2014年12月28日日曜日

なに年末年始にオペラがないだとう…

こんにちは。千葉です。

あのう、期待していた年末年始の連続オペラ放送、ないみたいなんですよ。公共放送さん。クラシックがお好きと自称して小遣い稼ぎの本まで出したハンドレッ田とかに払うギャラで今からでも権利買ってこいよこら、などとは言いませんけれど(書いてる書いてる)、正直失望しました。来月のプレミアムシアターもなんかなんていうか、なラインナップでがっかりしている最中でしたので、この仕打は身に沁みます(おおげさな紋切り型)

*************

それで沈んだまま年末年始を過ごすのも業腹である、と考えまして、今年最後の更新は年末年始のクラシック番組、民放BSも交えた番組紹介だよ!この後すぐ放送のやつもあるけど許してね~(今思いついたネタなので態度がゆるい)では早速紹介へ。

・2014サイトウ・キネン・フェスティバル オーケストラ・コンサート BS朝日 12月28日 17:30~

「最後の」サイトウ・キネン・フェスティバルから、小澤征爾が指揮したベルリオーズの幻想交響曲、その他を。「ファルスタッフ」もBSプレミアムで放送されてますから、「最後の」フェスティバルはそれなりに記録は残ったのだなあ、などとぼんやり考える次第。

・N響 第九演奏会 12月31日 Eテレ 20:00~

Eテレの年末番組と言ったら恒例のこれ、ですよね(決めつけ)。
お決まりにすぎる年末の第九ではありますがフランソワ・グザヴィエ・ロトを招いた第九、ということで気になってました。ノリントンを受け入れて幅が拡がった我らが放送交響楽団の音楽は如何に、的な。
Twitterで拾ったコンサートの感想だと「三楽章までが聴きどころであとはお決まり」(笑)みたいな印象を受けましたがさて。

・クラシック・ハイライト 2014 Eテレ  12月31日 21:20~

Eテレの年末番組と言ったら恒例のこれ、ですよね(決めつけ二回目)。
基本的には放送された(または近日放送される)番組の抜粋で振り返る2014年、です。細切れなのがな~、なんて思う気持ちもあるのですけれど、民放やヴァルトブルクやニュルンベルクじゃない歌合戦に居場所を見つけられなかったときは悪くないかなと思います次第。

・東急ジルベスターコンサート2014-2015 BSジャパン 12月31日 23:30~

いま地方にいる千葉は全国区放送優先ということで、あえてBSをリンク先にしましたが(笑)、これも恒例、カウントダウンでおなじみオーチャードホールでのテレビ東京の年越しコンサートですね。今年の指揮者は山田和樹。ハイライトの方にも少し出るみたいです(スイス・ロマンド管の来日公演から、大進との協奏曲抜粋)。前に友人とは「ダフニスとクロエ」の最後で調整かな、とかプログラムを見て話していましたが「来年が記念年(生誕150年)のシベリウスで年越し」が正解でした。嗚呼そうですね、であります。

…おなじみといえばあの西暦年メガネの方、2010年からそろそろ厳しいんじゃないかなって毎年気になってしまいますが如何?(笑)

・ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2015 Eテレ 1月1日 19:00~

年始の恒例といえばまあ、これに尽きるわけではありますが。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサート、指揮はズービン・メータであります。

…えっと、あの、ほかに書くべきことがありません。お決まり進行を存分にお楽しみください(笑)。

・奇跡のピアニスト 辻井伸行 ビートルズの街で弾く至高の旋律 BS朝日 1月1日 21:00~

1月にロイヤル・リヴァプール・フィルと共演する(リンク先など参照くださいな)辻井伸行が、来日公演に先行して行ったリヴァプール公演の模様などをお送りする番組、ってことかな。

ちなみに共演するヴァシリー・ペトレンコ、再放送だけどオスロ・フィルハーモニー管弦楽団との来日公演が1月2日にBSフジで放送されますよ。リヴァプール・フィルとの交響曲全集を完結させたショスタコーヴィチがメイン、なかなかの演奏だったかと。


・新春クラシックスペシャル2015「雅唱!森麻季 ~ドイツ伝統の響きに包まれて~」 朝日放送 1月3日 4:25~

これはたぶん各地の朝日系民放が放送するだろう、ということでいちおうご紹介。ドレスデン国立歌劇場室内管弦楽団の来日公演(おそらく大阪、フェスティバルホールかな)のものを。
にしても。別にいいけど、雅唱、ですか…

・パリ祭記念コンサート~エッフェル塔に響く平和の調べ~ BS11 1月3日 12:00~

これは前にBSプレミアムで放送されたものと同じではありますが、日頃アニメで本当にお世話になっているBS11さんが放送してくれるというなら喜んで紹介させていただくわけです。この先ショップ枠減らすときに(そう遠くない時期に指導が強まると予想しています)定期的なクラシック枠を作ってくれたりしないかなあ…(下心ダダ漏れ)

すでに見ちゃった方もほら、「これからコンセルトヘボウ管のシェフになる」人だと思ってダニエレ・ガッティをきっちり見る機会、ってことでどうすか?(笑)

・NHKニューイヤーオペラコンサート Eテレ 1月3日 19:00~

これも恒例(58回目)、オペラアリアによるニューイヤーコンサートです。今年はバッハ・コレギウム・ジャパンが出演するようなので(プログラムから察するにヘンデルを演奏するのでしょう)、個人的なポイントはそこでありますなあ。

*************

ざっと拾った感じだとこんなもんですかしら。抜けはあると思うので各位ご参考まで、ということで。

以上、「おいおいベルリンのジルヴェスターはどうなってんだよこらさっさと放送スケジュール決めろやいつまでも新年が迎えられねえだろこの放送屋こら」なんて思ったりするわけもない、千葉の年内最後の更新でした。
皆さまの2015年が少しでもより好ましいものでありますようお祈りしつつ。また来年。

※12/31 追記。「BS世界のドキュメンタリー」がまとめて再放送されておりまして、その中に「ピアノマニア」がありました。1月3日 24:00~の放送。今度こそ年内最後、皆さまの健康をお祈りいたします。

2014年12月14日日曜日

12月の、というか毎度のお決まりで〆る

こんにちは。千葉です。

いろいろ言いたいことはある今日だけれど、そこは抑えて(時間の都合)、さっさと本題へ。

*************

なんだよ今月は一回しかないんか、とこの前まで更新されていないサイトを見て思っていた私ですが、本日になって「そういえばTwitterとかで予告されていたなこれ」という演目が追加されていることに気づき、慌てて更新している次第であります。この混迷の一年を予告するかのように元旦に「八甲田山」を放送した公共放送様の音楽部門看板番組プレミアムシアター、今月は「お決まり」大会でございます。


●12月15日(月)【12月14日(日)深夜】午前0時~3時10分

・プロムス2014 ラスト・ナイト・コンサート【5.1chサラウンド】

これはもう、曲目も構成も何もかもがお決まりづくしの英国の愛国的音楽祭プロムス様の最終公演、ラストナイトですよ。9月13日の公演。今年はBBCによる公式配信もかなり充実していた記憶がありますので、すでにご覧になられた方も多い、でしょうか。今年はサカリ・オラモの指揮(一部ヴァイオリンも演奏している模様)、「メリーポピンズ」からの曲も取り上げられてたりしますよ。

でもまあ、毎度のことなんで。個人的には序曲「ピータールー」、タヴナーにラヴェルの「ツィガーヌ」が聴ければいいかなあ…(ジャニーヌ・ヤンセン、けっこう好きです。気負わずさらっと同時代アプローチ的なヴィヴァルディを録音しちゃうあたり、1978年生まれの世代感を受け取ったりしてるのです)

とりあえず放送前ではございますが、お決まりの「威風堂々」はこんな感じだったのよ、ということで。



●12月22日(月)【12月21日(日)深夜】午前0時5分~4時5分

・モーリス・ベジャール振付 ベートーヴェン:第九交響曲&ミニドキュメンタリー
・ウィーン・フォルクスオーパー日本公演 喜歌劇『メリー・ウィドー』【5.1chサラウンド】

そして年内最後の回はあれか、NBS祭りか(笑)。今年11月のベジャール・バレエの公演と、2012年のウィーン・フォルクスオーパーの公演、二本立て四時間のコースです。

東京バレエ団にベジャール・バレエ、そしてメータ指揮するイスラエル・フィルほかによるベートーヴェンの交響曲第九番、ってのはいちおう年末のお決まりということですよ、よろしいか諸君(笑)。

にしても、ですよ。ニーチェの「悲劇の誕生」が発想のもとにある、ベートーヴェンの交響曲第九番の舞台化、ってのはなんですか、そこにワーグナーをつい感じてしまうんだけど気のせいかな。このオケなのに(以下自重)。
人生で最初に見たバレエがベジャールのものだった千葉としては、放送響のお決まり公演よりずっと楽しみな放送になりますから、見る前に決め付けるのはこのへんでやめておきますね(笑)。



後半のウィーン・フォルクスオーパーの公演は、オペレッタと言ったらこれか「こうもり」でしょうなあ、と誰もが思ってしまうだろう「メリー・ウィドウ」です。再放送。
毎年ニューイヤーコンサートのためにオケとバレエは来日しているものの、その舞台を実際に見るのはウィーンに旅行でもしない限リそうないのでは。千葉は最初の放送当時録画できる状態ではなかったので、喜んでこの再放送を見ますよ、未だにこのオペラと言ったらヒッチコックの「疑惑の影」なもんで早々に上書きの必要があるんすよ(笑)。

なお、本公演は三幕の本作品を二部構成にした演出で上演したものだそうです。ふむ。2012年5月、最近リニューアルした東京文化会館での公演です。

*************

で、ですよ。あのう、年末年始には公共放送BSプレミアムはオペラの連続放送をしてくれるものだと決めつけて、日夜一所懸命にハードディスクを空けているのですが、未だ公共放送さまの告知はない。実はその発表があったら併せて更新しようと思っていたのに(実は本当です、言い訳なし)。
あのう、スカラでもMETでもいいから、やってくれませんかねえ、っていうかできたらMETの「ニクソン・イン・チャイナ」やってくれませんかお願いします(リクエスト)。狂乱の「I'm Wife of Mao Tse-Tung」が流れる公共放送、最高だと思うんだけどなあ…(偏った意見)

願望の表明はこのへんで、ひとまずご案内はおしまいです。ではまた。

 

2014年11月6日木曜日

150、100、450(200)、300+α

こんにちは。千葉です。

またしても復帰がこの記事になってしまった…ええいままよ!更新をする!(「Gのレコンギスタ」でなにかの蓋が開きかけてる人)
有能な公共放送さまの文化部応援記事、はっじまるよー!(どこは才能がない、とか言わないよ)

*************

さて。今月のプレミアムシアターは一言でまとめますならかなり直球のアニヴァーサリー・イヤー祭り、です(そこはかとなく重複してる感)。前置きは省いてさっさと個別の予定紹介に行きますね。


●11月10日(月)【11月9日(日)深夜】午前0時~3時50分

・ザルツブルグ音楽祭2014 歌劇『ばらの騎士』【5.1chサラウンド】

今年8月14日の上演、演出はハリー・クプファー。今シーズンの新国立劇場開幕公演「パルジファル」も彼の演出でしたね、そういえば。個人的には彼のこと、バレンボイムが指揮したバイロイトの「リング」の演出で知った遠い記憶が…また放送してくれないかなあ、もしくは新しいリセウのやつでもいいっすよ?(調子がいい←別に音程がいいわけではない)
(そしてなぜか伴って呼び出される、熱心なファンによるオットー・シェンク演出の舞台写真を示しての「これが正しいリングなんです!」活動←それは別の舞台の話、なんでしたっけ)

