2013年7月30日火曜日

「レーベル、変わったんだなあ」という実感

こんにちは。千葉です。

先々のテレビの予定も書きたいのだけれど、今日は見つけてしまったこちらの動画から少しばかり所感を。





いや「見つけてしまった」って、特段悪い意味で書いたわけじゃないんですよ?(笑)何気なく開いた(人それを暇つぶしまたは気散じと呼ぶであろう)YouTubeで、「Simon Rattle」なるチャンネルができていることを示されて「それはなりすまし?なんなのフィルハーモニカーでもレーベルでもないわけ?」と少しばかりカッとなってやった、じゃなくてリンクを開いたらこれが驚き、おそらくはこれからの公式になるのだろうチャンネルでありました。

というわけで貼った動画は、新譜のこちらのトレイラーであります。




例によって特典DVD付き&SACDハイブリッドの国内盤、お値打価格の輸入盤の二本立てでお届けいたします!(笑)

※商品登録もなにかバタバタしていた模様、記録の意味で死にリンクも残しておきますね(笑)。

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そうかそうか、頑張れよ国内盤も、と思ってブックマークから国内盤のサイトに行ったら。あれ。まだ「春の祭典」が最新扱いだよどういうこと。

…そうでした、EMIは既になくなったんですよね、そういえば。この新譜はジャケットにもいつもの赤いアンチクショウじゃなくてWのデザインがさらっと載ってるし。ええ、ええ、EMIクラシックスほかパーロフォングループはいろいろあって最終的にワーナーグループの傘下に収まったのでした、はいはい。ブランドの力を活かして行くためにレーベル事態は存続、とか手法としてはありなんでしょうけど、せっかく手に入れたラトル&ベルリン・フィルを自分のレーベルで扱わないのもどうか、ですよねえ…これまではうちのCD棚の一角を真っ赤に染めてきたあそこも変わっていくのだなあ…


じゃあじゃあ、ワーナーは力入れてるんだよね、見せてもらおうかそのサイトとやら!

と思ってググってみたら、けっこうしょんぼり感のあるサイトだったのでリンクはしません。いまは過渡期だから、作ってる最中だから!そう思っておくことにします…

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なお、新譜ではありますが「交響的舞曲」の方は既発のブルーレイと同じ音源である模様。嗚呼そっちも買えていないよこんちくしょう、という貧乏話はしたくないのでひとまずこのへんで。ではまた。


2013年7月23日火曜日

国家主義の祭典(笑)かと思いきや

こんにちは。千葉です。

先般選挙がありましたね(周知の事実)。まあ、ああなるだろうと覚悟していたのである意味切り替えができつつあるのですが、最悪に近い事態だろうなと認識しております。このブログの切り口だと「文化行政の財源にカジノを」とか言っているところが継続して制度を作り行政を運用していくわけですな、ということになりましょうか。私らの好きなクラシック音楽はあれですわ、持て余したお札を燃やして土間で靴を探すような扱いを受けるわけです、これからも。そこに対しての戦いもしていかないといけない、ということですね、ふむ。

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こんなタイミングで昨晩、NHKのBSプレミアムシアターで「ベルリンとウィーン、二大オーケストラ夏祭り」が放送されました。先日紹介していたあれですが、まあこれが、なんというか凄いタイミングで。

紹介した時点ではあまり考えていなかったことなのですが、あの選挙の直後に聴かされるベートーヴェンのいわゆる第九は、なんとも言えない、というか相当に切実なものでありました。さらには、そのあとにヴェルディとワーグナー、19世紀のナショナリズムと強く結びついた作曲家によるコンサートが続くんですもん、率直に言って重すぎますよ、結果として読めてしまう「含意」が。たぶん編成上は偶然なんでしょうし、先ほど書いたとおりのシンプルな企画なのだろうと思う、でも非常に、間が悪い。

メンデルスゾーンはほとんど聴けなかったのでベートーヴェンから聴いた次第なのですが。聴き始めてしばらくは、こんなにささくれだった気分でこの演奏を最後まで聴く必要があるのか、まるでショスタコーヴィチを聴くモードじゃないかとかなりぐらつき、第一楽章の間は迷い苦しみました、あちょっとこう書くと大げさだけど。オーケストラはおそらくアカデミーの若手を多めに入れた倍管の、いわばお祭り編成とでも言えそうなもので若干ミスも少なからぬ状態だし(RHYTHM IS IT!のオーケストラに近いと言えばおわかりいただけますかしら)、まあいつものように後で録画を見ればいいかと思ったりもいたしました。

