2019年7月26日金曜日

フェスタサマーミューザKAWASAKI2019の聴きどころ その三 ~独奏者を聴く

(承前)これも公演順で紹介を…とも思ったけれど、ここは楽器別で行きましょう。今回、なぜか独唱や合唱を交えた公演がないので、コンサートを華やかに彩る器楽独奏の皆さまについて、多く登場する楽器の演奏者から言及していきます。
なお、お名前からそれぞれのホームページやSNSにリンクしておきます(更新されていればホームページ、そうでなければアクティヴで包括的に情報が見られそうなアカウントと判断できるものを選択しました)。興味を持たれた方はぜひご参照あれ。

まずは5人が登場するピアノから。

1.タマラ・ステファノヴィッチ(7/27 東響)

ノット&東響がリゲティを演奏するのに招かれるピアニスト。わかる人にはこれだけで多くの情報が伝わってしまうのでは?ご自身のアルバムから紹介される作品がこれって時点でもう、ねえ(笑)。



聴いたことあったかな、とか思っていましたが、このアルバムにも参加されていました。なるほど、リゲティの協奏曲を演奏するのに招かれるべき方、なのです。



2.小川典子 (7/28 イッツ・ア・ピアノ・ワールド/新日本フィル)

ミューザ川崎シンフォニーホールのアドバイザーとして会見にも出席して、いくつもの貴重な情報をくれた小川さんは、上岡&新日本フィルとラフマニノフの第二番に登場。同じ日の午前には、子どもたちとの「イッツ・ア・ピアノ・ワールド」にも登場するのだから、7月28日は”小川典子の日”なのである。

小川典子とミューザ川崎シンフォニーホールの歩みの15年の集大成となるリサイタルが9月に開催されることも発表されていて、ますますこのホールとの縁も深まるだろう彼女である。



3.反田恭平 (8/3 原田&N響)

昨今のニュースも話題の彼が、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」とくればそれはチケットの入手が大変に決まっていましたね(手遅れなので多くを語れません)。先日公開された記事は、彼のスタンスを明確に示す興味深いものとお見受けしました。

今後はオーケストラにレーベル運営にと、演奏家としてだけではなく活躍の幅を広げていく模様の音楽家・反田恭平が、ほぼ100年前の”クール”な作品をこのホールでどう聴かせるものか。注目です。
ちなみにもう少し前の時代の作品には、こうアプローチした模様。



4.藤田真央 (8/7 小林&日本フィル)

4月には、秋山和慶の指揮で東響とジョリヴェの協奏曲を演奏した彼、今度は小林研一郎と日フィルとの共演で、いわゆるチャイコンを演奏してくれます。どちらも日本を代表するヴェテランとの共演ですが、秘曲から超がつく名曲へと若きピアニストの才能や感受性が存分に示されるだろう。…という内容をけっこう前に用意していたのだけれど、今では世界が注目するピアニストの一人となった藤田くん、このお祭りでももっとも注目される出演者のひとりとなりました。おめでとう。



5.ジャン・チャクムル (8/12 尾高&東響)

昨年開催された、第10回浜松国際ピアノコンクールの優勝者として、内外での活躍が目覚ましい彼が、お祭りのクロージングに登場です。「完全版 蜂蜜と遠雷 ~若きピアニストたちの18日~」で少しだけ放送されたリストの協奏曲では、共演した東響のメンバーがとてもいい笑顔をしていたのが印象的でした。サマーミューザの記者会見で、このコンクールの審査委員を務めた小川典子は「彼のようなコンテスタント的でない音楽的才能に賞を与えられたことを誇る」といった話もされており、今回のミューザへの登場にも大いに期待したくなるところ。



続いて、二人が登場するチェロ。

1.ジョヴァンニ・ソッリマ (8/6 藤岡&シティ・フィル)

彼の場合、むしろ自作でその名が知られてるんじゃないか?と私は思ってしまうのです。



今回の来日ではこの動画の舞台である、彼のプロジェクト「100チェロ」公演も開催されます。日本のオーケストラにソリストとして客演するのは初めてという彼。曲はドヴォルザーク、正面突破という印象がありますね。鬼才の登場に期待しましょう。

2.古川展生 (8/9 齊藤&昭和音楽大学)

東京都交響楽団の首席奏者として、またクロスオーヴァーユニット「古武道」のプレイヤーとしてジャンルを超えた活躍をする彼が、昭和音楽大学の若者たちとエルガーを演奏します。
今回は学生オーケストラとの共演ということでチケットもお手頃価格ですので、ミューザ入門にもいいかも。



そしてなぜかひとりしか登場しないヴァイオリン、郷古廉が仙台フィルと共演します(8/4)。先だっては東京交響楽団のゲストコンサートマスターとして「名曲全集」にも登場した彼(切れ味がちょっとありすぎたくらいに感じました)が今度はソリストとして川崎の舞台に登場です。この前はカルッツかわさきでしたから、ようやくミューザで聴くことができますね…チャイコフスキーの協奏曲であれば彼の実力も存分に発揮されましょう。



もうひとりの”弦楽器奏者”として、ギターの渡辺香津美を忘れてはいけない(7/30 川瀬&神奈川フィル)。若き日から天才ギタリストとして活躍した彼が、今回はこんなチャレンジをしてくれます。

…このコンサートのため、現在は休酒中でバンドマンのメインイヴェントたるウチアゲですら飲んでいらっしゃらないとか(笑)。期待せずにはいられません。

最後に管楽器。今回は二人のフルート奏者が登場します。
まず30回目のPMFオーケストラと、第16回チャイコフスキー国際音楽コンクール 木管部門優勝のマトヴェィ・デョーミンが共演(いわゆるチャイコンの、管楽器部門最初の木管部門ウィナーということになります)。



そして東京フィルハーモニー交響楽団と共演するフルートの高木綾子(8/11 エッティンガー&東京フィル)。その若き日のクロスオーヴァー的なアルバムでのデビューから、オーケストラにソリストに教鞭にと活躍する今に至る時間を考えるとちょっと気が遠くなりますが、充実した演奏を聴かせてくれるものと期待しています。



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なお、新百合ヶ丘駅からほど近いテアトロ・ジーリオ・ショウワで開催される「出張サマーミューザ@しんゆり」ではピアノ、ヴァイオリンの協奏曲が聴けるんです。出演は戸田弥生(8/3 秋山&東響)、成田達輝菊池洋子(8/10 垣内&神奈川フィル)がメンデルスゾーン、ベートーヴェンの協奏曲を聴かせてくれます。…「出張サマーミューザ@しんゆり」を入れるとヴァイオリニストのほうが多くなっちゃって、この稿の大前提が壊れちゃうことはお気に為さりませぬよう(笑)。

以上簡単に、サマーミューザに登場する独奏者各位をご紹介させていただきました。詳しいコンサートの日程はリンク先でご確認ください

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