<br />
<br />
とは言ってもそれで「予告」を名乗るのは気が引けますので、少々ここ最近の演奏会を踏まえて書いておきます(過去公演のレヴューが仕上がらない私をこれで許してもらおうとか、そういうことでは…)。<br />
<br />
「現在東京交響楽団に所属している楽団員全員が舞台に乗った」というミューザ川崎シンフォニーホール開館15周年を見事な演奏で飾った「グレの歌」体験を経て、ノット&東響のサウンドはまた一段成熟した感がある。先日の台風のため、残念ながら定期公演は開催されなかった「問いを重ね、答えを探す」プログラムの冒頭、アイヴスで冒頭から弦が示した”無表情の表情”や、遅めのテンポでじっくりと問いながらも答えに至れないシューベルトの憂い気味の音色、そして若きブラームス作品の幅広い表現は、明らかに「グレの歌」以前の東響のサウンドから一歩も二歩も進化/深化した、より高められた表現力の賜物だった。<br />
<br />
また、これは5月定期のときにも書いたことだが、東響のサウンドは日に日に充実の度合いを高めている。せっかくなので具体例をあげよう。<br />
私は先日の名曲全集を前に、「第一一番の前の曲でもあるし」と思い、ノット&東響のショスタコーヴィチの第一〇番を聴き直してみた。あの欧州ツアーを前に披露されたショスタコーヴィチは少なくともその時点でのノット&東響の達成を示すものとして、価値あるレコーディングだと思ってきた、しかし今年に入って東響が披露してきたショスタコーヴィチ演奏、ウルバンスキとの第四、ノット監督と尾高忠明による第五、そしてつい先日の沼尻竜典との第一一番は、かつての東響の達成を超えている。上田仁以来のショスタコーヴィチ演奏の伝統は伊達ではないのだけれど、その蓄積に加えて明らかに音楽的に充実したショスタコーヴィチは、そのまま現在の東響の充実ぶりを映すものだった。<br />
人が集まった集団のなすことだから、オーケストラの表現の進化/深化は、時には遅滞しときに長足の進歩を遂げたりと一定では進まないものだ。だが今の東京交響楽団は、ノット監督との演奏会のたびに数段飛ばしで階段を駆け上がるように表現を深め、その経験を客演陣ともわかちあって「どの演奏会に行っても興味深い経験ができる」状態にある。これを黄金期と言わずしてなんと言おうか。<br />
そうした変化、成長を示す東響が、このスキのないプログラムを披露するのが11月の定期演奏会だ。幸いなことに、サントリーとミューザの二回も公演があるので、一人でも多くの都合の合う方が聴かれることを私は心から希望している。先ほども書いたとおり20世紀初頭のウィーン音楽のある側面を切り出した興味深いプログラムであり、それはそのままノット&東響のマーラー、新ウィーン楽派演奏の集大成であり、来年の「トリスタンとイゾルデ」に直接つながる演奏会となる。これを聴かないなんて、ありえない。<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/0wyaaZjLKo8" width="560"></iframe><br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/_IkLUOsNHAA" width="560"></iframe><br />
(なんとなく来日中の彼ら彼女らに敬意を示してみました)chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-44966276252219963512019-11-07T00:48:00.001+09:002019-11-10T11:31:22.738+09:00かってに予告編 ~ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第151回<a href="https://www.kawasaki-sym-hall.jp/calendar/detail.php?id=2400&y=2019&m=11" target="_blank">●ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第151回</a><br />
<br />
2019年11月10日(日) 14:00開演<br />
<br />
指揮:沼尻竜典<br />
ピアノ:ユッセン兄弟<br />
管弦楽:東京交響楽団<br />
<br />
モーツァルト:三台のピアノのための協奏曲 ヘ長調 K.242「ロドロン」(二台ピアノ版)<br />
ショスタコーヴィチ:交響曲第一一番 ト短調 Op.103「1905年」<br />
<br />
はい、雑な世界史の授業です。今日はみんな大好き()ロシア革命の話をします。<br />
「ロシア革命」には第一次とされる失敗に終わった1905年の蜂起、そしてソヴィエト社会主義共和国連邦が成立するに至る第二次(1917年)があります。授業終わり。<br />
<br />
というのは雑すぎるけれど、今回必要な最低限の、さらに最低限の知識はこれだけじゃないかなあ。そのバックボーンとなった思想や、当時の社会構成、実際の蜂起についてのあれやこれやを知らないといけません、とは私は思っておりません(この辺が相当に雑)。もちろん、ロシア革命とその顛末は知れば知るほどに興味深い世界史上の出来事ですが、その事実関係については山のような書籍が出ております。それを手当たり次第に紐解くのがよろしいかと思いますので、ここでは別のアプローチを提案しますよ。それは「その時代を生きた人たちのお話を聞いてみよう」というもの。とは言っても私たち市井の個々人がソ連時代の証言を聞いて歩けるわけもなし、であればこんな映画でどうだろうか、というのが今回のご提案です。<br />