ですが演奏自体が、そして暮れていく晴天のヴァルトビューネが美しいことで最後まで演奏を楽しませていただきました。別にベートーヴェンだから闘争と勝利の物語を読み取らないといけないこともないでしょうけど、今は妙にそんなプロットが心に響きましたわ、なにか方向を指し示されたような気がして。しみじみ。

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でね。後半のウィーン・フィルの方なんだけど。まさかの雨天に低音と、野外イヴェントには最悪(明らかに会場が温まってない、いろんな意味で)の状況。そこにアイーダトランペットを空間的に配置したり合唱がない分を補うように思える編曲したりと繰り出されるマゼールの奇手はどうも滑り気味(録音のせいもありそうだったけれど、荒天のためもあって場内が沸かない)。全部見たら印象が変わるかもしれないけど(さすがに二、三曲聴いて寝ました)、あの演出込みで、シェーンブルン宮殿コンサートへの評価は、微妙。

加えて、これは個人的な懸念なのだけれど、このオーケストラはいま、どうなんですかね。いやこれは話が大きくなるか、しばらく転がしてみます…

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後半の意外な寒さ(笑)のおかげさまで、懸念していたような国家主義的高揚感から疎外されるどころか、実に普通にいつもどおりに演奏を聴いて判断することができましたわ。そう、こういう評価と含意の読みは別に切り分けて行わないとね…と、近年別ジャンルの「批評」がかってな見立て読みになっていて、それが主流であるようになっている現状をちらっと想起しつつ自戒しておりますです。読みは読みで示してもいいけど、まずはどう受け取ったかを示さないとね!

でもいい音楽を聴いたからと言っても、現実にかなりまずい状況が出来しつつあるという認識は変わらない。何ができるのか考えると相当に大変なのだけれど、少しずつきちんと考えていこうかと心構えを新たにしている今日でありました。ふわっふわな感触しかまだないんですけど(笑)。では本日の駄弁はこのへんで。ごきげんよう。

2013年6月30日日曜日

一言でいうなら、「ドイツ推し」ですかしら…

こんにちは。千葉です。

左手の火傷、たしかにまだその痕が残っているのだけれど、自分としてはやけどした時に思っていたよりはずっと治ってきました。少し安心して音楽が聴けましょう、ってそれだけでこっちが停滞しているわけではないのだけれど…

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さて、先週はラトル&BPhのコンサート、そしてメータ&ミドリのコンサートが放送されたNHKの看板番組(いつまでも言い続けることになりそうな気がする)プレミアムシアター、今晩はバレエだからいいかなって思ってたら音楽はラモーやリゲティ、ケージだったり、振付がカニングハムやトリシャ・ブラウン、ウィリアム・フォーサイスだったりすることにいまさら気づいたので今晩も録画です。F1の裏ですからね、さすがに生放送では見られない…(笑)

ちなみに。テレビ放送の感想が書きにくくて困っているのは実に簡単で困った理由です。それは「テレビのスピーカで聴いた音で評価なんてできないっす」というもの。イヤホンで聴くのはどうも耳に負担が大きいように思えてきたもので、最近困っているのです、この薄い音像に。先立つモノがないから時期はまったくの未定だけど、スピーカ買わないといけないのかなあ…



これ評判いいけど、どうなんでしょうねえ。テレビの出力がイヤホン端子しかないからどうにも、イマイチ選考に熱が入りませんわ…レコーダから出力すればいいのかな、むむむむむ。

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それはさておき、7月の看板番組のスケジュールが出ていましたので、さくっとご紹介を。来る7月、クラシックファンにはありがたいものになりそうでござる。

●7月15日(月)【7月14日(日)深夜】午前0時~午前4時10分

・ワーグナー生誕200年記念 ガラ・コンサート・イン・バイロイト
・ドキュメンタリー 「神々のたそがれ ~バイロイト音楽祭の諸相~」

今年の記念年を祝うガラ・コンサート(番組サイトには指揮者名が書かれてないけどティーレマンですよね、これ)、そして2008年のドキュメンタリでワーグナーとバイロイトをより知るための四時間強、でしょうか。まあ、きっと綺麗な話が中心なんだろうなあ、跡目争いとか思想的どうこうじゃなくて(わりと悪趣味)。

