2017年4月25日火曜日

書きました:上岡敏之&新日本フィル 新シーズンプログラム発表記者会見

こんにちは。千葉です。
寄稿した記事のご案内です。

●上岡敏之を音楽監督に迎え、進化を続ける新日本フィルの新シーズン。「映画で言えばハリウッドではなくヨーロッパのそれ」

上岡敏之の音は、かつてヴッパータール交響楽団と来日した際に触れて、驚愕した覚えがあります。複雑な音楽でも声部が迷子になることはないやたらに目の詰んだアンサンブルと、時折見せる個性的なデフォルメが高い精度で共存する演奏に、とにかくまず驚いた。いくつかのレコーディングは長い演奏時間や特徴的な表現を売り文句としていたけれど、私には大きい驚きを伴うものではあるけれど妥当な演奏に思えたものだから正直なところそういった告知との乖離が気になっておりました。私にとって、彼は個性が明確に音楽に現れる、しかしまっとうな音楽家という認識でした。ドイツでオペラハウスを切り盛りできるだけの度量があり、ピアニストとしても活躍できる腕前を持つ、ある意味で日本人離れした音楽家。そんな受け取り方をしていました。

そんなマエストロが新日本フィルハーモニー交響楽団の音楽監督になる、と知ったときは驚いたものです、意外でした。とはいえ新日本フィルハーモニー交響楽団は長くシェフ不在で苦労されていましたから、新しい音楽監督を迎えられることは聴き手としても喜ばしいことでした。それは昨年の就任&今シーズンの記者会見の模様を見ていただければご理解いただけましょう。一時間に及ぶ長尺なのでお時間のある方は、ということにはなりますが、ぜひこちらの動画でその就任発表の会見をどうぞ。安堵感が非常に強かったことをよく憶えています。



そして半年後のコメントがこちら。短いですし、上岡さんの語りの雰囲気を知りたい方はこちらをぜひご覧くださいませ。3月の定期演奏会を前にしたコメントです。12月定期で演奏された、プロコフィエフの交響曲第五番が流れる映像は、その演奏を聴くためだけにでも見ていただきたいです。



その定期の直前に行われた「すみだ平和祈念コンサート2017」については記事中でも少し触れましたが、その直前のリハーサルについてはこちらの記事をどうぞ。下の方に割と詳しいレポートを書いていますので。

公開リハーサルに申し込んだきっかけがこの動画なんですよね、実は。昨年12月の時点でこれだけの音を出していたのか、と感じたものですから、早く聴く機会を作らなければ、と思いまして。この会見に伺ったことで、そのとき感じたこと(記事参照くださいね)を、会見の後に直接崔文洙さんにお伝えすることも出来て、この会見は仕事としてレポートをお出してきたことももちろんですが、一人の受け手として嬉しいことでした。

そしてこの記事を書いていたら、新日本フィルハーモニー交響楽団のYouTubeチャンネルに会見動画の抜粋がアップされました。ぜひ!



****************

記事が長すぎるといくらなんでも読んでもらえないかな、という気持ちもあって記事中ではほぼプログラム読み職人としての文章を書いていません。なんということでしょう!
なのでここで少し書いておきますね。もちろん記事タイトルにも選ばれた、映画になぞらえた「ハリウッドではなくヨーロッパのそれ」という評で十分かな、という判断もあるのですが、一応私観点ってのも、ね?(必死)

とは言いながら、この記事も既に長いのでいくつかのトピックとして、箇条書きで注目のポイントを書き出しておきますね。詳しいスケジュールは新日本フィルハーモニー交響楽団のサイトでご覧くださいませ。

・モーツァルトからバルトークまで、幅広い時代の作品を取り上げる上岡音楽監督。”ニューイヤーコンサート”の捻り方が絶妙!
・リクエストコンサートは新シーズンも実施。選ばれなかったリクエストも選曲の参考にするので、是非ご応募ください、とのこと
・シュテンツ、鈴木雅明、エリシュカ、タン・ドゥン…客演指揮者陣も実力派揃い。でも個人的に注目なのは、「エッフェル塔の花嫁花婿」を演奏する(!!!)デニス・ラッセル・デイヴィス
・横浜定期の「サファイア」はマーラー、ブルックナーを軸としたシリーズにしていく予定だそうです!(今年もその二人とツェムリンスキーなので筋は通ってます)

****************

質疑の中で「ルビーはアフタヌーン・コンサートなのにガチの選曲ですね!」(大意)と問われて「”子どものためのコンサート”もそうなんですが、あらかじめそういう狙いをもって手加減したようなプログラムでは見向きもしてくれない。有名な名曲ではないけれど、それに劣らない作品をお示ししたい」(大意)といったお話があったのが非常に印象に残りました。
上岡と新日本フィルは変化を恐れていないし実際に変わってきた、その先がとても楽しみだ。そう感じたものが記事に出せていれば幸いです、過程を楽しめるのは同時代者の特権ですから、今のうちに多くの方が彼らの演奏に触れてくださいますように。

そうそう、この記事を書いている間に知ったことをもう一つ。6月のクラシック音楽館で、来シーズンからは「サファイア」になる横浜みなとみらいホール 特別演奏会が放送されます。…もっとも、このプログラムはこれから初台の東京オペラシティコンサートホール(5/11)横浜みなとみらいホール(5/12)で披露されるものですから、近くば寄って音にお聴きくださいませ。公共放送様の録音技術が如何に高かろうとも、実演以上にはなりにくいものですから(註・席によっては、という保留はしておきますね)。

では記事の紹介の体を取った長ったらしいおまけはここまで。ごきげんよう。


2017年4月24日月曜日

書きました:ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団「名曲全集」第126回レヴュー

こんにちは。千葉です。
伺ってきた公演のレヴュー、公開されました。

●ミューザ川崎シンフォニーホールと東京交響楽団による「名曲全集」の新シーズンが4月16日に開幕

ミューザ川崎シンフォニーホール開館以来続くシリーズ「名曲全集」は今シーズンも興味深いプログラムが揃って、ほぼ月一回のペースで10回が開催されます。その初回は夭逝した作曲家たちの作品によるコンサート、指揮は尾高忠明でした。
この日の演奏の特長を一言にまとめるなら、仕上げの美しさということになるでしょう。挑発的にならないところは美点でありますが、個人的にはもう少し攻撃してくれてもいいわよ、とか思わなくもなかったりしますから好みとはなんとも難しいものです。とはいえ、この感触は私がふだん聴いているシューベルトがブリュッヘンだったりアーノンクールだったり、インマゼールだったりすることからくる感想です、ということは申し添えておきますね。記事にも書きましたとおり、この日の演奏は”ウィーン風”のそれ、だと認識しておりますので、妥当なものだと受け取った上での好みのお話でした。

モーツァルトとシューベルトの”ウィーン風”の外枠に挟まれたのは尾高忠明の父君、尾高尚忠のフルート協奏曲でした(今回演奏されたオリジナル版のOp.30aは、小協奏曲と表記して後に通常のオーケストラ編成にしたOp.30bと区別する場合があります。Op.30bは作曲者生前には完成せず、林光が補筆完成させています)。
ソリストは高木綾子さん、とここでいきなり敬称がつくのは、私の紹介よりも先に本稿をご紹介いただいてしまったからです。恐縮であります(笑)。


比較的知られざる作品を、自在な演奏で楽しませてくれたことにいま一度拍手させていただきます。

****************

記事に入れると少し本筋からそれるか、と思って割愛した部分を書き直してここでご紹介します。
ミューザ川崎シンフォニーホールという会場を賞賛することではサー・サイモン・ラトルにもマリス・ヤンソンスにも負けないつもりの私ですが(主観です)、この日もまた新たにした思いがありました。それは「協奏曲を聴くならミューザがいいな」というもの。それも、ピアノのようには音量でオケと対峙できない楽器のそれは、ここでしかこうは聴けませんよね、という。室内楽的な合わせの部分でも、オーケストラがトゥッティの部分でも、簡単にはソリストを消さないんですこのホール。
もちろん、それはソリスト、指揮者、オーケストラのそれぞれの配慮あって実現する音楽的達成ではありますが、それをある種の譲り合いによらずとも可能としてくれるのはこの会場の素晴らしいところなのです。ソリストを守るために鳴らさないオーケストラに歯痒い思いをすることもないし、音色や表現を損なってまでソリストが大音量に挑む必要もない。
弱音の表現力においてこのホール以上の繊細さを持つ会場はそうはないですから、音楽としての協奏曲を楽しむには最高の場所だよね、ということを途中まで書いて削除したのですが、この日は小編成とはいえその感を強めたものですからここに書き残しておきます。

そんなミューザ川崎シンフォニーホールに多くのソリストも登場するフェスタサマーミューザ2017は如何ですか?とダメ押しをしてご紹介はおしまい。
ではまた、ごきげんよう。


2017年4月23日日曜日

4/30(5/1)「ドキュメンタリー『エルプフィルハーモニー ~ハンブルクの新ランドマーク~』◇エルプフィルハーモニーこけら落とし演奏会/ダニエル・ハーディング パリ管弦楽団音楽監督就任記念演奏会」放送

こんにちは。千葉です。
BSプレミアムシアターの放送予定、4月最後の回は4月30日 24時(5月1日 0時)から約五時間の長丁場、ドキュメンタリーとオーケストラ演奏会二つです。

●ドキュメンタリー『エルプフィルハーモニー ~ハンブルクの新ランドマーク~』/エルプフィルハーモニーこけら落とし演奏会/ダニエル・ハーディング パリ管弦楽団音楽監督就任記念演奏会

前半はドキュメンタリーとコンサートでハンブルクの新ホール、エルプフィルハーモニーを紹介します。…これについては以前紹介記事を書きましたので、よろしければそちらもご参照いただければと存じます。すでにYouTubeで全曲配信されていますがそこはそれ、高画質高音質のBSプレミアムの実力をご覧あれ、です。


開幕式典は前日に行われたこちらです。だから「このホールの音が披露されたコンサート」はこの動画の方になりますが、今回放送されるコンサートは実にチャレンジングなプログラムも素晴らしいものですので、ぜひご覧ください。詳しくは以前の紹介記事をどうぞ。

後半はパリ管弦楽団の音楽監督に就任したダニエル・ハーディングの、最初のコンサートですね。曲はシューマンの「ゲーテの『ファウスト』からの情景」、キャストは以下の面々です。

ファウスト/天使に似た神父/マリアを崇拝する博士:クリスティアン・ゲルハーヘル
グレートヒェン:ハンナ・エリーザベト・ミュラー
メフィストフェレス/悪霊/瞑想の神父:フランツ・ヨーゼフ・ゼーリヒ
マルテ/憂い/罪深い女:マリ・エリクスメン
天使アリエル/法悦の神父:アンドルー・ステープルズ
欠乏/栄光の聖母:ベルナルダ・フィンク
成長した天使:タレク・ナズミ



こちらのコンサートも新しい会場で、オープンは昨年のフィルハーモニー・ド・パリ。詳しくはフランス観光開発機構のページでご覧ください。



****************

このプログラム、全体を通して「永田音響設計マジぱねえっす」ということなんだろうなあ、と思い当たった時に「これらの会場の原型にして最初の完成形(決めつけ)、ミューザ川崎シンフォニーホールをよろしくお願いします!」※とつい書いてしまう私でありました。

※もちろんこれは市民の贔屓目もございますので、ホール名には各自リンク先のお好みのものを代入して読んで下さい(おいおい)

ということで放送のご案内はここまで。ではまた、ごきげんよう。

※放送前ですが追記(4/24)。この番組の前の時間帯、初音ミクだったりアニサマだったりサブカル枠として機能しているように見受けられるのですけれど、この週はなんと『シン・ゴジラ対エヴァンゲリオン交響楽』の編集版が放送されます(フルサイズ版はソフト化して販売されるのでしょう)。もしそこから視聴を続けるとするならまるっと六時間の長丁場。命を賭けよ、と公共放送様は申していらっしゃいます(笑)。
なお放送についてはリンク先をご参照ください。

2017年4月22日土曜日

4/23(24)「マリインスキー・バレエ公演『ジゼル』/ミラノ・スカラ座バレエ公演『恋人たちの庭』」放送

こんにちは。千葉です。
放送予定のご案内、23日 深夜24:00~(24日 未明0:00~)放送のプレミアムシアター、この回はバレエですよ。

●マリインスキー・バレエ公演『ジゼル』/ミラノ・スカラ座バレエ公演『恋人たちの庭』

最初にお詫びしておきます。探してみたけれど今回は適切な動画が見つけられず、特段のご案内ができません。無念。

前半は、サンクトペテルブルクのマリインスキー・バレエによる「ジゼル」です。
…ここで「アラベスク」がまず出てきてしまう私は多くを語りますまい。ご容赦のほど。
なおキャストは以下のとおりです。

ジゼル:ディアナ・ヴィシニョーワ
アルブレヒト:マチュー・ガニオ(パリ・オペラ座バレエ団)
ハンス:イーゴリ・コルプ
ミルタ(精霊ウィリの女王):エカテリーナ・イワンニコワ  ほか

定期的に来日している名門の名作、ということで勉強させていただこうかと(バレエ・リュスの時代になれば音楽からアプローチすることも容易なのですが、なかなかクラシックは難しくて…)。

後半がミラノ・スカラ座バレエ公演『恋人たちの庭』。この見慣れない作品はモーツァルトの作品による新作なのだとか、であれば幻想的な舞台であるらしいことまでしか事前知識なしで見てみようかと。
キャストはこちらです。

