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2019年4月7日日曜日

大恩人でした ~サム・ピラフィアン(テューバ) 没

昨日あたりから、いろいろと情報が出ていましたが最後の活躍の場だったアンサンブルからの発表がこれをお報せするために参照されるべきでしょう。



エムパイア・ブラスの創設メンバーにして長年テューバ奏者として活躍したサム・ピラフィアンが亡くなった、とのことです。数多くの演奏に感謝を。合掌。

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エムパイア・ブラスの創設メンバー、ジャズを主に演奏するアンサンブル"Traverin' Light"としての活躍でよく知られ、教育にも注力したテューバ奏者、サム・ピラフィアンが亡くなった、という報せは最初こちらのツイートで拝見しました。



これはテュービストの藤田英大さんからの発信でした。ピラフィアンとの交流もあったような方がいい加減な情報を流すわけもないのだけれど、信じたくない気持ちもあって英語ソースが出るまでは、所属しているアンサンブルからのコメントが、親族からの表明があるまでは…寝て起きたら誤報でした、だったらどんなにいいかと思って寝て起きて、確認してみたら上記の情報が出ており、嗚呼もう逃げられないとまずは第一報をアップしたわけです。今はこういう記事も出ていて、彼のキャリアがちゃんと記されています。あらためて合掌。

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今でこそあれやこれやとクラシック音楽の話をしている私ですが、いっとき完全に離れようと思った時期があります。それは大学に入ったばかりの頃、趣味の楽器の演奏もやめちゃって、ちゃらい大学生になろうかと迷った頃。

いま思うと、高校を出て私は不全感に悩んでいたんだと思う。大学生になったらあんなとこやこんなことをしなくちゃだ、みたいなぼやっとした夢しかなくて、進学はしてみたけれどそこで勉強はそれほどできない自分に気付かされて(勉強の仕方を理解していなかったのだと思う)、「新しいことを」と入ってみたオーケストラでは出番が来る日が見えないし(先輩が複数いたので)なにより練習場所が家から遠いもので行くのが嫌になってしまって。たまに音やら吹き方をほめられたりはするのだけれど、練習をがんばろうというモティベーションはもうなくなっていた。仮に出番があってもオーケストラでは吹く時間はほんの少し、前プロでも定期に乗れるのかな自分、その程度のためにやってどうすんのかな、みたいな。
勉強ができれば、楽器が吹ければ、そのくらいしか当時の自分を支えるものがなかったとかいま考えても怖い。勉強もそれなり程度、楽器だってプロを目指せるほどじゃあなかったのに。当時読書癖がなかったら何年も無駄にしただけだったろう、もしくは普通の大人になれていたのかもしれない(そのほうが良かったとか言わないでお願いだから)。

ともあれダメになりつつあった当時の私は、帰省して高校の友人たちと地元のホールでエムパイアブラスのコンサートを聴く機会を得た。経緯はもうまったく思い出せない。

私が高校生くらいの頃までは、アメリカン・ブラス・クインテットやカナディアン・ブラスのようなエンタテインメント色の強いアンサンブルが人気で、その時点で私はエムパイアブラスのことなんて金管五重奏であること以外何も知らない。もちろん、メンバーのことも、そのサウンドも。そんな腐った状態で聴くエムパイアブラスがどんな衝撃だったか、想像できますでしょうか。プログラムは「エムパイアブラス・イン・ジャパン」「バーンスタイン、ガーシュウィン」あたりの路線だったはず。
いま振り返って私が言えるのは、「ここであの音に出会わなかったら、音楽からは離れていただろう」ということだけです。自分が普段演奏していた楽器が持っている可能性を、音楽の美しさと楽しさ、コミュニケーションの喜びを、言葉ではなく一度の演奏会で教えていただけたから、音楽から離れられなくなった。もちろん、それは私にとってはいいことだった。おかげさまで、その後私はバーンスタインの作品に出会い(エムパイアブラスは「ミサ曲」の初演でロルフ・スメドヴィクとサム・ピラフィアンが集められたことから結成されたアンサンブルです)、彼らの演奏を聴くうち自分の嗜好が形作られて、そこからやっと自分の欲しいものがわかるようになっていったのだから。
その後は家から近いところで練習している吹奏楽部に入って、自分の音が好きになれるように基礎練習をずいぶんとしましたわ。そこから先に進むヴィジョンがなかったあたりに自分の限界を感じてしまうのだけれど、それでも私は楽しくテューバを演奏する時間を持てるようになりました。嗜好や技術のなさ故に彼のようなアンサンブルやソロでのジャズなんて望むべくもなかったけれど、少しはマシな音で演奏できるようになれたと思います、その当時。

