2020年7月
15日(水) 19:00開演 会場:サントリーホール 大ホール
17日(金) 19:00開演 会場:東京オペラシティ コンサートホール
19日(日) 15:00開演 会場:Bunkamuraオーチャードホール
指揮:佐渡裕
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
ベートーヴェン:
「コリオラン」序曲
交響曲第七番 イ長調 Op.92
6月になって、東京フィルハーモニー交響楽団はようやく演奏会を開催できた。都のガイドラインによる制約から来場者を減らし、また来日不可能のため指揮者を変更し、それらに伴ってプログラムを変更し、という困難を乗り越えての演奏会の模様は、MBS系列で放送された「情熱大陸」でご覧になった方も多かったことと思う。
…使われなかったようなのでここで書いておくけれど、オペラシティでの公演の後来場者としてコメントを求められた私は「このような素晴らしいことができる楽団に舞台がないのは不幸なことだし、それを私たちが楽しめないのも本当に不幸なことだ」「以前とは違う状況だけれど、なんとかやっていけるようにできることをして共に音楽を続けたい」といった話を求められるままにしました。(ニュースのヒマネタなら数秒しか使えないだろうに、ずいぶんと聞き出すなあ)と思いながら答えた映像が世界に流れなくてよかった(いや大事なのはそこじゃない)。
さて。昨今は「禍福はあざなえる縄の如し」と思わされることばかりで、いいニュースには必ずと言っていいほどに残念なお知らせもついてくる。6月の定期に来場した方はもれなく見ただろう東京フィルの今後の定期演奏会の内容変更は、演奏会の再開を手放しで喜んでばかりもいられない、そんな気持ちも同時に喚起した。これを書いている今日、さらに残念なことに8月定期として開催予定だった定期演奏会(本来は今年3月予定)の中止も発表されている。つまり、プレトニョフと東京フィルによる演奏会は2020年には行われない。「わが祖国」全曲演奏会自体は2021年3月に再延期されるわけだが、これでまた一つの舞台が失われたことが惜しまれる。
(ここの部分、本当にわかりにくい書き方で申し訳ないのだけれど、このわかりにくさが今の状況なのだと思ってもらいたくてつい)
定期演奏会の改組は残念なお知らせだけれど、それを経なければ前に進めない、そんな困難な前提と向き合うのが2020年の現実なのだ、とうそぶいて深呼吸して、あらためて明るいニュースである開催される7月定期に目を向けよう。
本来なら4月に意欲的なバーンスタイン・プログラムで登場するはずだった佐渡裕が、この困難の中で東京フィルの指揮台に帰ってくることになった。演奏時間こそ長くはなかったけれど、さすがに舞台転換に声楽に、と今はまだクリアできない条件を伴ったそのプログラムは披露されない(いつの日か実現されますように)。その代わりに、生誕250年を迎えたベートーヴェンの二曲による約一時間のプログラムで定期演奏会は開催される。悲劇的な序曲、そして舞踏の高揚を窮め尽くす交響曲、佐渡裕と東京フィルはどう聴かせてくれるだろうか。今や希少な機会となった演奏会、好演を期待したい。
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今回も都のガイドラインに従っているため、短めの演奏時間に加え来場者を絞っての開催となるため、聴きたくても聴きに行けない、という方が多いだろうことは本当に残念なことだし、また、最近になっての感染拡大に見える状況も心配だ(心配と自衛くらいしか、一個人にはできないのが歯がゆい)。
そんなご時世なのだから、行き帰りも含めて十分な配慮をして、事後にもトラブルなく演奏会が成功裏に終わるよう努める。皆様御存知の通り、”新しい時代”の演奏会の聴衆にはこの配慮が求められています。状況は厳しいですけれどやれることをしましょう、そして音楽がライヴで聴ける可能性をつなぎましょう。以上、最後の段はただの聴き手の私からのお願いでした。