2019年12月9日月曜日

BS世界のドキュメンタリー 「トマト畑のワーグナー」

●BS世界のドキュメンタリー 「トマト畑のワーグナー」 (12/10 18:00~ 再放送予定)

ワーグナーを聴かせてトマト作り、と言われるとまずは信憑性に疑問を感じる「モーツァルトを聴かせて熟成させた」的なものを想起する。だからこの番組も疑似科学的な、半分ネタ的な話なんだと思って見始めた。まあ、ワーグナーが流れるなら守備範囲でもありましょうし。
だが見終わって言えるのは、このドキュメンタリーは高齢化日本でこそ広く見られてほしい、ということだ。過疎の地元を離れて大学で学んだ男が、地元に戻ってトマトを作り、そのトマトでソースを作り…と、この番組はそんなチャレンジの物語だった。そしてここで描かれていたのは高齢化の先に見える希望がない地域でどうやって未来を作るのか、ということだ。タイトルの含意は、そのどこにでもあり普遍性あるのエピソードの中に、ワーグナーの音楽もあった、というだけの話だった※。そして流れた音楽はワーグナーだけではなく、プッチーニやギリシャ音楽も流れるし、トマトを育てることと音楽との関係も語られている。なんでも、「味を求めるならワーグナーだが、収量を求めるならギリシャ音楽」なのだとか…(笑)



※しかしタイトルは原題も「When Tomates Met Wagner」なので、この邦題がツカミ狙いのものではないことを付記しておく。

ワーグナーを聴かせて無農薬トマトを育て、そのトマトでオーガニックフードを作って販売していく過疎の、高齢化の村。手作りの素朴で味のいいトマトソースは、その過程でビジネスに出会い、試行錯誤する。差別化のためチアシード入りソースを求められて試行錯誤する終盤はなかなか味わい深い。いい味の品を作れている自信はある、だがそれだけではニーズに応えられない。高齢化の村が現代のグローバルなビジネスに出会って戸惑うさまも、普遍性のある出来事だろう。そして何より、少子高齢化のこの国では、この村が示すものは決して絵空事ではありえない。劇場上映であればちょっと見に行きにくいかもしれないが、せっかく我れらが公共放送が放送してくれているので、ぜひ見てみていただきたい。その先の思考は、視聴した私たち、それぞれの仕事である。

>NHKオンライン BS世界のドキュメンタリー

0 件のコメント:

コメントを投稿