その後私は嗜好も変わって時間も取れなくて(音楽は圧縮して経験することができませんからね)、だんだんに吹奏楽界隈、テューバ界隈からは離れてしまって、買い揃えていたエムパイアブラスの録音もだんだん歯欠けになって…と彼の”現在の”音楽からは離れてしまいました。今はもうテューバだって演奏していない。それでも、今のこんな私の、最良の部分があるのはサム・ピラフィアン(と、スメドヴィクがリードしていた時代のエムパイアブラス)のおかげなんです。訃報のタイミングでしかこれを言えない自分になんというか不甲斐なさは感じますが、心からの感謝を送らせていただきたいと思います。


2012年6月11日月曜日

テレビ番組二題、プラス

こんにちは。千葉です。

昨日、ひとつコンサートに伺って参りましたのでその感想も書きたいところですが、まず先に昨日告知したテレビの話、あともう一つのテレビ番組の話を。Eテレのアレじゃないですよ(笑)。

まずは先日紹介した日本フィルの番組。というか正確に書きましょう、番組内容は以下のとおり。

「未来へのおくりもの ~スペシャル~」 

2012年6月9日(土) 夜10:00~10:54 放送予定 BS-TBS(BSデジタル6ch)

●音楽で人々に笑顔を「日本フィルハーモニー交響楽団」

日本を代表するオーケストラ集団、日本フィルハーモニー交響楽団。主催する演奏会は、年間およそ150回。来場者数は、のべ5万人以上。
今回は東京で行われた定期公演会のリハーサルから本番まで完全密着!首席指揮者ラザレフの音楽に対する想い、そして楽団員の知られざる苦悩が。

また、日本フィルではオーケストラ・コンサートのほかに、エデュケーション・プログラムとリージョナル・アクティビティ(地域活動)という活動を実施。
そこには、楽団として社会に貢献できることを追求し、音楽を通じてより豊かな世の中を創りたいという大きな思いが!
音楽の持つ力を信じて…、日本フィルからの未来へのおくりものです。

(以上番組公式サイトより引用、一部改行のみ変更しました)



本来30分で一団体×2の一時間番組をまるまる使って日本フィルの活動における三つの軸、「演奏活動」と「教育活動」、そして「地域の中のオーケストラとしての在り方」を紹介したこの番組、なかなかの見応えでした、特に音楽活動、演奏会のリハーサルにインタヴューを絡めて紹介した、アレクサンドル・ラザレフ指揮による2012年5月の定期演奏会の部分が!当然ですね、それ目当てで見たのだから(笑)。



まあ、「一時間に拡大された」とはいえリハーサルも演奏もそのありようを伝えるためには否応なく時間がかかります、演奏時間は削れませんからね。なので、リハーサルの面白さの片鱗が見えたくらいなんだと思うんです、率直に言って。噂に聞いていたとおり、一秒も時間をムダにしないリハーサルでしたがそれは同時に規定の時間以上には団員を拘束しない、プロとしての相互尊敬のあるものであったことがわかったり、ポッドキャストでも話されていたトロンボーン首席の藤原さんが「かわいがり」を受けているところが見られたり、ということはありました。でもリハーサルで本当に面白いのは音が変わっていく過程でしょう?その辺りはさすがにこの時間の制約ではなかなか、伝わりにくいところであります。ようやく噂のリハーサルを拝見できた喜ばしさと、「もっと面白いところも撮ってるんですよね?見たいなあ」という隔靴掻痒感とのせめぎあいがですね、個人的には否めないものでもありました(笑)。でも一見の価値、ありますからご覧になれなかった方はぜひ、スポンサー様のサイトで近日配信開始されるのをお待ちいただいて。小一時間を使うだけの価値は間違いなくある番組でした、日本フィルのホームである杉並の皆さん、こんないいオーケストラなのでぜひ、もっとかわいがってあげてくださいね!(個人的には相撲的な意味含めたかわいがりでいいと思う)