●7月22日(月)【7月21日(日)深夜】午前0時~午前4時

・ベルリン・フィル ワルトビューネ・コンサート2013
・ウィーン・フィル シェーンブルン夏の夜のコンサート2013

夏の風物詩、と説明抜きで言ってもいいのだろう、名門オケによる夏のお楽しみ野外コンサート二つ、です。最近このあたりの「季節もの」に対応してくる番組の編成、好感しております!(笑←偉そう)

ラトル&BPhは今回、普通のコンサートのプログラムに見えるメンコン&第九を持ってきたのだけれど。あの人の記念年にメンデルスゾーンだし、さらに相互に大きく影響を与えた※ベートーヴェンでしょう?不在のワーグナー・プログラムに見えるのは邪推かなあ。まあ、何も考えず「テツラフさんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」とか「第九はいつ聴いてもいいねえ…(cv石田彰)」、くらいでもいいと思いますよ。いや本当にね。

一方ウィーン・フィルを指揮するのはロリン・マゼール。彼はそんな邪推など無用とばかりに、ヴェルディとワーグナーを並べてます。ええ、ええ。これでは千葉でも深読みのしようがございませんわ(笑)。

●7月29日(月)【7月28日(日)深夜】午前0時20分~午前4時20分

・ポリーニ&ティーレマンによるブラームスのピアノ協奏曲 第2番&交響曲 第2番
・ポリーニ&ティーレマン指揮 ドレスデン国立管弦楽団演奏会

これはなんだろう、タイトルがそっくりでコピペの失敗かと思いましてよ(笑)。ちゃんと見ればなんのことはない、ふたつの「ブラームスを軸にした器楽派ドイツ音楽」プログラムのコンサートでポリーニ&ティーレマン&SKDによるブラームスのピアノ協奏曲が揃いますよ!というものでした。
個人的に少し意外なのは、セルが交響曲と称したとされる第二番はメインプログラムじゃなくて(交響曲第二番がメイン)、むしろ若書きともされる第一番がメインに置かれている、ところですね。レーガーのロマンティックな組曲、大きい作品なのかしら…(調べたら30分くらいの管弦楽曲みたい)

ともあれ、現在のポリーニによるある種集大成にも感じられるコンサートになっているのではないかしら。ティーレマンはそれほど好みでもないのだけれど(良くも悪くもオペラ上がりの指揮者だと思う、だからワーグナーはむしろ好きな方です)堂々たる演奏であるだろうことは予想がつくので、この控えめな評価を覆すような演奏であることを期待しましょう。




ああ、録音があるのですなあ…でも最近ときどき思うんです、音源のみの販売、いつまで中心的な役割になるのかなあ、と…(その話はまたいずれ)

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ということで簡単なご紹介でした。あれ、ヴェルディの序曲を除くとドイツものばっかり?むむむむ…ともあれ本日はこれにて、ごきげんよう。

2013年6月21日金曜日

いいものもある、だが悪いものもある。ではこれは?

こんにちは。と言うかほんとうにご無沙汰いたしました、千葉です。

いちおう空白の理由は向こうのブログにも書きましたとおり、左手の火傷からくる心身の不調ゆえ、でした。体調が悪くて音楽など上手く受け取れませぬ、ただせめてそのお詫びをしておくべきでありました。本日はちょっとどうとも取れるニュースを知ったので、復帰戦とて少し書きますです。

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サッカーの話題が落ちついた後の千葉のTwitterのタイムラインでは、しばしこれが話題になっておりました。見てないけど新聞広告を出されたんですね。