オーケストラはザルツブルク音楽祭ですからもちろんウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、そして指揮は先日国立歌劇場ポストの辞任を発表した(…)フランツ・ウェルザー=メストです。
なんかコメントしにくいなあ…(笑)ともあれ、正調「薔薇の騎士」が楽しめるのだろう、とポジティヴに期待しておきますね。オフィシャルのトレイラーはこちら。



●11月17日(月)【11月16日(日)深夜】午前0時~4時

・アルゲリッチ&バレンボイム ピアノ・デュオ・コンサート【5.1chサラウンド】
・五嶋みどり&ズービン・メータ指揮 ミュンヘン・フィル演奏会【5.1chサラウンド】


この日前半は押しも押されもせぬ大ピアニストおふたりの共演ということで話題になったコンサート。千葉がグダグダと言うこともないでしょう、素直に期待します。



後半は再放送ですね。
…たしかに見たはずなんだけど正直あまり強い印象のないコンサートです(不躾ですみません、たしか楽しみにしてたヒンデミットがピンとこなかった、ような)。
先日の「プロフェッショナル」で五嶋みどりを知った皆さんはこの機会に抜粋ではない、フルサイズで彼女の演奏を聴かれてはいかがかしら?なお「プロフェッショナル」は本日11/6の深夜に再放送があるわよ(さりげなく公共放送さまのアシストをしてみた←全然さりげなくない)。そうそう、ズービン・メータは来日中なんですよね(それはとりとめないし話が広がらない)。


●11月24日(月)【11月23日(日)深夜】午前0時~4時

・サン・カルロ劇場 歌劇「オテロ」【5.1chサラウンド】
・歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」【5.1chサラウンド】

前半はシェイクスピア生誕450年ということで、サン・カルロ劇場によるヴェルディの歌劇「オテロ」を。部分的にカットはあるけど、ほとんどそのまんま「オセロウ」ですからね、本作。アッリーゴ・ボーイトは真面目だなあ…(※「ファルスタッフ」ともども彼の台本です)いや、最晩年になっても台本へのダメ出しが執拗なヴェルディが「どんだけシェイクスピア好きなんだよ」ってことかしら(笑)。

ヴェルディ・イヤーは誕生日からはじめなきゃいかんでしょ、とネッロ・サンティが言っていたことを思い出すならば、この上演はヴェルディ・イヤーのくくりにも入るのでしょう、一石二鳥かな?(作曲者と同国のマエストロによる、妥当な見解だと認識してます。そしてもちろん、ビジネス上の理由もあって早いうちから仕込み、キリの良い所で煽るのも理解はできます)と書いてきて、あれだけ盛り上げようとしていたヴェルディとワーグナーの生誕200年の、後にはなにか残るのか?と俄然気になってきました(けれど掘り下げない、いやむしろ率直に言って掘り下げられない。無力である、無念)。

指揮は東京交響楽団にも客演しているニコラ・ルイゾッティ。オペラでの仕事がいくつも収録、放送されるこの感じ、近いうちにそれなりのポストを得るのかしらん。コンサートもオペラも振れてなんぼ、って見方をするならば、彼はコンサートではすでにベルリン・フィルにも登場してるし、オペラならこの公演の他にもスカラでの「ナブッコ」が過去に放送されてもいますから(その程度の評価はすでに受けている、くらいの読みですよ)、けっこう、なんてね(希望的観測)。今年4月13日の上演です。



後半は再放送で、映像作品として再構成された(生の舞台ではない)グルックの「オルフェオとエウリディーチェ」。個人的には演奏、歌唱に見せ方含めてなかなか好ましい作品だったので、前回5月の放送を見逃された方はせっかくですからこの機会に千葉の大好きな「オテロ」ともどもお楽しみあれ(どれかひとつ、と言われると選ばないかもですが、ヴェルディの好きな作品三つなら外れることはないでしょう、「オテロ」)。なお、この「オルフェオとエウリディーチェ」はウィーン版による演奏ですので、有名な「妖精の踊り」はありません(パリでの上演に際して追加された部分なので)。あしからず。


*************

ということで記事のタイトルは「リヒャルト・シュトラウス生誕150年」「春の祭典初演から100年」「シェイクスピア生誕450年(&ヴェルディ生誕200年)」「グルック生誕300年」+アルファ(五嶋みどり&ズービン・メータによるコンサート)、でした。ではまた。

 

2014年10月12日日曜日

ああ、オペラが始まるね…

こんにちは。千葉です。

まあ、なんですか、通常営業です(もうダメだ)。今晩からの放送ですがご容赦のほど、公共放送文化部の誇り、プレミアムシアター10月の予定を以下に。

**************

●10月13日(月)【10月12日(日)深夜】午前0時20分~4時

小澤征爾&2014サイトウ・キネン・フェスティバル松本


リンク先はフェスティバルのサイトです←名前変わるとどうなるのか、という悪趣味な興味(文句は言わないからアーカイヴはちゃんとしてくださいお願いします)。ええ、ご存知来年から名称変更のフェスティヴァル、現在の名前では最終年となった今年の演奏会とトークでお送りする、模様です。

まずは小澤征爾とピーター・バラカンのトーク、そしてマエストロが指揮したコンサートからメイン曲の「幻想交響曲」、そしてこのフェスティバルでの最後のオペラになるかもしれない、ヴェルディの最後のオペラである「ファルスタッフ」をファビオ・ルイージで。うん、こういう構成になるんだよね、知ってる。

…さらに続けて文句の一つも言いたくなるけれど。先日、放送時間はほんの短いものだったけど、ニュース23で危機感を表明されたマエストロへのインタヴュアーに、先日インターFMの番組を訳あって降ろされたピーター・バラカンさんを持ってきた文化部、ナイス。
このキレッキレの判断ができるなら、何かが致命的に一線を越える日にはきっと「神々の黄昏」を昼から流してくれるに違いないぞ(それはあかん←っていうかその日が来ませんように)。

一個だけ、この機会にしか言えないから苦言を呈しておこうかな。フェスティバルの国際化がどうこう、というなら、せめてその活動が世界から見えるように、国内でのテレビ放送や商品販売以外にも、動画や音声の配信をする努力をすべきだと思うんすよ。公式に流さないと口コミで広げるのも難しいし(遵法意識が少しでもあれば当然ためらいますもん、誰かさんがかってに流してるのを紹介するのは)。
ためしにYouTubeで検索してみてくださいな「saito kinen」で。国際的に存在感がないのは、そういう目配りの問題だと思いますよ。英語版のサイトを一所懸命に作る以上に、「今年のコンテンツはこんなだったんよ」って見せて聴かせるほうが、よっぽど伝わりますって。まあ、見やすさよりデザインを凝りすぎてしまった感の否めないサイトもどうかと思うんだけど。新しいフェスティヴァルの成功のためにも、ぜひご一考いただきたいわね(偉そう)。

●10月20日(月)【10月19日(日)深夜】午前0時20分~4時20分

バイロイト音楽祭2014 歌劇『タンホイザー』【5.1chサラウンド】

ほう今年のバイロイトか、最近は上演から放送までのサイクルが早くなってきて、たくさんの「いいね!」をあげたくなっちゃうね!…と思ったけど、この舞台か…まあ、見てみます。はい。指揮はドイツ・ラインオペラのマイスター、アクセル・コーバーですって(メモメモですう)。



●10月27日(月)【10月26日(日)深夜】午前0時50分~

グラインドボーン音楽祭80周年記念
・グラインドボーン音楽祭2014 歌劇『椿姫』【5.1chサラウンド】
・グラインドボーン音楽祭2014 創立80周年ドキュメンタリー

なんだこの構成やればできるんじゃないか!という文句はおいておいて(天に唾する系男子)。
グラインドボーンも80年ですかあ、と思ってYouTubeで検索するとほら、こんな感じですよ?どうですか?(またしても偉そう)



まあ、これはツアーになるプロダクションだから、ということもあるみたいではありますが、こうして「うちらこんなことやってますんよ」って示すこと、それに簡単にアクセスできること、ことさらに敷居を意識されがちなクラシックでは絶対に必要ですよ、皆さま。

*************

と、今日は一貫して偉そうな千葉でした。こうして全編を放送してくれる番組があることのありがたさはいつも書いているとおりなのですが、今は「ここに選んでもらえなかったら発信できない時代ではない」ということを感じる今日このごろだったので、つい。

先ほどの「ためしに検索」、例えば先日悲しいお報せが世界に届いたローマ歌劇場について、「Opera di Roma」で検索してみてもわかると思うんです。
知られてないものは求められることもない、それがわかっているからベルリン・フィルハーモニーはあんなに発信に熱心なのだと思うのですよ。もちろん、ビジネスとして既存のものより有効にできるポジションに彼らはいるのだけれど、それでも彼ら以上にネットで発信している世界的団体はそうはありませんでしょう?まあ、Twitterなんかだとちょっとやり過ぎに思える時もあって、程度問題というのはあるかなと感じることもあるのですけれど(笑)。

*************

なお。この記事のタイトルは「秋の夜長にはオペラよね」という凡庸な一般論に加えて、もちろん我が国の国立歌劇場のシーズンが始まったなあ、と風の噂に聞いたことをも指すわけであります、が。我が国立歌劇場にはそもそも自前の管弦楽団が存在しない、つまりローマ歌劇場がこれから直面するガッカリ状況がその発足からずっと常態であるのだ、ということをあらためて指摘しておきます。東響はともかくとして、関東圏だけでも一日に数カ所で演奏をしてしまう(その内の一つは定期演奏会だったりする!)あの団体をピットに入れているうちはある線を超えて向上することは、まずないんじゃないのかな、国立歌劇場。
もう聴きに行けないだろう千葉の意見ですから、これが将来的にイソップのぶどうになってくれるならむしろ幸いなことであります、我らが国立歌劇場に未来あれ。

*************

では本日はここまで。
べ、別に教えてあげたいってことでもないんだけど、今晩はクラシック音楽館も要チェックなんだからね!(この前の台風の影響で音声が飛び飛びになった前回の再放送も告げられてますよ)ではでは。

2014年8月31日日曜日

九月は八月のつづき

こんにちは。千葉です。

開幕公演だけでもベルリン・フィルのライヴが見られる幸せたるや。にしてもあれですかね、団員の世代交代が進みつつありますかしら、あのオーケストラ。なんか考えちゃいますわ…

*************

さてもう日が昇りそうなのでサクサクと紹介しますよ、公共放送の看板番組9月の予定

●9月1日(月)【8月31日(日)深夜】午前0時~3時52分
・カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ 生誕300年記念コンサート 【5.1chサラウンド】
・アーノンクール指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 演奏『荘厳ミサ曲』 【5.1chサラウンド】

今年はヨーハン・ゼバスティアン・バッハの次男であるところのカール・フィリップ・エマヌエル・バッハ、生誕300年の記念年です。いわゆるC.P.E.バッハですね(いわゆるとか言うな)。ロンドンで活躍したヨーハン・クリスティアン(1735-1782)あたりなら少し聴いただけで素朴で平明な古典派っぽい感じが、大バッハとは明確に個性が違うよね、ってわかるのだけれど、カール・フィリップ・エマヌエル(1714-1788)はあまり「こういう感じ」と言えないのですよ、千葉は。かろうじて覚えてるシンフォニーが、どこかハイドンの疾風怒濤期のものに近い雰囲気を持っていたような気はするのだけれど…記念年の今年を好機に、というにもいささか手が回らないでいたところですから、これ幸いと楽しませていただきますよ、なにせ演奏は信頼のベルリン古楽アカデミーですし!
今年6月15日の公演です。