女:ニコレッタ・マンニ
男:ロベルト・ボッレ
夜の女王:マルタ・ロマーニャ
ドン・ジョヴァンニ:クラウディオ・コヴィエッロ
レポレッロ:クリスティアン・ファジェッティ
アルマヴィーヴァ伯爵:ミック・ゼーニ
伯爵夫人:エマヌエラ・モンタナーリ
フィガロ:ワルテル・マダウ
スザンナ:アントネッラ・アルバーノ
グリエルモ:ヴァレリオ・ルナデイ
フェランド:アンジェロ・グレコ
フィオルディリージ:ヴィットリア・ヴァレリオ
ドラベルラ:マルタ・ジェラーニ

見慣れない作品といいましたけれど、こうおなじみのメンバーがどう出てくるなら果たして彼ら彼女らは何をするのやら、という感じがしてきますね(笑)。


※放送後にようやく見つけました。こういう舞台です(遅くてすみません…)

以上放送のご案内でした。ではまた、ごきげんよう。

4/23「鈴木雅明のドイツ・オルガン紀行」放送

こんにちは。千葉です。
日曜21時からのクラシック音楽館、4月23日の放送ご案内ですよ。

●<鈴木雅明のドイツ・オルガン紀行>

バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏でもおなじみの鈴木雅明による、ヨハン・ゼバスティアン・バッハのオルガン作品集が地上波でいい時間帯に放送されるというのは、なかなか画期的なことであるように思います。

会場そのものが楽器であるオルガンですからどこで演奏するか、というのも大きいポイントですが、今回は2017年2~3月にドイツ各地の教会を訪れての収録とのことで”楽器”比べも楽しめます。要チェック、です。

なお発表されている曲目は以下のもの。

幻想曲 ト長調 BWV.572
パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV.582
パストラーレ ヘ長調 BWV.590
オルガン小曲集から 前奏曲とフーガ ホ短調 BWV.548 ほか

以上ご案内でした。ではまた、ごきげんよう。

2017年4月19日水曜日

フェスタサマーミューザ2017、プログラム詳細紹介

こんにちは。千葉です。
さて先日の記者会見レポートに続いて、プログラムすべてに言及した記事を書きましたよ!というご案内。

●フェスタサマーミューザ2017―――プログラムを読み解く

先日第一報として記者会見の模様をお伝えした「フェスタサマーミューザ2017」の、全公演を紹介しています。文章の長短は多少あっても全部です。いまはやりきった感があります。はい。

今年は首都圏10団体に加えてPMFオーケストラ、オーケストラ・アンサンブル金沢が参加※することになり、私が以前から熱望していたプロムスへの道をまた一歩進んだ感があります。
Kitaraで演奏してからミューザに来るPMFの皆さんは果たして親戚筋(おい)のホール、どのように感じられますでしょうか。そして腕利き揃いのOEK、ミューザでガチのプログラムをどう聴かせてくれますやら。そんな特別参加団体だけが目玉じゃないよ、というのが記事の主眼です。どれも見どころ聴きどころのあるコンサートが並んでいますので、ぜひこの夏はミューザ川崎シンフォニーホールで!という川崎市民からの熱いオススメです(笑)。

※新日本フィルハーモニー交響楽団は今回、ワールド・ドリーム・オーケストラ(WDO)としての特別参加

****************

約三週間の夏祭り、ホールに住んですべてのコンサートが聴けたらさぞや充実することでしょう(註・移動しなくてよかったら涼しいだろうなあ、という意味ですよ)。なお現在、チケットは友の会会員の皆様の先行受付中、一回券の一般発売は4/22からです。詳しくはリンク先にてご確認くださいませ。

ではまた、ごきげんよう。

2017年4月18日火曜日

4/19(20)、29 「読響シンフォニックライブ」放送

こんにちは。千葉です。
恒例の番組の放送予定です。

●読響シンフォニックライブ 4月

日本テレビ:2017年4月19日(水) 26:34~(20日(木) 午前2:34~)
BS日テレ:2017年4月29日(土) 7:00~

番組司会:松井咲子

指揮:田中祐子(ストラヴィンスキー)/シルヴァン・カンブルラン(シューベルト/ウェーベルン)
管弦楽:読売日本交響楽団

曲目

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)
※2017年2月28日 ミューザ川崎シンフォニーホールにて収録

シューベルト/ウェーベルン:六つのドイツ舞曲
※2016年10月19日サントリーホールにて収録

変則的な20世紀音楽プログラム、ということになりますでしょうか。
前半は新進の女性指揮者として注目されつつある田中祐子が、ストラヴィンスキーの三大バレエ音楽から「ペトルーシュカ」を披露します。キレのいい2管編成版をどのように聴かせてくれますか。
後半はシルヴァン・カンブルランの指揮で、シューベルトの作品をヴェーベルンが編曲したものを。…これは余談なのですが、日曜(16日)には日本アルバン・ベルク協会の、月曜(17日)にはゲーテ・インスティトゥートのイヴェントでそれぞれカンブルランの話を聞いてきたばかりなのも何かのご縁というものでしょう。楽しく聴かせていただきます。

※なお、それらのイヴェントについては別途記事としてお出しする予定です。乞うご期待、と申し上げられる出来に仕上がりますように(笑)。

ではご案内はこれにて、ごきげんよう。

※追記。
番組を拝見して、これまでこの番組に感心してきた「作品をカットせずに放送する」美点に加えて「カメラがいいところを映している」というところを高く評価したく思います。「ペトルーシュカ」の大詰め、人形である彼の頭が壊されてしまうところをストラヴィンスキーは「地面にタンバリンを落とす」ことで描写しているのですが、そこをこの番組ほどきっちり見せてくれたのは、私には初めてのことでした。他にも、いつも感じる「音楽が盛り上がってから指揮者を映しても仕方ない」(盛り上がるように仕込みをするのが指揮者の仕事で、盛り上がっちゃったらあとはオケががんばります←嘘ではありません)「ソロのパートを間違いなく映す」(これとても大事)などの基本的な約束事が守られていて、見ている際にストレスを感じることがありません。素晴らしいことです。

そしてもう一つ付け加えましょう。「必要があるならば、拡大版として全曲を放送する」ことです。なんと次回も拡大版、メシアン晩年の大作「彼方の閃光」を全曲放送しますよ、とのこと。日本テレビでは5月18日放送予定とのことですが、詳しくは別途記事を用意します。この放送が、秋の「アッシジの聖フランチェスコ」につながるわけですね、力の入り方が違います…

2017年4月16日日曜日

4/16(17)「笈田ヨシ演出 歌劇『蝶々夫人』/ロサンゼルス・オペラ ウディ・アレン演出 歌劇『ジャンニ・スキッキ』」放送

こんにちは。千葉です。

放送予定のご案内ですよ。4月最初のNHK BSプレミアムシアターは、プッチーニのオペラを二本立て。放送時間は4月16日(日)※ 24:00からです。

※放送局としては17日(月)表記が優先の模様ですが、私としてはまだ眠ってない時間なものですみません。

●笈田ヨシ演出 歌劇『蝶々夫人』/ロサンゼルス・オペラ ウディ・アレン演出 歌劇『ジャンニ・スキッキ』

前半は既に高崎での公演レポートをお届けし、巡演終了後の講演会もご案内した笈田ヨシ演出による「蝶々夫人」の最終公演、東京芸術劇場での2月19日公演の模様が放送されます。16日も日程に入っているのは、おそらくゲネプロも収録していて部分的に編集している、ということでしょうね。楽しみです、あの舞台を皆さまがどう見られるのか。



公演データは以下のとおりです。

指揮:ミヒャエル・バルケ
演出:笈田ヨシ

舞台美術:トム・シェンク
衣装:アントワーヌ・クルック
照明:ルッツ・デッペ

合唱:東京音楽大学
管弦楽:読売日本交響楽団

キャスト:

蝶々夫人:中嶋彰子
スズキ:鳥木弥生
ピンカートン:ロレンツォ・デカーロ
シャープレス:ピーター・サヴィッジ     ほか

後半は、ドミンゴの変貌ぶり(笑)が楽しい「ジャンニ・スキッキ」です。再放送なので詳しくは書きませんが、英雄的なテノールを降りたプラシド・ドミンゴという人の魅力が満載ですし、なにより演出はウディ・アレンですので。お楽しみに。



プッチーニの傾向の違う二作、どちらも楽しめることうけあいです。ぜひご覧くださいませ。

ということでご案内はおしまい。ではまた、ごきげんよう。


4/16「N響 第1855回 定期公演」放送

こんにちは。千葉です。
放送予定、16日 21:00から放送のクラシック音楽館のご案内です。

●<N響 第1855回 定期公演>

指揮:下野竜也
ヴァイオリン:クリストフ・バラーティ
管弦楽:NHK交響楽団

マルティヌー:リディツェへの追悼
フサ:プラハ1968年のための音楽
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77

2017年1月28日にNHKホールで開催された演奏会、壮絶なプログラミングが話題でしたね。いや、後半はブラームスの協奏曲ですから、壮絶などと言っては申し訳ない。堂々たる演奏だったと評判は拝見しています。注目の壮絶なプログラムは前半の、20世紀音楽二作品です。

****************

リディツェはチェコの地名ですが、追悼を捧げられるのにはもちろん理由があります。詳しくはWikipediaでも参照してください、バビ・ヤールなどと同じ、地名を聞くだけでも沈痛な思いに駆られる歴史があります。そしてぜひこの放送で、アメリカ亡命中のマルティヌーが書いた音楽を聴いてみてください。正直な話、私から申し上げるべきことはないのです。

そして次なる作品、カレル・フサの作品については、私と同じく吹奏楽からのクラシック音楽好きにはおなじみでいらっしゃることでしょう。私の場合は、とお断りするまでもなく愛知工業大学名電高等学校の松井郁雄先生の名前と結びついている作品、と言っても良いかもしれません。


SHOBI NETTVより 吹奏楽版全曲)

きっと生涯で最初に触れた”現代音楽”ということになると思います、「プラハ1968年のための音楽」。当時は”プラハのための音楽1968”と言っていましたね。中学生で、吹奏楽コンクールが情報源だった当時は1968年という時にこめられた意味もわからず、さらに言うと最後に鳴り響く賛美歌「我ら神の戦士」の意味もわかっていない(モルダウしか知らない田舎の子供のことなので許してください)。ただ鮮烈な衝撃として受け取ったものです、この作品(の第四楽章←コンクールの演奏だからね)。もちろん、今なら1968年という年の特権性も理解できるし、この作品についても相応の受け取り方をしていると思います。スコアも前に眺めて、思っていたよりは演奏しやすい感じでしたし(やったことはないです、残念ながら)。
管弦楽版はあのジョージ・セルが希望して作られた、オリジナルの吹奏楽版からの編曲です。近年ではエサ=ペッカ・サロネンがロサンゼルス・フィルハーモニックと録音していたりしますので、興味の湧いた方はぜひ、アルバム単位で買ってください。Amazonで見つからなかった(つまり私の稼ぎの可能性は、ない)けど、こればっかりは単曲で買っても意味ないもので。

好きなものの話が長くなりすぎるのは私のよくないところですな、と自覚したこのあたりでおしまいにします。放送をお楽しみに、ということでごきげんよう。

2017年4月13日木曜日

サントリーホール主催公演 2017年9月~2018年3月発表

こんにちは。千葉です。
公演の、というか一連の公演のご案内です。

●サントリーホールの主催公演(2017年9月~2018年3月)

ご存知のとおり、と言ってしまいますが、サントリーホールは現在改修中のため休館しています(2月6日より)。各種定期演奏会なども今は東京芸術劇場など他の会場に移ったり、あるいは休止していたりと、その影響の大きさはさすが日本のクラシック音楽ホールの中心地、といったところでしょうか。


ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団様もこう申していらっしゃいますしね!(虎の威を借りてみた)

ミュージック・ガーデンやサマー・フェスティバルなどの恒例のイヴェントも時期を移して開催されますし、クリスマスから年末年始にかけてはバッハ・コレギウム・ジャパンの「メサイア」からフォルクスオーパーのジルヴェスター&ニューイヤーへと、サントリーホールが帰ってくるのだな、という印象を受けます。

一連の公演の中でも注目はやはりアンドリス・ネルソンス指揮ボストン交響楽団による一連のコンサートでしょう。これがあるんだから「恒例のウィーンがない」とか思う必要、ないと思います。ええ。中でもやっぱり三公演の初日、11月7日の公演ですね、注目は。うんうん(ただのショスタコーヴィチの人の感想)。
まあ冗談でもありますが、「ネルソンス&BSOはショスタコーヴィチのレコーディングを進めている最中である」ことを考えれば、あながち冗談でもない。いややっぱり本命はこれだよ!そうに決まってる!(キマってる人の感想)
えー気を取り直して、この他のメイン曲はラフマニノフ(第二番)、マーラー(第一番)なのでつまり(イッてる人の感想は割愛)。

※追記。サントリーホールからのリリースが本日配信されました。やっぱりショス(やめなさい)

 
先日演奏したばかり(つまり近いうちにレコーディングが販売される)交響曲第七番についてこんな配信もしてますから、オーケストラもショスタコーヴィチにやる気なんです。これはもう(いい加減にしなさい)。

****************

サントリーホール不在の間、いつもとは違う首都圏各地の会場で演奏会を楽しまれる方も多いことと存じます。そこで私のオススメは(市民の義務←そんなものはない)。
再開後に聴くサントリーホールの音を他の会場と確認するならこの公演が、などなど楽しみ方もいろいろとありましょうから、今は目の前の演奏会を楽しんで、サントリーホール主催公演のラインナップを拝見しつつ秋の再オープンを待ちましょうそうしましょう。

ということで、ほとんどアンドリス・ネルソンスとボストン交響楽団(とショスタコーヴィチ)の紹介になってしまいましたがこの辺でおしまいとしますね。ではまた、ごきげんよう。


