さて。フェスタサマーミューザKAWASAKI2019の初日から最終日まで、連日予告編を書きました。すでにお気づきの方もいらっしゃることでしょうけれど、私が予告を書くのは基本的に「自分が聴きに行く」ことが前提です。ですが今回、地元のお祭り(おい)のため禁を破っていくつか伺えない公演について書いています(時間がかぶっていた、所用など事情あったのだから仕方がないのですが)、それでも休演日と音大の皆さんの公演を除いて、連日なにかしら聴きました。二つの音大の皆さんにはテアトロジーリオ・ショウワと前田ホールで会えるから許してください。あと、しんゆりからでは移動不可だったため聴けなかった我らが公共放送響とは、テレビで会えますので(おーい)。
ええ、そんなわけですから期間中毎日のように川崎駅にほど近いミューザ川崎シンフォニーホールまで通っていました。通いましたとも。終わった今はもうヘロヘロです。暑さの中でも足裏から伝わる地熱が本当に辛くて、心底ホールに住みたかったのですが(切望)、もちろんそんなわけにもいかないので路線を乗り継いで連日通いました、ノット&東響のオープニングから、尾高忠明と東響によるクロージングまで。ただし今回、さすがにリハーサルは行けませんでしたし一日一公演限定でした、それ以上の体力は私にはなかった(笑)。
初日の終演後、なかなか帰る気になれずにこんな時間になってから撮りました。
実は私もこれを船の舳先のように感じて、二週間ちょっとの航海の安全を祈ったことでしたわ…
楽ではなかったけれど、一時期に同じ会場で、複数の音楽家の演奏を聴くことには大きなメリットがあったな、と感じています。ちなみにデメリットは「さすがにこれだけ聴くと心底疲れるっす」くらいなので、あえて言うまでもないでしょう(笑)。
演奏における条件が揃うことで、それぞれの音楽家が持っている音のイメージの違いが際立つものだ、と日々感じておりました。コミュニケーションスタイルの違い、身振り、表情…etc等など、それらすべてが同じ場に並ぶことで、比較する気がなくとも違いとして伝わってくる。
そうそう、ステージマナーもそうだ。入場から終演まで、これは無心に比べていました。書く機会もない話なのでここで書いておきますね。個人的にはコンサートマスターの入場タイミングで拍手するだけで良いんじゃないかな、と普段は思っているのですが、今回はメンバーが出揃うまで拍手が続く歓迎ムードで、私も抗わずにそれに参加しておりました。その出迎え方は、今回のフェスタサマーミューザの雰囲気を良いものにしていたと感じておりますよ。休館明けということもあったのでしょう、このホールで音楽を連日楽しめることのありがたみはいつも以上に感じていましたし。
本題に戻ります。もちろん、たとえばオーケストラそれぞれの音の違いは、複数の会場で、長い間を空けて聴いたとしてもわかるけれど(その程度のことなら放送でもわかる)、これだけの音響のホールで続けざまに聴くことは、嫌でも聴き比べの性格を持ってしまう。考えていなくても「昨日は…おとといはこうだったな」と頭をよぎる。そのときに聴いている個々の音楽はそれぞれに愉しんだ、そのうえで、どうしてもそういう感慨が残る、という話です。
自分としては、たとえ同じ曲を近い期間で聴くとしてもそういう比較を第一義とすることはありません。そんな私でも、こうも連日眼の前で力の入った演奏が展開されれば、厭でも思いますよ、「この指揮者とはこうなるのか」「その指揮にそう反応するの?」「そこで…」「あれは…」等など。そんなちょっとした発見や思いつき、感じ方が、いつかまた別の演奏をより面白く楽しませてくれる、私はこれまでの経験からそう信じている。今年のフェスタサマーミューザKAWASAKIは、そんな自分だけの“抽斗”をたくさん増やしてくれた。心から感謝します。
このメリットは、毎年変わらぬサマーミューザの魅力の一つと思えるので、来年も川向こうの世界的大運動会よりこっちのほうが楽しいですよ、と言っておこう。だって、こっちは冷房効いてますから、安全ですよ(おい)。
という冗談はさておき(よかった冗談なんだ)、イヴェント全体を振り返ったときの感想はこんな感じです。ではこれから、個別のコンサートについてのレヴューも書いていきます。結果として何故か今年多く聴いてきたロシア・ソヴィエト音楽の聴体験を深め、次につなげるもの※になったなと感じていますので、今年前半に聴いた演奏会のレヴューも並行して仕上げていきます。ご存知ですか皆さん、〆切のない文章って完成しないんですよ(怪談)。
※このあと、東京交響楽団はプロコフィエフの交響曲第四番(改訂版、9月にリオネル・ブランギエと)、ショスタコーヴィチの第一一番(11月に沼尻竜典と)など、注目の演奏会を控えています。年明けてからになりますが、チャイコフスキーの第五番(2020年1月、ベン・グラスバーグと)もありますし。そのあたりはまた別途…
来年に向けてはそうですね、コンサートの映像配信とか放送とか検討されると面白いかなあ、と思い始めています。それこそ公共放送様が4K用のコンテンツとするのもよし、地元tvkが配信込みで担当するもよし、三方一両得なのでは。…なんて、ただの思いつきですけれど、仙台フィルの登場でひとつあり方が変わったフェスタサマーミューザ、どんどん攻めて成長してくれたらこんなに嬉しいことはありません。
さてPLAYBACKの本編は、聴いた公演のレヴューの形になります。もっとも、そのうち二つは公式に「ほぼ日刊フェスタサマーミューザ」に寄稿していますので、どう扱ったものか考え中ですが。そうそう、どちらも裏面掲載なので皆さんお手元の裏面もチェックしてね!(今さらか)。開幕公演がアレなので(いい意味で)、ちょっと手はかかると思いますが気長にお待ちいただければ幸いです(サマーミューザ以前の公演もいい加減お出ししたいので…)。
では予告はおしまい、また近日お会いしましょう。
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