そして後半は再放送ですかね、それとも特に注釈がないので初放送かな?ニコラウス・アーノンクール指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団ほかの演奏で、ベートーヴェンの荘厳ミサ曲、2012年4月のライヴです。これも見逃せない、いや録り逃がせない!(珍しくハードディスクの準備はできてます)



●9月15日(月)【9月14日(日)深夜】午前0時~4時00分
・大野和士&リヨン国立劇場来日公演 歌劇『ホフマン物語』 【5.1chサラウンド】

で、一週空けて(ここ要注意ですよ)今年7月の来日公演さっそくキタ━(゚∀゚)━!ということで。この前の山田和樹の演奏会と同様、日本人指揮者による欧州の楽団来日公演ってことでの早業、特殊なケースかとは思いますけれど、大好きな「ホフマン物語」なので文句など言わず享受させていただきます、「ホフマン物語」の字幕付き映像、前からほしかったんですよ~。

うん。「これは美味しいものにきまっている」とわかっているのであまり言うことがありません(笑)。次行ってみよう。


●9月22日(月)【9月21日(日)深夜】午前0時~4時00分
・ナタリー・デセイ&ミシェル・ルグラン・イン・ベルサイユ 【5.1chサラウンド】
・パリ・オペラ座公演『夢遊病の女』

この夜は昨年10月にオペラ歌手としての引退が伝えられたナタリー・デセイの公演を二つ。
前半は録音もリリースされているミシェル・ルグランとの共演によるライヴ、これからはこういう公演が増えていくのでしょうね。先日発表されたシルヴィ・ギエムの引退となんとなく脳内で重なって、いささか寂しく感じなくもないですけれど、二人の尊敬すべきアーティストの判断を尊重します。はい。それにデセイはまったく歌わなくなるわけではない、ですものね。実演を聴けなかったのは悔やまれるけれど、こういうのはご縁なので…

後半は2010年のパリ・オペラ座公演、ベッリーニの「夢遊病の女」です。彼女のこのオペラ、千葉は前にMETの奴は見ましたけれど、こっちは再放送だけど未見かな。楽しみ。




●9月29日(月)【9月28日(日)深夜】午前0時~4時00分
・ルツェルン音楽祭2014開幕コンサート
・ベルリン・フィル・ワルトビューネ・コンサート2013 【5.1chサラウンド】

前半は「アバドなきルツェルン音楽祭」の開幕コンサートです。指揮台に招かれたのはアンドリス・ネルソンス、プログラムはすべてブラームス、アバドも得意とした作品が並びますね。ふむ。8月15、16日の公演を収録したものです。




…最近いろいろと喧しいベルリンやらアムステルダム、パリあたりの動向を踏まえて見るに、はてさてルツェルンの人選は何かを示すものかしら?(吉田秀和先生風)※などと、普段は「政局人事とか興味ないんで」とか「F1のうわさ話は七三くらいで信じておけばいいよ←投げやりに」なんて言ってる千葉も、ここ数年で大きく版図が変わるだろうオーケストラ業界の人事からは逃れられませぬ(笑)。

※アンドリス・ネルソンスは「ベルリンのポストにはあまり…」とすでに表明しているそうなのです。ふむ。それもまた見識ではないかと。いろいろ噛み締めつつ。

そして後半のベルリン・フィル ワルトビューネ・コンサート2013は、ロリン・マゼールの逝去に伴い移動した番組ですね。昨年の再放送、メンコンに第九と重たいプログラムですが、個人的にはかなり楽しめた公演でしたので未見の方はぜひそうですね、寝転がって酒でも飲みつつご覧ください、現地の羨ましい彼らのように(笑)。



*************

プレミアムシアター枠、基本的に月の第一週を除いた日曜深夜に放送ってことになってます。月に三回は放送がある、そう思っていたので先月は「二回しかない!」と書いたわけですが、ここには律儀な公共放送様ならではの落とし穴があることに昨晩気がついたのです、8月31日から日付の変わった深夜は情報の開示としては9月分にはいってたんす。マジビビるわ~(深夜テンション)そんなわけで、ベルリン・フィルのシーズン開幕公演を見ながらまとめましたよ!(笑)

これ以上書くと自己同一性が保てなくなりそうなので(笑)本日はこれにて。ではまた。


2014年8月27日水曜日

メモ:「コーポラティズム」って?

こんにちは。千葉です。

書きたいことはあってもまとまらない、これは千葉の知力の低下かな…と最近本気で思い始めました。いくつも書きかけのものはあるけどまだ人前にお出しできる感じじゃない。昔の毎日マーラーを聴いていた頃の、過去の自分の乱暴力を見習いたいくらいですわ…
もちろん、同じことを書いても面白くないから、ってのは手が進まない理由の中で一番大きいものではあるのだけれど。はあ。

そんな、本当に生存の報告にしかならない当ブログ昨今の更新状況を変えたいから、ではないのですが、読んでいる本からのメモをさらっと引用ということで書き残すことにします。いつものようなムダなサーヴィスはなしの、本当にメモにしかならないのは申し訳ないところですが。

*************

いま読んでるのはこの本。




上下二巻本の「ショック・ドクトリン」、まだ上巻の途中なんですけどね、モノ知らずな私は現在南米のチリ、アルゼンチン、ウルグアイが被った不幸について知るだけで打ちのめされそうですよ。昔、大学にいた頃に理系の友人たちに申し訳無さ半分で言っていた冗談の「文系の実験は革命になるからあかん」を地で行った奴らがいたんですね、いわゆるサヨクじゃない方で。はあ。

なお本書の感想は読了した後ででも。また、本書を元にした映画が作られていて、各地で上映会が行われたりしておりますので、興味のある方はリンク先をご参照あれ

*************

いま気になってメモしておくのは上巻118ページの終わりから。以下引用。

チリが、改革に熱狂する人々が主張したような「純粋な」自由市場の実験室ではなかったのは明らかである。少数のエリート集団がきわめて短期間に金持ちから大金持ちになったというのが実態であり、そこには負債と公的資金による巨額の補助(その後は救済)によって資金を得るという、きわめて収益の高い公式があった。「奇跡」の背後にある誇大宣伝や売らんかな主義を取り去ってみれば、ピノチェトとシカゴ・ボーイズに支配されたチリとは自由市場を呼び物にした資本主義国家ではなく、コーポラティズム国家だった。コーポラティズム(コーポラティビズムとも言う)とは、もともとイタリアのムッソリーニ政権を指す用語で、政府、企業、労働組合の三つの権力組織が同盟を組み、ナショナリズムの名において秩序を維持するために協調する警察国家をモデルにしている。ピノチェト政権下でチリが世界に先駆けて発展させたのは、まさにこのコーポラティズムだった。警察国家と大企業が相互に助け合い、力を合わせて第三の権力部門である労働者を相手に総力戦を展開し、国富における両者のシェアを劇的に増大させたのだ。(引用終わり、p.118-119)

うん、これでコーポラティズムは覚えました。ここだけに限らず、本書で示される「惨事便乗型資本主義」、なにかもう他人ごとではないなと思う今日このごろですよ。怖い恐い。

*************

最後に、本書のチリのピノチェト政権についての部分でこの曲について触れられていましたのでミュージックビデオを貼っておきますね。昔よく聴いたディスクです(洋楽を聴いていた時期もあったのです)、スティングの「ナッシング・ライク・ザ・サン」から「They Dance Alone」。



わあスティング若いなあ(笑)、という割とどうでも良い感想を述べて本日はおしまい。ではまた。


 

ニュースステーションに出て本題を話させない久米宏にブチギレてたのはこの頃だったかな…(ますますどうでもいい)

2014年8月17日日曜日

フェスの季節だよねー(おい

こんにちは。千葉です。

また放送日になっちゃったよ!すみません!(宿題は〆切が見えないと手を付けられない系ダメ人間)
公共放送のがんばってる部門の一つ、文化系の皆さんが誇るプレミアムシアター、今月は今日と来週の二回だけなんです!(スタートが遅いのを知ってますます手を付けなかったダメ人間←しつこい)

*************

さてでは内容の簡単なご紹介。

●8月18日(月)【8月17日(日)深夜】午前0時~3時20分

・ベルリン・フィル ワルトビューネ・コンサート2014 【5.1chサラウンド】
・カティア・ブニアティシヴィリ 森の中のピアノ・コンサート 【5.1chサラウンド】

前半は毎年恒例ベルリン・フィルのヴァルトビューネコンサート、今年はグスターボ・ドゥダメルが指揮しました。チャイコフスキーとブラームス、まるで遊びのない正統派プログラムですが出来栄えは如何かしら。6月27日の公演です。



 後半は美しいカティア・ブニアティシヴィリが森の中でピアノを弾く、というちょっと聞きには少しキワモノ感がなくもない番組です。でもプログラムがねえ、バッハ、チャイコフスキーにショパン、ドビュッシーときてカンチェリ、ラヴェルにスクリャービン、ストラヴィンスキーなどなどと、なかなか多彩な選曲なので音がちゃんと録れてるなら意外と楽しめそうな気がしていますよ。2013年7月の公演だそうです。



●8月25日(月)【8月24日(日)深夜】午前0時~3時50分

・ヴェローナ野外劇場 歌劇『カルメン』 【5.1chサラウンド】
・『ピーターとおおかみ』

この週はまず(あの騒ぎは何だったのか) とか思い出したくなるけどあえてスルー、のヴェローナ野外劇場の公演から、演目は「カルメン」です。帰営ラッパが鳴っても帰ってはいけませんよ皆さん。


このプロダクションですかしら。放送されるのは2014年6月の公演です。
(あの件があるのでいろいろと書きにくい←まるでスルーできていない…)

 後半は映像作品として作られているっぽい「ピーターとおおかみ」、演奏はダニエレ・ガッティ指揮フランス国立管とソリストたち、です。ちょっと見てみないとわからないわ、さすがに(笑)。

ということで、これとは別の演奏ですけどYouTubeで見つけたやつをば参考までに貼っておきますね。


*************

ということで今月のプログラムは「夏は野外フェスだよね~」ということみたい、です(それでいいのか)。気軽にお楽しみあれ。

*************

と書いてから、しかし苦言を呈する文句の多いおじさんだよ!
こういうアウトリーチ的なプログラム、どちらかと言えばこの番組に期待されてるものではないし、この枠をこれらの公演が対象にしている人たちが見るかといえば答えは否、断じて否でありましょう。こういうミスマッチ、正直に申し上げてもったいないです。
だって、「普段はクラシックとか聞かないけどね」って人が気軽に楽しめそうな番組だからってクラシックなるものを聴いてみんとて深夜の四時間の番組を見るのは不可能だし(そもそもこの枠の存在を知りますまいて)、お祭り公演をコアなファンがそんなに期待しているわけでもないでしょ(少なくとも千葉は、ベルリン・フィルのものでなければ録画を一回見て消しちゃうな)。

アリバイ的な何かをしているとは思いたくないし、報道とは違って(いちおう言っておく)普段は公共放送の文化系の皆さんの判断がおかしいとは思わないので、お願いだから頼むよ上の方(憶測で容疑者直撃←MAG・ネット、BSマンガ夜話のあたりからの不信感ゆえ)。クラシックを聴いてみたいな、って人には、どうせならちゃんとしたもの、いいものをお出ししてあげてくれませんか。合わなければそれはそれ、でしょうから。時宜さえ得るならばトークなんか入れなくても受け取れるようになるもんなんだからさ、何にせよ。

