2016年4月25日月曜日

書きました:【訃報】吹奏楽の巨匠、真島俊夫さん

こんにちは。千葉です。

現在大絶賛腑抜け中です。あれだけの演奏会を取材して、公演を聴いて、という二週間は最高に濃厚でした。過去にもフェスティヴァル的なもので多くのコンサートを一度にまとめて聴いたことはありましたけれど、今回は「一人の指揮者、ひとつのオーケストラ」の演奏を集中的に追わせてもらえて、これまでになく疲れ、充実しました。

そのまとめは記事を出してから、こっちでも「後記」的に書きますので、もう少々お待ちください。

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では他の記事の紹介を。

●【訃報】吹奏楽の巨匠、真島俊夫さん

真島敏夫という名前に出会ったのは、コンクールの課題曲でした。当時からドビュッシーが大好きで、「演奏してみたいけれどそれは身の程知らずであろうよ」と感じていた青少年にはもう、文字通りに「福音」でした、課題曲Bの「波の見える風景」。
ちなみに千葉は、今でも改訂版より課題曲ヴァージョンのほうが好きです。

その後の千葉は、どちらかと言えばオーケストラ志向の吹奏楽の人になって、さらに貧乏吹奏楽部の人だったから出来合いの譜面を買うお金もあまりなくて、自力で編曲(というよりも置き換え、アダプトですねあれは)をするしかなくて、Popsもそれほど演奏しなかったから(「テューバいる?エレキベースでいいんじゃね?」と考える、やる気のないテューバ吹きでした)その後はそれほどご縁がなくて。

それでもやはり機会は巡ってくるもので、何か他の曲を聴くために赴いた東京佼成ウインドオーケストラの演奏会で聴いたんですよね、「3つのジャポニスム」。おお、随分と発展しているなと感じたものですよ。ただその時点で千葉はもう演奏する機会がなかったから、それ以上にの拡がりはなく。

それでも。その活躍は聞こえてきたし、彼の訃報には少なからぬ衝撃を受けています。

今も吹奏楽を演奏されている皆さまに、もはや演奏をする人ではない千葉からお願いします。ぜひ、真島俊夫さんの作編曲をこれからもどんどんガンガン演奏してくださいませ。個人的な接触や、共演の機会の思い出より、遺された仕事を愛することのほうがより弔いとしてふさわしいかと思いますので。

以上ご紹介よりもお願いという方が内容的に近い、寄稿した記事のご案内でした。ではまた。


2016年4月23日土曜日

書きました:ジョナサン・ノット&東京交響楽団、今度は声楽作品で魅せる~リハーサルレポート

こんにちは。千葉です。

もう本日の公演の話なので手短に。寄稿した記事の紹介です。

●ジョナサン・ノット&東京交響楽団、今度は声楽作品で魅せる~リハーサルレポート

東京交響楽団創立70周年シーズンの開幕を、新国立劇場に登場する時期とも重なったおかげで連続的に取材させていただきまして、その経験を受けていま、千葉からみんなに言いたいことがありまーす!
(なーにー?←幻聴)

不幸な偶然ではあるのだけれど、いまこのプログラムを聴くことには意味があります。だからお願い、ミューザでもサントリーでもいいので聴きに行ってくださーい!
(たぶんミューザのほうがチケットは買いやすい、今日だけど)

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東京交響楽団について、以前は「プログラムに乗った曲に興味があって、会場に足を運んで裏切られることはほぼない」、そんなオーケストラが近くにあることのありがたさを強く感じていました。このオーケストラの場合、前任のスダーン時代のレパートリー的にモーツァルトなどの古典でいい演奏をしているイメージがあると思うんですが、あの頃だってラヴェルとかなかなかいい演奏してたんですよ?先日共演したキタエンコとのショスタコーヴィチ(第七番)、新国立劇場での「ムツェンスク郡のマクベス夫人」あたりを思い出せばこの認識にも同意いただけるのではないかなと。

ですが最近は、聴いた公演で自分が期待していく以上のものを受け取って帰ってこれる、そんな団体に成長されているように感じます。特に例をあげれば、新国立劇場での「イェヌーファ」、そして今月の定期はいずれもマイ・ベストの列に入れておきたいものでした。今日明日の演奏会もその列に入ってくることでしょう、リハーサル二日目を取材して確信があります。