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あのう、これはかってな想像なのですけれど。日本フィルを三軸で紹介するのは既定だったんだろうと思います、でもそれが一時間枠に広がって、中でも演奏会の部分に約半分を充てることになったのは、番組制作スタッフの皆さんがリハーサルから演奏会へ、というドラマに魅せられたからなんじゃないのかなあ、なんて。


もしこの愉快な想像が本当だったら、ぜひ同じスタッフさんで<「リハーサル(できるだけ長い収録時間)」+少々のインタヴュー、そして「演奏会当日の映像」>でガンガン収録してくださらないかしら、自主制作盤としてリリースしてもいいと思うんだけどな、昔のシュトゥットガルト放送が残したクライバーやチェリのような、とまでは言わないけれど貴重な映像のようになると思うのだけれど。今ならラザレフ&日本フィル、スダーン&東響、インバル&都響にカンブルラン&読響などなど実力派のマエストロたちのポストにある(=責任ある立場でオーケストラとつきあっている)状態でのいい仕事が、ほとんど都内で収録できるんですよ…


あ、日本人マエストロたちの仕事も残すべきだと思ってますよ、もちろん。渡邉暁雄先生や岩城宏之さん他のお仕事がそういう形で遺されて来なかったことを、公共放送さんや母と子のフジテレビさんは反省すべきです。ちゃんと放送局に関わるところにあったオーケストラで多く仕事をした、間違いなく力のあるマエストロたちだったのに。もう。


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すみません!脱線が過ぎました、すみません!(と言うほどは反省の素振りが見えない)もう一つの番組は、アレじゃなくてこちら。


題名のない音楽会21
ブラス・エンタテイメント~中高生に大人気!吹奏楽ヒットソング~

市音取り潰し問題をきっかけにして何周もの周回遅れから少しずつ吹奏楽方面のリハビリをしている千葉ですが、実はエンタテインメント方面での吹奏楽は、はっきり申し上げて苦手です。だって、テューバの楽譜なんてデカイ音を出させられる割にコードをつつがなく進行させるかエレキベースの書き換えでしかないじゃない!指揮者のすることなんてほとんどないじゃない!(これはあまり本当じゃないけど、志向するものの違いということでご容赦のほど)といういささか身勝手な理由から(笑)。

ならスルーしなさいよ自分、とも思うのだけれど、前から気にしていた「平清盛」テーマ曲の吹奏楽版を早う!という希望は既に叶えられている由、Twitter情報で知りましたために、見たのです。

目当ての曲は、ある程度は予想通り、吹奏楽映えしそうなので一安心でした。テンポが相当に速いけれど二つ振りではなく四拍子で指揮していたのはあれ、何かの指示でしょうかね、流れの速さではなくてビート感ある疾走感がほしい、とか。ああそうそう、全国の吹奏楽関係の皆様、昨日の放送のあとでは悪寒さえ感じさせられてしまいかねない曲の最後「あそびをせんとや~」のくだり、作曲者の「仮歌」は初音ミクだったそうなので、実際の演奏でも使っちゃっていいんじゃないっすかね。TWSOが使うとは思っていませんでしたから、昨日の放送についてどうこう、ではありません(どちらかというと優等生的なところ、ありますよね。模範演奏、とか言ってしまいたくなる感じの)。言葉が最後に登場することであの曲は終わることができるように思えますので、手段のある方はぜひお試しください(もうとっくにやられてるのかもしれない、周回遅れの妄言の可能性は理解しつつ言っておきます)。

ということで本筋は楽しめたんですよ(最後の一曲、二分半が本筋かい!)。だけれど、ポップスも応援も正直ゴメンだなあ、と今さら自分の苦手意識を再認識です。
ポップスは上述の通り、あとヴォーカル抜きで歌ものをやることに違和感があったり、いろいろとあるんですけど。シンフォニックな書き方をされているサントラとかはまだ、いいんですけどね…(実は今頃になって「E.T.」のテーマとか演奏してみたい、あの自転車チェイスの場面の浮遊感を音にしてみたい)
あと応援。これはねえ、自分は野球でもサッカーでも、モータスポーツでも鳴り物の応援がそんなに好きじゃないんです。見方ぐらい自分に決めさせてほしい、と言いますか。チャンスで畳み掛けるような応援には乗りますよ、でものべつ幕なし歌い続けるのは、どうも。高校時代にも吹奏楽応援なんてなかったからなあ、うちの学校(旧制の流れを汲む、いわゆるバンカラ学校でありました)。