幸いなことに、セルゲイ・エイゼンシュテインという卓抜した才能がその時代を描いた作品を作ってくれていますから、それを見ていただけばその時代の空気に触れることもできましょう、そしてこれらの映画を見終わった後には立派な”同志”諸君の出来上がりです。あ、最後のは冗談ですよ。<br />
<br />
「ストライキ」<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/hG_yM7We0C8" width="560"></iframe><br />
「戦艦ポチョムキン」<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/4mgZNobkQ2s" width="560"></iframe><br />
「十月」<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/YVuf3T3k-W0" width="560"></iframe><br />
<br />
三作を続けてみるのもなんですか、良薬もさすがに取りすぎりゃあ「毒」ってなものですから、ここは「戦艦ポチョムキン」と「十月」だけでもぜひ(それでも二本かい)。前者で権力に撃ち斃される民衆を、後者で勝利するボリシェヴィキを見ておけば、少なくとも雰囲気だけなら掴めましょう。<br />
<br />
それでも、映画見るのも大変でしょう?なんて思っているあなたに、たった二時間弱で第一次も第二次もわかっちゃう、秀逸な二つの交響曲があるんですよ。ショスタコーヴィチっていう人の、第一一番と第一二番なんですけどね。はい、ここまでが前ふりです。映画をご覧いただいた皆さんはここにたどり着くまで何時間かかるんでしょうか(笑)。<br />
<br />
***********<br />
<br />
今年はなんのご縁なのか、ここまでに数多くのロシア、ソヴィエトの傑作に触れることが出来た。ロシア音楽がフェスタサマーミューザKAWASAKI2019のテーマ的な扱いだったおかげもあるけれど、ムソルグスキーやハチャトゥリアンの秘曲(演奏しにくい編成だってだけですが)からチャイコフスキーやショスタコーヴィチのド名曲の名演まで、あれもこれも本当に刺激的だったなあ…なんて思う私ですら、かなりの聴き逃しがあるくらいには多くの作品が取り上げられてきた(口惜しいので何を「聴き逃した」と感じているかは書かない)。そうした機会を迎えるにあたって、つどつど予告を書いてきた余録がそろそろあってくれるはず…と思ったのだけれど、<a href="https://chibaweblog.blogspot.com/2019/03/blog-post_12.html" target="_blank">かなり簡単にしか触れていない。だがそこで書いたことをこの作品について書く前にもう一度書いておこう、「おそらく、プロパガンダを強制された中で達成された最良の作」と。</a><br />
<br />
1953年にスターリンが亡くなって、少しはマシな状況になったのだろうショスタコーヴィチは、それまでのようには交響曲を多作しなくなる。もちろん、年齢的なものや手法的な模索など、それぞれの理由はあると思うけれど、「DSCH」という音による自らの署名をフォルテッシモで叫んだ第一〇番のあと、1957年までショスタコーヴィチは交響曲を発表していない。この空白あって生まれたこの第一次ロシア革命を題材とした作品は、初期の第二、第三番のようなロシア・アヴァンギャルドの最終走者としての挑戦的な作品ではまったくなく、特に”西側”では作曲者の堕落として否定的に評された、という。私自身、作品をまだ知らない段階でいろいろ聴き漁る中でも「映画音楽っぽいかな」なんて、それらしいことを思っていたような気がする。特に第一二番。番号順に聴き進めていけばその後に第一三番「バビ・ヤール」が来るのだから、こういう感想は残念ながら当然、というところではあるんじゃないかな(過去の若気の至りをそれとなく肯定)。<br />
だがしかし、ちゃんとした演奏で聴けばこの革命を描いた二曲は十分に聴きごたえのある作品だとわかる。ちなみに私はキリル・コンドラシンとモスクワ・フィルによる全集の、国内盤を聴いて認識を改めました(輸入盤では決してなく)。希少盤と化して久しいあの全集、再販しないかなあ…<br />
<br />
余談はこのくらいで。今回演奏される交響曲第一一番は、残念ながらロマノフ王朝によって斃される、まだ素朴な請願行動である「血の日曜日事件」を軸にして第一次革命の勃発を描き出した、<a href="https://www.michiyoshi-inoue.com/2007/11/_4.html" target="_blank">「凍るようなロシアの長編小説」です(井上道義・談←本当です。リンク先参照)。</a>革命歌や自作、同時代の作品などの引用を用いているからとても聴きやすく、そしていつもの(まあ裏があるんですけどね)と感じさせるショスタコーヴィチとは一味違う、凝縮されたひとつのドラマを楽しめることでしょう。あいや、題材を考えると「楽し」くはないのですが。さまざまな形で示される”鐘”の響きが、デモに託された祈りとして響く、もはや神童ではなくなったショスタコーヴィチの充実した作品、実演でぜひ。<br />