なので、ですよ。今日なら全席種の当日券が出るとのことですから、ぜひミューザへ。サントリーホールも素晴らしいホールだけれど、彼らが本拠地で作り上げたサウンドをぜひその場で、いわば「産直」状態の音を聴いてみてほしいんです。先日のオペラシティシリーズも含めた感想的なものは後で書きますが、ミューザ川崎シンフォニーホールで聴くジョナサン・ノット&東京交響楽団は最高なんです。

べた褒めで何のひねりもありませんけれど、いまこれだけ状態のいいアンサンブルが、これだけ考えられたプログラムで最高の演奏を聴かせてくれそうなのだから変化球を投げる必要はないでしょう。お時間の都合がつく方、ぜひ。

※追記
大事なことをひとつ忘れていました。今回の公演、字幕はないのでできたら早めにご来場されて、プログラムに記載されている対訳に目を通されるのがよろしいかと。ミューザはまだ客席明るいですけど、サントリーホールは開演中の客席で歌詞を読むのはオススメできませんから。

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ただ、ですね。本日、東京と神奈川ではオーケストラ公演が東響、N響、日本フィル、新日本フィル、読響、神奈フィル、紀尾井シンフォニエッタと同日開催です。そしてオペラが新国立劇場「アンドレア・シェニエ」(オケは東京フィル、寄稿した記事紹介は後日)とアルテリッカしんゆりの「愛の妙薬」(藤原歌劇団公演)があるという、何かの特異日です。なんなんでしょうね、こういうの。>リンク先参照

そんな具合なので、もし「ミューザ川崎シンフォニーホールは無理…」と思われた方は仕方ない、お近くの演奏会にぜひお運びくださいませな。

そうそう、今このときに聴く「ドイツ・レクイエム」は特別なものになると千葉は予感しておりますが、名古屋の合唱団グリーン・エコー様も本日この曲を演奏されます。指揮は広上淳一、オケは名古屋フィル。会場は千葉も一度だけうかがった愛知県芸術劇場コンサートホール。近隣の方はそちらもぜひ。

ということであまり短くもない記事はこれにて。ではミューザ川崎シンフォニーホールで僕と握手!

2016年4月21日木曜日

今日から!

こんにちは。千葉です。

予告です。ジョナサン・ノットと東京交響楽団、次の定期演奏会がこの週末開催です。ということで、先日寄稿した記事に続いて、本日から公演まで取材して次の記事を出します。

コンサートの内容はこちら。

◆東京交響楽団 第55回川崎定期演奏会/第639回定期演奏会


・川崎定期 2016年4月23日(土) 14:00開演 会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
・東京定期 2016年4月24日(日) 14:00開演 会場:サントリーホール 大ホール

出演:

指揮:ジョナサン・ノット

ソプラノ:チェン・レイス
バス・バリトン&語り:クレシミル・ストラジャナッツ
混声合唱:東響コーラス
管弦楽:東京交響楽団

曲目:

シェーンベルク:ワルシャワの生き残り Op.46 ~語り手、男声合唱と管弦楽のための
ベルク:「ルル」組曲
ブラームス:ドイツ・レクイエム Op.45

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先日の東京オペラシティシリーズの感想もまだじゃねえかおい!とお怒りの皆さま、申し訳ないのですがもう少々お待ちください。千葉の都合ではあるけれど、記事との兼ね合いもあるもので。

概略だけ先に言うなら「モダンな作品メインのオケ公演で場内が熱狂するのを見たのはブーレーズフェスティバル(1995)以来、サンフランシスコ・ポリフォニー最高の出来、神戸愉樹美ヴィオラ・ダ・ガンバ合奏団のパーセル最高」です。千葉はリゲティの音楽はピエール・ロラン=エマールのピアノ、ブーレーズやサロネンのいくつかの録音で知っていた程度だったけれど、その奥行きのあるポリフォニーと面を形作るようなパーセルのコントラストが見事で、前半でお腹いっぱいになった方も多かったのでは。

今回はさすがに前半だけでは辛すぎる、厳しいプログラムです。いや、厳しくも今こそ聴くべきプログラム、かな。どこがどう厳しいか、どう聴くべきなのかも記事に書きますが(駄目だこの人←この辺のバランス、まだ手探りなので許してください←甘えてるな、遺憾イカン)。今日のリハを取材して、事前記事を出す予定なので、よろしければそちらでお願いします。