という個人的な好悪もありつつ。吹奏楽の、いわゆる「藝術」よりの作品には、こういう機会に紹介していただかないと存在すら知ってもらえない危険があるけれど、ポップスとか応援ならかなりの頻度で聴けるのでは。それこそ春夏の高校野球でも見れば、いわゆる吹奏楽名門校の堂々たる応援が聴けますよ?

まあ、そういう未知のものをお知らせする番組じゃないことはわかっているのでもういいんですけど。こういっては申し訳ないけれど、一度さらっと流して見ておしまいになるような作りですものね。先日の髭男爵&彌勒忠史他による愉快なイタリアンバロックで少し見なおしていたところだったのだけれど、まあ根本的にはそのくらいのところで。仕方ない、目的が違うんだから。

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こう書いてきてやっぱり思うんですよ、公共放送は何をやっている?と。N響アワーが終わったことはもういい、でも代替となる後番組があれで、月一放送の「オーケストラの森」はおそらく今日の本題その一である「未来へのおくりもの」に劣るダイジェストのダイジェストでしかない。オーケストラ紹介部分入れてメインプログラムを一時間の枠で放送したらそうもなりますよね。なんだかな。
放送局としての力量はあるのでしょうに(でなければ海外の演奏会映像の最後にクレジットされませんわね、普通)、どうしてこんなことになるのか。映像作家的な方が居らっしゃらないの?それとも軽く物事の表面を撫でる番組を作るのが皆さまの公共放送の使命なの?なんかねえ、いい加減考えたほうがいいと思うんですけど。

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あれっ。何故かすごく不機嫌に本題が終わってしまいました(笑)。変だなあ(棒読)。事ほど左様に広義のクラシック音楽とテレビ文化はなじみ難い、のかしらね。

なお。ここまで読んで下さった方の中で、きっと千葉の物言いに「文句をいうなら見るなよ」って思う人も多いんでしょうけど、それやってるとどんどんと細っていくだけですよ、クラシック音楽の側もテレビの側も。クラシック音楽はテレビになじまないからさようなら、では今なお十分すぎる力のある告知媒体を失ってしまう、それは広く世間様に知っていただく機会を失い蛸壺化を進めるだけになる。テレビの側はテレビ用に作り変えられない「テレビに合わないもの」を切り捨てていけば否応なく定向進化の先に残念な結末を迎えるでしょう。いや最近はあまり見てないからもう定向進化極まって、口から長いながーい牙が生えているのかもしれません。ちょっと怖くて(笑)がつけられません。

昨晩放送された番組の中でもう一つ、興味深いものがあった、というのを最後にちょっとだけ。その番組は日曜洋画劇場の「インセプション」。ご覧になった方は御存知の通り、後半で入れ子になった夢の階層を画面左上のテロップで「第1階層」「第2階層」「第3階層」「虚無」としてインディケーションしていたんですよね。もちろん、真面目に見ていればその場面ごとに場所や衣装で今がどの階層の映像かはわかるように作られています(消せない妻のイメージに撹乱されるものではあるにせよ)。でもCMを挟んで放送するテレビではそういう視聴を強制することはできない、でもこの映画はちょっと見ればわかる映像の面白さだけにとどまるんじゃなくて、その構造をわかってもらえたらもっとその面白さが伝わるはず。そんな放送サイドの想いが嬉しく思えるような、いい映画放送だったので地デジ画質での見え方確認にちょっと見たら他のことをするつもりだったのに、ついラストまで見ちゃいましたよ。あの引きもまた、いやらしい(褒め言葉)いい映画でしたね。「ダークナイト」も見ちゃうのかなあ、自分…(笑)

