2017年5月22日月曜日

読みました:西澤保彦「さよならは明日の約束」

こんにちは。千葉です。
これまた読んだ本の話です。

●西澤保彦「さよならは明日の約束」


タック&タカチシリーズが一段落して、また水玉螢之丞さんが亡くなられてチョーモンインシリーズが再開される気配がなくなって(これは仕方がないと思う、さすがに…)、それでも多作な西澤保彦さんは次々新作を発表されていて、頭が下がるばかりです。
ひところ読書に時間を割けないために、その多作についていけていなかった私としてはゆるゆると追いつきたく思う所存であります。追いつけたそのころにはほら、タック&タカチシリーズの新作も出るかもしれないし(淡い期待)。

そう思って読んでみた本書は、西澤保彦らしくジジくさい男子と個性的な女子のコンビによるアームチェア・ディテクティブものです。ヒロインはアクティヴなキャラクターに設定されているから出不精だったりするわけではなく(笑)、この短編集で取り上げられる謎が過去に属するものだから、です。一冊の本を契機として見出される日常の謎に、西澤保彦ならではの対話を通じて迫っていくスタイルは、過去作を知らずとも充分に楽しめるものでしょう。二作目からお話の舞台となる喫茶店はどう考えても商いとして立ち行かない感じなのだけれど、マスターが語る過去はキィになっているし、彼が醸すひなびた感じがあればこその本作なので、そこはまあ、ということで(笑)。
詳しくは書きませんが、「男はつらいよ」シリーズや、サザンオールスターズの変遷について感じるのに近いものを感じて、「ああもうタック&タカチものは読めないかもなあ」と思ってしまったことは最後に書いておきます。

なお。もし初めて西澤保彦作品を読むという方にアドヴァイスするならば、珍名に早く慣れてしまえば何も難しいことはないよ、ということでしょうか。喫茶店のマスター梶本さんは割と普通の名字だけれど、他の登場人物は私にとっては馴染みのないものが多くてそこだけちょっと難儀しました(読み慣れていてもそうなんです、連作ではあるけれどシリーズとして構成されているわけではないので愛読者メリットみたいなものはありません)。気軽に是非読み始めて、名字に引っかかってもずんずん読み進めちゃえば楽しく読めることは保証しますよ。
そうそう、西澤保彦読者にはより面白い趣向が本作にはひとつ仕込まれています。最初期の作品をリサイクルして別の可能性を探られちゃうと、読み返したくなっちゃうじゃないですか「解体諸因」。

もっと西澤保彦作品が人気でないかなあ、映像化されないかなあって長年思っている私としては、近年のフジテレビによるドラマ化路線には期待せざるをえないし、もしくは「すべてがFになる」「六花の勇者」、「氷菓」や「ハルチカ」などミステリのアニメ化も増えている印象があるから夢を見ちゃうんですよねえ、「七回死んだ男」の映像化を。どこかやってくれませんか、あの偉大な一作を。ぜひ。

というリクエストを最後に瓶に入れてネットの海に流しておしまい。
ではまた、ごきげんよう。


2017年5月21日日曜日

5/21(22)「英国ロイヤル・バレエ『アナスタシア』/パリ・オペラ座バレエ『レイン』」放送

こんにちは。千葉です。
こちらも放送のご案内、21日 24:20~(22日 0:20~)からのNHK BSプレミアムシアターも、「クラシック音楽館」に引き続くかのようにバレエです。

●英国ロイヤル・バレエ『アナスタシア』/パリ・オペラ座バレエ『レイン』

前半は「ロイヤル・オペラハウス シネマシーズン」でつい先日上映されたばかりの「アナスタシア」です。トレイラーはこちら。


ロイヤル・オペラハウスのYouTube公式チャンネルではトレイラー以外にも多くの動画が公開されていますので、放送の前後にでも併せてお楽しみになるとよろしいかなと。
「ロシア革命に消えたロマノフ王朝の皇女アナスタシアは、実は生き延びていた」という伝説をもとに編まれた物語は、1991年からの科学的調査の結果事実としては否定されていますが、それでも数多くの映画や小説で、そしてこのバレエで親しまれていくことでしょう。
そうですね、ロシア革命合わせでエイゼンシュテインの映画も見るといいかもしれませんね、「十月」とか「戦艦ポチョムキン」とか(ゴリ押し)。

さて気を取り直して。後半はスティーヴ・ライヒの「18人の音楽家のための音楽」による、アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル振付のバレエ「レイン」です。再放送ですね。



前半はチャイコフスキーとマルティヌーを、後半はスティーヴ・ライヒと音楽的にも楽しめる舞台ですので、クラシック音楽ファンにもオススメです。…深夜の放送でミニマルはいろいろと厳しいので、録画をオススメいたしますけれど(笑)。

