2012年1月18日水曜日

頼れる先生のようでした

こんにちは。千葉です。

今日はグスタフ・レオンハルトの訃報に触れて思うところを少しだけ。

その昔、吹奏楽の人だったからバロックも古典派も、初期ロマン派もどちらかと言うと苦手だったのだけれど、ある時期に突然目覚めたのです、いわゆる古楽演奏によるバッハで。そのきっかけがレオンハルトの演奏だった、というと座りがいいのだけれど、実際にはトレヴァー・ピノック&イングリッシュ・コンサートのブランデンブルク協奏曲と管弦楽組曲でした。今はこんな感じで安くなってるんですね…




音楽の、それもポリフォニックなものの聴き方が一度にわかったように思えた、あの感覚がなければ今の自分はない。そう思えるほどの変化がそこにはありました。作曲された同時代のアプローチを参照する、という方法論にも共感できるところがありましたから、その後は「フランス革命前」の音楽はできるだけ同時代のアプローチを研究、意識している演奏家のものを聴くようになりました。このへんの話、拡げると止まらないので今日はここまで。

自分なりにバロック周辺の音楽を聴くようになったときに、多様多彩なレパートリーとその演奏に対する評価の高さで認識されたのが、クイケンファミリーであり、アーノンクールであり、そしてグスタフ・レオンハルトでした。知らない曲を聞いてみるのなら、まずは彼らの盤にしておけば大丈夫だろう、そんな信頼を持って数多くの作品を教えていただきました。趣味の楽器がテューバである自分がバッハその他の作品を彼らのアプローチを参考に演奏するわけでもないけれど、心持ちとしては「私淑」していたように思います。

ではレファレンス的な、教科書的な演奏ばかりだと思っているかといえばもちろんそうではなく。レパートリーを拡げていく中で勉強にと読んだ本で、これ以外ないと言わんばかりの推薦を受けていたのがこちら。




ラ・プティット・バンド他、充実したメンバーを率いて録音されたマタイ受難曲です。このような真摯な音楽あればこそ、異教徒とさえ言い難い自分でもキリスト教に対する共感を、僅かなりとも持てるようになった、とさえ言えるかもしれません。
齢80を超えての逝去ですから、大往生ではないかと思います。個人的には実演を聴く機会を作らなかったことへのいささかの後悔はあるけれど、これまでに遺していただいた多くの録音などで今後もお世話になり続けることだろう、と感じていますので、これからもなおお世話になるような、どこかリアリティの薄い感じ取りをしています。お疲れ様でした、おやすみなさい、マエストロ。そんな言葉しか出てこない、昨日の今日でありました。

ではまた。


なお、昔読んだ本はこれです。とても勉強になりました。



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