余談で機嫌が良くなったところでおしまいにします。ではまた。




そう、今の日本に「バーンスタイン」はいないんですよ、だからモノマネじゃなくて自分たちの持っているいいものを伝えましょうよう。と思うのですが如何。

2012年6月8日金曜日

Senzoku Special Wind Worldに期待します


こんにちは。千葉です。

これも寝かせすぎないうちにと慌ててまとめました(半泣)、先日伺ってきた洗足学園音楽大学の新企画、のレビューです。次回(6/26)までは時間があるから手遅れじゃない!はずです…

◆Senzoku Special Wind World 第1回演奏会

2012年5月29日(火)
18:30~公開リハーサル(約90分)、20:00~演奏会

会場:洗足学園前田ホール

指揮:山下一史
吹奏楽:Senzoku Special Wind World

曲目:

ホルスト:吹奏楽のための第一組曲変ホ長調Op.28-1
シャブリエ:狂詩曲「スペイン」


先日のマリア・フォシュストロームさんのコンサートに伺った際に知ったこちらの公演、いろいろな興味から聴きに行きました、入場無料でもありましたし!(貧民の弾ける喜び)

まずは、以前近所に住んでいたのに洗足学園の公演に伺ったことがない、結果そこにある前田ホールにも行けていないのが気になってました。吹奏楽をやっていれば少しはその存在を意識することもあるだろう音楽大学の、吹奏楽の企画だってあったことでしょうに。反省。
そして指揮者の山下一史氏の演奏を聴いたことがないのも、彼の仕事の多さを考えればいかんかな、とも思えまして。それにチラシを見るに、バンドのメンバーに首都圏のオーケストラ団員の名前も散見されて、一定以上の演奏クオリティは期待できそうです。
さらにこの企画、演奏を聴くだけの普通の音楽愛好家より吹奏楽経験者の方がより楽しめそう、加えて曲目が自分も演奏した二曲である。ここまで揃ってうかがわないようでは、出不精を通り越してもはや実演が好きじゃない人ですよ、千葉は(笑)。

演奏会というよりはゲネプロっぽい服装のステージ上の奏者各位にマエストロにより演奏曲順に手際良くさくさくとリハーサルは進められ(一部、ホルスト作品で楽譜の直しがあったとき、お答えを客席から伝えたのは、もしかしてこの曲の最新校訂を手がけられた伊藤康秀先生でしたかしら?)、はじめいささか不慣れな感もあったバンドはどんどんと整って行きます。そうそう、チラシには教員メンバー(名のあるプロ多数!)のみ掲載されていたのですが、メンバー構成は毎回変わるとのこと。教員と学生選抜により構成される格好です。チラシには名前のなかった都響の高橋敦さんがトランペットのトップ、そしてこちらはチラシにも名前のあった橋本晋哉さんがテューバの上の声部をやって、など今回のメンバーはなかなか千葉得でした(笑)。なにより、音楽的にさすがと思えるところも多かったですし。特にホルストの第一楽章の終わり、ああいう輝かしい音に、なるはずなんですよねえ…(超望遠)
会場の前田ホールは、先日伺った講堂とはまったく逆方向の、よく響いてその眺めの残響ともども音はブレンドされて聴きてに届く感じ。どうなのかな、もしかするとピアノの演奏会なんかで聴くととてもいいかも。吹奏楽では楽器それぞれが持つ指向性が不明瞭になるのがいいのか悪いのか。個人的にはもう少し立体的な音になると嬉しいかも。


ただし。この二曲、自分演奏した記憶があるものだから、少しばかりそっち目線からの食い足りなさを感じてしまうところは、ありました。アマチュアのいいところは演奏するその曲とかなり長期に渡っておつきあいすることですからね、否応なくいろいろな面を見ています。
例えばホルストの第一組曲は、いわば新古典主義的な作品でもあるわけで形式やモティーフ、フレージングでいろいろな表情を見せてくれる曲です。一度のリハーサルで流れ優先のつくりではあまり面白さが出てこない、のではないかな、とか。
シャブリエはいま聴くとあまりに非論理的な編曲に違和感を覚えずにはいられない、それに尽きます(これは編曲の思想自体の違いで、シンフォニックバンド用の編曲メソッドには完全に適っている、それを悪というつもりはないけれど…)。いくらプロとその卵が集まってはいても、一時間半でできることには限度があるわけです。これはこのフォーマットである以上は仕方のない部分かな。