ということでご案内はおしまい。ではまた、ごきげんよう。


5/21「NHKバレエの饗宴2017」放送

こんにちは。千葉です。
21日の21時から放送のEテレ「クラシック音楽館」はこちらです。

●NHKバレエの饗宴2017

この日はプレミアムシアターと併せてバレエの日、ということですね。

まずクラシック音楽館は、今年の4月8日の開催された「NHKバレエの饗宴2017」が放送されます。井上バレエ団貞松・浜田バレエ団新国立劇場バレエ団牧阿佐美バレヱ団が登場する豪華な公演の模様は公式サイトで写真がご覧いただけますが、見れば見るほどに動きと音がほしくなるところですから(笑)、この放送はバレエファンへの最良の贈り物となるでしょう。

園田隆一郎指揮する東京フィルの演奏(長丁場!)も楽しめましょうから、私も拝見しようと思います。ということでご案内はおしまい。ではまた、ごきげんよう。

2017年5月20日土曜日

読みました:麻耶雄嵩「あぶない叔父さん」

こんにちは。千葉です。
たまには小説も読むのです。仕事にもなんにも関係なく、ただミステリが好きなもので。

●麻耶雄嵩「あぶない叔父さん」


貴族探偵」がまさかのドラマ化で盛り上がる麻耶雄嵩ファンの周回遅れとして(いちおうはメルカトル鮎シリーズなどを過去に愛読していましたが、ちょっと離れていました)、ようやく本書を読みました。
いやあ、麻耶雄嵩だったなあ…で感想を終わらせないとあれこれとネタバレしなくちゃいけなくなる、というかこれでも麻耶雄嵩を知っている人には先入観になる。いやドラマ「貴族探偵」をニ、三話見ていればわかることか…というつまらぬ逡巡を書いた上で。

タイトル通りの小説なんですよ、これ。少し真面目に連作短編の趣向を説明すれば「霧の深さが特徴の田舎町で暮らす高校生たちが遭遇する殺人事件、それを明かす主人公の叔父さん」という趣向が共通の、五つの短編が集められています。田舎の高校生の恋愛事情や、田舎ならではの人間関係などで味付けされているけれど、基本は小味な殺人事件を解決するミステリです。青春小説のテイストが強いかな…
ですが。叔父さんが危ない人なんですよ、本当に。以下本当にネタバレになります。

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真相の解明が、基本的に叔父さんの語りの形をとるのですが、その内容が問題で。
彼の語りを真とすれば、叔父さんは探偵じゃなくてあの。とツッコまざるをえない。
もしそれが甥を事件から遠ざけるための嘘だとすれば、事件は終わっていないことになってしまうわけで、それは小説としてどうなのか。”開かれた小説”どころか、そもそも閉じる気がないよ!(笑)っていう。

その辺、麻耶雄嵩だなあと笑って楽しめるか、なにこれ?って怒っちゃうか、何それ意味わかんないって引いてしまうか、反応が分かれるところだろうなあと感じた次第です。私は笑ってましたけど、人に薦めるかと言われるとこのような理由で迷います。そんな短編集でした。

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かつて話題に促されて「夏と冬の奏鳴曲」を読んで以来の、長いつきあいとなった麻耶雄嵩がまさかの月九でドラマ化、それも相当に原作を活かした/異化した作りのものが出てきている現実は、正直驚きです。ドラマ、アニメで森博嗣「すべてがFになる」を全力で押したことなども踏まえれば、「本格のフジテレビ」と言ってもいいかもしれない。
世紀の変わり目ころに講談社ノベルスを楽しんでいた私らみたいな人たちが制作側に回ったのだろうなあ、という世代論もできますけれど、かつてのミステリ好きの一人として、素朴に楽しませていただけて嬉しく思っています。願わくは、御手洗潔シリーズがまたTVで見られますように(映画に関してあったらしいトラブル以前の形で、ちゃんと石岡くんがいるやつを、ぜひ)。

では紹介のような個人的な感慨のようなものはこれにておしまい。ごきげんよう。


読みました:ヴォルフガング・シャウフラー「マーラーを語る」

こんにちは。千葉です。
読み終わった本のご紹介です。7月に向かって皆さんも読んでください!(変化球)

●ヴォルフガング・シャウフラー「マーラーを語る ~名指揮者29人へのインタビュー」


副題にありますとおり、29人の名指揮者たちへの、マーラーをめぐるインタヴューを集めたのが本書です。残念ながら本書の刊行前に亡くなられたブーレーズ、アバドやマゼール、そして現役ではメータ、ブロムシュテット、ジンマンのような高齢のマエストロたちから最年少はグスターボ・ドゥダメルまでの29人は”綺羅星の如き”とか紋切り型を口にしたくなるほど錚々たる面々です。そしてですね、なんと「uemahlerinterviews」というYouTubeチャンネルでは、本書に収められたすべてのインタヴューを見ることができます。なんて時代!