*************

以上、ギリギリのご案内になりながらも高調子な千葉がご紹介いたしました、今月のプレミアムシアター。ではまた。訃報についてはまた後ほど(いろいろ聴いてしまってまだ何も書けない感じなのです)

2014年7月27日日曜日

今が時代の変わり目なのだ、としか

こんにちは。千葉です。

今日は前置きなし。本文を書き上げるのに時間がかかっちゃいました。

*************

またしても、自分がクラシックを聴き始めた頃には巨匠扱いではなかった(実力派、鬼才枠だったと思う)マエストロの訃報に、なんとも言いようのない気分になっております。もはや皆さんご存知でしょう、ロリン・マゼール氏(1930-2014)が亡くなられたとのこと。ご本人のサイトがかなり早々にこの情報を告知しておりましたので、リンクはそこに貼っておきます。

千葉個人はですね、自分の側で予算があるときにはスケジュール的に厳しくて、なくなったらもう選択肢に入ることすらない(泣)マエストロでしたので、残念ながら実演の経験はありません。彼もまたひとりの、時代を代表する方だと思いますので、その録音からでも独特なものであることが察せられる音楽を実演で聴きたかったのはやまやまですが、今となってはご縁がなかったのだと申し上げる他ございませぬ。合掌。

*************

そこで過去に聴いた録音の話をしようかな、とも思いました。ひと通り聴いたマーラーの話とか(そうだ、こっちに再録しなくちゃ)、初期の録音の一つとなる「ポーギーとベス」とか。



でもせっかくなのでエッセイ的ななにものかをば。先ほども書いたとおり、残念ながら実演を聴く機会はなかったのです、マエストロ・マゼール。バイエルン放送響、ミュンヘン・フィルほかいずれも予定や条件が合わなくて。だから千葉自身の話じゃなくて、他の人の話から考えさせられたよ、というお話。

2011年11月に、マエストロは東京交響楽団に客演しました(この訃報を受けての東京交響楽団からのリリースはリンク先でお読みください)。もちろん千葉は聴いてません(しつこい)。その時の聴かれた方の反応が、なかなか興味深いものだったのです。千葉はスダーンのもとで成長したあのオーケストラを信用しています、その長所も弱い部分もある時点まではよく知っていましたので人々の反応から、少しは自分なりの憶測を先に進めることができる、と思っています。そう、ここで書くのはあくまでも憶測です、あしからず。

東京交響楽団は千葉がよく聴いていた当時の時点で、日本のオケの中ではかなり響きに対して配慮できる団体になっていました。初めて聴いた時に少し感じたリズム的な弱さもほぼ感じられない、そしてスダーンによる同時代アプローチ寄りの演奏が可能であるまとまりのいいアンサンブル。オケピットでの経験もあって数多くの演奏会もこなしている、いいオーケストラだと思います。Twitterなんかで見聞きする限りでは、ジョナサン・ノット体制も上々のスタートである模様、喜ばしい限りです。
そんなオケに世界有数のマエストロが来た。普段は実力はあっても失礼ながら地味目の指揮者が来演している印象のある団にとって、この招聘は明らかにいろいろな面でチャレンジだったことでしょう。もちろん、東響は歴史ある団体ですからね、1963年にも共演していますけれど、その時と今では意味合いが違う。

その演奏会のあとで見た、聴衆の反応は一言にまとめるにはいささか複雑なもので。あえて言うなら演奏を褒めつつも、どこか物足りなさげな雰囲気がうかがえるものでした。それに対して千葉の反応は至って簡単、「さもありなん」、に尽きます。とてもまっとうな姿勢の、若干の揶揄をこめて生真面目と評してもいいだろうオーケストラが、いきなり世界有数の曲者と上手くやれるのかな、そんなふうに見ていたものですから(いろいろと無礼ですみません)。おそらく来日してくるような欧州のオケと比べたって実力が落ちるとは思わない、でも職人的なところのあるオケが、強力な個性と出会ってどう反応するのか、いつも以上の演奏ができるかそれとも。
聴かないで想像で申しますが、この出会いはきっと、東響がこの先もっといいオケになるために必要なものを多く示唆していたのではないか、と愚考します。スダーン先生に従って優等生らしく一歩ずつていねいに前進してきた彼らが、その歩みをいきなりマラソンどころか全力疾走にまであげなければいけなかっただろうコンサートだったのだろう、と。

きっとね、ある程度までなら自力で少しずつでも止まらずに成長できるんですよ、組織も個人も。でも、強力な個性を持つ個人と出会うことで、その歩みは突然に速いものにもなりうる、もちろんその逆だって。きっとこの、簡単にはまとめがたい反応を呼んだマゼールと東響との出会いは、きっとそういう変化をもたらす可能性を秘めたものだった。その可能性がいま一度試されただろう再度の共演がありえたらしい、という話を聞けばよりマエストロの死が惜しまれることであります…

そう、千葉にとってはロリン・マゼール氏はまるでメアリー・ポピンズのように秘められた可能性を開いては去っていく、独特な存在だったのだなあ、と亡くなられてから思います。もしかすると彼にかぎらず、いわゆる「ジェット機で世界を飛び回る指揮者」たちについて、そういった面から見直す必要があるのではないかな、などと考えたり。

昨日の公演でユベール・スダーンとの一つの時代を終えた東京交響楽団に幸あれ、そしてマエストロの眠りの安らかならんことを。

*************

彼の訃報を知った時、千葉はそれほど好みではない(ごめんなさい)ダニエル・バレンボイムさん指揮、ベルリン・フィルのコンサートを見ていました。「これはシェイクスピア・プログラムなのかな」とか「この生真面目なファルスタッフさんのことは笑えないよね、最高に雄弁だけどさ」とか思いつつ。そこにこの報せ、なんとも言いがたい気持ちになりました、かつてこのオーケストラのポストを切望し、しかし叶わなかった二人のことをいろいろと考えてしまいまして。そのとき放送されていたチャイコフスキーの交響曲第五番は、千葉にとっては亡くなられたマエストロへの、偶然の贈り物に思われてしまいまして。その後の再放送分、ラトルが指揮する「タリスの主題による幻想曲」まで、つい放送で見てしまいました。いま一度、合掌。

*************

きっとこれからいくつかの評伝が出て、それでようやくヴァイオリンに指揮に作曲に、コンサートにオペラにと多面的に活躍したマエストロの生涯についての見取りができるようになることでしょう。世界恐慌の直後に生まれて21世紀序盤までを生きた、ということの意味を踏まえて。
でも訃報のたびに思うんですよ、存命のうちからそういったアプローチをしていきませんか、と。せめて、永年のキャリアがある方について、目の前の演奏の出来不出来だけでどうのこうの言ってしまうようなことは控えませんか、と。

とはいえ、このような提言ぶった物言いはもうクラシックの看板を下ろした千葉の任ではない、ようにも思えますが、思い出したので付記しておきます(どっちなんだ)。ではまた。

※なお、本日のBSプレミアム、「プレミアムシアター」は放送予定を変更して後半にロリン・マゼールがNHK交響楽団に客演した最後のコンサートシリーズからの演奏を放送します。そちらの記事も修正しておきましたのでご参照くださいませ。

2014年7月12日土曜日

今月はベルリン・フィル祭り!(昭和っぽい言い方)

こんにちは。千葉です。

そうそう、今晩からBSでも「黒執事」の新シリーズなんですね。最近になってまとめて「悪魔のリドル」の録画を消化してなかったら気が付かないところでしたよ、危ない危ない。
(そろそろこういう話も復活させるよ、という仕込み)

さて明日からの、今月のプレミアムシアターのご案内だよ!とその前に。

がんばれ国谷裕子と仲間たち、がんばれ「ゴジラ」「ガメラ」を通した映画編成班、がんばれ最近気になる公演を次々と収録しているらしいクラシック班!

といった具合に、千葉は籾井長谷川百田などの頭が心配なトップたちと、看板番組のはずのニュースを見なくていいものにしてくれた大越キャスター(野球の話以外全て酷いというのは珍しい)に対する悪意を微塵も隠すものではありませんが、公共放送の現場の皆さんには信頼を寄せ、期待もさせていただいております。願わくは、その考えを変えずにすみますように(七夕かな?←新暦でも旧暦でも合わない半端な時期によくもまあ…)

*************

さて以下簡単に紹介。

●7月14日(月)【7月13日(日)深夜】午前0時30分~4時25分

・7月、8月ラインナップ紹介

・本拠地ベルリン紹介
・ベルリン・フィル ヨーロッパ・コンサート2014 【5.1chサラウンド】
・フィルハーモニーの50年

・ベルリン・フィル ヨーロッパ・コンサート2013 イン・プラハ 【5.1chサラウンド】

ここ最近のお決まり7月、8月ラインナップ紹介が冒頭にあって(もう批判するのもめんどくさいからこれについては以上)、いくつかの紹介番組をはさみつつヨーロッパ各地の名所で行われる恒例のヨーロッパコンサート、今年5月の公演を。指揮はダニエル・バレンボイムです。ニコライ、エルガー、チャイコフスキーというプログラムの連関は、なんでしょうね?きっと見てみればわかるのだと思いたいところ(笑)。




間に挟まれるドキュメンタリは世界最高のオーケストラの本拠地であるベルリンの街の紹介、そして本拠地の建物であるフィルハーモニーの50年を振り返る番組です。

その後に放送される「ヨーロッパ・コンサート2013」は再放送、プラハのお城でのコンサートですね。指揮はサー・サイモン・ラトル、独唱は奥方のマグダレナ・コジェナー。録画されてなかった方はこの機会に是非、今の彼ららしいアンサンブルがお城の広間に響き渡るベートーヴェンは名演と言っていいのでは。ラトルは昔から第六番が好きでよく振っていましたし。


●7月21日(月)【7月20日(日)深夜】午前0時30分~4時35分

・バーデン・バーデン復活祭音楽祭2014 歌劇『マノン・レスコー』【5.1chサラウンド】
・モナコ公国モンテカルロ・バレエ団『ル・ソンジュ~夢~』

この週は今年のバーデン・バーデン復活祭音楽祭から、プッチーニの歌劇「マノン・レスコー」を、ラトル&ベルリン・フィルほかの演奏、すでに配信等でご覧の方もいらっしゃるかもしれませぬ。にしてもなんですか、ザルツブルク(先月の「アラベッラ」)とバーデン・バーデンの両方を取り上げていくのは放送局なりのリスクヘッジか何かかしら(邪推)。




なお、ですが。少し前には三部作がシャイー&スカラ座の演奏で放送されましたし、「蝶々夫人」も先日二期会の公演が放送されたばかり。この調子で行くとここ数年でプッチーニの主要なオペラが放送される格好になるのでは?もしかして没後90年ってことで狙ってるのかな?(笑)

後半のバレエはすでに何度も放送されたものかと、「真夏の夜の夢」をモティーフにした作品ですね。


●7月28日(月)【7月27日(日)深夜】午前0時30分~4時30分

・ウィーン・フィル シェーンブルン夏の夜のコンサート2014
※変更されました・ベルリン・フィル ワルトビューネ・コンサート2013

前半は「ウィーン・フィル シェーンブルン夏の夜のコンサート2014」。この野外コンサートは新しいウィーンの夏のお決まりとして定着しつつあるのかどうか、個人的にはまだ微妙かなあ。
今年の指揮はクリストフ・エッシェンバッハ、共演にラン・ランです。…野外でシュトラウス、ですか…せめて晴れの日に公演ができたのならいいのですが(昨年のは悲惨だった)。