<br />
こういうところにも縁というのはあるな、と思うことを最後にひとつ。<br />
台風19号の翌日に、多くの困難を乗り越えて開催された前回の名曲全集は、なかなか実演では聴くことのできないアイヴスの「答えられない質問」で始まった。あの響きをご記憶の皆様は少しだけ反芻しておいて、ショスタコーヴィチの交響曲冒頭を聴いてみてほしい。同じように弦楽が美しく、しかし無表情に響く導入からの展開のコントラストの妙をお楽しみいただけよう。<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/WBiL0VEttZw" width="560"></iframe><br />
<br />
***********<br />
<br />
なお、冒頭で演奏されるモーツァルトについては私もあまり馴染みがないので(正直)、ユッセン兄弟の他作品の演奏でも聴いて準備しておくのはいかがでしょうか。<br />
<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/mOHMTBf1gyE" width="560"></iframe><br />
<br />
*************<br />
<br />
公演前夜に少しだけ補足を。<br />
まず、これは個人的な捉え方なので他の方に異を唱えたいわけではありません、と前置きして。私は、最近ショスタコーヴィチ作品を同時代の政治的トピックと結びつけることの有効性に少々の疑念を感じていて、だから文中ではハンガリー動乱の話をしていません。ただし、21世紀になっても民衆蜂起は使われ続ける手法なのだ、と感じている昨今にこの作品が取り上げられる偶然には少しばかり思うところがあります。それについても書いていないのは、ショスタコーヴィチがひとつの出来事を深く直観して作り上げた作品の持つ普遍性を示すものなのではないか、と考える次第。演奏を聴いたらまた考えるべき事柄ではあると思います、でも「予告編」で私が言うことではない、とも思う。このあたりがショスタコーヴィチにまつわる難しさであり、面白さでもありますね。<br />
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そしてこれは意識して聴いてほしいポイントです。この作品のライヴでは”伝説の事件”も起きたわけですが、その焦点だった「鐘」の音の変容をたどって聴くのはとても興味深いものになると思います。特にも、今回は世界最高レヴェルの解像度を誇るミューザ川崎シンフォニーホールで、そこを本拠地として鳴らし方を熟知した東響が演奏するのです、簡潔ながら実に効果的なショスタコーヴィチの管弦楽法を聴き取るこれ以上の機会がありましょうか。<br />
ここで言う「鐘」は、スコアにして243ページにようやく登場するベルだけを指すのではありません。この作品では、冒頭で弦楽合奏に輪郭と響きを加えるハープから、チェレスタやシロホンなどの楽器が全曲をつうじて「鐘」を響かせているのです。<a href="https://jp.rbth.com/arts/2016/08/25/623931" target="_blank">その鐘がロシアではどのような意味合いを持つかについては、「ロシア・ビヨンド」のこのページが参考になる</a>かと思います※。<br />
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※いわゆる共産圏プロパガンダが嫌いな方には、このサイトの閲覧をオススメしません。私はスプートニクでもFOXでも、使える部分は使う主義なのでここにリンクしました。<br />
そんな都合よくいくものかね、と思われる方は<a href="https://www6.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/index.html?pid=191030" target="_blank">こんな番組でもご覧になってはいかがですか、そのうち再放送もありましょうよ、とご案内しておきます(こっちは我らが公共放送のサイトなので注釈しません)</a><br />
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そして最後にもうひとつ。文中で作品評を紹介した<a href="https://www4.nhk.or.jp/ongakukan/" target="_blank">井上道義指揮によるショスタコーヴィチの交響曲第一一番が、11/17に放送されます。詳しくはリンク先でご確認くださいませ。</a>chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-41587245374394700182019-10-20T01:02:00.000+09:002019-10-20T01:02:18.766+09:00かってに予告篇 ~東京フィルハーモニー交響楽団 10月定期公演<a href="https://www.tpo.or.jp/" target="_blank">●東京フィルハーモニー交響楽団 10月定期公演</a><br />