◆2013年9月 Opera AIDA in TOKYO DOME

なるほど。闘強導夢、じゃなくて東京ドームでまたオペラをやると、アレーナ・ディ・ヴェローナのアレの引越し公演で「アイーダ」です、と。

千葉がフォロウさせていただいてる皆様には以前の、バブル期の来日の記憶も千葉同様にあるようでございまして(そりゃそうか)、千葉同様にあれやこれやの反応がございました。
千葉がツイッターで書きました反応は、どちらかと言えばいわゆる業界っぽい見方になっちゃいました、情報を知ってまず今から9月の公演の売出しってのがどうかな、と思ってしまって。それをここにざっくり書き残すならば、「おそらく顧客層を明確にターゲティングして(悪く言えば皮算用)、この記念年に打ち上げる花火としては失敗しない程度の予定はあるのだろう、ただしその座組はポピュラー畑のものに思われるので充分に機能するかどうかは不明、客層も不明」というもの。きっと、千葉がブログやTwitterでおつきあいいただいているような皆さんがチケットを買っていく公演ではない、んですよ。じゃあ誰が行くんでしょうね?(笑)

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まあ皮肉っぽい言い方にはなりましたが、ヴェローナの上演が悪いものだと言っているわけではございませぬ。彼らの「アイーダ」、最近の映像が公式に配信されてましたから以下に貼っておきましょう。



巨大な舞台に大量の出演者。豪華であります。まあフェスティヴァルとしてはありだと思いますし、この作品はそもそも特別な意味合いを持たされたものだから、そしてヴェルディ作品の中でも見世物的要素をも取り込んだグランド・オペラ路線の極北ですから、「特別な上演」としての演出なのでしょう。今風の読み替えがどうこういうような演出ではなく、スペクタクルを提供する場としての劇場、まあこれはこれで。

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しかしその一方で、この作品は伊達にヴェルディ最晩年の傑作ではないわけで。筋立てはシンプルなメロドラマでありながら、学者オーギュスト・マリエットの原案があって相応にオーセンティック(もちろん、現在の研究の水準から見たらただの面白ストーリーなのかもしれませんが)、そして中盤の凱旋が終わればあとはドラマ的には袋小路へ一直線の心理劇。そういった面は近年の、たとえば千葉は好きで聴いているのだけれどアーノンクールの盤ではこれでもかと強調されてます。なんかチューリヒでの上演は読み替えで現代のパレスティナだったとか…(まあ、ありだと思いますけど)


そう、安心して楽しむことを許してくれる見世物でもあり、同時に最高のドラマを、オペラを楽しめる作品でもある。そういう作品ですから、どんな経緯でどなたが行かれるのかイマイチ想像できないのですが(笑)、行かれる方が楽しまれますよう。

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いいなあ、まだ実演は見たことないんですよね「アイーダ」。この先あまり機会もなさそうだし…いろいろ言いましたが、千葉の一番素朴な感想はこれであります(笑)。関係各位も含めて、公演が成功に終わりますようお祈り申し上げて本日はおしまい。ではまた。




アーノンクールのプロモーション映像もございました。よろしければどうぞ~。

2013年5月30日木曜日

ハイ注意して~、今日でスキャンダラスな初演から100年目なのは…

こんにちは。千葉です。

ちょっとこっちでも書かなければならない時事ネタがありそうです。

◆下村氏、財源確保にカジノ活用 文化懇話会で

こういうニュース、虚心に読むたびになんというか、教育というのがおこぼれとして定義されているのだな、との認識を確認してしまい、いささか抑えがたい怒りを感じてしまいます。教育を国の未来をつくるための長期的投資として引き受ける覚悟がないのみならず、よりにもよって、合法的賭博の上がりの分だけハイカルチャーの存在を許す国になろうとは。

そんなに財源と事業が紐付いているべきだというのなら、その対照表をすべての事業について示してから始めてはいかがですか?

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でもその話はまた別途。書くならこっちのブログです、政治の話ではあるけど。

今日はそれよりこっちでしょう、100年前のこの日にシャンゼリゼ劇場で初演されたバレエ「春の祭典」の話。そう、バレエ、ってのが重要なところで。演奏会での初演は悪名高いスキャンダルとはまったく無縁に、バレエの上演から後に平穏無事に行われているのです。

この事実から想定されるのは、「実はハルサイは音楽としてはそんなに突飛な存在ではなかった」という可能性です。実際、バレエ・リュッスの作品群を、そしてその周辺の作品についても併せ考えてみればそこまで極端な存在とは言い難い。口で言っているだけだとなかなか問題がはっきりしないのでひとつ演奏でも。そうねえ、これとかどうなんだろう。毎度おなじみAVROさまの全曲配信です。





