●東京交響楽団 東京オペラシティシリーズ第112回/モーツァルトマチネ 第38回
2019年11月
23日(土・祝) 14:00開演 会場:東京オペラシティ コンサートホール
24日(日) 11:00開演 会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:ジョナサン・ノット
オーボエ:荒絵理子
管弦楽:東京交響楽団
リゲティ:メロディーエン ※23日のみ
R.シュトラウス:オーボエ協奏曲 ニ長調 AV.144
モーツァルト:交響曲第四一番 ハ長調 K.551 「ジュピター」
ノット&東響のモーツァルト、といえばまず思い出されるのはあのダ・ポンテ・オペラだろうか。あれほどのモーツァルトを経験できたことは実に幸福なことで「生涯の記憶になった」と言ってしまっても全く過言ではない。自由自在でちょっとしたフレーズからもドラマが立ち上がるモーツァルトは、スダーン時代の古楽寄りのアプローチから大きく飛躍した演奏で、即興性とドラマの両立、そして何よりそのスリリングな美しさは特筆ものであった。
そしてノット&東響の古典は演奏といえば、この夏に披露されたベートーヴェンの第一番を思い出さないわけにはいかない。作曲家への、作品へのイメージを覆してくれたあのスリリングな体験を、今度はモーツァルトで!しかもK.551!!と、いくら期待したって期待しすぎということはないだろう。
そしてそのモーツァルトへ、第二次世界大戦を経て”回帰”したシュトラウスによる古典的なオーボエ協奏曲は、同時代の「新古典主義」との落差についいろいろと考えてしまうところがある。だがしかし、古典派の作品や彼のオペラを想わせるその音楽はどこまでも美しく、作曲の経緯や時代、作曲者の思いからは少し離れて音楽に身を委ねたい気持ちもある。さてノット監督はどちらの方向からこの作品を聴かせてくれることだろう(全く違う方向かもしれない、と思わせるのが昨今のノット&東響のスリリングなところである)。
独奏は東響が誇る首席奏者、荒絵理子だ。先日の定期、あのマーラーでも存在感を示した彼女の、また違った音楽性を堪能しようではないか。
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そして23日のオペラシティ公演でのみ演奏されるリゲティだが、今年の7月にノット&東響が披露した作品群よりは小さい作品だ。1960年代の「2001年」で使われた作品群や、1980年代の高度に複雑化された作品群とはまた違う、旋律的なリゲティ・サウンドが私たちの耳を鋭敏にしてくれることだろう。
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