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と、文句は言いましたけど、こういうアウトリーチがいま、特に大阪市音楽団ほどの名門団体ですら即時解散に追い込まれかねない逆風下にある吹奏楽には求められていると思うので、千葉は基本的に応援します。先日、新聞で「ニュー・サウンズ・イン・ブラス40年」なんて新聞記事を見ましたが、そっちの方向もいいけどいわゆる芸術音楽としての吹奏楽も、もっと知られないと簡単に大変なことになってしまう、と考えています。まさに間口の広いジャンルですから、多様な性格をそのままにお伝えしていく努力、していかないと。
とか、吹奏楽を応援しよう!などと口走る自分が現状をまるで知らないのはいかんよね、と心底反省してもおる次第ですが。

指摘したような問題はあると思う、だけれど企画趣意や出演者はいいものがある、それに入場無料の企画でもありますので、日程の合う方はぜひ、次回以降の公演に足を運んで見てはいかがでしょうか、と思います。千葉はもちろん行くつもり、であります。今度は演奏したことのない曲だから気楽ですし、ね(笑)。

以下、次回以降の日程のみ。

・第2回 2012年6月26日(火)
指揮:ロバート・チャイルズ

ショスタコーヴィチ:祝典序曲
アーノルド:序曲「ピータールー」

・第3回 2012年7月25日(水)
指揮:山下一史

ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」より

ではまた。




そろそろこの名盤を超えてやろう!という試みがあってもいいと思うんだ。いや、この盤の地味な凄まじさには聴くたび感心させられるのだけれど。特に趣味のテューバ吹きだった身には、第二組曲の粒立ちが怖ろしい…

2012年4月22日日曜日

大阪市音楽団、10月に東京公演です!

こんにちは。千葉です。

さて大阪市音楽団を巡る状況、というか言説の酷さ(特に市長氏のもの。あとでまとめます、その問題については)は相変わらず、しかしおそらく行政的スケジュールは動いてしまっているのではないか、といささかの危機感を感じております。行政の歯車で前進しているものを止めるためには、かなりのエネルギーが必要になりますし…

この件、黙っているだけでも廃止したがっている人たちの思惑に加担することになりかねませんので、賛成/反対はともかく各位が意見を、自分の言葉で言っておくこと、とても大事だと思いますよ。朝日に掲載された赤川次郎先生の投書に賛同/反対の意思表示をするのもいいでしょうし、指揮者の飯森範親さんがTwitterで発信されたものを拡散するのもいいでしょう。でも、本当は文章の上手い下手とか、自分個人でなにか言っても…とか気にしないで、自分の言葉で意見を表明していくべきだと千葉は考えています。今回の大阪市音楽団を廃止しようという目論見、かなりいろいろな方面から切り込めるだろう問題ですから、誰かひとりの言葉がすべてを言い表してくれるわけではない、と思いますし。ということで、ブログやTwitter、その他SNSなどでご意見、ぜひ自分の言葉で発信してみてくださいね!あ、そうそう、ハンドルでもいいから、責任の取れる名前付きで、ね。


という話はまた別途、全力でしなければならないけれど、今日はこの前発見した公演情報のお知らせ。発売日等はまだ出ていませんが、この10月に大阪市音楽団が東京公演を行います!というご案内です。


◆東京芸術劇場 Presents ブラスウィーク2012
2.宮川彬良&大阪市音楽団


2012年10月16日(火) 19:00開演

会場:東京芸術劇場コンサートホール


出演:

作編曲・指揮・ピアノ:宮川彬良
吹奏楽:大阪市音楽団

曲目:~『宇宙戦艦ヤマト』宮川音楽の勉強会~
・ファンファーレ
・組曲「宇宙戦艦ヤマト」
・劇伴音楽「宇宙戦艦ヤマト」の勉強
萩原哲晶:クレージーキャッツ・メドレー<無責任一代男~ホンダラ行進曲~スーダラ節~ハイそれまでヨ>
宮川泰:ゲバゲバ90分
宮川彬良:バレエ音楽「欲望という名の電車」から ほか