そのインタヴューは、いくつかのテーマを設けて行われたものです。それはまとめれば以下のようなもの。

・マーラーとの出会い
・具体的な演奏について
・マーラーが表現したものと20世紀の現実の関係
・マーラーが受けた影響、マーラーが与えた影響  等など…

※項目を正確に、そして全部見たい方は、書店や図書館でお手にとってはじめの数ページをご覧ください

中でもレナード・バーンスタインの影響について、また彼のアプローチについてかなりの紙幅を割いているのが、個人的には驚きでした。比較の問題ではありますが、西欧ではマーラー演奏は一度だって完全に消えたわけでもないだろうに、と思いまして。とは言いながら、やはり表立って「いける曲」扱いされるようになった契機としての”バーンスタインのマーラー”は大きかったのだな、という認識を得たようにも思います。旧全集、久しぶりに聴いてみますかね…
なお、意外なほど自伝的な部分については昔風の理解が多かったように感じます。さらにその自伝と作品を重ねるような見方も。つまるところ演奏を、出てきた音を聴いて判断するので何を言っていようと正直なところかまわないのですが、こうも”悲劇の人マーラー”像を読まされるのには正直辟易しました。偉そうですみません(笑)。
その中では、リッカルド・シャイーが言及していたイタリアの音楽学者Gastón Fournier-Facioの著作は、近年変わりつつある「精力的に活躍し、異例の速さで頂点を極めた当代最高の指揮者」「指揮者としての成功に伴って作曲についても広く受容されていった」という方向で書かれたもののように思えて興味が湧くものでした。邦訳、…出ませんよねえ(笑)。


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で、前振りの話に戻ります。えー、本書には我らがジョナサン・ノット東京交響楽団音楽監督も登場しているから、”7月までに”なんですね~おわかりですよね~(くだけすぎ)。

さて気を取り直して。ノット&東響のマーラーは第九、第八、第三と経験を重ねて来ました。今年7月に取り上げるのは交響曲第二番、「復活」です。本書に収められたインタヴューでもこの作品については触れられており、それはちょっと意外にも思える初めて演奏した際のエピソードです。いや、意外ではないのかな、これを考えれば…

ともあれ、よろしければこちらの動画をご覧ください、そして7月にはミューザ川崎シンフォニーホールで僕と握手!(懐かしいネタ←阿呆)



うんうん、ノット監督は全集指揮者だものね、ここに呼ばれる資格十分だよね、(東響でも全集になるまでやってくれないかな、チクルスやるなら何年後かな←やると決めつけてる)などと思いつつご紹介はおしまい。ではまた、ごきげんよう。

※追記。書くかどうかとても迷ったのですが、気にしないのも変であるように思えますので。
あとがきで「小澤征爾へのインタヴューも行う予定だったが取りやめになった」という言及があるので彼がここに登場しないのはわかります。またタイミングの関係で、既に亡くなられたマエストロたちにはお話を伺いようがない。それもわかる、というか当然のことです。また、ニコラウス・アーノンクールのようにマーラー演奏とは縁がなかった方がいないことは仕方のないことです。
ですが、今なお現役で活躍されている二度の全集指揮者、エリアフ・インバルが本書に不在であることに、少なくない当惑が残りました。うーん。

2017年5月19日金曜日

ラ・プティット・バンド 10月来日

こんにちは。千葉です。
来日公演の情報です。

●La Petite Bande Concerts

ラ・プティット・バンドの公式サイトで情報を確認すると、10月9日の大阪公演から21日の福岡まで、日本各地での公演が予定されていることがわかります。大阪(シンフォニーホール)、東京(浜離宮朝日ホール 10/11 10/12)、福島(福島市音楽堂)岐阜(サラマンカホール)福岡(アクロス福岡)の各地をめぐるツアーですが、基本はバッハの管弦楽曲(いわゆる管組と協奏曲)とカンタータを組合せたプログラムです。
※一部リンクを更新しました。チケットの発売情報など、各所で発表され始めています

昨年はOVPP(One Voice Per Part)というアプローチによる「マタイ受難曲」を披露しているから、今度は小規模に思えるかもしれません。けれど、あの時代の「オーケストラ」はなかなか幅広い概念を含有するもの、大編成はまたの機会に、と考えましょうそうしましょう(もしくは、日本で活躍するBCJのようなアンサンブルで楽しみましょう)。

…実際のところ、現在非常に厳しい状況にあるラ・プティット・バンドが来日してくれることはそれだけでも奇跡的なことです。古楽と言われるアプローチを、説得的に示してくれた最初の世代の音楽家たちが次々と鬼籍に入られる中、シギスヴァルトに率いられたアンサンブルがこうして継続的に来日公演を行ってくれる、それだけで応援したくなるのは私だけでしょうか(いやそんなはずはない)。
彼らの状況は、リンク先のファンによる日本語Facebookアカウントが詳しく伝えてくれておりますので、興味のある方は、と言わずぜひご覧くださいませ。



一連の公演の中でも充実しているのが新・福岡古楽音楽祭2017の一連の公演であることはリンク先を開ければ嫌でもわかります。ツアーのメインプログラムはないけれど、独自プログラムを含めてヴァイオリン独奏、弦楽四重奏、そしてハイドンのオペラと三公演もあるだなんて羨ましい、羨ましすぎます。
(東京でも弦楽四重奏はあるのですが、なによりハイドンの「ラ・カンテリーナ」が!!)