2017年4月12日水曜日

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン「眠れる森の美女」5月上映

こんにちは。千葉です。
舞台の劇場上映、バレエのご案内です。名作ですね。

●英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン「眠れる森の美女」

5月12日より上映されるロイヤル・オペラ・ハウスのバレエは、今度はクラシックで「眠れる森の美女」です。





これは自戒も込めて申し上げるのですが、バレエ音楽にのみ親しんでいるクラシック音楽好きにはバレエを見ることが、必要だと思います。クラシックであれば音楽だけでも”お決まり”が聞き取れますけれど、その意味合いはバレエの振付とセットで理解されるべきものです。また、モダン以降になればマイム的な要素と音楽が強く結びついて、音楽的な新しさと作品の表現が示すものをより理解しやすくなります。また、近代以降の作品は短い上演時間で多くの情報を示すためにも情景描写に感情表現にと、相当に多くの作品内容を負わされています。

これは自分の経験では「ペトルーシュカ」について、バレエを見る前後で理解が圧倒的に変わったことから来た反省でもあります。個人的な経験はモダン寄りのものですが、”チャイコフスキーなら音楽だけでも楽しめるよね!”と思って舞台を遠ざけてしまうのも、同様に可能性を排除してしまっているものなのです。

…現在なら配信で見られるものもあるよね、という気持ちもわかります、わかりますが、劇場で集中する数時間というのは別物ですから、如何でしょうか。
(拝見したら更新しますし、拝見できなければその旨書いて更新終了です)

ではまた、ごきげんよう。

2017年4月11日火曜日

九州交響楽団 熊本地震追悼復興祈念特別番組「復活を誓い、復興へ歩む」をJ-COMで生中継

こんにちは。千葉です。
放送のご案内、ケーブル局ではありますが広くご覧いただけそうに思いますのでぜひ。


4月14日(金)に熊本県立劇場 コンサートホールで開催されるコンサートを、J-COMで生放送する、とのことです。番組情報はリンク先にてご確認くださいませ。


指揮:山下一史
独唱:並河寿美(ソプラノ) 福原寿美枝(アルト)
合唱:九州の有志による特別編成合唱団
管弦楽:九州交響楽団を中心に全国のプロオーケストラ、熊本の音楽家で編成

マーラー:交響曲第二番 ハ短調 「復活」

****************

あの地震からもう一年が経つのか、という思いはそのまま「被災の現実を知らない」ということにも繋がってしまいます。神戸の地震も、東日本の地震も現在進行形で復興は続いているものですから、併せて思い起こす機会とさせていただきたく存じます。

ではご案内はこれにて、ごきげんよう。

※追記。拝見しました。まず、関係各位にお疲れ様でした、と申し上げます。私はどちらかといえば音楽そのものにこだわりたい方のクラシック音楽好きなのですが、ここまで特別な機会の演奏ともなればその意義に対して、頭を深く垂れるものです。

※さらに追記。6月11日の「クラシック音楽館」でも、この演奏会の模様が紹介されます。ぜひご覧くださいませ。

METライブビューイング「椿姫」

こんにちは。千葉です。
毎度おなじみオペラの劇場上映のご案内です。

●METライブビューイング 「椿姫」

4月8日からの上映ですが、詳しくはリンク先にてご確認くださいませ。

この舞台は見覚えのある方も多いでしょう、ヴィリー・デッカーの演出はザルツブルクでも上演されて、ネトレプコとヴィリャゾンのコンビで収録もされていますね。それに、METでの上演も2010年からなのでここの舞台でもご覧になられた方もいらっしゃるでしょう。

今回のキャストはヴィオレッタにソニア・ヨンチェヴァ、アルフレードにマイケル・ファビアーノ、ジェルモンにトーマス・ハンプソンほか。この三人について、私は「歌が上手いやつが正しい、歌が下手なやつのせいでこんなことになった」という酷い評価の仕方で見てしまうのですが、果たして今回の悪役は誰になるでしょうか(笑)。

そして指揮は二コラ・ルイゾッティ、東京交響楽団の客演指揮者としても活躍してくれた彼が大舞台に登場です。







>海外評1 >海外評2 >海外評3

****************

さて拝見しましたMETの「椿姫」。
ヴィリー・デッカーの演出はとにかく三人の心理に迫るもの、他の社会的要素はあくまでも環境、背景にすぎないものとして類型化、記号化されて示されます。有名な、あまりにも有名な作品でしかもヴィオレッタとジェルモン親子さえ描ければ十分にドラマが成立する作品だからできる力技ではありますが、これはこれで説得的です。
その力技を成立させるために舞台に持ち込まれた数少ない大道具の時計はヴィオレッタに残された時間を否応なく意識させるもの(だから第三幕のカーニヴァルの群衆とともに持ち去られ、彼女にいつ終わりが訪れても仕方のない状態であることがわかる)。もう一つ、これを大道具扱いは申し訳ないところだけれど、第一幕から黙役として姿を見せるグランヴィル医師はその容姿をヴェルディに似せることで、メタ的な構図を持たせられているように感じました(ちょっとお髭は少ないけど)。ヴィオレッタがこの作品の結末を知る彼に懇願し、ときにその”物語”を覆せたかのように喜ぶ姿により哀しみが増したように思います。造物主に挑む被造物の物語とも、もしくはヴェルディのライフワークであった「リア王」的父娘関係のヴァリエーションのようにも感じられる仕掛けは、よく知られた作品を新鮮に見せてくれるものでした。なるほど、2005年のザルツブルク初演以来各地で繰り返し上演されるわけです。そうそう、第一幕で休憩を入れてそのあとは続けて上演することで、「蝶々夫人」にも似た構成として、後半の悲劇にどんどんと感情的に巻き込んでいく仕掛けは歌い手には大変でしょうけれど、上手く行っていると思います。
…もっとも、フローラやドビニー、ガストーネあたりの役どころがその他大勢に埋没するのは、キャスティングされた皆さんには悪夢なんじゃないかなあ、って思ったことは書いておきますね(笑)。

さて注目のメインキャスト三人の出来についてです。やはりソニア・ヨンチェヴァのヴィオレッタがオペラを駆動し、ドラマをより深く示してくれたのは素晴らしかった。精一杯に生きて、そして死んでいくヴィオレッタの美しさは心に残るものです。そしてなにより多くを求められるこの役でありながら歌に不安がなく、強い声を最後まで維持してくれたので、必要以上に哀れっぽくなってしまわなかったのは特筆ものでしょう。ヨンチェヴァの実演に触れられる機会がありますように。
ジェルモン家の男二人については、それぞれに良し悪しがでたかな、という印象です。アルフレードのマイケル・ファビアーノは、甘く愛を歌うところで旋律線が崩れるのが気になる。旋律が歌い崩されることでこの舞台のアルフレードの性格を少々悪漢に寄せた、とかそういうことではなさそうでしたので、ちょっとそこはどうかな、と(ルックスや振舞いがどこか洋ドラに出てくるタイプの悪い子っぽいから、そういう味付けでもよかったのに、とか思わなくもない)。ジェルモンのトーマス・ハンプソンは、ちょっと調子が悪かったでしょうか、声が軽く響いてしまったのが惜しまれます。容姿と演技は文句なしなのですけれど。

そして特筆すべきは指揮のニコラ・ルイゾッティの充実でしょう。東京交響楽団の客演指揮者だった彼もサンフランシスコ・オペラの音楽監督として充実した活動をしているのでしょう、随所で雄弁な表情を示すオーケストラに感心させられました。耳慣れない響きもちょっとしたデフォルメもドラマをより深め、それでいて不自然に感じられることがないのはお見事です。また客演してくれませんかね、彼。シンフォニーの領分でもお聴きしてみたくなりました。

そんなわけで、この舞台は水準以上の「椿姫」としてオススメできるものでした。都合のつく方はぜひ劇場でご覧くださいませ。

ではまた、ごきげんよう。

2017年4月10日月曜日

東京藝術大学 戦没学生の音楽作品演奏のためクラウドファンディング募集中

こんにちは。千葉です。


●戦没学生の音楽作品よ、甦れ!楽譜に命を吹き込み今、奏でたい

東京藝術大学演奏藝術センターの大石泰さんによる発信で、「太平洋戦争で戦地に赴き、命を落とした音楽学生の作品を発掘・調査し、現代によみがえらせ」るプロジェクトとして、それらの作品を実際に音として広く経験され得る形にするためのコンサートへの協力を求めるクラウドファンディングです。
コンサートを開く、と簡単に申しますが、このプロジェクトの場合その前準備として楽譜の存在確認から状態調査(演奏できるところまで完成されているかどうか、というところから確かめる必要があるでしょう)、選曲、そして演奏家や会場の手配などなどが必要です。大学を舞台にしたプロジェクトですから、それらのうちのいくらかは自前で用意できるとしても手がかかることは誰にでもわかるところです。そのための支援のお願い、というクラウドファンディングがこちらです。興味のある方はぜひリンク先にてご確認ください。

****************

昨今のアレヤコレヤを鑑みるに、いやそんな前提なくとも私たちの社会はWWIIをまともに消化できていない。もしくは、あの戦争を自分から切り離して、いわば対象化して考えることができていない。だって、「あの戦争をした主体と、現在の社会をシームレスに地続きなもの」と捉えていなければ、三人ほど前の帝による勅を学校で使っても問題ない、なんて言わないでしょう?
であれば、多様なアプローチでその距離とつながりを検証していくしかない。きっと「この世界の片隅に」もそういう作品になりうるでしょうし(受容については少し懸念もなくはないので、原作も併せて読むのがいいんじゃないのかな、なんて思ったりする)、相当にバイアスのかかったものではありながら「海道東征」の再評価も何かの意味はあるのでしょう。どうせなら黛敏郎のあのカンタータを演奏したらどうだい?と半年早いツッコミを今のうちにしておきましょうかね…

このプロジェクトも、実現すればそうした”一石”として評価されることでしょう。私はとても貧しいので参加はできませんが、せめてこうしてご紹介させていただきます。

※追記。東京藝術大学は、クラウドファンディングによる試みを全面的に行っていくようで、こうしたサイトも作られています。考えてみたいこともあるのですが今はちょっと手が回りませんのでひとまずご案内のみ追記しておきます。

ではまた、ごきげんよう。

2017年4月9日日曜日

4/9「N響 第1854回 定期公演/アンサンブル・ウィーン」放送

こんにちは。千葉です。
放送予定のご案内ですよ。4月9日(日) 21:00からの「クラシック音楽館」、N響アワーに復帰です。

●<N響 第1854回 定期公演>

指揮:ヘスス・ロペス・コボス
ヴァイオリン:アルベナ・ダナイローヴァ
管弦楽:NHK交響楽団

レスピーギ:
  グレゴリオ風の協奏曲
  教会のステンドグラス
  交響詩「ローマの祭り」

現在はホールの休館に伴い休止中のN響B定期、2017年1月18日の公演です。ヘスス・ロペス=コボスは昨年東京二期会「トリスタンとイゾルデ」の大好評が記憶にあたらしいところですが、2月にはN響とレスピーギを披露してくれました、という公演ですね。
…「教会のステンドグラス」、一年間に二回も演奏される曲なのだろうか、なんて思ったことは内緒ですよ。

<コンサートプラス アンサンブル・ウィーン(弦楽合奏)>
ヨハン・シュトラウス:ワルツ「南国のばら」

N響定期のソリストとして登場した、ウィーン・フィルのコンサートマスターが率いるアンサンブルのコンサートから一曲、最後に追加されます。2013年6月29日のフィリアホール公演です。

以上ご案内でした。ではまた、ごきげんよう。

2017年4月7日金曜日

鈴木優人&BCJ、森麻季、小林沙羅他による「ポッペアの戴冠」開催決定

こんにちは。千葉です。
注目公演の情報、第一報ですが「これは!」と思いましてご紹介。
※公演詳細、チケット販売情報など確定しましたので以下大幅に改稿しました。

●モンテヴェルディ作曲 歌劇「ポッペアの戴冠」 
  演奏会形式/アラン・カーティス版全三幕/イタリア語上演・日本語字幕付

東京:2017年11月23日(木・祝)  会場:東京オペラシティ コンサートホール
横浜:2017年11月25日(土) 会場:神奈川県立音楽堂

両日とも16:00開演

指揮:鈴木優人
管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン
舞台構成:田尾下哲

キャスト:
ポッペア:森麻季
ネローネ:レイチェル・ニコルズ
オットーネ:クリント・ファン・デア・リンデ
オッターヴィア:波多野睦美
フォルトゥナ/ドゥルジッラ:森谷真理
アモーレ:小林沙羅
アルナルタ/乳母:藤木大地
ルカーノ:櫻田亮
セネカ:ディングル・ヤンデル
メルクーリオ:加耒徹
ダミジェッラ:松井亜希
パッラーデ:清水梢
兵士II:谷口洋介

2009年に新国立劇場 中劇場で鈴木雅明の指揮のもと上演したモンテヴェルディ後期の大作「ポッペアの戴冠」を、今度は鈴木優人が取り上げるわけですね。近年世俗作品にも積極的に取り組んでいる印象の強いバッハ・コレギウム・ジャパンの演奏は注目です。

****************

楽譜の書法の関係で、この作品はまずどのようにリアライゼーションするかがポイントになりますけれど、今回はチェンバリスト、指揮者として活躍したアラン・カーティス版(1989)を採用とのことです。


1993年のルネ・ヤーコプスによるプロダクションの抜粋です。短いですが、音のイメージだけでも感じていただければ。

チケットの一般発売は東京公演が4月22日(土)横浜公演が6月3日(土)とのことです。

以上ご案内でした。ではまた、ごきげんよう。

書きました:ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第125回レヴュー

こんにちは。千葉です。
寄稿した文章のご紹介です。

●作曲家シベリウスの生涯を俯瞰する、オール・シベリウス・プログラム―――ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第125回