あとで聴いたら感想は書きます。ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン、ちょっとアンソニー・ホプキンスに見えますね(おい)。
もちろん、今の私たちはこの曲について程度の多寡はあってもよく知っているから驚かないだけ、かもしれない。千葉は正直、初演から100年が経っても「現代音楽」と称されてしまうことには正直辟易しているのだけれど(笑)、独唱や合唱なしでもステージを埋め尽くすオーケストラが紡ぐこの音楽はまあ、充分に衝撃的なものではありえます。ジャンルを超えた影響を後世に与えたこともむべなるかな、と。これがなかったらヴァレーズの作品とかもなかったんでしょうしねえ…

なお、動画を貼っておいてあれなんですが、この曲、まずは実演で聴かれることを推奨します。如何に名演の動画でも、刺激的な名録音でもこの曲の多面性を「体験」するには足りないので。

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さて。ではそのスキャンダルを招いた要素をバレエに求めるとしましょう、それはいったいどのようなものだったのか。

せっかくの記念日だから(最近も使ったフレーズ)、禁を破ってちょっと微妙な動画を貼っておきましょう、復元されたニジンスキー版のバレエ「春の祭典」です。



同じバレエ・リュッスの作品でも、たとえば当時は最高にエキゾチックな踊りとして受容されたミハイル・フォーキンの振付は今見るともはや完全にクラシックに近い。同じストラヴィンスキーの音楽によるバレエでも、「火の鳥」(筋書きはロマンティックなものですしね)や「ペトルーシュカ」(よりパントマイム的身振りが印象的、コンパクトだけど劇的ですね)が大好評だったのは「エキゾチックな音楽&美術」と「比較的見慣れた振付」の組合せの妙だったのかなあ…とか、思ってしまわなくもない。あ、その二作の動画は貼りませんよ?(YouTubeにはあるようですけどね、フルサイズで…)

こうして100年前のスキャンダルを巻き起こしたバレエを見てみると、しみじみと思うのが「これはバレエって言うより、ダンサーという”動くオブジェ”による空間造形だなあ」ということです。バレエ・リュッス以前にはそれこそ美しくいかがわしき花舞台(笑)でもあったバレエ、たったの数年でここまで連れだされてしまっちゃあそりゃあブーイングのひとつもでるかな、と。山岸凉子先生が拾った「歯でも痛いのか!」、よくわかります(笑)。

おそらく、よりモダンな舞踊に触れている方にはもう普通の舞台なのでしょう、千葉にとってストラヴィンスキーの音楽がそこまで特権的なものではないように。っていうかあれなのかな、同じニジンスキーのバレエでも「牧神の午後」(1912)のほうがより「新しい」ものだった、のかなあ。ほんとうは舞踊の系譜からもこの作品を捉え直す方向でまとめられたらいいのだけれど明らかにそれは千葉の任じゃない、門外漢の妄想はこの辺で。

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ということで。その登場から100年も経っているんだから、いつまでも「斬新!新鮮!」とは言ってられないんじゃないのかなあ、とか千葉は思うわけです。
ならせっかくの記念日なんだから黙ってスルーしろよ!と思われるかもしれませぬ。えへへ、千葉はですね、性格悪くもこの記念日を、20世紀のある時期までの作品を「ゲンダイオンガク」扱いすることから開放するために使えないかなって厭らしく考えているのです(笑)。
というのも、音楽のハルサイはそんなに音響的には特別じゃない、舞台の方はより特別ではないかもしれない。この作品をしてマイルストーンとしているのは、後の時代からは第一次世界大戦前夜とも言えるのだろう1913年に、最高にスキャンダラスなバレエの初演のエピソードによって登場したこと、その出自に起因するのだよ。とか、言っちゃってもいいんじゃないのかなあ、とか思ったりもしなくないこともなくなくてよ。

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とまあ、天邪鬼になりたくもなりますわよ、こんなにこの作品ばかりが取り沙汰されているのを見ると(笑)。ただでも同年の目玉の新作だったはずの、「春の祭典」のわずか二週間前に初演されたドビュッシー作曲ニジンスキー振付の「遊戯」なんて当時も今も空気なのに!(笑)※

