またしても訃報が届いてしまいました。
●Zemřel šéfdirigent České filharmonie Jiří Bělohlávek, bylo mu 71 let
敬意を表してチェコの通信社へのリンクをまずは用意しました。1946年生まれのチェコのマエストロ、イルジー・ビエロフラーヴェクが亡くなられた、とのことです。彼が音楽監督を務めていたチェコ・フィルハーモニー管弦楽団も、このように伝えております。
We are deeply saddened to announce that Maestro Jiří Bělohlávek, Chief Conductor and Music Director of CP, passed away earlier this morning. pic.twitter.com/hqA7bztI0R— Czech Philharmonic (@CzechPhil) 2017年6月1日
最近続いた訃報の多くは、WWII前の生まれの方々の、大往生と感じられるものが多かった分だけ、この訃報は衝撃的なものに思われます。合掌。
近影はこのような感じだったのですね。この秋にも来日の予定でしたのに。
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私が彼を知った頃は、まだ若手扱いだったような気がします。チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演ではヴァーツラフ・ノイマンのアシストのような感じで帯同してくる二番手というか、後継者候補なのかな?という感じでした。それは80年代の終わりのことで、いま年齢を考えれば当時の彼は40代、対してノイマンは60代だったのだから、この受け取りは自然なことではありましょう。ブルノ、プラハ(交響楽団)で活躍していた、というのも二番手っぽい印象を与えたところがあったかも、しれません。たぶん初めて聴いた彼の演奏は、その頃のレコーディングでマルティヌーのバレエ「この世で一番強い者」だったのではないかな、と思います。
その後冷戦が終わって彼はチェコ・フィルのポストに就くのだけれど、オーケストラはそれまでの自国出身者を首席指揮者に据える体制を変えた時期があって(読響のポストも務めたゲルト・アルブレヒトが就任していた時期をご記憶の方も多いでしょう)、彼のキャリアは私以外の多くのクラシック音楽ファンも予想したような”チェコを代表する音楽家として、チェコ・フィルとともに成熟していく”道のりではなくなりました。
とはいえ、その頃には彼も50代に差し掛かろうという時期ですから、チェコ・フィルからの退任は同時に彼の国際的キャリアの本格的な始まりでもあった、とも言えましょう。BBC交響楽団との仕事は、2007年のプロムスで”英国人以外で最初のラスト・ナイト指揮者”となったことで歴史に残りますし、METやグラインドボーンでの仕事も記憶に残り続けることでしょう。
日本でも、1974年の初来日以来共演を重ねて首席客演指揮者をも務めた日本フィルハーモニー交響楽団での活躍などもありました。
2013年3月の、ドバイへのツアーの際に収録されたゲネプロでしょうか、スメタナの「わが祖国」より「ヴルタヴァ(モルダウ)」です。これを見る限りでは、引き締まったテンポでよく歌わせる彼らしい演奏をされていますから、この訃報にはやはり早すぎる、との思いを抱かざるを得ません。あらためて、合掌。
ではご案内は以上といたします。ではまた、ごきげんよう。
※追記。文中でも触れました、この秋に予定されているチェコ・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演は、ペトル・アルトリフテル(アルトリヒテル)が指揮をする、と招聘元ジャパンアーツより発表されました。
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