私にいわゆる古楽、「作曲された時代のアプローチによる演奏」を教えてくれて、今もなお新鮮な刺激を与えてくれる彼らに、少しでも恩返しがしたく、確定情報が少ない中で記事化させていただきました。
各地の公演が成功しますよう、何かお手伝いできることがあればお声掛けください…

ではまた、ごきげんよう。


2017年5月18日木曜日

5/27「佐渡裕が解き明かす ミュージカル「ウエストサイドストーリー」秘話」放送

こんにちは。千葉です。
テレビ番組のご案内。バーンスタイン生誕100年に向かって、こういう番組も増えるでしょうか。

●世界的指揮者・佐渡裕が解き明かす ミュージカル「ウエストサイドストーリー」秘話 ~ぺこ&りゅうちぇるも大興奮SP!~
※まだBS-TBSのサイトではいま現在、まだ番組情報がありません。確認でき次第更新します。
なお情報元はこちら。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000497.000012949.html

7月にシアターオーブで開催されるミュージカル「ウェスト・サイド・ストーリー」の前に、佐渡裕がぺこ&りゅうちぇる(よく知らない方々ですごめんなさいほんとすみません)にいろいろ教えてくれるのでしょう(現時点では情報が少なすぎてタイトルを少し入れ替えただけになっちゃった)。

レナード・バーンスタインの作曲、スティーヴン・ソンドハイムの作詞、アーサー・ローレンツの台本(そしてオリジナルは原案も担当したジェローム・ロビンスの振付)によるミュージカルの傑作、また多くの方が楽しまれる機会となるわけで、喜ばしいことです(私はバーンスタインのファンなので)。



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1918年生まれのバーンスタインの生誕100年を迎えるにあたり、たとえばニューヨーク・フィルハーモニックの来シーズンにはこんな企画が用意されています。



他にもロンドン響がラトルとの最初のシーズンにマリン・オールソップを招いて集中的に取り上げる予定を発表済みですし、他にも多くの団体が20世紀を代表する音楽家の生誕100年を祝おうと様々な企画を用意しています。

それに先駆ける形で、大阪のフェスティバルホールでは7月に井上道義の指揮、大阪フィルハーモニー交響楽団ほか多くのキャストによる「ミサ曲」(1971)が上演されるのは注目ですよ。内面のドラマとして描き出されるミサはバーンスタイン自身の告解の場に居合わせるような独特な作品です。当時の最先端技術を駆使し、ジャンルの制約も何もない作品は当時賛否両論ありながらもレコーディングなどで受容されて、最近では録音も少なくなくリリースされています。ちなみに初演のトレイラーがありました(公式かどうか追いきれないので、何か問題がありましたら削除します)。



”映画「ヘアー」の世界ですね”と言わざるをえないヴィジュアルに、ついこのバージョンで全編見てみたくなりますね(笑)。
それはさておいて、バーンスタインが生涯テーマの一つとした”信仰の危機”が軸のこの作品、現代の日本でこの作品がどのように示され、どのように受容されるものかはなかなかに気になるところです。マエストロ・ミッキーのコメントなどもフェスティバルホールのサイトにはありますので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいませ。
>大阪国際フェスティバルの「ミサ」ページ

なお豆知識を一つ。この作品の、典礼文以外の詞をバーンスタインと協力して書いたのは、ミュージカル「ウィキッド」などでも知られるスティーヴン・シュワルツ(Stephen Schwarz)ですよ。

ちょっと情報不足から後半が長くなっちゃって、何の記事か自分でも微妙な感じですが(おいおい)、ひとまずここでおしまいとします。ではまた、ごきげんよう。


読みました:デイヴィッド・マシューズ「ベンジャミン・ブリテン」

こんにちは。千葉です。
これも読み終わった本のご紹介です。

●デイヴィッド・マシューズ「ベンジャミン・ブリテン」


20世紀最大の音楽家の一人、と言っていいでしょうベンジャミン・ブリテン(1913-1976)について、自分は知っているような知らないようなところがあるな、と前から感じていました。
幾つかの作品はスコアも入手して見ているし、その音楽を聴いた経験なら子どもの頃に授業で聞かされた「青少年のための管弦楽入門」から現在まで数十年にもなろうとしている。ショスタコーヴィチやロストロポーヴィチとの交流や、ピーター・ピアーズとの生涯に渡る関係は知っている、でも彼のキャリアにおいて大きい要素であるオペラは、代表作の「ピーター・グライムズ」以外は明確に認識できていないように感じる、さらに作品の年代がどうも…

そんな私が読むべき本でした、デイヴィッド・マシューズによるブリテンの評伝は。
WWI開戦の前年に生まれ、ベトナムが長い戦争の後統一された年に亡くなったベンジャミン・ブリテンが、どんな時代をどのように生きたのか、そのときどきにどの作品を作ったのか。200ページほどでそれを一望できるコンパクトな本書は、私より詳しい人にはブリテンの生涯について整理ができて、私のように彼に詳しくない人にはブリテンを正しくその時代に定位できる、そしてそもそもブリテンについてよく知らない方には最良のガイドとして、彼の作品へのアプローチを助けてくれることでしょう。
神童として早くから活躍を始め、フランク・ブリッジやアーサー・ベンジャミンに導かれ、マーラーやベルク、シェーンベルクを”発見”して熱狂し、…そんな若き日から、「ポール・バニヤン」(1941)、そして何より「ピーター・グライムズ」(1945)に始まるオペラ時代、そして「戦争レクイエム」(1962初演)で誰もが認める作曲家に、そんな彼の生涯のアウトラインに肉をつけてくれる本書に、私から付け加えるべきことはありません。
…だとあまりにそっけないので、以下にいくつかの動画を貼っておきますね。いちおうは年代順、権利的にOKなものだけで用意しました(と書くことで、そうではないものを示唆する質の悪い言い方)。











