2019年12月6日金曜日

かってに予告編 ~東京交響楽団 川崎定期演奏会第73回 / 第676回定期演奏会

●東京交響楽団 川崎定期演奏会第73回 / 第676回定期演奏会

2019年12月
  7日(土)14:00開演 会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
  8日(日)14:00開演 会場:サントリーホール 大ホール

指揮:マーク・ウィグルスワース
ピアノ:マーティン・ジェームズ・バートレット
管弦楽:東京交響楽団

モーツァルト:ピアノ協奏曲第二四番 ハ短調 K.491
マーラー:交響曲第一番 ニ長調

個人的な話で恐縮だが、12月定期に登場する二人の音楽家とはタイミングなど合わず、今回ようやく実演に触れられるだろう、という運びであることを申し上げておく。好評を受けての再登場、それ故に私もこうして”新しい”音楽家に出会えるわけである。皆さまのお声があって、東響がそれに応えてくれているおかげである。有難いありがたい。

*************

指揮のマーク・ウィグルスワースだが、私が彼の名を知ったのはあるディスクを新譜情報の中に見つけたときだったと思う。その盤はマーラーの「大地の歌」、しかしシェーンベルク/リーンの編曲による室内楽版、というもの。まだ男声二人による録音もそれほど多くはない頃に、このような謎の版※を選ぶ彼は何者なのか。そう思ってはみたけれど、その音を聴くには先立つものがなかったその頃のこと、私は名前のみ記憶して現在に至っている。

※ウィグルスワースの録音は1995年、それに先行してフィリップ・ヘレヴェッヘとアンサンブル・ミュジック・オブリークが録音していたことは後になって知り、その盤は今も愛聴している…という話は前にも書いた気がする。

そんな昔のことを思い出し、彼のサイトでディスコグラフィを確認してみれば何ということでしょう、実に私向きの曲ばかり録音していらっしゃる。東響への来演も五回目になるというのに何をしていたのか、と反省頻り、である。いや、いよいよ聴く機会が来たのだと、ポジティヴに捉えておこうか…



そしてもう一人、ピアニストのマーティン・ジェームズ・バートレットは、私がウィグルスワースという指揮者の名を知った頃に生まれたという、若き才能だ。もっぱら「オーケストラに客演してくれることでしか新しい独奏者に出会っていない」タイプの人間が、2018年3月に登場した際に聴き逃したのは実に惜しいことだった。場合によってはこれが生涯の痛恨時ともなりかねないほどに、彼はキャリアを順調に進めているようだ。アンドラーシュ・シフにマスタークラスに招かれ※、今年は初のCDもリリースし…と順風満帆で東響の公演に再登場してくれるわけだ。アーティスト写真として使われている写真と、CDジャケットの写真で相当に雰囲気が変わっているから、きっと今回登場する彼もより大人びた感じになっているのかな、などと想像する次第だ。

※ロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージックでのマスタークラスはYouTubeで視聴できる。コミュニケーションの中で音楽が作られていくさまは実に興味深い。


…と、私にしては珍しく公演の紹介を人の話ばかりしているが、それもそのはず今回のプログラムはもはや王道ともいうべき「モーツァルトのピアノ協奏曲とマーラーの第一番」というもの、私ごときが掘り下げるまでもなく演奏会が楽しめよう、と思ってしまうからである。
もちろん、ここにも当然”企み”は存在している。まず「モーツァルト晩年の協奏曲を若き才能が」演奏し、「マーラー若き日の意欲作を円熟のマエストロが」演奏するという、あえてのミスマッチがここにはあらかじめ組み込まれている。そして、先日のノット監督とのマーラー、モーツァルトを経験した後でのこの二人の作品を東響がどう響かせるか、そして客演する二人の音楽家の個性は。幸い、12月定期は本拠地ミューザ川崎シンフォニーホールとサントリーホールでの二公演が予定されているので、「初日だが本拠地」もしくは「二日目目のサントリー」、お好みでお選びいただくのもいいし、いっそ両日を聴き比べるのも楽しいだろう。昨今の東響は同じプログラムを重ねて演奏するたびに表現を深め、その都度新鮮な演奏を聴かせてくれることは約束されているのだから。

0 件のコメント:

コメントを投稿