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2019年10月<br />
17日(木)19:00開演 <a href="https://www.operacity.jp/concert/" target="_blank">会場:東京オペラシティ コンサートホール</a><br />
20日(日)15:00開演 <a href="https://www.bunkamura.co.jp/orchard/" target="_blank">会場:Bunkamura オーチャードホール</a><br />
21日(月)19:00開演 <a href="https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/" target="_blank">会場:サントリーホール 大ホール</a><br />
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指揮:ミハイル・プレトニョフ<br />
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テノール:イルカー・アルカユーリック<br />
男声合唱:新国立劇場合唱団(合唱指揮:冨平恭平)<br />
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団<br />
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ビゼー:交響曲 ハ長調<br />
リスト:ファウスト交響曲 S.108<br />
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ゲーテの「ファウスト」をめぐる音楽作品の話は、これまで何度もしてきた。マーラー、ベルリオーズ、そして残念ながらグノーの歌劇には触れられなかったけれど、この秋にはまだもう一つの大作が待っていた※。それがリストによる管弦楽と男声合唱、声楽、そしてオルガンを用いた「ファウスト交響曲」である。取り上げるのは数々の秘曲を実際の音として我々に示してくれた、そしてピアニストととしてリスト作品を深く理解するミハイル・プレトニョフ、演奏は東京フィルハーモニー交響楽団だ。<a href="https://www.ilkertenor.com/" target="_blank">独唱はイルカー・アルカユーリック</a>、合唱は新国立劇場合唱団と、作品の真価を示してくれるだろう布陣は整っている。初日の公演も好評だった模様で期待も高まるばかり、残り二公演を楽しむ準備はできている、こと私に関しては。<br />
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※歌曲のリサイタルなどをきちんと見ていけば、もっともっと多くの演奏会があっただろう、ということは触れておくけれど、最近はそこまで情報をチェックできていないのである。ご容赦のほど。<br />
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だが、率直に言ってしまうならばこの曲の実演を体験できるとは思っていなかった、という個人的な告白をしておこう。というのは…<br />
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そもそも管弦楽曲ではリストの人気はそう高いとは言えず(ベルリオーズやワーグナー受容において、この凹みはけっこうなマイナス要素ではないかと思っている※)、数多くの交響詩の中で有名な「前奏曲」は歴史的な扱いにくさもあってか今は”往年の名曲”としてときどき取り上げられるに過ぎない、数多あるオーケストラのための小品のひとつでしかない。歴史的な経緯はもちろん、リストが悪いわけではないのだけれど…<br />
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<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/2S2goYQEg0s" width="560"></iframe><br />
<span style="font-size: x-small;">2005年のマエストロとロシアナショナル響による同曲。今聴いてみて、もう少し演奏されてもいいような気がするけれど、ラマルティーヌの詩とかチェックするのも大変だから、仕方ないのかな。文学が絡むと、私のような者もひと作業増えるし、とは思います。ものぐさですみません…</span><br />
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そんな「あまり人気のない作曲家(ごめんなさいあくまでもオーケストラでの話です)」の大編成作品、しかも有名だけれど大部で読了するのもたいへんな原作付き、しかもその原作へのアプローチは「三人の登場人物の描写」で長大な戯曲を描き出そうという非常に独特なもの。この作品が人気になるにはそうですね、ディ●ニーがSFX使いまくって「ファウスト」第二部までをきちんと魅力的な映画に仕立て上げて、そこで使われるくらいでしょうか…それでも大人気作品になってどこのオーケストラも取り上げるような作品には、ならないかなあ…<br />