これで本当に東響の昨シーズンが終わった公演です。シベリウスの名曲プロ、といえばこの日の前半、「フィンランディア」からヴァイオリン協奏曲、そして交響曲第二番と相場は決まっておりますが、この日はメインに交響曲第七番が置かれたことで題名の通りのプログラムになりました。もしこれに勝とうと思うなら、「エン・サガ」か「レンミンカイネン組曲」で始めて、「ペレアスとメリザンド」組曲もしくは交響詩のどれか、最後にカンタータもしくは「タピオラ」(尺が余るようなら両方)、そんなプログラムを編むしかありません(何の勝負だろうか)。しかもそのプログラム、果たして「名曲全集」に入れていいのだろうか、と私でも思います(笑)。その点、この日のプログラムは知名度の高い二曲と、比較的知られていない最後の交響曲で一本筋もとおったものになっています。

いえ、「名曲全集」は記事にも書きました通り、125回を数えるシリーズであるからには、もはや”ありがちな名曲”しか演奏しないコンサートシリーズではないのです。たとえば4月18日の新シーズン第一回目には尾高尚忠のフルート小協奏曲(Op.30a)を演奏するし、6月には井上道義の「狂詩曲」づくし、9月には元ベルリン・フィルのバストロンボーン奏者によるケルシェックの新作&ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」など、趣向を凝らしたプログラムで新しい名曲を探す旅の如きシリーズとなっています。もちろん、10月のノット監督による変奏曲づくし、11月の秋山和慶によるスポーツづくしなど、見どころの多いプログラムが並んでいます。ホームで聴く東響、この選択肢も如何ですか?ということで、スケジュールやチケットについてなど詳しくはリンク先にてご確認ください。

****************

この日はシリーズとしての成熟、好調の東響のサウンドもさることながら、ソリストとして登場したチャン・ユジンに感心させられました。ところどころに弱さはありました、でも若手ですしその長所を明確に打ち出せる美点の方を評価したく思います。



さて、新シーズンの東京交響楽団はミューザ川崎シンフォニーホールで例年以上に多くの演奏会を開催します。ぜひ多くの皆さまが、ホームの会場で創られた音を楽しまれますように。

ではまた、ごきげんよう。

 

2017年4月6日木曜日

テオドール・クルレンツィス、SWR響の首席指揮者に

こんにちは。千葉です。
オーケストラの人事の話、今日はSWR交響楽団の情報です。

●Teodor Currentzis wird Chefdirigent des SWR Symphonieorchesters

テオドール・クルレンツィスは、もはや最も注目を集める指揮者の一人、と言ってしまっていいでしょう。少し前までなら「知る人ぞ知る」「鬼才」といった表現をせざるを得なかったところですけれど。
かく言う私にしても、ショスタコーヴィチの交響曲第一四番の録音で話題になるまでは名前を見かけた程度の認識でしたし、その後も「継続して新譜が出ているな、今時珍しいな」くらいの注目度でした。「”ムジカ・エテルナ”はブルッヘ(ブリュージュ)とペルミ、地名つけないとわかんなくなっちゃうな」とかね。



ですが、2016年度のレコード・アカデミー賞を、パトリツィア・コパチンスカヤとのチャイコフスキーで受賞してしまってなおそんなぼんやりした認識でいるわけにもいきません。なんといっても大好きなヴァイオリニストですから、コパチンスカヤ。



私個人は「ソル・ガベッタとのデュオ・リサイタルで来日するヴァイオリニスト」くらいの認識で聴いたショスタコーヴィチの協奏曲で完全にファンになってしまったわけですが、そもそもが現代作品を非常に得意とし、ここに貼ったコンサートのような意欲的なプログラムにも取り組む実にユニークな人だったんです。チラシの写真がかわいい感じだったから「ヴィジュアル売りかよ…」なんて思って流していた過去の私を殴ってやりたい(笑)。

脇筋が長すぎてもいけないので本題に戻ります。彼女がチャイコフスキーを録音する、それもクルレンツィスと組む、と来ては無視なんてできるはずもない、カップリングがストラヴィンスキーの「結婚」とくればなおのこと。



こんな演奏をされてしまえば嫌でも気になりますよテオドール・クルレンツィス。気がつけば小さいレーベル(すみません)からソニー・クラシカルに移籍して、セッションレコーディングでモーツァルトの「ダ・ポンテ三部作」を録音するという破格の待遇を得る存在になっていた彼ですが、如何せん中央アジアに近いペルミの歌劇場をホームとして、長時間の濃厚なリハーサルを行った上での演奏活動であるため登場頻度も多くない、さらにサイトやYouTubeチャンネルのロシア語・キリル文字のハードルも低いとはいえない(他の言語ができるとは申しませんが、パッと見で受け取れる情報がキリル文字の場合ほぼゼロになってしまうのです。勉強しようかな、ロシア語…)。あえて申しますなら、クルレンツィスとアニマ・エテルナ・ペルミ(便宜的にこう書きます)は「常設のサイトウ・キネン・オーケストラ」的な、プロによるアマチュア並みの時間をかけた演奏活動なんです、彼ら。それも作品の年代に合わせて使用楽器を変えたりといった、かなり考えられたアプローチの。


おや?コンマス裏にいるこのヴァイオリニストは…

私の恥はさておいて、そんな活躍を続けるテオドール・クルレンツィスが、2018年からSWR交響楽団の首席指揮者になる、というニュースがこの記事でお伝えしたいことなんです。やっと本題にたどり着いた(なお、Südwestrundfunkで南西ドイツ放送)。
これからの活動がどのようなものになるかはこれからの発表になりますが、なにより彼の演奏にアクセスしやすくなるのがありがたいところ。なにせSWR交響楽団は合併後最初の演奏会※を現在自身のサイトで全曲公開しているくらいですから、この先も期待できるでしょう、きっと。

※ご存知かもしれませんが、SWR交響楽団はかつてギーレン、カンブルラン、ロトが活躍したフライブルクのオーケストラと、チェリビダッケ、ジェルメッティ、ノリントンらが活躍したシュトゥットガルトのオーケストラが2016年に合併したものです。公式サイトはリンク先でどうぞ。

キリル・ペトレンコがそうだったように、”日本にいる私たちが知らないままにいきなり巨匠として登場する”指揮者、これからも増える予感がします。もっとも未来のことはわからないけれど、この指揮者が強烈な個性の持ち主であり、すでに世界が注目する存在であることは疑いようもない。せっかくなのでご存じなかった方はこの機会に彼の名を覚えてくださいませ。

ということでこの記事はおしまい。ではまた、ごきげんよう。


2017年4月5日水曜日

書きました:東京交響楽団 川崎定期演奏会第59回 レヴュー

こんにちは。千葉です。

東京交響楽団の昨シーズンも終了しました。多くの公演をご案内し、リハーサルを取材し、公演のレヴューを書かせていただきました昨シーズンをまとめる記事も用意します。ですがその前に、こちらの記事をご紹介。

●レスピーギのローマ三部作で2016/17シーズンが終了。創立70周年を祝ってきた東京交響楽団が、大きな区切りを華々しくフィナーレ!

東京交響楽団のシーズンを飾ったのは、飯森範親によるレスピーギの代表作でした。彼と東響は2013年にこの曲を録音していますから、今回はどう来るかといろいろと予想してスコアを眺めていきましたが、今回も正攻法でした。詳しくは記事でお読みくださいませ。

なお、東京交響楽団の昨シーズン最後の公演もミューザ川崎シンフォニーホールで行われています、こちらのレヴューも近日公開の予定です。

****************
記事にも書いたのですが、レスピーギの管楽器用法はリムスキー=コルサコフ直系の割とシンプルな発想に基づいています。私がそれに気づいたのは、高校生の頃に「祭」をちょっとだけ演奏した時ではなく、最近になっていろいろ勉強してからでもなく。大学の吹奏楽部で戯れにホルンを吹いていたときのことでした。
マーラーの五番とか、超がつく有名なソロを吹いてみたい、それだけの気持ちで遊んでいて、なんとなく「十月祭」を吹いてみたときに発見したのです。あれ、ほとんどF管の開放で吹けちゃうじゃん、と。もちろん平均律的な音程にはならない自然倍音によるクラリーノ音域で旋律を作るわけですけど、もしかしてこれって?そう気づいたんですよね。懐かしいなあ(遠い目)。そのあたりの話はチルチェンセスで鳴り響くブッキーナ(古代ローマのラッパを指すけれど、実際には普通にトランペットで演奏されます)について詳しく読み解いた、先日紹介した佐伯茂樹さんの著作を参照していただけましたら。

同じ20世紀でも、バレエ・リュス周辺で活躍した人たちはそういうアプローチはしないんです、たとえばファリャの「三角帽子」冒頭のファンファーレとか、音にしてみると割とトリッキィなんですよね。
そのあたりの歴史を踏まえたアプローチは、音響的にはグレゴリオ聖歌への傾倒が強く現れた作品群でも明確ですが、それが実に屈託のない音響を生み出すことに貢献しているあたり「嗚呼レスピーギは伊太利亜の人なのだ」と感じた次第でありました。20世紀音楽で、管楽器が活躍してその分演奏が大変でも、レスピーギのオーケストラが描く絵はとても鮮烈で、それが明確に示されていたのがこの演奏の美点で、「その分影もまた色濃いな」ってあたりがもっと強くてもよかったかもしれません。

このあたりでレヴューのあとがきはおしまい。ではまた、ごきげんよう。


2017年4月4日火曜日

書きました:バッティストーニ&東京フィル「平日午後のコンサート」(2017年3月)レヴュー

こんにちは。千葉です。

バッティストーニと東京フィルについては、昨シーズンの記事をまとめた記事(ややこしい)を作るつもりでいるのですが、まずは寄稿したばかりの記事をご紹介。

●首席指揮者アンドレア・バッティストーニのトークを交えた演奏会。東京フィル2016-17シーズンの締めくくり「平日午後のコンサート」

春開幕の東京フィルハーモニー交響楽団のシーズンは3月に終了しました。その最終公演となった「平日午後のコンサート」を、可能な範囲でトークを再現して、可能な範囲で演奏についてのレヴューもしてみました。盛りだくさんな分長めになっていますが大丈夫、通して読んでも一時間四〇分ほどに及んだコンサートほどは長くありません!(笑)…いくら読んでいただいても音は聴けないので、そこは本当に申し訳ないですけどご容赦のほど。

以前に話を聞いた際に、チャイコフスキーの交響曲第六番についての強い思いを受け取っていましたから、この演奏を聴くことができて本当によかったです。
…が感想では、あまりに素朴な言い方になってしまいますが、思うところは記事の方に書いておりますので、ぜひそちらでお読みくださいませ。


こちらのインタヴューも参考になるでしょう。私が彼のリハーサル、コンサートを取材したい!と最初に感じたのは彼の「展覧会の絵」の動画が素晴らしかったからだ、ということも思い出します。仙台の皆さま、彼の演奏は如何でしたか?(返事を書きにくいところで聞くな)



今回のヴェルディとチャイコフスキーによるプログラムは、イタリア音楽とロシア音楽を主に取り上げてきた、これまでの彼と東京フィルの仕事の総決算ということになっただろうと、シーズンが終わった今は感じています。次なるシーズンからは、きっとまた新たな試みを見せてくれるのだろうアンドレア・バッティストーニ&東京フィルハーモニー交響楽団の前途に、幸あれ。

そんな感傷も反省も、近日公開の昨シーズンのまとめ記事には書かずに済ませよう、と思う私でありました。
ではこれにて、ごきげんよう。

「N響午後のクラシック」 ミューザ川崎シンフォニーホールで4~6月開催

こんにちは。千葉です。

コンサートシリーズのご案内です。なにせ私、野良の宣伝ヒラですので、このホールで行われる特徴的なシリーズを見逃すことはできないのです。

●N響午後のクラシック(特別協賛の明電舎からのリリースにリンク)

以下に公演情報を整理します。もちろん管弦楽はNHK交響楽団、会場はミューザ川崎シンフォニーホールです。

●2017年4月27日(木) 15:00開演

指揮:広上淳一
ヴァイオリン:ダニエル・ホープ ※

ラーション:田園組曲 Op.19
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第一番 ト短調 Op.26 ※
ベートーヴェン:交響曲第七番 イ長調 Op.92



●2017年5月25日(木) 15:00開演

指揮:ウラディーミル・フェドセーエフ
ピアノ:ボリス・ペレゾフスキー ※

ショスタコーヴィチ:祝典序曲 Op.96
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第一番 変ロ短調 Op.23 ※
リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 Op.34
チャイコフスキー:幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」 Op.32



●2017年6月15日(木) 15:00開演

指揮:トン・コープマン
フルート:カール・ハインツ・シュッツ
ハープ:シャルロッテ・バルツェルライト

モーツァルト:
  歌劇「魔笛」序曲
  フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299
  交響曲第四一番 ハ長調 K.511 「ジュピター」



チケットなど詳しくはNHK交響楽団のサイトでご確認くださいませ。

****************

定期的な公演をこれまでNHKホール、サントリーホール、そしてBunkamuraオーチャードホールで主に行ってきたN響が、ミューザに定期的に登場するのですから、これは注目したい。

個人的なポリシーというかなんというかですが、いわゆるマーケティング的視点から公演を見ることはしないようにしているのです。しかしそれでも、近年の「平日昼間のうちに開催するクラシックの公演」が増えていることは無視できない。先日ご紹介した東京フィルハーモニー交響楽団の「休日/平日午後のコンサート」のような成功例もございますし。しかもその会場に選ばれたのがミューザ川崎シンフォニーホールと来ては、注目せざるをえないのです。
東響のサウンドを洗練させ続けているこのホールで、N響はそんなに多くの演奏会をしていません。恒例のフェスタサマーミューザでも、その直後に行われる「N響ほっとコンサート」とほぼ同じ、エンタテインメントプログラムを披露してきましたから、本格的なシンフォニーオーケストラとしての実力を示す機会はあまりなかった、のです。そんなN響がついにこのシリーズによってミューザ川崎シンフォニーホールで、本気のプログラムを披露してくれることになるわけですから注目しないわけにはいかない。指揮が広上淳一、ウラディーミル・フェドセーエフ、そしてトン・コープマン(!!)とくればなおのこと。
前日にNHKホールで「水曜夜のクラシック」として披露したプログラムをミューザ川崎シンフォニーホールで披露してくれるのですから、演奏の仕上がりも万全のはず、全力のN響を期待できないはずもない。さて、どうなりますか。注目です。

ご案内はこのあたりでおしまい。ではまた、ごきげんよう。

2017年4月3日月曜日

書きました:オペラ「眠れる美女」レビュー

こんにちは。千葉です。
寄稿した記事の紹介です。

●川端康成のオブセッションを共有。視覚、聴覚を常に刺激してくる舞台―――オペラ「眠れる美女~House of the Sleeping Beauties~」

昨年12月に行われた公演のレヴューを、遅まきながらお出しできました。書くべきことは書いたと思いますので、できましたら記事をお読みいただけましたら幸いです。…せめて写真だけでも!