本書の末尾には充実した年表、作品リストが添えられておりますので、それを参照してから読むのもいいかもしれません。20世紀音楽の、いわゆる”前衛”ではない作曲家では最も活躍した一人について、没後40年だった昨年のうちにもっと聴けていれば…と思う気持ちはありますが、なにきっとこの先もっと演奏されることでしょうよええ。本書を読んでの認識で次に彼の音楽を体験できる日が来ますように、と祈っておきます、できたらオペラが聴けたら嬉しいな。

「青少年のための管弦楽入門」ってブリテンの代表作として紹介するのはちょっとアレだよね、と長年感じていたことを告白してご紹介はおしまい。ではまた、ごきげんよう。


2017年5月17日水曜日

5/17(18)、27「読響シンフォニックライブ」放送

こんにちは。千葉です。
放送予定のご案内、毎月恒例の読売日本交響楽団の演奏会です。

●読響シンフォニックライブ 2017年5月

日本テレビ:2017年5月17日(水) 26:29~(18日(木) 午前2:29~)
BS日テレ:2017年5月27日(土) 7:00~

番組司会:松井咲子

指揮:シルヴァン・カンブルラン
管弦楽:読売日本交響楽団

メシアン:彼方の閃光

この回も全曲放送です。素晴らしい。放送枠を90分に拡大して演奏機会が稀な作品を聴かせてくれます。本当に素晴らしい。今年の一大イヴェントとして注目される「アッシジの聖フランチェスコ」全曲日本初演(それも東京、滋賀で計三回!)を前にカンブルランと読響のメシアンをぜひ、という側面もあるとは思いますけれど、こうしたアイディアが実際に放送として流されることの希少さを思えば、音楽ファンとして素直に喜び受け容れたく思います。ありがたい有り難い。

※参考。今回の全曲日本初演は演奏会形式ですが、カンブルランが指揮したテアトロ・レアルでの舞台が設営されるさまがYouTubeで公開されていまして、そこでこの作品が少し聴けますのでご紹介。…設営っていうか、建築ですねこれ(笑)



日本テレビが映らない皆さまも、ぜひBS日テレで。とご案内してひとまずおしまい。
ではまた、ごきげんよう。

※まだ冒頭しか拝見していませんが、カンブルランのコメントが既に興味深いものですから、ぜひ27日朝のBS日テレでの放送を録画してご視聴ください、とお薦めしておきます。

「四月は君の嘘」舞台化

こんにちは。千葉です。
地上波民放のCMで知った情報なので相当に旧聞ですが。

●舞台「四月は君の嘘」

すでに漫画、それを原作としてアニメ実写映画でも愛されている作品が今度は舞台化です。8~9月とのことです。



訳あって演奏から遠ざかっていたかつてのピアノの神童が、一人の同世代の少女との出会いで変わっていく。そんなボーイ・ミーツ・ガールものですが、個性的なヴァイオリニストには…という展開で世の人々の紅涙を絞った(古めかしい言い回し)本作が、また違う形で多くの人たちに触れられる、いわば”再演”の機会を得たわけですね。

ちなみに実写映画の予告編はこちら。アニメのは、まあたくさんありましたので(いろいろと濁さざるをえない)。

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…もしかして漫画やアニメ、ゲームを舞台化するための技術、ノウハウは宝塚と同様に相当の独自進化を遂げているのでは?と世間の評判などから日頃感じているのですが、クラシックのライヴ演奏と芝居をあわせるくらいは余裕なのでしょうか、それともやっぱりかなりのチャレンジなのでしょうか?残念ながら見たことはないのですけれど。興味はあるんですけど、先立つものも時間もね…
残念ながら実際の舞台を拝見したことはないのですけれど、そういう表現の発展には大いに興味があります。ま、先立つものも時間もないんですけどね…

哀しい愚痴にたどり着いてしまったのでご紹介はここまで。
ではまた、ごきげんよう。


読みました:辻田真佐憲「日本の軍歌」

こんにちは。千葉です。
また読み終わった本のご紹介です。珍しく多読モードです。

●辻田真佐憲「日本の軍歌 ~国民的音楽の歴史」


「軍歌を見れば、日本がわかる」を題されたWeb連載をお読みいただければ、だいたいのところは本書の言わんとする事が伝わるのではないでしょうか。もちろん、アウトラインはあくまでアウトライン、本書の情報量はそれだけに収まるものではありません。新書ながら「軍歌」に絞ってその誕生から戦後の小休止、そして現在にもある可能性としての「軍歌」まで考えさせてくれる一冊でした。