予告が長すぎるのも興ざめです故、ひとまずはこれにて。そろそろ会場入りしなきゃですし(おいてめえ)。ではまた。

2016年4月16日土曜日

書きました:ノット&東響、第3シーズン&創立70周年をいよいよスタート

こんにちは。千葉です。

昨日の推測はむしろ外れてくれてほしかったのですが…
地学のタイムスケールは人間のそれとは相当に違う、巨大としか言い様がないものです。その発現がいつかは残念なことに事後的にしかわかりません。千葉もそれなりに注意して生きていこうと思いますが、中央構造線に近い地域の方はより一層お気をつけてお過ごしくださいませ。

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さて話変わって。また寄稿した記事の話です。

●ノット&東響、第3シーズン&創立70周年をいよいよスタート

昨日一昨日と、ミューザ川崎シンフォニーホールで行われた、今日のコンサートのためのリハーサルをつぶさに見学してまいりました、そのレポートです。

コンサートの内容はリンク先のとおり。その趣向については記事に織り込んで書きましたし、実際の音を除けば書ける分は書き込みました。おかげさまで今ヨレヨレです(笑)。

今回から始まるノット&東響の第3シーズン、聴かないのはあまりにも惜しい。あえて言いますが、「ツァラトゥストラはかく語りき」だけでも、聴く価値があると思える仕上がりですよ。前半のインスタレーション的なプログラムは言わずもがな。

そして次の定期がまた、(あとはまた記事を書く予定)。
では皆さま、オペラシティで僕と握手!※握手会は開催しません

ではまた、ごきげんよう。

2016年4月15日金曜日

書きました:新国立劇場「アンドレア・シェニエ」、名舞台の予感

こんにちは。千葉です。

またしても大地震、中央構造線上にある各地のみなさまはご注意くださいませ。地殻変動のタイムスケールは数百年から万年単位になることを考えれば東北にしてもあの地震以降の地殻活動は終わっていないと考えるべきでしょうし、なんとも日本国の位置は困難な条件のもとにあるわけで。被災された皆さまに、早々に必要な援助が届きますように。

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さて気分を変えて、寄稿した記事の紹介です。

●新国立劇場「アンドレア・シェニエ」、名舞台の予感

昨晩開幕した、新国立劇場「アンドレア・シェニエ」のプレビュー兼リハーサルの小レポートです。

2005年の初演を見た千葉は、この演出に好感を持っているのですが、昨日の上演後の反応を見るにかなり好悪が分かれている模様で。そのあたりは近日レポートで書きますけれど、最近のアニメでなぜか連続して言及されている「革命」の両義性(いいことを求めて悪としか言い様がない、無残な事態に陥る)を象徴的に示していると思うんだけどなあ。ま、そのへんもレポートで詳述します。

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余談です。ちなみに、アニメで最近おもに1968年の「革命」に言及したものとして、「ヤングブラックジャック」「ハルチカ」、そして「コンクリート・レボルティオ」があります。そのどれもを楽しく見たのだけれど、それは千葉が笠井潔を愛読した人だから(いわゆるマイノリティですね、あははははははは)でしょうか。笠井潔の結論には手放しで同意しにくい部分もあるけれど(条件をつければむしろあり)、「革命」というよくわからない、多数のプレイヤーが参加する現象を読むにはいい論考が多いと思うんですけどね。とは言いながら、いまから「テロルの現象学」を再読できるかと問われると、少し自信がない千葉でありました。てへ(かわいくないからやめなさい)。

ではひとまずはこれにて、ごきげんよう。

2016年4月9日土曜日

4月はアーノンクール、ムーティ、バレエ(三題噺をあきらめた

こんにちは。千葉です。

ガソリンのことが気になる人は、誰か個人に執着せず同じ手法が広く使われていないか、それは根の深い問題ではないのか、問題を個人に還元せずに考えましょう。

流出した税金天国じゃなくて避難所、回避先のことが気になって仕方ない人は、この先誰の名前が出てきても同じように問題として指摘を続けましょう。

トランプたんの言動が気になる人は、クルーズたんの言動も確認しましょう。サンダースがサヨクに見える人はクリントンの過去の行動も確認して彼女の立ち位置も抑えましょう。…ってか我々、あの選挙に参加できるわけじゃないんだし、割とどうでもよくないっすか?