以前ならきっと、大阪市音楽Dahhhn!名義にしていたのではないかしら、と思えなくもないけれど、いわゆる吹奏楽&現代の作品を愛好する濃い層(笑)よりも幅広い層へ向けた公演となる模様ですね。発売スケジュールは7月上旬を予定、チケット料金他詳細はまだ発表されていません。詳しくは会場であり主催となるのだろう東京芸術劇場のサイト等でご確認ください。


このアンサンブルの存続を願う気持ち、コンサートに行くことで表すのが一番のやり方じゃないかなって思いますので、皆様是非に。ちょうど上手い具合に、宮川彬良さんがお父様の後を受けて音楽を担当されている「宇宙戦艦ヤマト2199」もその頃には盛り上がっているのではないかしら(笑)。


ということで、ひとまずはご案内のみ。詳しい日程など確認できたらこのブログでも告知するようにしますね。ではまた。





2012年4月6日金曜日

大阪市音楽団を応援させていただきます

こんにちは。千葉です。

前置きなし、本題です。今日は朝から不機嫌でした。それもこれも、こんなニュースを知ってしまえば、もう…

橋下市長、大阪市音楽団員36人配転認めず「分限免職」(読売新聞)

ああもう、こっちのブログではこういう話をしないでおこうと思っていたのに。このどうしようもない施策を前にはそんなマイルールなど出番ではないのです。大阪市音楽団が不要、解散の方向で検討を進めてきてさらに「市職員」の身分で活動してきた楽団員を一般職などに転換することもなく「分限免職」、要するに馘首する、というお話ですよね、これ。
「今まで音楽をやっていた人を単純に事務職に配置転換するのは、これからの時代、通用しない。仕事がないなら、分限(免職)だ」(記事より引用)ってことは、このニュースから感じてしまう悪意を汲み取って換言するならば「音楽やるってことで雇ったんだから、その仕事をなくすのでクビ。理由は他に使い道もないので」ってこと、ですか?えっと、なんでしょうかこの非情なコストカッター風の振舞い。そんなに最初にナタを振るわれなければいけないほどに、大阪市の財政を厳しくしている一番の理由は文化事業なんですか?


確か、以前見た大阪市音楽団の運営にかかるコスト云々の記事で四億円どうこうの話があったかと記憶しています。36人の楽員に事務職などの人件費、そして演奏会運用などにかかるもろもろのコスト、「市の文化活動」としての活動でのコストなどひっくるめて四億くらいなのであれば、使い方次第で取り戻せるんじゃないですか?とか(自分がそのお金を自由に動かせるセレブリティでないのが、ほんとうに残念)。
公務員待遇でプロの吹奏楽団を持っているところは他にない、というのならそれをセールスすればいいじゃない、文楽もそうだけれど市の特色をアピールするのも市長様の仕事じゃないのかい?国政への色気の部分じゃなくて、そういうところで東国原氏を見習ったら?とか。
そもそも演奏を聴いて評価できるのかい、その廃止を判断したプロジェクトチーム。東京佼成ウィンドオーケストラと並ぶプロの吹奏楽団※、もしかしてセレモニーのためだけに持っているつもりなの?
楽団の在り方を変えていくことでメリットを産む方向に行くのではなく、とにかく削ってなくしてしまうことが「大阪市の財政」を改善するための最善手だという短絡は何故?


怒りに任せていろいろと書いてしまいます、だって大正12年(1923年)に発足した、日本最古のプロの吹奏楽団ですよ?詳しくは大阪市音楽団のサイトを見ていただくとして。
その成り立ちから考えて、市民から不要だ、という声が上がって退場させられるのであればそれは受け容れざるを得ないのでしょう、有能なアンサンブルが失われることは残念に過ぎるけれど。しかしながら、今回のようにオーナーである行政が、使用者の馘首でひとつの歴史ある文化団体を消滅させようというやり方は到底理解できないし、受け容れられるわけもない。それだけでも怒りを感じるのに、なんですかこの「使えない奴はいらない」みたいな言われよう。ああああもう、使わなくなったソフトをアンインストールでもするかのような気軽な馘首予告、理解できない。その上捨て台詞まで投げられる、なんですかこれ。繰り返しますけれど大阪市の財政を危機に陥れたのは文化事業で、特にも音楽団の楽員や事務局なんですか?彼らを排除すれば健全財政になるんですか?何か目くらましに使われてるみたいで非常に不快です。安易で方針の不明瞭なコストカットによる財政健全化の考え方、そのものがどうかしてますよ、これ。