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※せっかくの機会なのでどうですか、こんな動画でリストの交響詩をまとめて聴いてみては。<br />
ありがとうブリリアントクラシックス。<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/fLnjFaAL0lw" width="560"></iframe><br />
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ここまで言いよどんでしまうようなところがある曲なのに、実はこの作品は録音なら意外になされているのでした。今ではもういくら分厚くしても出版できないだろう、私が昔愛読したCDカタログには、ショルティにバーンスタイン、バレンボイムにムーティなどステレオ録音からデジタルに移行するくらいの頃のものが載っていたので、自分にとっては一音も聴いていないのになんとなく知っている曲のひとつ、だったくらいには存在感があった。その後もインバル、ラトル、シャイーにイヴァン・フィッシャーなどの著名指揮者はこの作品を取り上げたから、そのうちに録音では聴くようになって今に至っている。<br />
ちなみにこの人はベルリン・フィルの定期に呼ばれてまでこの曲を演奏している。好きなんだねえ…<br />
<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/sG844sxwHUQ" width="560"></iframe><br />
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この作品は、第一部の三人の登場人物を三つの楽章でそれぞれに描写し、第三楽章の終盤にスケルツォからの移行部を経て全巻の幕切れにあたる神秘の合唱を歌い上げて終わる、本当に独特な交響曲だ。だから仮にあなたがあらすじだけで「ファウスト」を知っていて、それぞれの登場人物像を持っていないならば、この作品は何をしたいのかわからないかもしれない。<br />
だが、キャラクター描写においてはベルリオーズやワーグナーの影響が明瞭だから(特にも合唱の入りの直前の部分、きっとどなたもよくご存知の響きに気づくだろう)、プレトニョフと東京フィルが奏でる響きに耳を澄ますなら何かしらの貴重な認識が得られよう。<br />
また、この作品は同じ題材を取り上げたマーラー(第八番との対比はなかなか興味深いが、マーラーはこの作品を演奏してはいないようだ)、ショスタコーヴィチなど後世への影響でも知られている※。「交響詩作曲家による交響曲」という捉え方をするならリヒャルト・シュトラウスの前身として見ることもできよう。音楽史的にも相当に独特な位置を占める作品だ、と言えるだろうか。<br />
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※ショスタコーヴィチの第一〇番は、DSCHモティーフによる自画像とほか二人の人物描写だ、とする説があります。<br />
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そんな独特な作品を、録音や楽譜のみで理解するのはなかなか容易ではない、音楽家ならぬ我が身であればなおのこと。それなりの時間録音を聴く形で付き合ってきた作品だけれど、未だに芯を捉えられた気がしていない。だからこうして、実演で体験できる機会が訪れることはまさに望外の喜び、想定外の好機、なのだ。<br />
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私のこんな思いは、ここまで書いてきたとおり非常に個人的なものなのでどなたかに共有していただこうとは思わないのですけれど、この作品のユニークさは本物ですし、コンサートで取り上げられることは本当に希少なのです。ですから残り二回の公演、ここまでの文中に少しでも気になるポイントがあった方にはこの機会を逃されませぬよう、とご案内させていただきます。<br />
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なお。前半に演奏されるビゼーの交響曲は、NYCBの演目としても有名な、ジョージ・バランシン振付の「シンフォニー・イン・C」でも知られる作品です。「カルメン」「アルルの女」ほどのポピュラリティはないけれど、古典的な四楽章形式の交響曲として非常に親しみやすい作品です。<br />
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現在も初期の習作的扱いがされているし、そもそも作曲されてもビゼー生前には演奏されなかった作品であることを思い出してみれば、この日のプログラムでもプレトニョフは「十分にその価値を知られていない作品をきちんとプレゼンテーションする」いつもの姿勢を貫いているのだ、と気づくわけです。今回もまた、勉強させていただきます。と、そんな落語家の弟子のような気持ちで私は会場に伺おうと思っております。皆様も、ぜひ。<br />
