●フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2019 東京交響楽団オープニングコンサート
2019年7月27日(土) 15:00開演
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:ジョナサン・ノット
ピアノ:タマラ・ステファノヴィッチ
管弦楽:東京交響楽団
バリー・グレイ:「ザ・ベスト・オブ・サンダーバード」〜ジョナサン・ノット スペシャル・セレクション(オリジナル・サウンドトラックより)
リゲティ:ピアノ協奏曲
ベートーヴェン:交響曲第一番 ハ長調 Op.21
ノット&東響による先日の定期演奏会はその凄絶なプログラム故に、また時節柄もあってどこか”喪”の儀式の趣があり、そのあともつらつら考えていることがあるのだがそのたびに思い浮かぶフレーズがmemento mori、なのである。死を想え、忘れるな。
そんな重い問いかけから一週間になろうという7/27には、一転してミューザ川崎シンフォニーホール開館以来続く”夏祭り”、フェスタサマーミューザKAWASAKI2019が開幕する。そのオープニングもまた、ノット&東響が務める。では、先日の定期がメメント・モリだったとして、開幕公演は何がテーマになるのだろう?
これは完全に私見だが「Homo ludens」、遊戯する人間がテーマなのではないか、とかって読みをしている。誰にも話を聞いていないし、あくまでプログラムと、その音楽からの想定なので当たり外れとか期待しないでください(おい)。
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ノット監督が幼少期に衝撃を受け、音楽家を目指すきっかけともなったという「サンダーバード」からの音楽を、遊戯のくくりで捉えるのはまあアリでしょう。そしてメインに置かれたベートーヴェンの最初の交響曲はまだ師匠、先人たちの影響下にあった時期の、実に挑戦的な作品であること、その数々の趣向を考えればそうお門違いでもあるまい。では、残ったリゲティのピアノ協奏曲はどうなのか?
先日演奏された、壮絶な「レクイエム」のあとに”リゲティ作品の遊戯性をどうのこうの”と言っても信じてもらえないかもしれない。だがこのピアノ協奏曲は、ポリリズムを駆使したリズムの遊び、ピアノの音色と他の楽器との対比の遊び、そして何より可能性の探求という知的な遊びに満ちている。そこにこそ、新しい音楽の楽しさがある、私はそう信じている(これは後で書くけれど、あんな事件がなければ、私たちはもう少し「レクイエム」の音響にももっと直接に向き合えて、より多くの新たな発見ができただろうと思っている)。
「レクイエム」同様、音楽としては複雑であり難解と言われても仕方ない、演奏もまた至難であろうことが想像できる。ただ、それでもこの作品でリズムの探求をどこまでも掘り下げることは、きっとリゲティにとっても楽しかったものだろうと思う。きっとノット&東響、そしてタマラ・ステファノヴィチは、そんな作品の真価を示してくれるものと大いに期待している。
ノット&東響のファンの皆様にも、これまで縁がなくてコンサートでは聴けなかったという方にも。そしてもちろん、「えっサンダーバードやるんすか」くらいにこの公演を知ったという方にも、ぜひオススメしておきたい。演奏の質は私が保証する(までもないと思うのだけれど)、27日の午後を空けられる方はぜひ、ミューザ川崎シンフォニーホールへ。夏祭りの開幕を飾るこのコンサートをまずはお聴きになっていただきたい、強くそう思う次第である。開演前には、お祭りの開幕を告げる「オープニング・ファンファーレ」もありますので、是非。
※簡単に言いやがってこんちくしょう、リゲティ聴いてみたけど楽しくないぞ!どうなってんだ!と思われた方には、こんな動画はいかがでしょう。…二つとも見ると、予習の時間がコンサートの倍以上になっちゃうんですけどね(笑)。
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