新聞社の企画として「海道東征」のリヴァイヴァルが進められている現在のうちに、本書を読むなり上述の連載コラムを読むなりしてそれぞれに考えておくのもいいかもしれません(「海道東征」コンサートのアンコールでは本書でもその成り立ち、受容が語られる「海ゆかば」が歌われていると聞きますし)。国民的アイドルが「キミとボクの物語」として新世紀軍歌を歌いだしてからではもう考える時間はないでしょうから。

柄にもない予言はこのへんで止めておきましょう。ではまた、ごきげんよう。

2017年5月16日火曜日

佐藤俊介、オランダ・バッハ協会の次期音楽監督に決定

こんにちは。千葉です。
オランダの音楽団体の重要なポストに、若き日本人音楽家が就任する、というお知らせです。

●SHUNSKE SATO NIEUWE ARTISTIEK LEIDER NEDERLANDSE BACHVERENIGING

現在もオランダ・バッハ協会のコンサートマスターを務めている佐藤俊介が、2018年シーズン(6/1開始)から音楽監督に就任する、という発表です。現在音楽監督を務めるヨス・ファン・フェルトホーヴェンの後を継ぎ、2021/22年シーズンに100周年を迎える同協会を率いていく重要なポストに就任するわけですね。

このアンサンブルは来日公演もしていますし、それを知らずとも少なくないクラシック音楽ファンがこの団体を知っているはず。ネットで情報を集めている方なら、きっとこのサイトを何かしらの形でご覧になっているのでは。
>ALL OF BACH - a project by the Netherlands Bach Society
「協会の100周年を迎えるにあたって、バッハの全作品を演奏し録音する」この壮大なプロジェクトを、彼が音楽監督として引き継いで完成させる立場になるわけですから、彼への高い評価も察せられるというものでしょう。

以前に一度、三鷹市芸術文化センターでの公演を聴かせていただいた際にもその実力と才気に感心した佐藤俊介の、さらなるご活躍に期待します。またその音楽に触れられる機会が来ますように。


この発表に先立って示された翌シーズンのプログラムでも、彼が演奏しているところをご覧になれます。


2013年のコンサートでもコンサートマスターとして演奏していますね。


2015年の「マタイ受難曲」より。

以上お知らせでした。ではまた、ごきげんよう。

読みました:フランツ・バルトロメイ「この一瞬に価値がある ~バルトロメイ家とウィーン・フィルの120年」

こんにちは。千葉です。
読み終わった本のご紹介です。

●この一瞬に価値がある ~バルトロメイ家とウィーン・フィルの120年


三代にわたってウィーン国立歌劇場、そしてウィーン・フィルで活躍する音楽家一家の三代目バルトロメイ(その書き方いけない)による一族の歴史を語る本です。それはそのまま、当事者による120年以上にわたるウィーンの音楽史の一コマでもあるわけです。これは本当に興味深いものでした。

初代はクラリネット奏者として、ボヘミアのチェコ語地域からウィーンに転じてマーラーの時代に(!!)国立歌劇場、そしてフィルハーモニーで活躍することになります。ちなみにマーラーはドイツ語地域の出身なので、同胞意識ではなく演奏の技量において選ばれたと考えていいでしょうね。彼の系譜がオッテンザマー父子にまで続く、ウィーンのクラリネット演奏の伝統を作っているというのですから、生ける歴史なのです、バルトロメイ家は。

二代目はヴァイオリニストとしてフィルハーモニーの副団長をも務め、後ウィーン交響楽団の監督としても活躍されたという異色のキャリアの持ち主です。その演奏活動、キャリアも興味深いのですが、彼の場合はその生きた時代が二つの大戦に、そして冷戦期に重なるものだから否応なく歴史をめぐる物語としても読めてしまうのが、彼個人には本当に大変だったろうと思いつつも興味深く勉強になります。たとえば、彼が敗戦直前にウィーンを離れていたことをもってナチ党員排斥の対象として選ばれてしまうあたり、トーマス・マンやエーリヒ・コルンゴルトに対する戦後の反応を思い出させられるものです。もっと大物のナチ党員も所属しているのに(戦後も!!)、入団のため一時的に入党した彼が団を追われる羽目になるのだから、戦後処理とは悩ましいものです。そのあたり興味のある方はぜひ本書をご覧ください。

そして著者である三代目、チェリストのフランツ・バルトロメイは1970年代から2012年までウィーン国立歌劇場、そしてフィルハーモニーで活躍されたわけですから、彼の活動時期は日本のクラシック音楽ファンが「ウィーン・フィルハーモニーの演奏」として聴いてきたもののほとんどの時代をカヴァーすることでしょう。カラヤンが来たり来なかったり(笑)した結果ベームが復帰して、またバーンスタインがよく来るようになって、たまーにカルロス・クライバーが登場して…といった時代から、サー・サイモン・ラトル、ニコラウス・アーノンクールらとの仕事までを当事者として振り返ってくれています。本書のタイトルもまたアーノンクールの言葉で、バルトロメイ氏がもっとも感銘を受けたものだと言うのですから本当に最近までご活躍された方なのだと思わざるを得ません。
そんな彼が語るマエストロたちの話は実に興味深く(以下繰り返し)。