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<iframe allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/ODqHUXkrCUs" width="560"></iframe>chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-5325105315449186110.post-25449756619616159822019-10-11T14:02:00.002+09:002019-11-10T01:04:08.955+09:00東京交響楽団 2020年シーズンラインナップ記者会見開催!本拠地ミューザ川崎シンフォニーホールの開館15周年を祝って演奏された「グレの歌」の記念碑的な演奏の記憶も冷めぬ10月8日(火)、ホールの市民交流室を会場に来る2020年シーズン、ノット&東響のシーズン7、2020年主催公演ラインナップを発表する会見が行われた。<br />
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<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgb52Yn5RMyxsxiV-VKHJncXu592iYHU8UuMOtVO-7KoUqtQfU1yb17WS83QouT3sqCkyxcmoAo9hz0kVfznCSQdH8FUZD1LL5YP83wV1BOOD6EINXkJugw9PYIsmecMin4y8j7Qe8fGfE/s1600/IMG_20191008_150505.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="1600" data-original-width="1200" height="320" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgb52Yn5RMyxsxiV-VKHJncXu592iYHU8UuMOtVO-7KoUqtQfU1yb17WS83QouT3sqCkyxcmoAo9hz0kVfznCSQdH8FUZD1LL5YP83wV1BOOD6EINXkJugw9PYIsmecMin4y8j7Qe8fGfE/s320/IMG_20191008_150505.jpg" width="240" /></a></div>
<div style="text-align: center;">
<span style="font-size: x-small;">いくらでも語ってくれそうな勢いのノット監督。</span></div>
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すでに多くの音楽ファンが注目しているところではあるけれど、この日も冒頭に大野順二 楽団長が「現役時代、ワーグナーの全幕演奏はぜひ取り組みたい、しかしなかなか実現できないものだった」と語り始めたところから、やはり定期公演で取り上げるワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」が中心的な話題となった。もちろん、現在は新国立劇場での上演を担当することもあるわけだが、演奏会形式などで多くのオペラ作品を上演する中で「いつかワーグナーを、万全の形で」という思いが楽団にあったことは強く伝わった。<br />
続いて話し始めたノット監督は「まだ「グレの歌」が抜けていない」と笑いながらも、来る「トリスタンとイゾルデ」上演について多面的に語ってくれた。ダ・ポンテ三部作以来となるコンサート形式での上演については「ドラマを言葉で紡いでくれる歌手が近くにいるコンチェルタンテ上演は好きです。以前取り上げた作品、たとえば「ジークフリート」では題名役の歌手がオーケストラに向かって歌い出し、その場が歌手とオーケストラの対話のようになったこともありました」として、演奏会形式で音楽家同士が近い距離で上演することのメリットを語る。<br />
シェーンベルク作品にも色濃く残るワーグナーの影響を示せること、東響と「グレの歌」を経験する中で、mf、mpのような音量で歌手を支えながら音楽的に表現することを学べたこと、監督が語ったそれらは音として私たち聴衆にも届けられることだろう。<br />
ノット監督とのプログラミングに大きな役割を果たす辻 事務室長からも「ノット監督はご子息にトリスタンと名付けるほどこの作品を愛している」というエピソードが紹介され、「トリスタン」はノット&東響がいつかは取り上げなければいけない作品だと考えていたことが明かされる。ノット監督との長期契約のち折返しに差し掛かる来年取り上げるこの作品への、楽団全体の期待、高揚感が強く感じられた。「浄夜」「グレの歌」を経験したノット&東響が取り組む「ペレアスとメリザンド」と、ノット監督最愛の作品の一つ「トリスタンとイゾルデ」のコラボは、これまでの7シーズンの蓄積が響き合う一つの頂点を形作ることだろう。<br />
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それ以外の演奏会については、チャイコフスキーの交響曲第六番、そして日本人作曲家の作品について興味深いエピソードが語られたので紹介しよう。<br />