よかった、この感じなら場内の雰囲気は悪くなさそうですね(笑)。なにも富士スピードウェイでのF1を思いだすまでもなく、「雨の屋外イヴェント」にはいろいろと哀しさがにじみますからね…

※【変更されました】
後半はベルリン・フィル ワルトビューネ・コンサート2013、再放送です。シーズン終わりの「打ち上げ」感、メンバーに少なくなく加わっているアカデミーの若者たち、なによりオープンエアの開放感と相まって若干ゆるめの演奏ではありますけれど、メンデルスゾーンとベートーヴェンを楽しむにもいい公演だったかと記憶してます。なお、メンデルスゾーンの独奏は千葉の好きなテツラフです。




そうそう、この演奏会は晴天に恵まれて、暮れゆくヴァルトビューネの景色がとても美しかったです。もし録画されてなければこの機会に是非。そして一年分の第九を摂取してしまってくださいな!(別に12月には聴かない派←主義の押しつけイクナイ)

※変更後のプログラムについて

7/27日深夜の放送、後半はロリン・マゼール逝去にともなって以下のプログラムに変更されました。

●指揮者ロリン・マゼールをしのんで~2012年 N響とのラストコンサート~

2012年10月にNHK交響楽団に客演した際の映像から、抜粋で2時間余の演奏が放送されます。よくも悪くも「やればできる子」のこのオーケストラが、天才との共演で見せた本気、確認させていただこうと思います。前にズービン・メータと共演した際の聴衆の反応とかを踏まえて考えるに、期待させていただいてもいいかなと考えられますし。

(なお、きっとマゼールの編曲による「言葉のない”指環”」はクラシック音楽館で放送されるんですよね?と地味にプレッシャをかけておこうと思います。)

*************

あれ、「最終週は記念年関係」という予想は外れだったみたいですね。いちおうR.シュトラウスがプログラムに入っているウィーン・フィルのコンサートがそれにあたるのかな、どうでしょう。個人的には「プッチーニの次のアニバーサリーへの仕込み」仮説を採りたいけれど、1858-1924だから少しばかりロングパス過ぎますかしら(笑)。

まあ何も邪推せずとも、「今月はベルリン・フィルが多くて嬉しいなあ」という素朴な感想が正直なところなのさ(笑)、と開き直ったところで今月分の紹介はおしまい。ではまた。




千葉はベルリンフィルハーモニー管弦楽団の自主レーベルを陰ながら応援しています(自分では買えないけど…)。

2014年7月8日火曜日

ゴジラ月間、スタートだよ!

毎度のごぶさたでございます。千葉です。

言い訳はしません!(きっぱり言ってもムダだ)

*************

私たちの公共放送さま(タイコモチ←いまさら遅いわ)が今月全力を注ぐ「ゴジラ」60周年、この前の週末のドキュメンタリーから始まった特集、内容は以下リンク先からご覧くださいませ。

◆BSプレミアム 「ゴジラ」特集


少し前から最初の方の作品をちょこちょこレンタルで見ていたのです、「モスラ対ゴジラ」(1964)まで。その流れで「モスラ」も見ました、原作が「中村真一郎 福永武彦 堀田善衛」だったのには驚きましたわあ(笑)。実は「モスゴジ」が生涯最初の映画でした(「のび太の恐竜」の併映だったので)、その記憶はほとんどないんですけどね…

その後、小利口な男子にはお似合いのルートで「初代だけっしょ」と見てもいないのに思うに至り(非道いやつ)、念願の初代は高校の吹奏楽部のイヴェントで行った先の大阪で、深夜放送で見た(もちろんラス前に目を覚ますまで寝落ちしてた、恐ろしいことに翌日のステージでも半分寝てた)。その頃から新しいゴジラのシリーズも始まったのだけれど、その頃はアニメは見ても特撮からは距離がありましたなあ…(濃淡はあるけど、平成ガメラの頃までその傾向続く)
ともあれ、この特集で自分があまり見てこなかった、新しいゴジラを見られるのはちょっと助かります。皆さんも是非。今晩だけでも(けっきょくそれか)。

*************

そんな小利口な昔から今に至るまで、敬愛する作品であるところの初代ゴジラ、今晩21時より放送です。ってことで公式に配信されている予告をどうぞ~。



この作品に関して、少しばかり気になることが前にあったのですがそれは放送のあとにでも書かせていただきます。ひとまずはこれにて、さようならみなさん(テレビ塔から←てめえ)。


2014年6月8日日曜日

今月は、バレエがないんです!(ぐわんば!←おい

こんにちは。千葉です。

思ってた以上になかなか書けない今日このごろですが皆様いかがお過ごしでしょうか(負けました、いろいろと)。

*************

さて6月のプレミアムシアター(←言い換えやその場で考えるキャッチコピーに限界が来た)、ひとことではまとめにくい感じのプログラムが並びます。二回は「いま現在の日本人音楽家の活躍を」ってことだと思いますけど、最後の回は取ってつけたようなアニバーサリー企画、なんですよねえ…(もしかすると、先月のグルックもそうだったので「最終週はアニバーサリー」ってお決まりになったのかも。それがいつから始まってるかは確認しないとわかりませんけど)

前置きはこのへんにして紹介へ。

*************

●6月9日(月)【6月8日(日)深夜】午前0時~4時

・二期会公演 歌劇『蝶々夫人』
・ミュージック・フォー・トゥモロー・イン・ストラスブール ~復興支援コンサート~

前半は今年4月26日に東京文化会館で上演された東京二期会公演、プッチーニの「蝶々夫人」です。出演の方々含め、さまざまな反応があった公演でしたので、早いうちにこうして見られるのはありがたいことです。指揮も演出も演奏も、期待させていただきますね。

(そして、最近の二団体&新国立劇場推し、おそらくは放送によって制作サイドも助かるだろうなあ、とか思ったり。その想像があたっているとして、ですが。その路線、国内他のオケにも取ってくれればいいのに…)

後半のミュージック・フォー・トゥモロー・イン・ストラスブールは、以前ドキュメンタリー版が放送されたらしい(すみません、見てませんし知りませんでした)チャリティーガラコンサート。今年2月19日の公演です。
ソリストに庄司紗矢香さん(一度仕事の関係でお会いしたことがあるので彼女には敬称が付きます(笑)、あしからず)、合唱に福島の高校生の方が参加されたのだとか。ふむ、多くは語りませぬ。

※追記。こういうことでした(pdfファイルが開きます)。なんかなあ…

●6月16日(月)【6月15日(日)深夜】午前0時~4時

・ドキュメンタリー 山田和樹
・山田和樹 指揮 パリ管弦楽団演奏会
・山田和樹 指揮 劇的オラトリオ「火刑台上のジャンヌ・ダルク」

「世界にはばたく日本人指揮者 山田和樹 特集!」と公式が言っているので、そのまんまです。で終わってもいいんですけど(おい)、さらっと説明を。

長丁場の番組のはじめにまず「ドキュメンタリー 山田和樹」という構成は地上波でやってくださいお願いします、という定番の苦情はいちおう言っておくとして(キャラクターについて知らなくても/キャラクターが受け容れられないような人によるものだろうと、いいものは評価できるのがハイカルチャーのいいところ、だゾ!←誰だよ、というツッコミはさておき、例えば友だちになりたくない作曲家ナンバーワンのリヒャルト・ワーグナーさんの生涯を思い出そう、ということで)。
横浜シンフォニエッタ、日本フィルハーモニー交響楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団、そしてスイス・ロマンド管弦楽団などなどの精力的な仕事が注目を集める1979年生まれの山田和樹を、2つのコンサートとドキュメンタリーで知ることができる有難い企画です。実演、聴ける日はいつか来るかなあ…
ちなみにですが。ダニエル・ハーディング、ヤニック・ネゼ=セガンは1975年生まれ、ヴァシリー・ペトレンコは1976年、グスターボ・ドゥダメルは1981年生まれ。世代としてはそのへんです、ってくくりで扱われる日が来てほしいなあ、小澤征爾の名がかつてアバドやムーティ、メータなどとの並びに置かれたように。

ドキュメンタリーはさておき(言わなくてもいいことを言うことで悪意を示していくスタイル)。パリ管弦楽団の演奏会はたしかArteあたりで配信されたような気がするし、「火刑台上のジャンヌ・ダルク」ともども再放送。それだけじゃあなあ、とも思うので私から二つばかり動画を紹介しましょ。

ひとつ目はYouTubeで探したら見つかったラフマニノフの交響曲第二番の演奏(ここには第一楽章だけ貼っときます、あとは関連動画でどうぞ)。




あともうひとつはリンク先にてご確認ください、テレビ番組、音楽公演制作のテレビマンユニオンが配信しているバーミンガム市交響楽団への客演の動画です。サン=サーンスの交響曲第三番の第二部冒頭を四分ほど、などが視聴できます。振りすぎないところが年齢に見合わない場慣れを感じさせる、かも(こういう評価は実演を聴かないと本当のところはわからないので、あくまで動画からの感触であることを付記します、為念)。


●6月23日(月)【6月22日(日)深夜】午前0時~4時

・ドキュメンタリー「リヒャルト・シュトラウスとそのヒロインたち」
・ザルツブルグ復活祭音楽祭    R.シュトラウス生誕150年 歌劇『アラベラ』

はじめに書きましたとおり、最終週はアニバーサリー企画なのでしょう、きっと。6月はことし生誕150年のリヒャルト・シュトラウス特集、「R.シュトラウス生誕150年記念! スターによる豪華な舞台」とのこと。だがなあ。ドキュメンタリーから長い番組を始めるのはやめろと何度も言わせないでいただきたいな…

もんくはさておき。そのドキュメンタリーは「リヒャルト・シュトラウスとそのヒロインたち」というもの。出演にリヒャルト・シュトラウス、ルネ・フレミング、ブリギッテ・ファスベンダー、クリスタ・ルートヴィヒ、フランツ・ウェルザー・メストにクラウディオ・アバドなどと居並ぶものですから、楽しめるものであることを期待します(と行儀よく言いながら、きっと視聴後にはつまみ食いのせいで「だからさっさと全編で見せやがれって言ってんですよ」とか思ってしまうだろう自分が今から想像できる)。

後半はザルツブルグ復活祭音楽祭での上演、歌劇『アラベラ』です。今年4月のもの。この音楽祭ってのはあれですね、ベルリン・フィルが降りてドレスデン・シュターツカペレが入って、っていう。どうせならバーデン・バーデンのあっちをやってくれないかなあ、とラトル&BPh好きの千葉は思ってしまいますがそれはそれ、ですねすみません。まあなんですか、ティーレマン&SKDもオペラならいいんじゃないかしら、ティーレマンのこの作品ならたしか昔メトあたりの客演がソフト化されてたような気もするし…(←ぞんざいだ、いろいろと)。

*************

ザルツブルクの「アラベッラ」見てから新国立劇場に行けばいろいろおもしろいんじゃないかな、とかこの文を書き始めた時には思ってたんですが、確認したら6月3日で上演終わってるんですね、向こう。まあそう上手くは行きませんか…

ともあれ今晩からの放送を皆様が楽しまれますように、とお祈りして今日のところはおしまい。ではまた。


2014年5月11日日曜日

グルック生誕300年なんですよ!(言う資格なし

こんにちは。千葉です。

いやはや、構想を練りながらも書くべきだった、と反省するひと月でありました(笑)。いよいよ近日、向こうのブログはタイトル変えて仕切りなおしますし、伴ってこっちは軽く、いろいろと書くようになります。まだ懲りてなければ今後ともおつきあいください、と書くことで背水の陣を敷いてみました。どきどき。