と、ひとしきり抑えられない憤りを書かせていただきました、興味のない方には申し訳なく。しかしながら、こういう文化は不要不急、行政がやることじゃないよね、みたいな安易な物言いで「コストカットごっこ」する紅衛兵かクメール・ルージュみたいなポピュリスト、これから増えかねませんので今のうちに申し上げておきたかったのです。かつての都響のように、以前よりいい形で活動できるようになっていけばいいのですが…(府での実績(苦)があるのであまりにも期待できない)

こういうときだから支援できる方法、何かないかと思いまして、ささやかではありますが今日からまずTwitterのアイコンを彼らのディスクのものに変えました。これです。




Twitterでも書いたのですが、舞楽の面だとちょっと「V for Vendetta」っぽくて面白いかも、などと思ってしまいました(笑)。象徴となる人物がガイ・フォークスならねば誰がいいんでしょうね…
他にも、団は現在ふるさと納税による支援など募っているとのことですから、よろしければ音楽団のサイトを御覧くださいませ

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はあ、少しだけ冗談が出せる位に落ち着いたところでひとまずおしまい。


なお、最後に一つだけ、ここをご覧になってしまった大阪の皆さんへお願いを。この件について言及する大阪市外の吹奏楽愛好家を「市民でもないくせに!」なんて頭ごなしに拒まないでいただけたら幸いです。もちろん、千葉へのご批判は甘受します。

千葉個人は、プロの演奏団体として尊敬を持って大阪市音楽団の演奏を聴いていますので、それが簡単に無くしてもいいものとして扱われることが、一吹奏楽愛好家として本当に悲しいのです。尊敬する音楽家が不要物のように扱われている現状が情けなく、憤ろしいのです。大阪市音楽団は、実演を聴く機会の持てていない*、ゆかりのない東北出身者でさえそう感じるほどの団体なのですから、おそらく地元大阪には彼ら彼女らの地道な活動に恩を感じていたり演奏に感銘を受けた人は決して少なくないと思うのです。もちろん録音や放送などで千葉同様に、より強く尊敬を感じている人たちもいらっしゃるでしょう。
よろしければそういう声も拾い上げて、より良い形を探ってはいただけませんか?今のまま、ただ音楽団を切り捨ててしまったのではいささかのコスト削減だけしか得られるものはなく、団が集めてきた好意や尊敬はただ失われるのみ、なのですから。

ぜひ、建設的なご一考をお願いさせていただきます。もし千葉へのご意見等ございましたら、ブログのコメントなどでの対話をさせていただけましたら幸いです(Twitterでの議論は持論というか意見のぶつけ合いに、あたかもプロレスのマイク・パフォーマンスのようになりがちですので予めお断りします)。


※東西を代表するプロフェッショナルの、間違いなく日本屈指の吹奏楽団が、どちらもこのような特殊な在り方をしている事実については、いささか考えるべき余地があるように思いますがここでは検討しません。金銭に換算しがたい価値についての相応の検討が必要になると思われますので。

*追記。
大阪市音楽団の東京公演、あまり記憶にないなあ…と思って調べてみました。実は2010年に、「宮川彬良&大阪市音楽Dahhhhn!」として公演を行なっていたそうです。それがなんと14年ぶりだったとか。詳しくはリンク先でご確認ください(pdfファイルが開きます)。千葉がコンサート情報に一番詳しかったのは2002年から2007年くらいまでの時期ですので、知らないわけであります。
もし今後、存続のためにいろいろと活動されるのでしたら、ぜひまた首都圏へも来演いただければと期待します。吹奏楽オリジナル作品での活動、録音等を見るかぎりでは日本で一番の取り組みをされている音楽団、聴いてみたいものです。

*もういっちょ追記。当ブログの本館に、少し違う方向からこの件について書いています。どちらも真意のつもりです、いろいろな側面から考えられるべき問題ではないかと。よろしければご一読くださいませ。