なお、それだけでは取っ掛かりがなさすぎる、と思われる方はまずこちらの、作曲のクリス・デフォートがアップした初演版の抜粋をご覧いただけましたら、と思います。



川端康成の原作以外にはこれしか手がかりがない中で、できることはさせていただいた公演でした。記事にも書きましたが、叶うならば再演も期待したく思う刺激的な舞台でしたけれど、この演目は難しいということならばLODのプロダクションでもいいので見てみたいです。…こういうつきっぱなし系の、説明ではなく表現で満たされた舞台はなかなか難しいところがある、というのは理解しているのですけれど。

ともあれ、よろしければ記事をご覧くださいませ、というお願いでした。
ではまた、ごきげんよう。


トーマス・ブランディス(ヴァイオリニスト)死去

こんにちは。千葉です。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の元コンサートマスターとして活躍した名手の訃報が続きます…

●Death of Thomas Brandis

先日お伝えしたライナー・クスマウルがアバド時代の顔のひとりなら、先ほど訃報が届いたトーマス・ブランディスはカラヤン時代の顔のひとりでした。81歳とのこと、合掌。

…もっとも、彼が活躍した時期には私はまだ子どもで、長じて後に多くの録音で彼の演奏に触れた世代なのです。ブランディス弦楽四重奏団の演奏で親しまれた方も多いでしょう。退団後もオーケストラとは親密な関係で、「先日行われたキリル・ペトレンコとのコンサートにも来場して次代への期待を共有していた」と記事にあります。カラヤン時代を支えた彼が、今の、そしてこれからのベルリン・フィルをどのように感じるものか、興味深いところでしたのに。

こちらの動画は音声のみではありますが、ピティナが「ピアノ曲事典」として収録しているものの中から、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第五番より、第一楽章です。こうした企画に参加してくれた彼は、生前教師として多くの後進を育てたとのこと。そうして演奏スタイルが受け継がれていくことは、ありがたいことです。



21世紀ももう20年近いのだ、と考えればこうした報せも仕方のないところではあります。それでも、と感じるのもまた人情ではございますが。

ということでお知らせのみ。ではまた、ごきげんよう。


2017年4月2日日曜日

ラ・プティット・バンド 10月来日

こんにちは。千葉です。
来日公演の情報です。

●La Petite Bande Concerts

ラ・プティット・バンドの公式サイトで情報を確認すると、10月9日の大阪公演から21日の福岡まで、日本各地での公演が予定されていることがわかります。大阪(シンフォニーホール)東京(浜離宮朝日ホール)福島(福島市音楽堂)岐阜(サラマンカホール)福岡(アクロス福岡)の各地をめぐるツアーですが、基本はバッハの管弦楽曲(いわゆる管組と協奏曲)とカンタータを組合せたプログラムです。
昨年はOVPP(One Voice Per Part)というアプローチによる「マタイ受難曲」を披露しているから、今度は小規模に思えるかもしれません。けれど、あの時代の「オーケストラ」はなかなか幅広い概念を含有するもの、大編成はまたの機会に、と考えましょうそうしましょう(もしくは、日本で活躍するBCJのようなアンサンブルで楽しみましょう)。

…実際のところ、現在非常に厳しい状況にあるラ・プティット・バンドが来日してくれることはそれだけでも奇跡的なことです。古楽と言われるアプローチを、説得的に示してくれた最初の世代の音楽家たちが次々と鬼籍に入られる中、シギスヴァルトに率いられたアンサンブルがこうして継続的に来日公演を行ってくれる、それだけで応援したくなるのは私だけでしょうか(いやそんなはずはない)。
彼らの状況は、リンク先のファンによる日本語Facebookアカウントが詳しく伝えてくれておりますので、興味のある方は、と言わずぜひご覧くださいませ。



一連の公演の中でも充実しているのが新・福岡古楽音楽祭2017の一連の公演であることはリンク先を開ければ嫌でもわかります。ツアーのメインプログラムはないけれど、独自プログラムを含めてヴァイオリン独奏、弦楽四重奏、そしてハイドンのオペラと三公演もあるだなんて羨ましい、羨ましすぎます。
(東京でも弦楽四重奏はあるのですが、なによりハイドンの「ラ・カンテリーナ」が!!)



私にいわゆる古楽、「作曲された時代のアプローチによる演奏」を教えてくれて、今もなお新鮮な刺激を与えてくれる彼らに、少しでも恩返しがしたく、確定情報が少ない中で記事化させていただきました。
各地の公演が成功しますよう、何かお手伝いできることがあればお声掛けください…

ではまた、ごきげんよう。


4/2「エリアフ・インバル指揮 ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団/スタニスラフ・スクロヴァチェフスキさんをしのんで」放送

こんにちは。千葉です。
放送予定のご案内ですよ。

●クラシック音楽館 4月2日(日) 21:00~(Eテレ)

<ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団 来日公演>

番組の本体は、3月13日に「すみだトリフォニーホール開館20周年記念 すみだ平和祈念コンサート2017《すみだ×ベルリン》」としてすみだトリフォニーホールで開催された、エリアフ・インバル指揮 ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の演奏会です。

ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」から 前奏曲とイゾルデの愛の死
マーラー:交響曲第五番 嬰ハ短調

 <スタニスラフ・スクロヴァチェフスキさんをしのんで>

番組の最後に、2月に訃報が届いたマエストロの演奏を。1996年2月3日、NHKホールでの演奏です。…デュトワさん時代の直前から共演しているんだから、もしかするとここのオーケストラと、なんて分岐もあったのかもしれませんねえ…
「読響シンフォニックライブ」は近年の演奏を放送してくれましたが、N響との彼は20年前の演奏(!!)で偲ぶことになります。合掌。

指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
管弦楽:NHK交響楽団

ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第二番 Op.72

以上、ご案内でした。ではまた、ごきげんよう。

2017年3月31日金曜日

ライナー・キュッヒル、N響ゲスト・コンサートマスター就任

こんにちは。千葉です。
オーケストラの人事のお知らせ。

●ライナー・キュッヒル氏のゲスト・コンサートマスター就任について

ウィーン・フィルの顔として長く活躍されたライナー・キュッヒル氏が4月からNHK交響楽団のゲストコンサートマスターに就任されます。オーケストラとは、これまでもソリストとして、またコンサートマスターとして共演を重ねてきた彼が、正式にポストに就くことでもたらされるものも多いことでしょう。

このタイミングでの就任とあって、4月1日&4日に開催される東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.8『ニーベルングの指環』 第3日 《神々の黄昏》がお披露目公演となるわけですね。オペラ上演の経験豊富な彼の参加は、パーヴォさんとは違った形でN響を変えていくのでしょう。今後のご活躍を期待します。

****************

キュッヒルさんには、こんなコンサートの御礼を申し上げたい気持ちが出身者としてございます。その節はありがとうございました。


また、クラシカ・ジャパンがケーブル局に配信している番組を偶然に見かけた際にかなり痛烈なお話をされていたのも紹介したいけれど、残念ながら動画は配信されていない模様(番組案内はリンク先でどうぞ)。機会がありましたらぜひご覧ください、ウィットとはこういうものかと痛感しましたので。

ではご案内はおしまい、ごきげんよう。

※追記。指揮者がグスターボ・ヒメノからクリスティアン・アルミンクに変更されたN響オーチャード定期第93回にて、ライナー・キュッヒルがコンサートマスターとして登場することがアナウンスされました。曲目が「シェエラザード」ということもあって、新たなゲストコンサートマスターの勇姿を存分にお楽しみいただける公演となるでしょう。詳しくはリンク先にてご確認くださいませ。

フィルハーモニア管弦楽団の首席客演指揮者にフルシャ、ロウヴァリ

こんにちは。千葉です。
オーケストラの人事ニュースです。

●THE PHILHARMONIA ANNOUNCES TWO PRINCIPAL GUEST CONDUCTORS: JAKUB HRŮŠA AND SANTTU-MATIAS ROUVALI

5月に来日公演を行うフィルハーモニア管弦楽団の話ですし、就任が決まった指揮者ふたりと日本のオーケストラはご縁がありますから、ということでご紹介。2010年にサー・チャールズ・マッケラスが亡くなって以来空位となっていた首席客演指揮者ポストに、若い二人の指揮者を選びました、というニュースです。

一人はヤクブ・フルシャ、ええ、東京都交響楽団の首席客演指揮者を今シーズンまで務めるまさにその彼です。



そしてもうひとりはサントゥ・マティアス・ロウヴァリ、2014年に東京交響楽団に客演し、今年は5月にフィンランド・タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団を率いて来日します。2017-18シーズンからはイェーテボリ交響楽団の首席指揮者にもなる、という。



すでにインタヴューがある辺り、手回しの良さは流石だな、なんて本筋と関係ないことを少し考えてしまいます(笑)。さらに「これでサロネンは作曲ができると思っているのだろうなあ」なんて意地の悪いことを思わなくもないのですが(いい加減にしろ)、ニュートラルなオーケストラを、まだ30代のこの二人がどんな色に染めるのかは、なかなか興味深いところです。

でもその前にサロネンさん、お願いしますよ…



と、もうちょっとサロネンの活躍を期待したい気持ちのあるファン心理を率直に申し上げたところでこの記事はおしまい。

ではまた、ごきげんよう。

2017年3月30日木曜日

フェスタサマーミューザ2017 ラインナップ発表

こんにちは。千葉です。
市民として取材してまいりました。


フェスタサマーミューザ、13回目のラインナップ発表です。より詳しい情報は、公式サイトで隈なくご覧ください!(笑)


と、これだけで逃げるつもりはまったくございませんで、いま現在プログラムを細部まで見て、聴き所はこれですよ!という第二弾記事を用意しております。もう少々お待ちくださいませ。



…それでも一つだけ、どうしても言いたい!「オープニングコンサートは今年もノット&東響、浄夜と春祭だぞーっ だぞー ダゾー」とだけは!これを聴かずしてどうします!!

プログラムを読んだ上でお出しする記事にもこの公演に触れますが、これは!と会見の場で見た瞬間に何かのスイッチが入って、今もそのままのような気がします。とりあえず7月までがんばるぞー、8月も乗り切るぞー、とやる気になっている私でありました。

彼にカメラ目線でプレッシャをかけられましたしね!(それ違う)

ではまた、ごきげんよう。


サントリー芸術財団 サマーフェスティバル2017情報公開

こんにちは。千葉です。
さて毎年恒例、サントリー芸術財団主催のいわゆる現代音楽のフェスティヴァル、情報公開です。

●サマーフェスティバル2017

9月初頭に開催されるこの音楽祭は今回で満30年、「ザ・プロデューサーズ・シリーズ」「サントリーホール 国際作曲委嘱シリーズ」「芥川作曲賞 選考演奏会」の三本柱で成り立っています。

今年のスケジュールは以下のとおり。

まず片山杜秀の「ザ・プロデューサーズ・シリーズ」、題して”片山杜秀がひらく<日本再発見>”が3日、4日、6日、10日開催。
サントリーホール 国際作曲委嘱シリーズ No.40のテーマ作曲家はゲオルク・フリードリヒ・ハースで、演奏会は7日、11日。
そして第27回の芥川作曲賞 選考演奏会は2日に開催されます。

私のオススメは、やはりと言っては何ですが片山杜秀さんによる20世紀邦人作曲家シリーズが気になります。…と言いますかですね、このフェス以外、どこでオール・大澤壽人・プログラムに出会えましょう?(笑)
近年、なんとなく復活しつつある大戦期の作品とはまた違う、意識的・意志的な受容を可能にしてくれるこのフェスティヴァル、休館明けて最初のサントリーホール詣でに如何ですか、新鮮な響きでリニューアル後の状態もすぐにわかりましょうし。

と、冗談抜きで申し上げてご案内はおしまい。
ではまた、ごきげんよう。

2017年3月29日水曜日

東京・春・音楽祭「神々の黄昏」出演者変更

こんにちは。千葉です。
出演者変更は、起きてほしくはないけれど、人間の事ゆえ残念ながら起きうることでございます。であればそのすべてを追うことも難しく、私が個人で情報を集めるのも困難ですが、この春注目の音楽祭の、目玉公演でございます故ここにご案内します。

●東京春祭ワーグナー・シリーズvol.8《神々の黄昏》出演者変更のお知らせ

ここで告知のあった変更により、4月1日、4日に上演される東京・春・音楽祭の「神々の黄昏」は以下の布陣となりました。

指揮:マレク・ヤノフスキ
管弦楽:NHK交響楽団
  ゲストコンサートマスター:ライナー・キュッヒル
合唱:東京オペラシンガーズ(合唱指揮:トーマス・ラング、宮松重紀)
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン

キャスト:

ジークフリート:アーノルド・ベズイエン ※ロバート・ディーン・スミスから変更されました
グンター:マルクス・アイヒェ
ハーゲン:アイン・アンガー
アルベリヒ:トマス・コニエチュニー
ブリュンヒルデ:レベッカ・ティーム(4月1日)/クリスティアーネ・リボール(4月4日) ※両日ともクリスティアーネ・リボールの予定でした
グートルーネ:レジーネ・ハングラー
ヴァルトラウテ:エリーザベト・クールマン
第1のノルン:金子美香
第2のノルン: 秋本悠希
第3のノルン:藤谷佳奈枝
ヴォークリンデ:小川里美
ヴェルグンデ:秋本悠希
フロースヒルデ:金子美香

映像:田尾下哲

メインキャストの変更は残念ではありますが、チクルス最終年度として熱のこもったリハーサルが日々続いている旨、東京・春・音楽祭は発信しています。ワーグナーシリーズの他にも数多くの公演が連日開催されている”上野の音楽祭”、絶賛開催中です。詳しいスケジュールはリンク先でご覧くださいませ。



以上ご案内のみにて。ではまた、ごきげんよう。

ライナー・クスマウル(ヴァイオリニスト)死去

こんにちは。千葉です。
またしても訃報です…

●Death of Rainer Kussmaul

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を好きな人ならば、コンサートマスターとして活躍した彼の姿を覚えていらっしゃるでしょう。カラヤン亡き後にクラウディオ・アバド時代の、メンバー側の”顔”の一人でしたから。



ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターとして1993年から1998年まで活躍し、1995年にはベルリン・バロック・ゾリステン(Berlin Barock Soloistsとも)を設立し、モダンオーケストラ奏者の頂点を極めつつ古楽奏法にも通暁した、実に”現代的”なヴァイオリニストでした。現在ならそうしたアプローチは普通になってきましたが、20世紀のうちにそれを最高のレヴェルで成し遂げた彼は、時代の変化を体現した存在として活躍を続けてくれました。

晩年にはかつても活躍した教育者としての仕事にも注力されていたようです。1946年生まれとのことですから、70歳での逝去となります。お疲れ様でした、合掌。



ではまた、ごきげんよう。

※追記。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の日本語アカウントの日本語運用、あまりにまっとうすぎてなんと申しますか、いちおう物を書いている私としては身が引き締まる思いでございます。いま一度合掌。



2017年3月28日火曜日

「ロイヤル・オペラ・ハウス 2016/17シネマシーズン ”ウルフ・ワークス”」3/31より上映

こんにちは。千葉です。
おなじみの”ロイヤル”劇場上映のお知らせ、今回はバレエです。

●ウルフ・ワークス(ロイヤル・オペラ・ハウス 2016/17シネマシーズン)



このタイトルですぐにこの作品をイメージできる方は相当のバレエ通でいらっしゃるかと存じます故、私のごときが申し上げるべきことはございません。各々日程をご確認の上、お近くの劇場へどうぞ!(根本的にチキンな私)

小説家、評論家として活躍したヴァージニア・ウルフの作品にインスパイアされたバレエ「ウルフ・ワークス」は、ウェイン・マグレガーの振付、マックス・リヒターの音楽による2015年の新作バレエ。「ダロウェイ夫人」「オーランドー」「波」の小説、そして彼女の日記や手紙、エッセイなども用いて構成されたという作品は高い評価を受け、今回の再演&世界への上映となった、ということですね。

こちらは再演を前にしたワークショップのライヴ配信です(ロイヤル・オペラ・ハウスの公式チャンネルはこうして記録を残してくれるのがとてもありがたい)


そしてこちらは2015年の初演時に公開されたリハーサル映像です。


音楽の方は先日CDもリリースされています。その雰囲気はマックス・リヒターの公式YouTubeチャンネルで配信されているこちらからもお察しいただける、でしょうか。




ポストクラシカルという潮流に疎い私は「アンビエント?」とか思ってしまうわけですが(古くてすみません)、この静かな響きの中でどのようにドラマを見せるのか、気になってまいりました。

昔「灯台へ」を読んだくらいで、「~なんて怖くない」も見ていない私はこの機会に見聞を広げるべきでしょう、きっと。まずはヴァージニア・ウルフの小説でも読むとしますか…(そこからなのか遠いな)といったところでご紹介はおしまい。くれぐれも、詳しくは公式サイトでご確認ください。

ではまた、ごきげんよう。

※追記。試写を拝見して参りました。
ライヴで聴くと「これは生オケが必要なのかな」と思わされがちなポストクラシカルですが、劇場上映だと距離感が適度でいいかもしれない。ハンス・ジマーっぽくもあり、しかし劇伴とは異なってアイロニカルな音楽と、ヴァージニア・ウルフの作品にインスパイアされたダンスの相性はなかなかのもの・「ダロウェイ夫人」による第一幕、「波」による第三幕は描かれるドラマがわかりやすく、「オーランドー」による第二幕は動きの面白さで見せてくれる。
舞台そのものについて言うならば、やはりアレッサンドラ・フェリの存在感が大きかった、ということになりましょう。ヴァージニア・ウルフその人を思わせる年齢相応の、しかし優雅なその動きは若者たちとは違う輝きで魅せてくれました。トレイラーをご覧になって興味が湧いた方はぜひ劇場へ、であります。

なお、私は「もっともっと、視覚の快楽を求めるべきではないか」という反省をしています。録画したバレエとか、ちゃんと見なくてはです。

2017年3月27日月曜日

読みました:佐伯茂樹「名曲の暗号」「楽器の歴史」

こんにちは。千葉です。
読了した本のご紹介。

●「名曲の暗号」
●「楽器の歴史」

出版社は違いますが、著者はどちらも佐伯茂樹さん。トロンボーンを東京藝大で学び、現在の肩書は「古楽器演奏家・音楽評論家 東京ヒストリカルブラス主宰」とありますとおり、管楽器に本当に詳しい人、というイメージで長くその著作や解説に触れてきた佐伯さんの本を、まとめて読むと発見がまた多いのですよ。

まず「名曲の暗号」(2013)から読んだのですが、こちらは副題に「楽譜の裏に隠された真実を暴く」とあるように、楽譜を手がかりにふだんは見逃されがちな作品に内包されたメッセージを読み解くものです。テューバの人だった私には常識であるところの「どうしてドヴォルザークは”新世界より”で、ほんの数小節のためにテューバを用いたのか」であるとか、「ラヴェルはどうしてあんな高域でテューバにソロを書いたのか」などの疑問、少し楽器をやっていれば何かしらあると思うんです。そういう素朴な疑問から、ちょっとした指示に隠された意図を読み解き、作品像を新たにしてくれる一冊なんです。
特にも私はマーラーが大好きなので、本書で佐伯さんが本職のトロンボーンにまつわる興味深い話を示してくれることが実に示唆的に思えてなりません。直接には第二章、「名曲に隠された死の概念を知ろう」が、マーラーのオーケストレーションを読む上で実に示唆的なんです。そもそもが教会の楽器として長く用いられてきたトロンボーンによるアンサンブルは、それ自体が「エクワーレ」として死と結びついたものなんです。

作品の中でトロンボーン・アンサンブルが印象的な活躍をするマーラーの曲、と言った時思い出す曲はありませんか皆さん。そう、私事になりますが先日上岡&新日本フィルの公開リハーサルを拝見し音楽大学フェスティバル・オーケストラの演奏を聴き、そして昨晩パーヴォ&N響の演奏が放送されたばかりの交響曲第六番ですよ。その終楽章の楽器法は実に明確にトロンボーンの含意を活用したものになっているんです。英雄的なホルンに対して死を告げるトロンボーン(とテューバ)、そこからさらに踏み込んでトランペットを黙示録的戦いを告げるものと意味づけてみてもいいかもしれない。
とかですね、私をしてこのような妄想に駆り立てる面白い情報がこれでもか、と掲載されているんです。「エクワーレ」からブラームスの第二番がその曲調とは違う性格を秘めている、とか「魔笛」序曲は前半と後半で描く世界が違う、とかどうです、面白くないですか?
…面白そうに思っていただけないとしたらそれは私の伝え方がいけないせいです、こういう話に興味のある方が読んでつまらないはずのない一冊なんです「名曲の暗号」。ただし、あとがきで佐伯さんも書かれていますが基本的に管楽器を切り口としていますので、弦楽器について解釈の切り口を求める方には物足りないかもしれない、また管楽器について最低限の知識がないと読みにくいかもしれない。というお断りは私からもしておきます。

そしてもう一冊、「楽器の歴史」(2008)は”カラー図解”と銘打たれているとおり豊富な写真で楽器の歴史、変遷を教えてくれます。特に興味深いのは第2章「この時代はこんな楽器で演奏していた」と題された章、ここではバッハ、ベートーヴェン、ワーグナー、ラヴェルの時代とウィーン・フィル特有の楽器をアンサンブル単位にまとめて紹介することで、いわゆるピリオド楽器アンサンブルの編成を教えてくれるのです。すっごく私得!(笑)
なにせ「古楽器」とかいう雑な言い回しでくくられる「作曲された時代の楽器、奏法で演奏する」アプローチはもはやWWI頃まで来ていますから、その言葉に内包されるものもあまりにも多くなってしまっている。バッハの時代の楽器でワーグナーを演奏することは面白い音を導けたとしてもそれは遊びの範疇を出られない。たとえばベートーヴェンとブラームスの違いを捉えるときに、フランス革命前後の奏法の変化を想定しなければあまり意味がない。などなど、同時代アプローチをする際に踏まえておくべき事柄は実に多いのです。もちろん、普通の意味での”歴史”も含めて。いわゆる古楽器演奏について最も重要な「どんな楽器で演奏されたのか」について、これだけコンパクトで視覚的に理解できる本はなかなかありません。アーノンクールの著作を読むのもいいけれど(いや読んでおくべきだと思うけれど)、アンサンブルのイメージを視覚的に持つことは意味があると思います。


こういう動画もいいですね。ありがたいありがたい。

****************

ちなみに楽器の変遷についての本はいろいろとありますので、気になった本目についた本を手に取られればそれぞれに面白い話に出会えると思いますが、私が最近知って得心したのは「絵画に書かれてきた楽器は、当時のそれをそのまま描出したものだった」という話です。天使のラッパがスライドトランペットだったり、ヘンテコな形の弦楽器に見えていたものが当時実在した特徴的な楽器だったりする、というエピソードは何で読んだのだったかな…

歴史を知るとよりクラシック音楽は面白いっすよ、とか偉そうなことを申し上げるガラでもございませんが、ここで紹介した二冊は間違いなくクラシック音楽を違う角度から見せてくれることでしょう。なお、かつてテューバを吹いていた私は「フレンチテューバとチンバッソ吹いてみたい」と思い、現在遊びでトランペットを吹く私は「長管トランペットでマーラーさらってみたい」、とか思った次第です。

では今日はこんなところです。ごきげんよう。

※追記。「名曲の暗号」で紹介されている、ラヴェルによる自作自演のボレロ、これは確かにいろいろ考えなきゃいかんですわ。トロンボーンソロ、この時点で”ジャズ風”の演奏をどうしたらいいのか本当に苦労されてます。
(これを踏まえると、ラトル&CBSOの録音の意味がわかる、ような気がしてきました)



2017年3月26日日曜日

ルイ・フレモー(指揮)死去

こんにちは。千葉です。

またしても訃報です。まずはTweetをひとつご覧ください。


バーミンガム市交響楽団といえば、我々はつい若きサイモン・ラトルとの出世譚から現在までの、先進的な取組の数々をイメージしてしまいますが、ある時期まではこのマエストロとのレコーディングがこのオーケストラの代名詞でした。1921年生まれのフランス人指揮者、95歳での大往生です。

私は幸いなことに「ノット&東響」について、リハーサルや演奏会を取材させていただいては記事を書いていますが、その際に折に触れて前任者の存在を意識させられることがあります。ユベール・スダーンの時代があって今がある、さらにその前任者秋山和慶が鍛えた時代があるから…そんな風に考えるようになった今、違った見方で彼の演奏にも触れられるような気がしています。お疲れ様でした、合掌。




3/26(27)「N響 in ベルリン/NHK交響楽団 創立90周年記念特別演奏会『一千人の交響曲』」放送

こんにちは。千葉です。放送予定のご案内ですよ。

●N響 in ベルリン/NHK交響楽団 創立90周年記念特別演奏会『一千人の交響曲』

以前紹介したNHK交響楽団の演奏会を、欧州ツアーの最初の公演、そして記念演奏会と続けて放送、です。両方曲目がマーラー、である以上見ないわけがないのです。いや毎回録画して視聴しておりますけれど。放送は26日 24:30~(27日 0:30~)、局はもちろんBSプレミアムです。

まず前半は「N響 in ベルリン」。2月28日から3月8日まで行われた欧州ツアーの初日、ベルリンのフィルハーモニーで行われた演奏会です(…どうせならケルンの最終公演か新しいホールのパリか、ツアーの調子も十分につかめただろうロンドンで収録しようよ、とは申しますまい)。
ジャニーヌ・ヤンセンを迎えたモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第三番、そしてマーラーの交響曲第六番 イ短調、いわゆる「悲劇的」です。


こちらはツアー中に行われたパーヴォさんのインタヴュー。

そして後半はNHK交響楽団の創立90周年記念特別演奏会「一千人の交響曲」として、2016年9月8日にNHKホールで開催されたコンサート(これは公演タイトルなので削りません←なんの注釈なのか)。
マーラーの交響曲第八番 変ホ長調は、第一部が賛美歌「来たれ、創造主なる精霊よ」による音響の大伽藍、そして第二部をゲーテ畢生の大作「ファウスト」第二部の終結部の音楽化と、編成のみならず構想も巨大なマーラーの代表作(なんですよ!!!)。