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東響ファン、ミューザ川崎シンフォニーホールのファンの間で話題の「Take a Risk!」Tシャツに何度も何度もサインしながらノット監督はこう思ったのだという。「こんなにも多くの人たちが自分たちの演奏を聴いて、こんなに喜んでくれているのに自分は来場してくれる皆さんのことを何も知らないな…」と。そこでファンとのちょっとした懇親会を開いて、生の聴き手からリクエストを求めたのだという。そこで聞かれた「マエストロのロシア音楽が聴きたい」という声に答えて、けっして短くはないキャリアの中で一度も演奏したことがなかった(!)チャイコフスキーの「悲愴」を取り上げることにしたというのだ。もちろんノット監督だから、プログラムはオール・チャイコフスキーのようなものにはならず、ムソルグスキーからベリオを経てチャイコフスキーに至る、という民族性を軸にした独特で興味深いものになったわけだが。<br />
また同じ懇親会では辻氏からもう一つ興味深い話があった。ノット監督と日本人作曲家の作品を取り上げること自体は以前にも行っているし(細川俊夫、藤倉大)、酒井健治は「コンポージアム」の際に審査員としてノット監督が見出した面もあるからすぐに提案は受け入れられた。しかし矢代秋雄のピアノ協奏曲についてはノット監督も知らない曲であり、はじめは乗り気ではなかったのだそうだ。しかしその会で直接話す機会を持てたファン各位が矢代作品を熱くプッシュしてくれたこともあって、来シーズンの演奏が決まったのだという。どなたかは存じ上げないけれど、そのノット&東響ファンの方々に感謝と、連帯の挨拶をさせていただきたい。「新しい作品もいいけれど、日本クラシック音楽の歴史を作ってきた、礎となる方の作品をノット監督の指揮で取り上げられることはとてもありがたく思っている」と語る辻氏に、まったくもって心の底から同意である。矢代秋雄とブルックナーがノット監督の元で出会うとき、果たしてそれはどのように響くのか。期待しかない、と申し上げよう。<br />
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この日の会見場には、記念碑的演奏が終わってどこか抜けたような雰囲気もあったけれど(いや私だけかもしれない)、もちろん第6シーズンはまだまだ進行中だ。会見の翌日からは週末の定期演奏会&名曲全集のリハーサルも始まる、という。ノット監督の三ヶ月連続登場はまだ始まったばかり、これからもアイヴス&シューベルト、ベルク+マーラー、そして第九と注目の公演が連続する。「東響2019」もまだまだ目が離せないし、 <a href="https://twitter.com/search?q=%23%E6%9D%B1%E9%9F%BF2020&src=typed_query" target="_blank">#東響2020</a> はノット&東響の黄金時代の到来を更に多くの聴衆に知らしめるものになる。本日の会見を受けて私はそう感じている。<br />
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(後日、写真の追加、若干の追記を予定しています)<br />
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いくつか余録。<br />
「<a href="https://twitter.com/search?q=%23%E6%9D%B1%E9%9F%BF2020&src=typed_query" target="_blank">#東響2020</a>」はもっと皆さんで使って国内のオーケストラ、クラシック音楽仲間でもっと盛り上がっていければ、とのことでした。私もこれからは積極的に使っていこうと思います。<br />
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また、<a href="http://tokyosymphony.jp/pc/top?guid=on" target="_blank">この会見で「明日からリハーサル開始」と語っていた週末の演奏会については、10/12(土)定期公演の中止が東京交響楽団からアナウンスされています</a>。<a href="https://www.kawasaki-sym-hall.jp/" target="_blank">日曜日の公演については現時点では開催の予定とのこと</a>ですが、来場を予定されている皆様におかれましては、ホームページやSNSで情報収集されることをお勧めします。もちろん、何よりもまずご自身とご家族の安全に配慮なさってくださいませ。<br />
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今度こそ最後に、<a href="http://tokyosymphony.jp/pc/news/news_4224.html" target="_blank">追加の主催公演として、「サエグサシゲアキ80s」が発表された。「逆襲のシャア」!!!!!!!!!!!!!</a>と、私からはエクスクラメーションマーク連打で反応させていただく。chbaeshttp://www.blogger.com/profile/14000829612286135170noreply@blogger.com0