おそらくバレエの文脈からも、音楽の文脈からも今なお多くが汲み出せるだろうバレエ「春の祭典」(こだわります、ってかここ重要)の初演100年をあまり率直ではない形でお祝いさせていただきました。とりあえずはここまで、ではまた。ああそうそう、「日付変わっとるやないか!なにが「今日」じゃこら」などのご意見もあるかと存じますが、欧州との時差を鑑みてアディショナルタイム内の更新と判定させていただきましたことをここにご報告します。ではっ(脱兎)。

※寝て起きて、ひとつ思いつきました。もしかして「遊戯」が不発だったから、「春の祭典」で不満が爆発したのでは?という、いわば合わせ技スキャンダル。まあ、ただの憶測なんですけどねえ(笑)



さ、参考にしてくれてもよくなくなくてよ。

2013年5月22日水曜日

せっかくの記念日なので。

こんにちは。千葉です。

なんというか、ここ最近あまりにもきな臭い。そういう話はちゃんと書かないと、と思うがゆえに書きにくいのだけれど、インターネット閲覧履歴保存の義務化(テロ対策?意味不明ですわね)とか、児童ポルノ規制の動きとか(本当に人権を侵害されている子たちの保護につながる施策から進めないである種の「焚書」からはじめる発想が理解できない)、政権の正気を疑わせることが多すぎる。そしてそれに対して普通の批判すらされていないように見える。さあこの国の明日はどっちだ!(自棄気味)

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何もそこから話をつなげるつもりはございません、いくら話題の人が政治的に難しいからといって(笑)。ええ、本日はリヒャルト・ワーグナーの生誕200年、まさにその日なのですね。おめでとうございます、とまずは言祝ぎ申し上げますわ。

だからなんですね、今週の月曜、火曜の深夜に「BS世界のドキュメンタリー」で「ワーグナーとわたし」※が放送されたのは。リポータのスティーヴン・フライがユダヤ人のワグネリアンである、ということがよく伝わる番組でしたわ。っていうか、それ以上のことはなかったような…まあ、一般向けの紹介、情報番組だと思えばあれでいいのでしょう、結論を押し付けないどころか彼個人の見解すら示さなかったのにはさすがに拍子抜けしましたが。

※原題「Wagner and I」をそのまま訳せばこうなりますわね。ユダヤ人の、と邦題に追加したのは結果ミスリードだと思う。実際の番組はそこまでは踏み込まないで、ワーグナーとその受容をめぐって「問題が存在すること」までを紹介するものなのに、この一言で過剰な意味付けをしてしまうことになっていたのではないかな。とか、少しそっち方向を期待した千葉は思うのさ。

かくいう千葉は、残念ながらワグネリアンを称することはできませぬ。
なによりあの、台本がちょっと。同年生まれのオペラの巨匠として今年はどこでも並べて言及されるだろうヴェルディを引き合いに出すまでもなく説明的にすぎる導入(逆にイタリア・オペラは端折り過ぎだと思われるかもしれませんが、それを流れの中で見せるのも技だと思うんだ)、そして時代の癖なのだろうけれど超越願望がストレートにかなってしまう展開、どうにも好きになれませんで。
そこにいわゆる「思想」が絡むともうどうにもこうにも。もちろん、同時代の思潮から積極的に多くを得て、彼独自に統合されたものに、なにか独特なものがあるのを認めないわけじゃない。でもあれはアマチュアでしょうよ、思想という観点からは。切り口として見るぶんにはいいでしょうし、そこから読みをふくらませるのは当然アリです、でもその「思想」なるものがあるから、ともちあげるのはちょっと違うかなと。なにせ革命家としてもかなりご都合的パッチワーク的思想の信奉者だったようですから、そこで彼を評価してしまうのは正直どうかと。反ユダヤがどうこう、以前の問題なんです。もちろんそれは良いものだと思わないし(ベックメッサーがはじめ「ハンスリッカー」なる名前で想定されていた、という話にはドン引きしました)、ナチス的なものとの親和性の高さも否定できない(利用されたからどうこう、ということ以上に志向の方向において影響してしまっているかなと)。でもそれ以前、思想そのものとして、それほどのものじゃあない。