*************

さて公共放送の全プログラムの中でもっとも信頼のおけるプレミアムシアター、5月の予定でございますよ、遅くなりました。なお今月から新しいページに移行したとのことですので、ブックマークされていた方はこちらのリンク先に変更されるがよろしいかと。


●5月12日(月)【5月11日(日)深夜】午前0時~4時40分

・新国立劇場公演  歌劇『死の都』 【5.1chサラウンド】
・ビントレーのバレエ『シルヴィア』

びわ湖ホールに僅かにゆずりはしたものの(向こうは3/8&9に上演だから、今回放送されるこの上演でも10日程度の差。実際に新国立劇場の幕が開いたのは3/12なので遅れることわずか4日!)、ほぼ日本初演と言ってもよさそう(笑)な新国立劇場公演「死の都」、待望の放送です。エーリヒ・コルンゴルト(1897年5月29日 - 1957年11月29日)の1920年の作、ってことはあなた、大学生くらいの若いもんがこんなん書いちゃったわけですね、はあ。そりゃあ神童ですわ、疑いなく。
音だけを聴くなら、「薔薇の騎士」以降のシュトラウスであるとか、まだ調性音楽から離れきっていない時期のシェーンベルクとか(「グレの歌」二部後半とか想起しないでもない)、まさに時代の影響を大きく受けた作品ではございますが、そしてそれ故にどこか正面からの評価を受けられなかった感のある作品ですが(後半生に映画音楽の人になったことも影響したのでしょう)、そういう先入観抜きで聴く価値ありかと。
なお、本上演はフィンランド国立歌劇場(ヘルシンキ)からのプロダクション・レンタルでの上演です、ってことでその上演の予告がYouTubeにあるんですねえ。ってか、オーパスアルテのチャンネルだからソフト化されてました。ニールンドとフロリアン・フォクトだもん、そりゃそうよねえ…ってことで以下リンクなどご参照あれ。




後半の同じく新国立劇場バレエ「シルヴィア」は再放送、デイヴィッド・ビントレーの舞台だなあ、という感想を抱いたような記憶が。おおざっぱですみません。


●5月19日(月)【5月18日(日)深夜】午前0時30分~4時30分
・小曽根真 ニューヨーク・フィルとガーシュインを奏でる
・ライプチヒ・バレエ 『チャップリン』 【5.1chサラウンド】
・ニューヨーク・エクスポート  オーパス・ジャズ 【5.1chサラウンド】

19日はまず今年2月の来日公演でも共演した小曽根真とニューヨーク・フィルハーモニックによるガーシュウィン。ってかあれ、日付が4月22日の公演ってことは来日の後に収録か、むむう。ま、ポジティヴに「好評につき」と理解しておきましょうね。なお、その演奏は音だけならNYPのサイトで、抜粋が聴けちゃいます(一曲目の「キャンディード」序曲除く)。ガーシュウィン&バーンスタイン・ナイトでしたのね、納得。

※放送を見ながら。ごめんなさい、小曽根さんの番組ということでコンサート全体じゃないですね…嗚呼。

後半はライプチヒ・バレエ  「チャップリン」、2013年10月の上演と、再放送のジェローム・ロビンス振付の「ニューヨーク・エクスポート オーパス・ジャズ」。曲目を見る限りでは、「チャップリン」はかなりモダンな音で踊られる模様ですし、ロビンスのバレエもバーンスタイン者の拙が嫌いなわけがない。この回のバレエはちゃんと見られそうですわ~(言外にライトでモダンなクラシック演目批判←言ってますよはっきりと)。


●5月26日(月)【5月25日(日)深夜】午前0時~4時
・歌劇『オルフェオとエウリディーチェ』
・マドリード・レアル劇場公演  歌劇『アルチェステ』

5月の最終週はオペラ二演目、それもグルック尽くしってのはなかなかレアかな…と一瞬思ったけれど、考えてみれば騎士ヴィリバルト・グルックは生誕300年のアニヴァーサリー作曲家でございましたわ。失礼いたしました(笑)。
片やピリオドアプローチの「オルフェオとエウリディーチェ」、片やモダン演出の「アルチェステ」。後者は公式が配信している予告篇で演出家がプリンセス・ダイアナ云々言ってるような気がするのだけれど、どんな舞台になってますの?(笑)




なお、前者「オルフェオとエウリディーチェ」は既にソフト化されたものですね、興味のある方は記事下部に貼りましたリンクなど、どうぞご参照くださいませ。

*************

ということで放送予定のご案内でした。早く会長や理事が変わるといいですね、とさらっと公共放送批判しつつ本日はおしまい。ではまた、今度こそ近日御目文字いたしましょう~(決意表明)。


  

2014年4月13日日曜日

バレエ増量でお送りします(個人の感想です

ご無沙汰です。千葉です。なんとか生きてます(実は今、体調悪いのです、風邪と花粉症との勘違いで少し状態悪くしちゃいまして)。

書かれるべきものが書けていないのでますます書くことが困難になる、このネガティヴスパイラルはあれかな、とりあえず何か書くことで解消するしかないかな…

*************

それはさておき、恒例の公共放送最後の砦※、プレミアムシアターの予定、例のごとく以下にまとめました。今晩の放送から、ってことになるのは申し訳ないのですがご容赦くださいませ。

※放送局の会長があれだけ愚鈍だとさすがに心配にもなります。ハイカルチャーもジャーナリズムもすべて投げ捨てて、プロパガンダ機関になりたがっているとみなされるのが、普通だと思いますよ。そして今日の謝罪番組(なのかな?)、「心配」なんかしてないんですよねえ、バカがトップに居る放送局だって世界に知らしめた恥の感覚とか迷惑の感情はあっても。視聴者に向けてコメントを出す、と言いながら任命者様への配慮をしたかっただけだてことがひとことでまるわかりですよ、恥ずかしい。
…なお、こういう話もそろそろ復帰します。反知性主義というかバカ丸出しというか、そんな政策や施策の絨毯爆撃にもなぞらえうるだろう数々の事々の前に絶句してましたけど、もう限界です。支持者の人たちもそうとう、アレな発言をされているので放置しておくと本当に拙い、という他ないもので。

●4月14日(月)【4月13日(日)深夜】午前0時30分~4時5分

・ドミンゴ・ローレライ・コンサート
・パリ・エッフェル塔コンサート

観光コンサート、とでも言えばいいんでしょうか今晩のは。
片やドミンゴがオペラ・アリア、サルスエラの歌を歌いまくるローレライ野外劇場でのコンサート。
後半のは豪華な面々が並ぶエッフェル塔っていうかシャン・ド・マルス公演でのガラ・コンサート。

ドミンゴの方は出演者が大したことない、なんて言いませんけど(近年その舞台への不在によってよりありがたみが痛感されるプラシド・ドミンゴさんの健康をお祈りします。いや本気でね)、グリゴーロ、ルノー・カプソン、ジョセフ・カレヤ、ラン・ラン、フィリップ・ジャルスキー(近く来日しますね)、そしてロベルト・アラーニャが出演して指揮はダニエレ・ガッティ、フランス国立放送管&放送合唱団ってのはメンバー的にはいわゆるガチ、かと思います。もちろん、野外コンサートはよくも悪くもお祭りですし、これだけ多くのメンバーが出るってことはそれぞれはちょっとずつしか見られない、であれば演奏的にどうこう言い募るのは野暮ってなもんではありますが、これだけの出演者を一度に見られるイヴェントは一見の価値があるかと。

…でもあれですよね、エッフェル塔界隈で野外コンサートって言うとあの映画を思い出すかも。もう少し指揮がどうにかならなかったものか…




●4月21日(月)【4月20日(日)深夜】午前0時30分~午前4時35分

・マリインスキー・バレエ公演  『シンデレラ』
・英国ロイヤル・バレエ公演  『不思議の国のアリス』 【5.1chサラウンド】

その次は最近のお決まり、バレエ公演の放送です。前半がプロコフィエフの音楽による「シンデレラ」、後半が昨年の来日公演でも上演された「不思議の国のアリス」。

…バレエが嫌いってことはないんですけど、ラトマンスキーがなあ…(個人の感想です)




●4月28日(月)【4月27日(日)深夜】午前0時30分~午前4時40分

・ザルツブルク音楽祭2013 モーツァルトの歌劇 『後宮からの誘拐』
・ベジャール・バレエ団公演  『80分間世界一周』

これは前に、クラウディオ・アバドの逝去にともなって変更されたプログラム、ようやく放送ですね。
前半のザルツブルグ音楽祭でのモーツァルトは、なんと会場がザルツブルク空港という。観衆も参加しているような格好になるのかな、ちょっと見てみないとわかりませんね…なお、個人的には「そんな公演のチケットはどういう扱いになるのかな」とちょっと考えてしまいました、昔の癖ですね(笑)。
そして後半の「80分間世界一周」はベジャールの遺作、再放送ですね。うん、個人的にはこっちのほうが好きだなあ(個人の感想です)。


*************

そして今晩は各所で話題のあれが、クラシック音楽館で放送されますので、そちらも要チェック!…これは単語が乱舞するからいろいろ言われるけど、たとえば「ダフニスとクロエ」あたりもそうとう、アレなんですがねえ。まあいいか、ともあれ演奏の評判もよかったように記憶してますので期待して21時からの放送を待ちましょうか…

ではまた。

2014年3月9日日曜日

舞台芸術振興月間かな?(どこかの団体とは関係ありません

こんにちは。千葉です。

断髪して出てこようが、詐欺師とその共犯者(本人の言葉ですよ、念のため)が訴え合おうが割とどうでもいいです。っていうか、もし実害があったと糾弾したいならそういう観点からやらないと、ただの感情的吊し上げになるんじゃないっすかい?と、思う千葉は近日「斯く拙は佐村河内守と(薄く)関わった」という検証記事を書きますよ(っていうか書いてます)。

*************

そんなことより、2月は日が少ないことを忘れてた&上記のも含めた他事に気を取られていたせいでアップしてなかった公共放送さま最後の希望(最近の忖度体制はもう危険域だと思う、編集権をどうこう言うつもりはないけど題材の取捨選択があきらかに間違っている)、プレミアムシアター3月の予定ですよ~、放送は今晩からですよ~(ほんっとごめんなさい)。

●3月10日(月)【3月9日(日)深夜】午前0時15分~午前4時15分

・英国ロイヤル・バレエ公演 バレエ 『ドン・キホーテ』 【5.1chサラウンド】
・マリス・ヤンソンス 指揮 バイエルン放送交響楽団演奏会【5.1chサラウンド】

最近になって、この番組の編成はクラシック音楽(のみ)重視から、舞台芸術をより視野に入れたものへと変わりつつあるのかな、と感じています。その理由はバレエのスタンダードな演目を放送するケースが増えていること、そして国内のオペラ公演を確実に増やしたこと等など。その方針、悪いことではないと思いますが(見たこともないもののファンになることはできませんからね)、もし啓蒙的スタンスならBSではなくかつての芸術劇場のように地上波、深夜ではない時間帯じゃないかな…とか文句はなくもない。う~ん。

まあ文句はひとまずおきましょう、別にバレエに恨みがあるじゃなし(あたりまえです)。この前の「白鳥の湖」に続いて「ドン・キホーテ」というラインナップ、きっと熱心なバレエファンの方には物足りない選択なのでは、と思えるほどのスタンダード演目ですね。この前はマリインスキー、そして今回の英国ロイヤルと並べるとより保守的な選択であるように思えます。
けれど。正直な話そのジャンルにはほんの少ししか認識がない千葉のような奴にはありがたいところ、です。とは言いつつバレエ見るの、音楽とは違って「ながら」では難しいから、どうしたものか迷うところではあるのですけれど。

