2019年7月30日(火) 15:00開演
指揮:川瀬賢太郎
ギター:渡辺香津美
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
ボッケリーニ/ベリオ:マドリードの夜警隊の行進
ロドリーゴ:アランフェス協奏曲
シャブリエ:狂詩曲「スペイン」
ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」 第一組曲、第二組曲
川瀬賢太郎と神奈川フィルは、数多くの公演を通じて音楽ファンの信頼を勝ち得てきた。川瀬の若さを考えれば、レパートリーの拡大と指揮者としての成熟を同時に進めなければならない苦労は相当なものだろうと想像できるけれど、川瀬は若さ故の活力(おじさんの感慨ですみません)、そしてその音楽の魅力で各地で活躍を続けている。頭が下がる思いだ(おじさんの感慨その二)。
そんな川瀬賢太郎と神奈川フィルが、フェスタサマーミューザのために用意してくれた熱いプログラムは、スペインをテーマとしたものだ。といっても、スペイン人二人とイタリア人、フランス人による作品を集めたものだから、そこにはちょっとした「温度差」も感じられるかもしれない。前後半ともに非スペイン人作品→スペイン人作品と並べられていることにも意味がある、のかもしれない。もっとも、川瀬によればこれは過去に取り上げたプログラムに似ているのだとか。8年の時を経て再び取り上げる作品たちからは、川瀬の成長が伝わってくることだろう。
今年のサマーミューザはスペインにスポットを当てたプログラムです。実は名フィルの定期で初めて指揮したプログラムとほとんど一緒なのです!少し違うのは名フィルではシャブリエではなくマーラーの花の章、ファリャは全曲でしたが。なんか色々な事を懐かしみながら勉強してます。髪型変だったなぁとか pic.twitter.com/9j3SRUM32A— 川瀬賢太郎 (@kawaken1229) July 22, 2019
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さて、川瀬くんのかつての髪型で和んだところで(おい)、今回の注目ポイントに話を移します。
アコースティック・ギターで大きな会場のコンサートを行う場合、相応に音を増幅しなければならない。ソロのリサイタルはもちろんそうだし、オーケストラと共演するならば使わなければ音がかき消されてしまう。録音では「増幅されない生の楽器の音で、オーケストラに渡り合うギター」が実現できるが実演ではどうしたってそんなことはできない、もしやりあえる音量をPAで鳴らしちゃったら今度は楽器の持つ個性が消えかねない。そんなせめぎあいを抱えながら、「アランフェス協奏曲」を取り上げる演奏家たちは常にその時どきの回答を示さなければならない。では今回、渡辺香津美と川瀬&神奈川フィルはどうするのか?ここで彼らが今回出した答えは「エレキギターでオーケストラと共演する」というもの。
【フェスタサマーミューザ】7月30日(火)はミューザ川崎でのフェスタサマーミューザ。先日の東京文化会館での村治佳織さん公演でも「アランフェス協奏曲、フルアコで弾くんですか驚」との声多数。指揮:川瀬賢太郎、神奈川フィルとの共演によるフルアコ版、お楽しみに!https://t.co/6agVKyGnjm…— 渡辺香津美通信-Kazumi News (@KW45_Matsuri) July 19, 2019
このツイートを見て「フルアコ」の指すものがよくわからなかった同輩の皆さま、リンク先の記事をご覧になってみてくださいませ(YAMAHA 楽器解体新書の「エレキギター」の項)。「屋外や大ホールでも充分な音量が出せるように、生ギターにピックアップを付けた」のが、最初のエレキギターである「フルアコースティックギター(フルアコ)」で、これはアコースティックギター同様に楽器のボディ部分は空洞です。対して一般的に私たちがイメージするエレキギターは「ソリッド」でボディに共鳴用の空洞がないもの。そしてその中間には「セミアコースティック」(ボディの中央に芯材が詰まっていて両サイドに共鳴スペースがあるもの)、とエレキギターにも大きく三つの種類があり、今回はその中で「フルアコ」を使用する、ということです。
…これ以上の解説はさすがに蛇足というものでしょう。あとはミューザ川崎シンフォニーホールで「エレキギターによるアランフェス」を堪能するといたしましょう。
なお、この日から「音と科学の実験室 夏ラボ!」も始まり、コンサート以外のお楽しみも増えてますますフェスタサマーミューザは夏祭り気分が高まります。どうですか皆さま、酷暑を避けてサマーミューザを一日満喫するのは。
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