2013年のhr交響楽団の演奏は配信されてます。マーラー大好きパーヴォさんでありますなあ(笑)。

ご存じの方はご存知のとおり、バンダの金管に大小オルガン、ピアノに大人数の打楽器が活躍するこの作品は本当に演奏に際しては大人数の参加が求められます(それ故に、初演の際の興行主が「いける!」と思ってつけたキャッチコピーが「千人」、です。副題ではありませんのでご注意ください←マーラー火盗改メの下っ端の見解)。

ではメンバー紹介行ってみよう!(おい)ソプラノ、エリン・ウォール、アンジェラ・ミード、クラウディア・ボイル!アルト、カタリーナ・ダライマン、アンネリー・ペーボ!テノール、ミヒャエル・シャーデ!バリトン、今度は「ドン・ジョヴァンニ」だよミヒャエル・ナジ!バスはアイン・アンガー!(パチパチパチ)。そして合唱は新国立劇場合唱団、栗友会合唱団NHK東京児童合唱団。もちろん管弦楽はNHK交響楽団、そして指揮パーヴォ・ヤルヴィだ!いえい!(いい加減にしろ)

****************

CDがリリースされた状態での欧州ツアーは、厳しい評もありながら基本的に好評裏に終了したように見受けられます。パーヴォさんを迎えたことの意味はこれだけでもあったように思えますが(大げさではなく)、2021年までの長い契約の中でこの日視聴できる演奏以上の成果も挙げられていくことでしょう。まずは現時点での最良の仕事として、この日の放送は要チェックであります。

ということでご案内はここまで。ではまた、ごきげんよう。


聴きました:第6回 音楽大学フェスティバル・オーケストラ演奏会(川崎)

こんにちは。千葉です。
伺ってきた演奏会のレポート、スピード優先でこちらに書くことにします。

●第6回 音楽大学フェスティバル・オーケストラ演奏会(川崎)

2017年3月25日(土) 15:00開演

指揮:高関健
管弦楽:音楽大学フェスティバル・オーケストラ(首都圏9音楽大学+九州2音楽大学選抜オーケストラ)
【参加音楽大学】上野学園大学、国立音楽大学、昭和音楽大学、洗足学園音楽大学、東京音楽大学、東京藝術大学、東邦音楽大学、桐朋学園大学、武蔵野音楽大学平成音楽大学(熊本)、大分県立芸術文化短期大学(大分)

ドビュッシー:交響詩「海」
マーラー:交響曲第六番 イ短調

さてこの日の演奏会、開演前に高関健さんによるプレトークが行われました。さて何をお話くださるかと着席して待つ間にプログラムを拝見すれば、前島良雄さんの解説が素晴らしいんですよ。A4版見開き2ページのうち、1ページ強をマーラーに割く配分はもしかすると賛否が分かれるかもしれませんが、”定説”に問題が多いマーラーの第六番である以上、仕方のないことなんです。ドビュッシーとマーラーの関係についても言及された良い解説に感心しているうち、時間が来て高関さん登場、トークが始まります。
が、高関先生曰く「話そうと考えていたことがプログラムに載っておりまして(笑)」とのことでしたが、指揮者マーラーの活動、ドビュッシーとの関係(アルマの話に触れてくれたのは個人的にヒットでした)、今回使用する楽譜について(スコアとパート譜の関係はなかなか興味深いものでした)、などなど存分に語ってくださいました。その熱弁が”若者たちが冷えた舞台に出なくていいように”という配慮だったようにも思われて、なんとも嬉しくなるプレトークでありました。

続いて登場する若き音楽家を目指す学生たち、18型の大編成は広いミューザのステージでもいっぱいいっぱいです。

<参考>

管楽器のスペースにこそ空間があるものの、舞台前方っをギリギリまで使ってやっと収まっているミューザの舞台は新鮮。より多くの学生に機会を、という配慮もあるのでしょうけれど、チェロを四パートに分ける場所もある「海」で大きめの編成は理のあることなのです。
はじめのうちはさすがに硬さも感じられたオーケストラも、明晰この上ない高関さんの指揮に落ちついたか、有名な「11時15分」ころにはよく鳴るし流れも落ちつきました。一度トゥッティで音を出せると雰囲気がつかめる、という面はあったかもしれません。ドビュッシーのスコア、”アシストなしでダンサーにトリッキィなポーズを要求する”振付のようなところがありますからね…(その昔趣味の吹奏楽で地獄を見た記憶がフラッシュバック)。そうそう、チェロパートのソリはお見事でした。
しかしよりトリッキィでソリスティックな第2楽章からは安定した音楽になり、各人のソロも綺麗に決まります。終楽章は冒頭から登場する特徴的なバスの音形も攻めた表現になって、フィナーレは大人数のオーケストラが率直に力を解放して華やかに終わります。

後半は長大なマーラー。さらに管楽器が充実し大量の打楽器が用いられる作品でステージはほんとうに埋まります。

<参考>



本当に、お疲れ様でした、とまず申し上げたい熱演でした。第一楽章が終わったところでコンサートマスターを始め、何人もの奏者が汗を拭っていた姿は印象的でした。それほどの集中を要求する、高関さんがプレトークの中で「自分が学生だった頃には演奏できなかっただろう」と評した堂々80分強の難曲を、小傷はあったとしてもやってのけた皆さんに拍手です。
上手舞台裏にカウベル、下手舞台裏に鐘を配して俗・聖の対比を空間的に示したこの演奏は、通称の「悲劇的」とは関係なく「一つの悲劇のドラマ」として成立していたと思います。ハンマーが下手側で振り降ろされるのは、その意味合いを強めるためでしょう。叩きのめされるのは俗の側であって、憧れられた超越の向こう側ではない、のですね。
演奏については第一楽章提示部のリピート部分、そして四楽章の前半がこの演奏の中でもいいところだったかと思います。

…この演奏がこの一週間のリハーサルの成果で、ベストの演奏ができたのだろう、と感じた上で少しだけ、数はそれなりに聴いてきたおじさんくさいことも書いておきます。
おそらく、演奏後に先生方が若い皆さんに指導されたのはとても基本的なことだったのではないかと推察します。それはなにも「直前に大きく変えるような指示はしない」ということではなく、「基本的なところで聴かせることができると、それだけ演奏効果も高くなる」という基本を外さないように、ということではないかな、と。
もっとお互いを聴けでも待つな、音の立ち上がりに注意して、音程に注意して……などなど、すっごく普通のことの積み重ねこそが、皆さんの演奏をさらにいいものとして聴き手に届けるためのひとつのポイントです。そしてその基本は踏まえた上で、二日目の演奏も、今回の演奏会以降も臆せず積極的な、聴き手に届く演奏をしていただければと思います。会場が変わって、短い時間でお互いの音を聴くことから二日目の演奏を作り上げる中で、きっとまた多くのことを学ばれるのでしょう。各位の健闘に期待します。
…こういうことを申し上げれば「そこなアマチュア風情が」という気持ちも湧くことだろうとは思いますけれど、「皆さんが演奏を人前でされるということは誰かに届き、その誰かがそれぞれにいろいろなことを感じた、ということなのです」と、バーンスタインに倣って禅問答のようなことを申し上げて煙に巻くといたします。

****************

さて、最後に高関さんの指揮について書きます。久しぶりに拝見したその指揮は、若者たちを確実に導くというミッションあってのこともあってか、迷いようもないほどに明晰なもの。かくあれ、というヴィジョンが明確に示されるその指揮ぶりはドビュッシーでもマーラーでも徹底されていて、その指揮あればこそのこの日の演奏でした。
ドビュッシーで特に印象的だったのはそのテンポ設定(とその指示)の鮮やかさです。第二楽章の緩急、第三楽章の起伏はこの音楽をより大きいものにしてくれたと感じます。
マーラーではその明晰さがより活きていました。なにより、この長い作品で今自分がどこにいるのか、どこに向かうのか、迷わせることがないのは本当にありがたいことなのです、演奏する若者たちにとっても、私たち聴衆にとっても。両端楽章での造形感の強い指揮からは、モティーフをより明確に、フレーズの方向をはっきりと描こうという意志が伝わりました。もうちょっとソリッドに響きがまとまればより多くの情報が伝わるはず、そんな隔靴掻痒が残ったことは少々残念ですが、それは次の機会を待ちたいと思います。

なお、マーラーの作品で大量に用いられる打楽器については、この日も随所で新鮮な発見がありました(たとえば第一楽章のトライアングル、あそこまで書き分けられていたのかと驚かされました)。「バスドラムとシンバルの組合せ」や、「ティンパニとバスドラムの使い分け」など、第六番にはハンマーやシンバル以外にも打楽器の聴きどころ、たくさんあるんですよ。今日聴かれる方はそのあたりも意識してみてください、旋律や構成以外にも仕掛けが本当に多いですからね、マーラー作品。

一週間のリハーサルの成果が、本日の東京芸術劇場の公演でより見事に花開きますよう、ミューザ川崎シンフォニーホールからお祈り申し上げます。

ではこれにて、ごきげんよう。

「題名のない音楽会」司会の五嶋龍が卒業、新司会者は石丸幹二

こんにちは。千葉です。ニュースです。

●「題名のない音楽会」司会の五嶋龍が卒業、新司会者は石丸幹二(Webザ・テレビジョン)

昨日の番組公開収録から一斉にメディアでの報道が始まったこちらの司会者人事は、実はまだ番組の公式サイトには載っていませんし、Twitterでも告知をしていません。基本的に番組でのお知らせで対応する、ということなのでしょう。

現役バリバリのヴァイオリニストとしての活動と、毎週放送されるテレビ番組の司会を両立するのは大丈夫かな、という懸念は誰しもなくはなかったでしょう。彼の場合は日本を拠点としていないわけですから、アメリカとの往還にかかる時間がかかってしまうわけですから。
それでも見聞を広める機会としてこの司会をされていたのだろうと思いますし、演奏家同士のつっこんだお話には興味深いものも多かったように思います(トップレヴェルで活躍されている皆さまが、他の演奏家をよく聴いている事実だけでも、昔吹奏楽をしていた頃の”練習しない勢”に聞かせてやりたかった)。
前任者は吹奏楽出身で最近まで日本を拠点にしていたからできたこと、たとえば吹奏楽やゲーム音楽などの紹介については後退した面があったかも知れません。今回の人選はそのあたりを補うものとして考えられたのかな、と愚考します。クラシック音楽についての石丸幹二さんの素養のほどは存じ上げないのですが、自身楽器の演奏もされるミュージカル俳優というキャリアから考えれば五嶋龍さんとは違う方向でこの番組を作られることになるのでしょう。推測ばっかりですね、正式発表がないから当然ですけど(笑)。

個人的に派ですね、つい先日2500回記念シリーズの公開収録にお邪魔した(もちろん客として、ですよ)ばかりなのでちょっと驚かされるニュースでした。その番組の話はまた別途、ということで。

以上簡単なお知らせでした。ではまた、ごきげんよう。

※追記。3月26日地上波放送分が、五嶋龍司会による最終回です。この番組とは縁の深い東京交響楽団が最後の共演団体として登場します。
※もう一つ追記。4月2日地上波放送分が、石丸幹二司会による初回となります。共演は東京フィルハーモニー交響楽団です。音楽学の先生も出演されるようですから、石丸さんも知識を得る側として構成されるのでしょうか、まずは初回「劇場支配人の音楽会」を拝見するといたしましょう。

2017年3月25日土曜日

3/25「レニングラード 女神が奏でた交響曲」放送(BSフジ)

こんにちは。千葉です。
本日放送の番組なので、録画の用意もお急ぎください!

●レニングラード 女神が奏でた交響曲 BSフジ 17:00~

同志ドミトリエヴィチの愛国的交響曲をめぐるドラマは同志諸兄もご存知のことと思うが、この度テレビ番組で紹介される運びとなった。各位手をつくして視聴されたし。

うーん、イマイチ決まらないので通常モードに戻ります(あっさり)。もっと上坂同志にでも学ぶべきであろう。

ショスタコーヴィチが大祖国戦争のさなかに作曲した交響曲第七番は、ロシア人にとっては疑いようもなく愛国的な作品として親しまれてきました。冷戦下であって共産党に入党したショスタコーヴィチが批判されても、「証言」とかで違った読みが示唆されても揺るがなかったくらいに。「ショスタコーヴィチは反スターリンでも、『レニングラード』交響曲は反スターリンではない」、その切り分けはしなければなりますまい。

その点で参考になる書籍として、ひのまどか「戦火のシンフォニー」や「ガリーナ自伝」がありますが、どちらも正直に申し上げて読むのがつらい。極限状況を丹念に、事実の積み上げで示されることの痛み、相当のものなんです。
一時間のテレビ番組でどこまでのことを伝えてくれるものかはわからないのですが、一人のショスタコーヴィチ愛好者として多くの方にこの番組を見ていただければと思う次第です。願わくは、あの時代を生きたショスタコーヴィチの音楽に興味を持って頂ける人が増えますように…


有名な一楽章の「ボレロの模倣」だけじゃなく、ぜひこの大団円までお聴きいただけるようになりますよう、祈ります(それはやめろ)。

以上ご案内でした。ではまた、ごきげんよう。

※追記。録画された方で、レニングラード包囲戦(Wikipediaにリンクしておきました。日本語版はちょっと…と思われる方は英語ページに移動されるといいのでは)についてご存知でない方は、この世の地獄を見るつもりでご覧ください。いわゆる「押すなよ」ではないし、誇張でもありません。
第二次世界大戦のなかでも最も厳しい状況に置かれた都市のひとつのために、ショスタコーヴィチのこの交響曲が生まれたことが如何に奇跡的なことか、この番組は伝えてくれています。しかしそれは、人間が耐えられる限界ギリギリの世界です…
その出来事を、短い時間ながら隠さず伝えてくれたこの番組、より多くの方がご覧になれますよう、番組サイトから再放送のお願いをしておきました。番組のサイトから簡単に感想や要望を送れますので、よろしければ是非。>番組サイト

なお、やはり下の二冊のうちひのまどかの「戦火のシンフォニー」は引用もされていましたし、「ガリーナ自伝」は当事者によるレニングラード包囲戦の証言が読めます。ぜひ。

2017年3月24日金曜日

3/25「出没!アド街ック天国」にミューザ川崎シンフォニーホール登場

こんにちは。千葉です。
先日の東京交響楽団 川崎定期演奏会からすっかりミューザ川崎シンフォニーホールづいている私なのですが、明日はこんな番組にも登場するのだとか、畑違い感ありますがご紹介を。

●出没!アド街ック天国

予告動画を見る限りでは食メインのようですけれど、こういうご案内もありましたので!