後半はマリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団の、2011年3月の演奏会。内田光子を独奏者に迎えたベートーヴェンの第三番(とソリストのアンコール)、そしてリヒャルト・シュトラウスの「英雄の生涯」というプログラムはなかなか魅力的ですね、得意技が並ぶ感じは何か安心感すら漂います(笑)。


就任前後のドキュメンタリを収録したこのDVD~をたしか持っていたな、確認するか!(今からだと放送に間に合いません…)

●3月17日(月)【3月16日(日)深夜】午前0時30分~午前4時40分
・ボリショイ劇場公演 歌劇 『イーゴリ公』 【5.1chサラウンド】
・ボリショイ・バレエ公演 『パリの炎』 【5.1chサラウンド】

その翌週はオペラ、バレエとロシア推し。その選択に陰謀の匂い(おおげさ、忖度の可能性くらいっすね)を嗅ぎつけることもできなくはないけれど(笑)、それはそれ。最近「ボリス・ゴドゥノフ」を勉強したいと思っているので、できたら今度はそれでお願いします、くらいのもんです。たぶんね(笑)。
放送されるのはモスクワのボリショイ劇場公演で、前半はボロディンの歌劇「イーゴリ公」、後半はバレエ「パリの炎」。ふむ、好機と捉えることにしましょうか…と思いつつ、「パリの炎」って何?と思って調べてみました、アサーフィエフが音楽をつけたフランス革命を題材にしたバレエだそうで(事程左様に、「コンサートレパートリィに乗らないバレエについては何も知らない」のです、クラシック者。え?あたしだけ?こりゃまた失礼いたしました、と…)

 

もしかしてこれですかね、放送される「パリの炎」は。なお、「イーゴリ公」はちょちょっと検索しただけだと日本語字幕付きの現役ソフトが見当たらないという…貴重な機会になるかもです、この放送。


●3月24日(月)【3月23日(日)深夜】午前0時20分~午前4時

・藤原歌劇団創立80周年公演 歌劇 『オリー伯爵』

ことし1月31日の公演が早くも登場です。こういうスケジュール感はいいことですね、カメラ割りはあるにしても中継放送なんだもん、上演からあまり間を置かないほうがいいと思う。うんうん(ほめて育てたい時もあるのだ←下心見え見えで嫌らしい)。たしかアントニーノ・シラグーザが好評だった公演ではないかしら…ロッシーニにもあまり詳しくない千葉はどんな作品でも歓迎しますよ、願わくは楽しめる上演でありますように。



藤原歌劇団は最近、団としてのディスクを出しているようです。こういう放送が映像ソフト化に、そして経済的基盤強化につながるならいいなとぼんやり応援の意味を込めて貼っておきますね。

*************

以上、放送まで三時間を切ってギリギリにアップする情けないリマインドではございますが、今月のプレミアムシアターの放送予定でした。ではまた近日。

2014年3月4日火曜日

サム氏の冒険(と言っても20世紀オリエンタリズム的な、それ)について(前編)

こんにちは。千葉です。

ここ最近の沈黙の間に、まああれやこれやといろいろなことが起こるものです。それら話題の中でもこっちに向いていて、しかも大きいお題だと思えるもの二つのうち、ひとつは今日公開しますし、もうひとつは近日公開です。これだけ不定期更新になった状況で「乞うご期待」と言える鉄面皮の持ち合わせはないので(どこかの首相とは違って、人間のクズとは呼ばれたくない系小心者です、私)、興味ある方も期待しないでお待ちください(笑)。

*************

さて今日のサザエさんは、じゃなくて(千葉は永井一郎さんを悼んで「めぐりあい宇宙」を見ました。昔原作は読んだけれど、あの番組見てないもので)。

ご存知のとおり21世紀最大の(ヒット)クラシック作品と扱われてきた佐村河内守の交響曲第一番、そして彼の諸作品が、虚構的なほどの「美談に彩られた奇跡的な作品である」のではなく、美談から苦悩の障害と戦う天才作曲家物語そのものが虚構だったわけだけれど、さて。ということについてです。まあ、出来事自体はひとことで言って「ニッチジャンルでの栄華を夢見た、変わり者の詐欺師」、ですね。それ以上になるのかどうなのか。
なお、後編で書きますようにそれなりに以前からいちおうの注目をしていたことに免じて、コメントするのが遅れたことについてはご容赦くださいませな。この文章、おそらくこの件が話題になってから見かけた誰かさんの受け売りによる後出しジャンケンはしていない、と思いますので。それにどこかで見かけたライターさんのように「胡散臭いからシカトしてた、私は地雷を踏まなかった」とか誇ったりもしませんから(前から怪訝な見方をしていたライターさんだったけど、今回ので以後一切信用しないことに決めた)。

ではそろそろ本題へ、伴いまして以後彼氏は名前が長いので、ここではサム氏と表記します、彼らのユニットおよびそれで商いをされていた皆さんの総称として※。この件全体は千葉にとってはあくまでも「サム氏」の事件、サム氏騒動でしかないという読みもありますし。実際に作曲された人のことはN氏、ということで(星新一リスペクトだったのか、ならS氏じゃないんか)。

※サム氏からにせよN氏からにせよ、この告白前に「知っていた」という人があとどれくらい出てくるかわからないのだけれど(お一人、N氏サイドから直接聞いていたと告白された方がいらっしゃるのは認識しています、その人に絡んでる人がいたけど、それはなんのつもりだったのかな…)。
この商いの座組まで含めちゃうのは言いすぎだと思われるかもしれません、けれど。正直な話「まったく騙されていた!」という関係者はちょっと純にすぎるのではないかな、と…ここまで「美談」を何重にもコートして売られていた商品が、微塵の疑問もなしに存在し得ると思うのは、どうなの。奇跡を信じられるお年ごろだったのかしら(嫌味)。
なおこの統一感のないネーミング。すみません、この前、劇場版「スタードライバー」を見たばっかりなものでつい(イカ刺しか!…たしかに、ある意味冒険者だけどさ、この人も。オリエンタリズム全開の、山師が未開の地を往くような意味で、ですけど)。

まあなんですか、この顛末について個人的な感慨は小林信彦「怪物がめざめる夜」(1993)までは行かなかったか、ということに尽きるんです。微妙に古い感じの小説なのでご存じない方も多いかもしれませんけれど、嘘で作り上げたキャラクタが暴走して天下とっちゃうお話、あってほしくない方向への「あれよあれよ感」とでも言えそうな、しかし業界に通じた作者ならではのリアリティゆえの低速度暴走展開が見事な小説ですので興味のある方はぜひ。


え?虚構と現実を一緒くたにするな、ですか?でもねえ、そもそも今回のお話、嘘だったわけですし。
なんというか、最近は「嘘っぽい話だけど、まさかそんな見え見えな手は使わんでしょ」的な出来事、けっこうあるんですよね。大雪りばぁねっと(名称の小さい「ぁ」がすっごくムカつく)とかもそうだけど。やり口に一面の真理すらないただの美談ごっこ、幅を利かせてるんすよ。もっと言えば言論弾圧やら情報統制やらに注力する政府なんかもそうだけどさ。サム氏の話なんかにこんなに騒いでいられるほど、我が国はまともな状態なのかねと憂国の情を発することしばし、であります。まあ、そういう話は向こうのブログででも。そろそろ絶句から回復しますので。

*************

週刊誌報道が出る直前まで続いたサム氏の快進撃の、リミッタとなった要素を挙げるなら「サム氏が全聾である」というコミュニケーションをあらかじめ限定する「設定」(作品をベースにビジネスは展開できても、それ以上の発信力は持ちようがない。はずだ)、彼らの仕掛けの虚構性(いわゆる現代音楽として認められようとしながら、エピソードを過剰に乗せてアウトサイダー・アート扱いすれすれを狙いこんだかのような。これは正面からの批判を回避させるうまい手ではある、実際後述するけれど千葉の反応もそうとうに歯切れが悪いのだ)、エスカレーションを楽しんだりしない/できないスタッフ(ビジネスチームがどうかは知らないけれど、N氏の良心は本物なのだと思いたい)、あとは美談をそれ以上の「何か」につなげる仕組みの不在(擬似宗教くらいにならなれたかもしれない、あの調子だったら)。それになにより目的が功名だけ(ここ重要)と思われること、くらいでしょうか。

ちょっと考えてみてくださいな、いまどき現代音楽でここまでの大ヒットを想定するハイリスク・ハイリターンな、というか「結果に対する期待値が、可能性に対して異常に高い」詐欺師はそうおりますまい。しかしおそらくは望外といえるだろうことに、2007年に本が出てから初演までの時間を雌伏の時(仕込みの時、かもしれない)としても、初演の成功からCDのヒット、そしてあれやこれやに至るサム氏の活躍はまさに破竹の勢い、そしてその成功は短くもない期間にわたって続きました。普通にやってればこれだけの大作、話題にしていた一部の人達が思っていたように、初演される可能性さえ低かったと千葉は思うよ。その話はおいおいしますけど。

本題に戻りましょう、現代音楽としてはそう望めないほどの成功ののちに、さらに多くの美談、チャリティ的活動があっても、それはサム氏を止めたりしなかった。というかそんな要素は彼らのビジネスをより大きくしていくアクセルになった。交響曲にいくら注力していたにせよ、長年の彫琢あっての交響曲の後に次々と曲を出したのはまあ、ブラームスの例がなくはないから※ビミョウではあるけれど、さすがに多様な曲風が求められたのだろうサントラはやり過ぎだ、とか冷静な判断はなかったのかな。ううん。ああ、でもサム氏のスタートはゲームのサントラだったからいいのかな。むむむ。

※もちろん、交響曲の作曲こそ長い時間をかけたけれど、その間ヨハネス青年はがんがん曲を書いて自ら演奏して、と活躍されていた職業作曲家なわけだから、ここで名前を挙げたのは単に「ひとつめの交響曲という高いハードルに立ち向かった先達」という繋がりからにすぎませぬ(サム氏の場合、「作品」がこの先どう扱われることになるのかはまだ微妙だけど)。こんなとこで引き合いに出されて気分を害された方、ごめんなさい。

そんなわけで、いわゆる「事件」をこんな風に「けっきょくあれはなんだったのさ」と少しだけ時系を踏まえて見てくると、「いい話やべえ」ということくらいしかこの件から一般性のある教訓は得られそうもない、というのが現実でございます。いやはや。

にしても。詐欺師だとわかったにせよ、個人史を漁るの、ほどほどにしないと後が大変だと思うんですけどいいのかなマスコミさんは…そういう覗き見趣味、あたしは感心しませんよ?