でもねえ、音楽は素晴らしいと思うんだ。何も自分の楽器が存分に活躍するから、ってだけの理由ではなく。オペラ時代の、後年のものに比べればまだ軽やかな作品も悪くないし(「オランダ人」では飛び抜けたものはあまりないように思うけれど、充分に劇的な音楽だと思います)、オペラの総決算二作、そして楽劇、神聖舞台祝祭劇へと展開していく音楽の、とくにその響きには感服いたしますわ。とくに「トリスタンとイゾルデ」、そして「パルジファル」に惹かれるのはドビュッシーからの逆影響、なのでしょうね(笑)。それにその昔は「なんかずっと同じメロディやってるよね」と思っていた「ニュルンベルクのマイスタージンガー」も(子供の頃は本気でそう思っていた。あはははは)。

ほんとうは、台本も音楽も一人の作者によるテクストなのだから、こういう区分は本質的にムリなのかもしれない、とも思うのだけれど、千葉はどうしても「台本作家」と「作曲家」、両方を同じようには好きになれる気がしませぬ。っていうか前者、嫌い(笑)。信頼できる台本作家と組んで仕事ができる人だったらよかったのに(ええ、ムリだとわかっていますが)。

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まあ、それでも好悪抜きで、聴いていいものだとは思うんすよワーグナーさん(偉そう)。千葉にとってはいわゆるヒストリカルの、まさにこの作曲家に余計な意味が付与されまくったいわくつきの時代に活躍したマエストロたちを知る縁にもなってくれましたし(今でもヒストリカルのベートーヴェン、モーツァルトは苦手です)。特にもフルトヴェングラーのこの盤、今日聴くのに一枚選ぶならこれですねえ…



でもまあなんですか、もしこれから聴こうかな、と思われている方にいきなり「じゃあCD4枚分、聴いてみて」ってのはどうかなって思うので、適当な動画でもないかなってYouTubeで探してみたら、いやはや今は全曲をアップロードしている人たちが多いんですねえ…真面目な話、「wagner (作品名)」で検索して見てくださいな、あまりにも大量にあるので紹介するのをあきらめちゃいました(笑)。探せばこの盤もあるんじゃないかなあ(あえてぼんやり)。

個人的には正直、全曲から入るのは苦行に過ぎると思っております。自分の導入がメータ&NYPによるリングの抜粋だったせいもあるんでしょうけど。序曲集とか抜粋の中でも、例えばマゼールによる「言葉のないリング」とか雰囲気を知るのにはいいと思います、さっきの検索にも大量に出てきましたし(あえてリンクはしませんよ)。
でも個人的な好みでは、ノリントン&ロンドン・クラシカル・プレイヤーズによる序曲がなかなか、この作曲家観を変えてくれるいいものだと思います。いわゆる「古楽器」、千葉が言うところの同時代アプローチによって示される当時の(ものに近い可能性がある)サウンドは、なかなか軽やかで歌ともぶつからないものに思えます。まあ、当時の音でも歌には相当に負担のかかるものだったのでしょうけれど(笑)。

さてこれから夜にかけて楽劇をひとつ流すと日付が変わりかねないところではありますが(晩御飯等のロスタイムを考慮した)、たまにはってことで「トリスタンとイゾルデ」でも聴いてみましょう。最後までたどりつけるといいなあ…では本日はこれにて。


2013年5月19日日曜日

公共放送さん、F1やりませんか?(記事とタイトルは関係ありません

こんにちは。千葉です。

またこんなに間が開いたよ!どうなってんだよ自分!
…すみません、最近イヤホンだとちょっと聴き疲れるようになってきてしまって、以前のやり方でガンガン聴いてガンガン書くのは正直なところ難しいのです。テレビ用にも使えるような、それほどのお値段じゃないヘッドホンでも買わないといけないな、と思ってはいるのですが、いかんせん先立つモノが…

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そんな状況でも日々は過ぎ、録画された番組や見た動画などは増える一方です。「クラシック倶楽部」なんかうっかり録画すると大変ですね、ちなみに明朝は庄司紗矢香ヴァイオリン・リサイタルですよ。「見たら消せばいいか~」とか思っていたはずなのに、見たら見たで「あれこれは資料的価値あるかな」「意外にいい演奏!完全版で見せやがれ」(無礼ですみません)とか思ってしまって。おかげさまで最近は週末のたびにダビングや見て消す番組の選択、些細な量にしかならないけどCMのカットなどにいそしむ羽目に陥っております。録画生活、怖い(笑)。