ちなみに、明日は「第6回 音楽大学フェスティバル・オーケストラ」、明後日は「ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第125回」と、二つのホール主催公演が開催されます。公演情報は以下のとおり。

●第6回 音楽大学フェスティバル・オーケストラ

2017年3月25日(土) 15:00開演

指揮:高関健
管弦楽:音楽大学フェスティバル・オーケストラ(首都圏9音楽大学+九州2音楽大学選抜オーケストラ)
【参加音楽大学】上野学園大学、国立音楽大学、昭和音楽大学、洗足学園音楽大学、東京音楽大学、東京藝術大学、東邦音楽大学、桐朋学園大学、武蔵野音楽大学平成音楽大学(熊本)、大分県立芸術文化短期大学(大分)

ドビュッシー:交響詩「海」
マーラー:交響曲第六番 イ短調

※なお、同じプログラムで翌26日に東京芸術劇場でもコンサートが開催されます。詳しくはリンク先にてご確認くださいませ。

●ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第125回

2017年3月26日(日) 14:00開演

指揮:大友直人
ヴァイオリン:チャン・ユジン(第6回 仙台国際音楽コンクール 優勝)
管弦楽:東京交響楽団

曲目 作曲はすべてジャン・シベリウス

交響詩「フィンランディア」
ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47
交響曲第七番 ハ長調 Op.105

…で、私は両日伺ってきます。もちろん番組の予習と復習です(嘘ですよ)。

なお、名曲全集に登場するヴァイオリニストのチャン・ユジンのショスタコーヴィチがニューイングランド音楽院のYouTubeチャンネルで配信されてました。ふむふむ…


本題に戻って、番組は土曜日21時からテレビ東京系列での放送です。系列局がない地域でも放送があるようですので、そのあたりは各位番組表でご確認いただけましたら、そしてミューザ川崎シンフォニーホールが気になったらぜひ一度来てみていただきたいと思う、ミューザ川崎シンフォニーホールの野良宣伝部長からのお願いでした(おい)。ではまた、ごきげんよう。

※追記。放送では8位が「音楽のまち・かわさき」で、クラブチッタなどと並べて紹介されました。ヤンソンスが「最愛のホール」と語っていることを示し、ノット&東響の演奏もちょっとだけ流れました(昨年のツアー壮行演奏会のブラームス!)から、明日の公演が気になっている人もいるはず!どうすか名曲全集?(笑)

2017年3月23日木曜日

読売日本交響楽団 荻原尚子がコンサートマスターに就任

こんにちは。千葉です。
ニュースをひとつ、読売日本交響楽団のコンサートマスター人事のお話。


「2017年4月から、小森谷巧、長原幸太、荻原尚子の3人体制で行います。なお、日下紗矢子は特別客演として、コンサートマスターを務めます。」というご案内です。

新任のコンサートマスターとなる荻原尚子(おぎはら なおこ)さんは現在もWDR交響楽団(かつてケルン放送交響楽団として親しまれた団体)でコンサートマスターを務める※実力派とのこと、ご活躍に期待しましょう。

※Konzertmeisterinだから女性形ですよね。いつもコンサートミストレスと書くべきかどうか、ちょっとだけ迷う私ですが今回は読響様の表現に合わせています。

以上簡単ではございますがご案内のみ。ではまた、ごきげんよう。

読みました:中川右介「国家と音楽家」

こんにちは。千葉です。

簡単にですが、読了した本のご紹介を。

中川右介 著 「国家と音楽家」

かつて「クラシックジャーナル」誌の編集長としても活躍された中川右介(敬称略ですみません)の、気になっていた2013年の本をようやく読みました。「デジタル録音なら新しい方だよね」と思ってしまう程度の時代感覚なので、こういうことはよくあるんです、すみません…

読み終わってどう紹介するかと考えて出した結論は「目次を見ていただくのが、この本の内容をイメージしていただく一番いい方法だ」というもの。以下、七つ森書館のサイトから章題のみ引用します。

・第1章 独裁者に愛された音楽
・第2章 ファシズムと闘った指揮者
・第3章 沈黙したチェロ奏者
・第4章 占領下の音楽家たち
・第5章 大粛清をくぐり抜けた作曲家
・第6章 亡命ピアニストの系譜
・第7章 プラハの春
・第8章 アメリカ大統領が最も恐れた男
・エピローグ 禁じられた音楽

20世紀は戦争の世紀、とはご存知「映像の世紀」でも繰り返し語られるモティーフですが、それは音楽から見ても実感できることです。WWIがなければ、もしかしたら大編成管弦楽は「春の祭典」や「グレの歌」を超えて肥大化していたかもしれない、でも現実はそうではなく小編成の室内楽的な音楽に移行した。WWIIがなければ、もしかすると「音価と強度のモード」は展開されず「十二音技法からはこんな徒花も数多く生まれたかもしれません」なんて音楽史もありえた、かもしれない(一説ですが、戦後の秩序希求の中でセリエリズムは発展した、なんて話があるのです)。

でも現実には二つの大戦があり、その後も長く冷戦が、地域紛争が続いたのが20世紀でした。いや、冷戦が終わってもペルシャ湾岸で、そして中東の各地で戦争は続いている、それは忘れてはならないのですが、今はその話ではないので深入りはしません。
そういう時代に、文化はいつも以上に社会と関係せざるを得ない。予算的なことはそれこそ教会や貴族のお抱え時代からあったし、モーツァルトが切り開いた「フリーランス音楽家」時代以降はより明確な拘束として存在していますし、思潮的なものの影響はそれこそオペラの題材を見るだけでもある程度は見て取れるでしょう。
私も少し(サバ読み)生きていた20世紀は、それが実に顕著でした。そこには大きい戦争が影響した、と考える人に、この本が面白くないわけはないのです。ナチスの時代にドイツ、オーストリアの音楽家がどのような苦労をしたか。マーラーともライヴァル関係にあったアルトゥーロ・トスカニーニがその晩年どれだけ長くファシズムと戦わなければならなかったか。西欧国家の中では特にねじれた20世紀を過ごしたスペイン、いやカタルーニャ出身の名チェリスト、パブロ・カザルスの生涯の数奇なること如何許か。ドミトリ・ドミトリエヴィチ・ショスタコーヴィチはどうやってあの時代を生き延びたか。などなど、WWIIを中心に20世紀を生きた音楽家たちを、その時代の相において捉えなおす一冊です。

もちろん、音楽の演奏解釈において、時代性にのみ注目するのはバランスの悪い判断です。まずは音楽、楽譜から行われるべきですけれど、作曲者を取り巻く時代が無視できないことは昔の作品でも現在の作品でも同様です。時代が遠ければ遠いほど生活も環境も違うし、楽器や奏法も違う、作曲における前提、イディオムについての理解解釈において大きい要素です。ですが、作曲者という人間が生きているその時代に拘束されるのは、私たちがいまこうして生きているのと同じことです。それも、自国が戦場となっている状況はさぞ影響が大きかったことでしょう。たとえば本書では軽くしか触れられていないショスタコーヴィチの交響曲第七番ですが、大祖国戦争と切り離して考えることは難しい、先日少し話題になった「小林多喜二と共産党」を切り離すのが難しいように。その時代に作曲家を、作品を置くことで見えること、少なくないのです。
本書はそんなことに思いを馳せる契機となるでしょうし、何より多くの音楽家たちがどう生きたかをコンパクトに教えてくれる大著です。この形容は矛盾しているように見えるかも知れませんが、約350ページの本文に本当に多くの情報が入れ込まれていますので、少なくとも私の偽らざる実感であることは申し上げておきたく思います。


トスカニーニによるショスタコーヴィチの交響曲第七番はパブリックドメインなので、安心して貼ることができますね!(笑)

なお、本書のエピソード群の中で、今年のシーズンから生誕100年への取り組みが始まるレナード・バーンスタインについての言及が多くあったことを大いに喜んだことを、かつてバーンスタインの音楽に深甚な影響を受けたものとして告白しておきます。

では本の紹介はこれにて。ごきげんよう。


2017年3月21日火曜日

ウィーン少年合唱団 ユネスコの無形文化遺産に登録

こんにちは。千葉です。
ニュースのご案内ですよ。

●Sängerknaben nun UNESCO-Kulturerbe

これは!と思いますよね、びっくりですよすごいなあ(棒読)。…すみません見栄を張りました。こちらをご覧くださいませ。

●ウィーン少年合唱団がユネスコの無形文化遺産に登録されました!(彼らを日本に招聘しているジャパンアーツからのご案内)



というわけで、長い歴史を誇るウィーン少年合唱団にまたひとつ勲章が加わりました。おめでとうございます。



私はバーンスタインのマーラーで認識を改めた瞬間のことを今も憶えています。「天使の歌声」は伊達じゃあないんだな、と本当に瞬間的に理解したものですよ(これとかあれとか、鮮烈でした)。来日公演ではエンタテインメント的な構成で楽しませてくれる彼らですが、フランツ・シューベルトからマックス・ツェンチッチまで(いやもっとだろうけど)才能を輩出しているだけのことはあるんですよ。

今年も4月末から6月下旬にかかろうかという時期まで、札幌から福岡までの日本各地でその歌声を聴かせてくれる彼らの公演のご成功をお祈り申し上げます。

ではご案内はここまで。ではまた、ごきげんよう。

2017年3月20日月曜日

NHK音楽祭2017 ラインナップ発表

こんにちは。千葉です。
恒例の音楽祭のプログラムが発表されました、これは注目ですよ。

●NHK音楽祭2017

えー、正直な話、説明無用と言ってしまいたい充実の公演群が並んでいます。一般発売は5月末ですが、その前の先行受付は3/18からだそうです(詳しくはリンク先にてご確認くださいませ)
公共放送様関連公演であれば「どうせ放送するじゃないっすかー」という判断もありだと思います、しかしこれはあまりにいい公演揃い、いろいろ都合のつく方はご検討くださいませ。

以下に注目の公演情報を整理します、説明はいたしませんが動画を入れ込んでおきますね。なお会場はすべてNHKホールです。

NHK交響楽団 2017年9月9日(土) 15:00開演

モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」 全二幕(演奏会形式/イタリア語上演・日本語字幕付)

ドン・ジョヴァンニ:ヴィート・プリアンテ
騎士長:アレクサンドル・ツィムバリュク
ドンナ・アンナ:ジョージア・ジャーマン
ドン・オッターヴィオ:ベルナール・リヒター
ドンナ・エルヴィーラ:アネット・フリッチュ
レポレッロ:カイル・ケテルセン
マゼット:久保和範
ツェルリーナ:三宅理恵
合唱:東京オペラシンガーズ


パーヴォさんのモーツァルト、2012年にはこんな感じです。さてオペラではどうなりますか、乞うご期待(参考 >公演情報発表の記事

バイエルン国立管弦楽団 2017年10月1日(日) 15:00開演

指揮:キリル・ペトレンコ

マーラー:歌曲集「こどもの不思議な角笛」
ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」 第一幕(演奏会形式/ドイツ語上演)

ジークムント:クラウス・フロリアン・フォークト
ジークリンデ:エレーナ・パンクラトヴァ
フンディング:ゲオルク・ゼッペンフェルト
合唱:バイエルン国立歌劇場合唱団
バリトン:マティアス・ゲルネ ※


バイロイトでの活躍、そしてバイエルン国立歌劇場での上演も多いペトレンコのワーグナー!ですよ!!

チャイコフスキー交響楽団(旧称 モスクワ放送交響楽団) 2017年11月9日(木) 18:00開演

指揮:ウラディーミル・フェドセーエフ

チャイコフスキー:歌劇「エフゲーニ・オネーギン」演奏会形式(ロシア語上演・日本語字幕付)

タチヤーナ:エカテリーナ・シチェルバチェンコ
エフゲーニ・オネーギン:ワシーリー・ラデュク
レンスキー:アレクセイ・タタリンツェフ
オリガ:アグンダ・クラエワ
ラーリナ:エレーナ・エフセーエワ
グレーミン公爵:ニコライ・ディデンコ ほか
合唱:新国立劇場合唱団


これはもう20年以上前(!)の収録から、タチアーナのアリア。マエストロの変化を考えれば、また違った演奏が聴かれることでしょう。

ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 2017年11月13日(月) 19:00開演

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット

ソプラノ:クリスティーナ・ラントシャーマー
バリトン:ミヒャエル・ナジ
合唱:ウィーン楽友協会合唱団

ブラームス:ドイツ・レクイエム Op.45


これは1999年、20世紀末の収録でバッハ、メンデルスゾーン、ベートーヴェンを演奏した映像。マエストロお若い!

やはり申し上げるべきこともない、充実のラインナップでは。私は放送待ちかなと思いますが、いやはやいい機会もあったものです。繰り返しになりますがぜひご検討くださいませ。

ではまた、ごきげんよう。