2017年5月18日木曜日

読みました:デイヴィッド・マシューズ「ベンジャミン・ブリテン」

こんにちは。千葉です。
これも読み終わった本のご紹介です。

●デイヴィッド・マシューズ「ベンジャミン・ブリテン」


20世紀最大の音楽家の一人、と言っていいでしょうベンジャミン・ブリテン(1913-1976)について、自分は知っているような知らないようなところがあるな、と前から感じていました。
幾つかの作品はスコアも入手して見ているし、その音楽を聴いた経験なら子どもの頃に授業で聞かされた「青少年のための管弦楽入門」から現在まで数十年にもなろうとしている。ショスタコーヴィチやロストロポーヴィチとの交流や、ピーター・ピアーズとの生涯に渡る関係は知っている、でも彼のキャリアにおいて大きい要素であるオペラは、代表作の「ピーター・グライムズ」以外は明確に認識できていないように感じる、さらに作品の年代がどうも…

そんな私が読むべき本でした、デイヴィッド・マシューズによるブリテンの評伝は。
WWI開戦の前年に生まれ、ベトナムが長い戦争の後統一された年に亡くなったベンジャミン・ブリテンが、どんな時代をどのように生きたのか、そのときどきにどの作品を作ったのか。200ページほどでそれを一望できるコンパクトな本書は、私より詳しい人にはブリテンの生涯について整理ができて、私のように彼に詳しくない人にはブリテンを正しくその時代に定位できる、そしてそもそもブリテンについてよく知らない方には最良のガイドとして、彼の作品へのアプローチを助けてくれることでしょう。
神童として早くから活躍を始め、フランク・ブリッジやアーサー・ベンジャミンに導かれ、マーラーやベルク、シェーンベルクを”発見”して熱狂し、…そんな若き日から、「ポール・バニヤン」(1941)、そして何より「ピーター・グライムズ」(1945)に始まるオペラ時代、そして「戦争レクイエム」(1962初演)で誰もが認める作曲家に、そんな彼の生涯のアウトラインに肉をつけてくれる本書に、私から付け加えるべきことはありません。
…だとあまりにそっけないので、以下にいくつかの動画を貼っておきますね。いちおうは年代順、権利的にOKなものだけで用意しました(と書くことで、そうではないものを示唆する質の悪い言い方)。











本書の末尾には充実した年表、作品リストが添えられておりますので、それを参照してから読むのもいいかもしれません。20世紀音楽の、いわゆる”前衛”ではない作曲家では最も活躍した一人について、没後40年だった昨年のうちにもっと聴けていれば…と思う気持ちはありますが、なにきっとこの先もっと演奏されることでしょうよええ。本書を読んでの認識で次に彼の音楽を体験できる日が来ますように、と祈っておきます、できたらオペラが聴けたら嬉しいな。

「青少年のための管弦楽入門」ってブリテンの代表作として紹介するのはちょっとアレだよね、と長年感じていたことを告白してご紹介はおしまい。ではまた、ごきげんよう。


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