指揮:チョン・ミョンフン
ヴァイオリン:クリステル・リー(2015年第11回シベリウス国際ヴァイオリンコンクール優勝)
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47
ドヴォルザーク:交響曲第九番 ホ短調 Op.95 『新世界より』
予告をいつも書く前の手順の一つに「この人まだ聴いたことないな、どんな音なんだろう」と合法の配信(いかがわしい言い方)を検索する、というものがある。これから実演で知る音楽家の音色が好みならそれだけでも気分は良くなるし、見つかったものがちゃんとした映像であればある程度まではその人のアプローチも推察できましょう、という冷静な判断もできる(ちなみに、数年前に日本に代役デビューしたとあるマエストロについては、エージェントが「この動画見てよ」と言ってきた、と聞いた。もうそういう時代なんです、たぶん)。
そんなわけで、今回のクリステル・リーについてもその手順を踏んでみたのだが、なんと今回の公演告知で明記されている、シベリウス国際音楽コンクールに優勝した際の映像がある。おおこれは便利な時代である…と思ったが、どうもテレビの映像をどなたかが流しているもののようで共有するのはちょっと引っかかる。うーん、と思ってもう少し見てみたらありましたよ、彼女がシベリウスの協奏曲を演奏している動画が。
「Finale Violine - Christel Lee (USA) 2. Preis 2013」というそっけないタイトルでは一瞬なんのことかわからないのだけれど、これは2013年に開催されたARDミュンヘン国際音楽コンクールのファイナルの模様で、共演はアントニオ・メンデス指揮バイエルン放送交響楽団。この動画をおいて彼女のキャリアを見直せば、まずは難関で知られたこのコンクールの一位なしでの二位に輝き、その後2015年にシベリウス国際音楽コンクールで優勝、そして現在に至る活躍をしているヴァイオリニストである、ということですね。
彼女の公式サイトを見ると、過去にチョン・キョンファにも師事していたとのことで(併せて田中直子の名も挙げられている)、今回の共演でチョン・ミョンフンの「家族」、音楽家仲間に迎えられるということなのだろう。このキレが良いのにどこかウェットな美音で奏でられるシベリウス、期待したい。
なお、彼女の演奏を他の曲でも聴いてみたい!と思われる方にはこれなんか如何ですか。
ソリストの話が長くなってしまったが、後半のドヴォルザークももちろん注目である。チョン・ミョンフンが今シーズン東京フィルの定期に登場する一度だけの機会に取り上げる、得意中の得意の作曲家なのだから。100周年を飾った演奏会で取り上げたこと、かつてのこども音楽館でも2005年に「新世界との出会い」~ドヴォルザークとガーシュイン~ と題して取り上げている(これはDVD化もされている)。それにかつてウィーン・フィルとも録音しているのだから(3、6~8番、そしてセレナード集)マエストロのドヴォルザーク理解には一家言どころではない説得的なものが期待できよう。東京フィルとの演奏は回を重ねるごとに成熟も極まりつつあり、正直に申し上げるならこのように条件の揃った演奏会について私から言うべきことはない、かもしれない。会場で、その音楽を存分に体験しましょうぞ。
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今回、非常に軽めの内容になっているのは訳がありまして。これをご覧ください、こうなってしまっては事前に案内するのが嫌がらせになってしまうではございませんか!(笑)
あすからの2公演は平日夜公演ですが、すでにチケットをお持ちの皆様はぜひ、万難を排してご来場ください。お待ちしております。#わたし定時で帰ります #わた定 #わたし定時退社してオケ聴きにいくので #鳥肌もの #新世界 pic.twitter.com/PPEfaq08X2— ☀東京フィルハーモニー交響楽団 (@tpo1911) July 17, 2019
そんなわけで、これもまた公式配信のチョン・ミョンフン指揮ドヴォルザークの交響曲第九番の動画で来場できない皆さまにもお楽しみいただこうか、と思います次第。…なんかね、フェニーチェ歌劇場の公式チャンネルはなぜかわからないけれど再生回数が寂しくって(配慮した表現)、演奏の熱さを踏まえるとあまりにも惜しいので。
…なお、これを見て「聴きたかったよコンチクショー」と思われても私にはどうすることもできないのでご容赦のほど。では心ゆくまで演奏をお楽しみください!(責任感のない投げ方)
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