などなど、一切踏み込まない、結論だけの前説でした。

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今月はいつもより早くご案内しましょう、公共放送BSの看板番組の予定を。どうだ!(せいぜい1日くらいしか早くないのに威張らなくても…)


●4月11日(月)【4月10日(日)深夜】午前0時50分~

― ニコラウス・アーノンクール追悼特集 ―
・ドキュメンタリー『ミッション・モーツァルト 』
・アーノンクール指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団演奏会
・アーノンクール指揮 ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス演奏会

今年早々に亡くなられた、ニコラウス・アーノンクール追悼特集として、ドキュメンタリとそこで取り上げられたコンサート、そして最後の来日公演の再放送の三本が放送されます。

最初のドキュメンタリー「ミッション・モーツァルト」は、日本語字幕こそないもののドイチュ・ヴェレのサイトで全篇が見られます。ラン・ランと共演したピアノ協奏曲のレコーディングをめぐるものであります。いまどき珍しいセッションレコーディングの内幕、楽しみです。
(もっとも、英語字幕でもある程度はわかりますねこれ)

そして続くウィーン・フィルハーモニー管弦楽団との演奏会は、モーツァルト最後の3つの交響曲を「ひとつながりの作品」として示したことで話題を呼んだものかな、と思ったら2006年11月の来日公演の方でした。この時はブルックナーの方を聴いたなあ(そしてそれが実演を聴けた最後になりました)。
そしてウィーン・コンツェントゥス・ムジクスとの演奏会も来日公演でした、こちらも2006年の公演、NHK音楽祭ですね。こちらもモーツァルト、作品はレクイエム。この時は「メサイア」を(もういい!)
当時録画機器を持っていなかったので千葉は録画必須。
なおですね。月間の番組表に発表されたときには「追悼 1」ってナンバリングされていたので、期待したのですが…(未練がましい)

…そしてさらに余談というか、希望なのですが。この先もクラシック音楽を聴く中で、否応なく向き合うことになるものなので書いておきます。

千葉は、できたら追悼番組を放送してくださる際には最晩年の活動もいいけれど、亡くなって初めて明確に認識されるその人の全盛期をこそ教えてほしいなと思っています。
長い活動の経験が、その人の表現への蓄積として積まれていくクラシック音楽でこのようなことを言うのは不謹慎と怒られるかもしれませんし、クリエイターたるものいつまでも「次回作が最高です」というスタンスでありうるし、それを尊重すべきかもしれないとは思います。それでも、その人の活躍が本格的に始まった時期や、体力・気力ともに充実していた時期の表現には独特の説得力があって、それ故にその人は後年まで尊敬を得て、長く活躍されたのだろう、とも思うのです。
たとえば映画俳優ならば、その年齢に応じた仕事がその人のキャリアを飾ってきたことは誰も否定しないことでしょう。たとえば三國連太郎さんを偲ぶ際に、スーさんさんしか出てこなかったらがっかりしませんか、そんなのは千葉だけですか。亡くなられてすぐには出せなくとも、あとで若き日の作品もちゃんと放送してくれてるじゃありませんか(もっとも、公共放送の映画チームは放送枠が多いからできる面もあるのだとは思うけれど)。

千葉自身の過去の例で言えば、札幌でPMFのリハーサルをした最晩年のバーンスタインを追ったドキュメンタリに感銘をうけたのは確かだけれど、その後数十年に渡る彼の活躍を追うことで多くを学んで、結果として今に至っています(はいそこ、「悪い結果じゃないか」とか言わない)。こういう経験が一般化できるものではないのはわかっていますが、幸いなことにキャリアの初期から数多くの映像、録音が遺されているアーノンクールならば、そのキャリアを映像や録音で振り返ることは容易です。ピエール・ブーレーズもそうでしたが、単純に演奏の良し悪しに還元しきれない功績を遺された方々については、そういった配慮も含めていただけると非常に喜ばしく思う次第であります。ご清聴ありがとうございました。(ブーイング、空き缶が飛び交う中退場)

●4月18日(月)【4月17日(日)深夜】午前0時~

・リッカルド・ムーティ指揮 日伊国交樹立150周年記念コンサート【5.1サラウンド】
・ザルツブルク音楽祭2008 歌劇『オテロ』 【5.1サラウンド】

はい、戻ってまいりました(小芝居禁止)。この週はリッカルド・ムーティ大会ですね。つい先日、3月16日に演奏されたばかりの日伊国交樹立150周年記念コンサート(東京・春・音楽祭の開幕公演)が前半。SNSでは大好評だったので楽しみにしていました。ボーイトの「メフィーストフェレ」、実演でないとわからない部分がありそうでしたからせめて映像で、と思いまして。