さらに繰り返しになりますが、私ごときがどうこう書くより、興味のある方には本書を読んでいただくのが一番いいと思いますので、紹介はこれでおしまいです。最後にフランツ・バルトロメイの演奏をお楽しみくださいませ。



ではまた、ごきげんよう。

2017年5月15日月曜日

アンサンブル・アンテルコンタンポラン、創設40周年

こんにちは。千葉です。
いささか旧聞ではございますがニュースを一つ。

●L'Ensemble Intercontemporain à l'avant-garde depuis 40 ans

記事の日付としては3月17日なので、あきらかに旧聞です。ですがこんな動画を発見してしまうと紹介しておかないのもイカンかなと思うわけです。



アンサンブル・アンテルコンタンポランが創設40周年を迎えて開催したコンサート、なんと三時間半に及ぶ祝祭です。素晴らしい。

挨拶に続いて冒頭で演奏されるベリオ、クセナキスあたりは「20世紀音楽」という括りに入る作品群ですが、このアンサンブルがそれらの作品の歴史を生み出してきたことを踏まえて考えれば十分以上に「現代」の音として響きます。アンサンブル・アンテルコンタンポランのYouTubeでの展開は、本当に大歓迎です。

…もちろん、こうした作品と縁のある団体による再演はありがたい一方で、”正典”として作品受容を限定しかねない面はあります。ですが演奏頻度が低く、実演に触れられる可能性が低い作品の場合こうして実演の映像に触れられることのメリットのほうがよほど大きいので、ここではその可能性を指摘しつつ、うかうかと楽しく配信されたパフォーマンスを楽しませていただこうと思います。皆様も是非。知らない音楽に触れられるのって楽しいですよ?ライヴパフォーマンスとしての「現代音楽」、かっこいいんですから。

これではさすがに長過ぎて、という方には「ブーレーズ音楽論」で展開された思考の成果として生まれたアンサンブルの、代名詞的作品として彼の「レポン」を、現在の音楽監督マティアス・ピンチャーが指揮したものを置いておきますね。1995年のあのフェスティヴァルのころは、ライヴエレクトロニクスの駆使とかそれだけでワクワクできたなあ…(遠い目)


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…では、おまけにもう一つ、私からかってに懐かし映像をば。いや、「かってに」とは申しましたがちゃんとアンサンブル・アンテルコンタンポランの公式サイトからの提供です。YouTubeにはなかったのですが、リンク先で御覧いただける若いマエストロ、どなただと思いますか?

はい、20年前のジョナサン・ノットです。あまり多くの方が触れないのでときどき不安になるのですが、彼を語る上でこのアンサンブルの音楽監督を務めていた(2000-2005)ことは重要なポイントだと考えています。それ故に幅広い時代の作品を絶妙に組合わせるプログラムができるのでは、と。
もちろんそれだけがノット監督の強みではないけれど、昨年オペラを披露して手持ちのカードをほぼ示してくれた今、改めてアンテルコンタンポランとのつながりを指摘しておくことにも意味はあるのかな、と感じるオペラシティシリーズ後の私でありました。

では紹介はここまで。ではまた、ごきげんよう。

※追記。アンサンブル・アンテルコンタンポランで長く活躍されているピアニスト、永野英樹さんが7月4日に横浜みなとみらいホールで興味深いプログラムを披露します。詳しくはリンク先にてご確認くださいませ。


2017年5月14日日曜日

5/14(15)「フランクフルト歌劇場公演 歌劇『クセルクセス』」放送

こんにちは。千葉です。
放送予定のご案内、日曜深夜の人気番組「プレミアムシアター」(少し盛った)、14日深夜24時20分(15日未明0時20分)からの放送はこちら。

●フランクフルト歌劇場公演 歌劇『クセルクセス』



フランクフルト歌劇場の「クセルクセス(セルセ)」がこの日の番組です。

バロックピッチによる演奏、気になって少し調べてみると、ここのオーケストラはバロックから現代まで、幅広く対応する模様。バロックオペラを異化したスタイルで上演するのがもう長く続く”伝統”のようになっているドイツの歌劇場らしく、作品の時代に応じてやり方を変えているのかもしれません(もっともFrankfurter Opern- und Museumsorchesterという名称から読み取れるものはそう多くないのですが)。ちなみにDVDもリリースされている「リング」はこんな感じ。



…並べてもあまり察しようがないので(笑)、とりあえず先入観をもたずに視聴させていただこうと思います。以下、キャストとスタッフです。

キャスト:

セルセ(クセルクセス/ペルシャ王):ガエル・アルケス
アルサメーネ(セルセの弟):ローレンス・ザゾ
ロミルダ(アルサメーネの恋人):エリザベス・サトフェン
アマストレ (セルセの婚約者):ターニャ・アリアーネ・バウムガルトナー  ほか

指揮:コンスタンティノス・カリディス
演出:ティルマン・ケーラー
美術:カロリ・リズ
衣装:ズザンネ・ウール
照明:ヨアヒム・クライン
管弦楽:フランクフルト・ムゼウム管弦楽団