庄司紗矢香のベートーヴェンも完結間近なんですね、そういえば。日本人ヴァイオリニスト仲間の(緩いくくり、っていうかもっとちゃんとした協力関係にあるよね彼ら)樫本大進とほぼ同時期にソナタの全集ができあがるのかな、なかなか数奇なものです。

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さてさて先日ご紹介した5月末までのNHK BSプレミアムの看板番組(しつこい)にして千葉のHDDを圧迫する(笑)番組、プレミアムシアターの6月(正確には7月1日まで)の予定が出ていましたのでさくっとご紹介。

…と思ったんですけど、残念ながら千葉の嗜好に鑑みますとご紹介さし上げるのはこの期間、一回だけになってしまいます。クラシカル・クロスオーバーの良さがイマイチわからない(6/9深夜放送分)ので僭越すぎてご紹介する気にはなれない、バレエは好きだけどつっこんだ話はほぼできない(6/30深夜放送分、クラシック音楽に近いジャンルの舞台芸術として、少なくない傑作を共有するジャンルとして機会があれば見ては来ましたが、その程度でどうこういうのもはばかられる)。というわけで、こちらの公演だけ、さくっと。


●6月24日(月)【23日(日)深夜】午前0時~午前4時

・ベルリン・フィル ヨーロッパ・コンサート2013・イン・プラハ
・五嶋みどり&ズービン・メータ指揮 ミュンヘン・フィル演奏会

前半のラトル指揮ベルリン・フィルによる恒例ヨーロッパ・コンサート、今年はプラハ城での演奏会。奥方でいらっしゃるコジェナーとの共演、そして「今の」彼らのベートーヴェンはなかなか興味深いところです。そうか、ウィーンとの録音は21世紀最初の全集って言ってたんだから、もう新盤を出してもいいのかもなあ、集大成として。しみじみ。

後半のコンサートはあれですね、オケの公演なのになぜ「ソリスト&指揮者 オーケストラ」の順で書かれているんだろう、というのが最初に気になりますがツッコみませんよ(と書くことでツッコんでしまう、不思議!)。
たしかに。ブラームス、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はちょっと中プロにするには重すぎる、でもメインにするならリハとか主導権とか(笑)幾多の制約の中で失敗が許されない、困難な状況が現れちゃう。まあ、その困難をクリアできそうなソリスト&指揮者の交流、そしてオーケストラとの協調がこの演奏会ならありうる!と思ったのでしょう、きっと。五嶋みどり&ズービン・メータは録音も少なくない組合せだし、ブラームスを軸にしたコンサートでミュンヘン・フィルがいい仕事をしないわけがない。そう思いたいな(笑)。
なお。個人的にはまさにその中プロ、今年没後50年を迎えたパウル・ヒンデミットの交響曲「画家マチス」の演奏映像が一番の楽しみだったりします!オペラとしては、かなり地味めな政治劇なのでちょっとまだ掴めないでいる「画家マチス」だけれど、交響曲の方はもうけっこう長いつきあいなのでこの映像は喜ばしいかぎり。作曲家とミュンヘンのつながりはあまりないような気がしなくもありませんが、ここは虚心に好演を期待します。ってもう演奏は終わっているし、評判もその気さえあれば調べはつくのだけれど。

なお、今晩はカラヤンのドキュメンタリー&ビゼー「真珠採り」の二本立てですよ。ビゼーは合唱がアクサントゥスなんですね、よく見たら。これも期待しましょう…


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さて追加でもういっちょ。最近、向こうのブログでは「オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史」で何度か言及した、週日24:00から放送されているBS1の看板番組(しつこいなあもう)、「BS世界のドキュメンタリー」ですが、明日明後日とクラシック音楽のお題です。「ワーグナーとユダヤ人のわたし」というタイトルには、バーンスタインが制作したドキュメンタリーのことを思わせる部分もありますので、ちゃんと見る予定ですよ。

ということで公共放送文化部門の回し者のようなご案内はこれにて終了。ではまた、今度は近いうちに!(笑)