*************

いろいろ書いていたらずいぶんと長くなってしまったので、ここまでを前編として先行して公開しておきます。後編では「では千葉はどうだったっけ?いつ何でどんな風に知った?これをどう聴いていた?」というのを検証してみますよ。それくらいしか同時代人の特権はないのですから、シカトした自慢なんかしてちゃイカンのです(笑)。次は早めに更新しますね、ではまた。


 

2014年2月9日日曜日

追悼、バレエ、三部作(そのままですみません

こんにちは。千葉です。

書きたいことは数あれど、いささか文章を仕上げるだけの余裕もなくてきめんに更新が滞っております。ご容赦のほど…訃報も事件も、反射で書けるほどのお題でもないもので。

*************

で、復帰がひと月ぶりの定期ポストになるのは、どうも…でもやらないよりマシだと思って更新します、公共放送の明日はこっちだ!と看板番組を応援する気持ちを込めてね!なお、ここの一文は片目に眼帯をした男の声で読んでね!(あの人のは「どっちだ!」だろう)

●2月10日(月)【2月9日(日)深夜】午前0時~午前3時15分
~ 指揮者 クラウディオ・アバドをしのんで ~
・ルツェルン音楽祭2012 クラウディオ・アバド指揮 ルツェルン音楽祭管弦楽団演奏会
・クラウディオ・アバド指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1994年日本公演

1月20日に亡くなったクラウディオ・アバドを偲んで、当初の予定から変更して放送されるこの日の演目は、最晩年の、というかほぼ最後の活動である一昨年のルツェルン音楽祭での演奏と、遡ること10年前のベルリン・フィルとの来日公演です。

前半はベートーヴェンの「エグモント」、序曲ばかり演奏されるこの作品が珍しく朗読、歌唱を伴った本来の形で上演されている、という点でも貴重ですね。
そして後半のモーツァルトは先週の「クラシック音楽館」でも一部が放送されておりましたが、なんとも清澄なサウンドで。大病から復帰して後の彼を偲ぶにはこれ以上はないのではないか、と。あえて「レクイエム」彼のキャリアを振り返るなら、折々に演奏してきたヴェルディのそれや、ベルリン時代のドイツ・レクイエムなどが思い浮かぶところですけれど、この演奏はまさに最後の言葉と捉えられるものなのでは。全曲を聴いてまたなにか書くかもしれません(書きかけの文もあります故)。

後半の1994年来日公演は10月14日サントリーホールでの演奏。ロシア作品への積極的なアプローチはベルリン時代まで特に顕著でしたね、マエストロ。

なお、ベルリン・フィルハーモニカーはマエストロを偲んで、生前の演奏映像を無料公開しています(利用者登録は必要です)。今晩の放送が見られない、録画できない方はこちらでご覧いただくのも手ではないかと。先ほど触れた「ドイツ・レクイエム」も、ウィーンでの演奏が見られます。千葉は彼の演奏でこの作品を聴くことで「ああ、これは”人の”レクイエムなのだなあ」と再認識させられました。興味ある方はぜひ。




●2月17日(月)【2月16日(日)深夜】午前0時30分~午前4時00分

・マリインスキー・バレエ公演 バレエ『白鳥の湖』
・モナコ公国モンテカルロ・バレエ公演 『ダフニスとクロエ』/『シェエラザード』

最近この枠で紹介されることが増えたバレエ公演、今回はオーソドックスであろうマリインスキー劇場の「白鳥の湖」と、おそらくはモダンな作りであろうモンテカルロ・バレエの二演目、です。千葉はバレエにそれほど詳しいわけでもないので多くは申しますまい。モンテカルロ・バレエって、バレエ・リュスの末裔だったりするんですかね…(ひところ何度も来日していた時期に確認しとくんだった、反省)


●2月24日(月)【2月23日(日)深夜】午前0時~午前4時

・ミラノ・スカラ座 プッチーニ:『外套』『修道女アンジェリカ』『ジャンニ・スキッキ』

2月最後のこの枠は、先日2015年からミラノ・スカラ座音楽監督に就任することが発表されたリッカルド・シャイーによる、プッチーニの三部作。

…シャイーって、いわゆるアバド派扱いで1986年の彼の退任後少し疎遠になっていたんですよね、このオペラハウスとは。最近ではある事件で話題になった「アイーダ」などにも登場していたから、こういう可能性はあるのかなと思っていたけど。
フェラーリのシートにイタリア人が収まることが、常に夢見られつつ多くの問題が予想されなかなか実現しないジレンマがあるように、スカラ座のマエストロはなかなか、大変です。なることよりもそこで治世を続けることが難しい。さてシャイーの治世は如何に、という未来を展望する意味でも、上演はそれなりにあるのに意外に録音、映像が少ないプッチーニの三部作を最新の舞台で見る意味でも、ぜひ録画してご覧ください!(さすがにリアルタイムで見るようには薦められない)


では以上簡単なご紹介でした。この紹介を機に、そろそろ文章を書けるモードに移行するよう相努めます、では。

2014年1月12日日曜日

2014年は27日より開始です(お決まり

こんにちは。千葉です。

また間が開いてしまいました。生きてます。その間の最大の出来事はあれですかね、Appleからのお年玉、iTunes Storeでブーレーズのマーラー全集が…って奴。ああ、もちろんこっちのブログ的には、ですよ。あっちのブログの過去記事、サルベージしておいたらアクセス稼げるかなぐひひ(心にもないことを書いてみた)。

*************

それはさておき、毎月恒例の公共放送様の全力が観られる(よく制作に参加しているので)看板番組の予定です。今月は明晩からです遅くてすみません、いつもながら。


●1月13日(月)【1月12日(日)深夜】午前0時~午前4時

・赤の広場コンサート
・エクサン・プロバンス音楽祭2010 ストラヴィンスキー:歌劇 『夜鳴きうぐいす』

前半は赤の広場でコンサート、かあ…中身はアンナ・ネトレプコに、ドミートリ・ホロストフスキー、そしてアカデミー・グランド合唱団、コンスタンティン・オルベリアン指揮のロシア国立交響楽団によるオペラ・アリアのガラ・コンサート、です。指揮者には馴染みがないけど1956年生まれでレコーディングはオペラ中心のようなので、いわゆる職人系の手腕があることを期待したいです。

後半はストラヴィンスキー初期の歌劇「夜鳴きうぐいす」をメインに据えた、これまたコッテコテのロシアンなストラヴィンスキー・ガラ的な公演です。まさか実演で初期歌曲とか見られるとは。しかもなんですか「きつね」とか超俺様得!(キャラ崩壊)

誰だよこんなおかしいプログラムを組む奴おいおい頭大丈夫かよ、と思ったが名前を確認したら大野和士だった。うん、ごめんそういう人だよね、大野さん(褒め言葉)。

演出や出演に人形だとかいろいろと気になる要素があるので、目で見て楽しめる公演なのではないかな、と期待しております。




●1月20日(月)【1月19日(日)深夜】午前0時~午前4時

・ドキュメンタリー 作曲家ペンデレツキ 迷宮の小道
・ペンデレツキ80歳バースデー・コンサート IN ワルシャワ(仮題)

クシシュトフ・ペンデレツキは、完全に千葉の守備範囲外なので素直に勉強させていただきます。後半のコンサートには名のみ知られた「ヒロシマの犠牲者に捧げる哀歌」も演奏されますよ。あと、東京交響楽団での活躍も注目されつつあるクシシュトフ・ウルバンスキの指揮がようやく見られるのも楽しみ。


●1月27日(月)【1月26日(日)深夜】午前0時~午前4時10分

・ドレスデン国立管弦楽団のジルヴェスター・コンサート 2013
・ベルリン・フィルのジルヴェスター・コンサート 2013

はい、2014年はこの日に始まります。それまで窓ふき大掃除でもして待ちましょうかね(え)。

まあ、恒例のイヴェントがようやく見られるのはありがたいのだけれど。
ひとつだけ公共放送さまに難癖つけさせていただくならば。なぜこの順番なのか、と。ラトル&BPh、客演ラン・ランのほうが先じゃないのかね、と。君らはオペレッタで愉快に新年を迎えよと申すか。まあいいんだけどね、放送していただけるだけで(なら言わない)。


*************

そんなわけで2014年は27日深夜に開始されることになりましたので、皆さまご了承ください。ではまた(おーい)。

2014年1月5日日曜日

新刊買わなきゃ!

こんにちは。千葉です。

やっぱりまだミハエルさんは「危険を脱し」てはいない模様です故、お祈りは続きます。
彼の身体そのものが生きてくれるかどうか、という状態はそう短いスパンで変化するものではないかと認識しているのです、千葉は。回復が待たれている脳は、おいそれと開けて治すわけにもいかないのですから、しばし注視してお祈り、だと思いますです。騒ぎすぎてもよくないかな、と思う気持ちと、声を出さないと気持ちは伝えられない、そんな板挟みはもどかしいですね…

*************

そんなことを言っているうちに、あれとこれの新刊が出てました、何たる不覚!そんなわけで今日は話題を変えて紹介をば。




小学生編はいまどの辺なんだろう…(単行本派)ご存知、若木民喜「神のみぞ知るセカイ」の新巻は単行本サイズのクリアファイル付きと単行本のみの二種発売されてます。去年のうちに(…)。
噂に聞く感じでは、過去編での行動がこうなってああなった、だからどうしてこうして…とかなんとかなかなか気になる感じなので早々に読まなくては、です。
なお、アニメ発信のCDも何枚も出てますのでぜひ(この作品独特のビジネススタイル、ちょっと考えてみても面白いかなとか思うけど手が回らない。この音楽への注力、手法としてはありなのでは)。




*************

あとこれは新巻を入手したらいろいろと書くと思いますが、現在描かれているクラシック音楽を題材としたマンガ、八巻が出てました。


簡単に説明するなら指揮、ヴァイオリンを軸に描かれる音大ものですかしら。主人公はヴァイオリンの男子、ヒロインは指揮者を目指す女子、という配置はなかなか新鮮かも。とりあえずお知らせのみ。

*************

で終わろうと思ったのだけれど。これを書きながら新刊情報を確認してたらもう出てるんじゃないですか、これ!



そんなわけで早く買わなくちゃ、という三冊でございました。では紹介のみですが本日はこれにて。

2014年1月4日土曜日

サルベージはじめました

こんにちは。千葉です。

「危険は去った」的な情報も散見されますが、今の時点で正式な発表もないことを思えばまだまだお祈りの時期は続きますです。病床で過ぎてしまったミハエルさんのお誕生日が後で楽しく祝われますように。

*************

さてこちらのブログがかつてのアメブロの方の役割を果たすことになるわけですが、であれば過去記事についてもある程度はこちらに移しておきたい。以前からそう思っていた作業を新年を契機として着手いたします。ってか、ひとつめは、もうやりました(笑)。

◆オネゲル少年の、その前にあった時代を見てみよう~二十世紀への道、かな?

2007年の記事ですが、オネゲルの交響曲を聴き込んだ時期の記事から移行をはじめました。というのも、来年2015年はアルテュール・オネゲル没後60年のアニヴァーサリー、であればその前に少しは騒いでおかないと、と思いまして(笑)。

あの頃にまともに聴き始めてその後いろいろと聴いてきたオネゲル、当時整理した情報が(自分には)いまでも役に立つところもあるからまあ、きっと意味はあるんじゃないかな、と思いたい(弱気)。

ちなみに、ですが。オネゲルをこれから聴こうという方には、以下の交響曲全集(二枚組)が悪くないかな、と思います。安いし、入手しやすいし。




左からプラッソン&トゥールーズ・カピトル管、デュトワ&バイエルン放送響、ボド&チェコ・フィルです。それぞれに一長一短があるのだけれど、入門の一組と考えればどれもその任を果たすには十分なクオリティかと。…ほんとうはシャルル・ミュンシュの全集があればいいのだけれど。

今度移行する記事を書いた2007年にはその辺りの評価まではたどり着いていないので、2015年には新版を用意したいところであります。他の作曲家などとの関係からまた違って見えてきたものもありますので。

*************

あとは昨今の状況を鑑みるに、否応なく再考の必要がありそうなショスタコーヴィチ関係の記事も何とかしたい。勤勉な私になりたいわあ(君はその願いでソウルジェムを輝かせるのかい?←いえごめんなさい)。

ともあれちょっとしたお知らせでした。本年もよろしゅう。



いわゆる正規録音ではないけれど、このクオリティで全集だったら同時代アプローチの中でも傑出した一組になったことかと。惜しい。