そして後半はザルツブルク音楽祭2008の歌劇「オテロ」、ボーイトつながりの選択ですかしら(そこまで絡めなくてよろしい)。ムーティの「オテロ」は来日公演でもやってたかな、と思いましたがスカラ座でしたね。ふむ。

●4月25日(月)【4月24日(日)深夜】午前0時~

・パリ・オペラ座バレエ公演『マノン』【5.1サラウンド】
・パリ・オペラ座バレエ公演 『バレエの夕べ』

最終週はパリ・オペラ座のバレエを二本。千葉にとっては最近まるで手が回らないジャンルになってしまったバレエなので詳しくは書けませぬ。
前半の「マノン」はオーレリ・デュポンのさよなら公演、2015年5月18日の上演。後半はガラの「バレエの夕べ」、2014年10月の上演です。

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動画などは後で追加します。取り急ぎ、お知らせのみ(大見えきった割にしょぼいオチ)。ではまた。

2016年4月6日水曜日

書きました:新国立劇場「ウェルテル」、名唱の饗宴で開幕

こんにちは。千葉です。

えっとですね、靴の調整って大事ですね。あと多分、寝る時の姿勢。簡単にぎっくり腰になって理解しました、私もう若くないのですわ、あはははは。

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そんな前置きはさておいて、寄稿した記事のご紹介を。

●新国立劇場「ウェルテル」、名唱の饗宴で開幕

日曜日、それはまだ私の腰が万全の状態だった遠い昔(おい)。初台の新国立劇場に赴きまして、2016年二本目の新制作、マスネ作曲の歌劇「ウェルテル」を拝見してまいりまして、そのレポートをば書きました次第。

と紹介した後に、あまり付け加えることがない程、自分としては大いに盛って書いております。
子供の頃に読んで(名作は読めって言われますからね。読むべきお歳になってないのにね)、その後今回の上演に備えて読むまでは正直なところ「書簡体小説だったよね」くらいにしか認識していなかった原作小説についてもそれなりに触れていますし、舞台写真も抜粋の動画も入れ込んであります。文中にも書いたことですが、このオペラは「ウェルテルとシャルロット」なのだなあ、というのが比較したうえでの感想です。昔見たDVDの舞台では、若干年齢設定を変えてあったようで、割とソフィーがぐいぐい来る感じを受けたものですが、今回の舞台ではどこまでも二人のドラマに収斂されていきます。

主役二人については見た目も歌もよかったですが、もう少しオケが助けてあげてほしいかな、という気持ちもあります。それだけで、もう二回りくらい緊張感の高い、より良い舞台になるのでは、と思う次第です。今日の公演終わって残りは二公演、その仕上がりや如何に。ぜひ各位お確かめくだされ。

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なんか「ウェルテルに感情移入できない」という声が聞こえた、的な書き込みをどこかで見たのですが、いやはや時代ですね。彼に感情移入しすぎて自殺しちゃった若者がたくさんいた時代もあったと言いますのに。寄稿した文中では「ドン・カルロス」に触れていますが(初演版なのでもちろん五幕版を指しています)、あれくらいきっちりなれ初めを描かないことに「ちょっと難しいかな」と感じてはいました。彼がわがままに横恋慕したわけではない(それとは知らず、他人の婚約者に恋してしまった、いわばタイミングの問題でしかない)ことが伝わるかどうか、といえばおわかりいただけますでしょうか。そこさえ伝わっていれば、あとはどうにでもなるように思うのですけれど。

では、小説のほうはどうなのか?と読めばヴェルター一人称だから(書簡ですからね)ロッテの心情は明確にはわからない。だからなれ初めは同じでもヴェルターが一人空回っているのかそれとも?という部分は明示されないまま結末に至るのです。あかんこれじゃますますヴェルターくんが嫌われちゃう(笑)。なお、文中に書いたとおり、書簡の体でゲーテの思索や当時の社会批判を入れ込んでありますので、古めかしくはあるけれど読めば面白いですよ、「若きヴェルターの悩み」。

とりあえずご紹介はここまで。ではまた、ごきげんよう。