2017年1月12、15日にフランクフルト歌劇場で上演されたものです。ではご案内はここまで。

海外のものも小さいタイムラグで放送されるようになって喜ばしいことです。
…と書いてから「往年の演奏とかはもうどこでも放送できない感じでしょうか…」とも思ってしまう私でありました。ではまた、ごきげんよう。

5/14「N響 第1857回 定期公演」放送

こんにちは。千葉です。
放送予定のご案内、14日 21時からのEテレ、クラシック音楽館はこの週もパーヴォ・ヤルヴィとN響の定期公演、欧州ツアー前の演奏会です。

●<N響 第1857回 定期公演>

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ヴァイオリン:諏訪内晶子 ※
管弦楽:NHK交響楽団

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47 ※
ショスタコーヴィチ:交響曲第一〇番 ホ短調 Op.93

ツアーでショスタコーヴィチの第一〇番を演奏する、というのはノット&東響と同じ選曲です。オーケストラの機能を示すことができること、そして”伝統外”の団体として欧州に御目文字する際の選曲として妥当に思われること、そのあたりが理由でしょうか。
そんな詮索はさておいて、造形感覚がたしかなパーヴォさんのショスタコーヴィチはキレッキレの演奏だったのでしょう。期待します。
前半はツアーとは違ってソリストに諏訪内晶子を招いたシベリウス。前週に演奏/放送された交響曲第二番もいい演奏でしたから、これまた期待します。
2017年2月17日、NHKホールでの演奏会です。

以上ご案内でした。ではまた、ごきげんよう。

2017年5月11日木曜日

METライブビューイング「イドメネオ」 5/12より上映

こんにちは。千葉です。
オペラの劇場上映のご案内、おなじみのMETライブビューイングの次作です。5月12日から上映が開始されるのはこちらの作品。

●METライブビューイング「イドメネオ」











>海外評1 >海外評2 >海外評3

モーツァルトの最も有名な幾つかのオペラに比べれば知名度は落ちるけれど、オペラセリアの傑作として再評価が進み近年は上演も増えている「イドメネオ」が、ジェイムズ・レヴァインの長きにわたるメト時代の集大成となります。ジャン=ピエール・ポネルの演出は今やオットー・シェンクやフランコ・ゼッフィレッリのそれと同じ、メトの歴史の一部でしょう。
ギリシャ神話の時代、トロイア戦争後の物語はモーツァルトの生涯に大きく影響した父子ものでもありますので、この機会にぜひ、と申し上げておきますね。

ではまた、ごきげんよう。

2017年5月7日日曜日

5/7「N響 第1856回 定期公演」放送

こんにちは。千葉です。
放送のご案内です、7日の21時からEテレでのクラシック音楽館です。

●<N響 第1856回 定期公演>

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
アコーディオン:クセニア・シドロヴァ
管弦楽:NHK交響楽団

アルヴォ・ペルト:シルエット -ギュスターヴ・エッフェルへのオマージュ
トゥール:アコーディオンと管弦楽のための「プロフェシー」
シベリウス:交響曲第二番 ニ長調 Op.43

2017年の2月といえば、NHK交響楽団が創立90年を記念した欧州ツアーを行った月です。最近朝日新聞でもその紹介が、東京交響楽団のそれと併せる形でされていましたし、なによりベルリンでの演奏会が既に放送されていますから、その充実はご存じの方も多いでしょう。そのツアーを前にしたパーヴォさんの定期がこの回から続きます(ツアー前のマーラーは特別演奏会枠だったので、ここでの放送はなし)。
この週はエストニア出身のパーヴォさんには特に身近な作曲家たちの作品を揃えたプログラムですね。SNSでの評判も非常に良かったと記憶していますので、楽しみな放送です。
演奏会は11日、NHKホールでのものです。


なお直近のパーヴォさんの仕事がこちら。「ドン・ジョヴァンニ」でオペラデビュー前に、ということでしょうかミラノ・スカラ座バレエに登場しています。

これが放送されたら黄金週間も終わりですね、とか特に感慨もなく言ってみました。ではまた、ごきげんよう。

※追記。録画したものを拝見して、しみじみと「パーヴォさんは造形が美しいなあ」と感じました。特にシベリウス、演奏前のトークでも語っていた旋律とシンコペーションの関係がこうきれいに聴こえてくれると実に気持ちがいい。シベリウスではシンコペーションの扱いがひとつの勘どころにもなりますので、これはなかなかいいなと感じた次第ですよ。あまり多くは演奏されない作品、たとえば三、四、六番あたりでいい演奏が期待できそうな気がします。あ、この演奏がどうこう、ということではないですよ(形のきれいな第二番、最近聴いたパーヴォ&N響では一番好きかもしれません、私。そして随所に見られる強い思い入れ(まさかのバーンスタイン風一本振りまで!)、名演ではないでしょうか)

2017年4月30日日曜日

4/30(5/1)「ドキュメンタリー『エルプフィルハーモニー ~ハンブルクの新ランドマーク~』◇エルプフィルハーモニーこけら落とし演奏会/ダニエル・ハーディング パリ管弦楽団音楽監督就任記念演奏会」放送

こんにちは。千葉です。
BSプレミアムシアターの放送予定、4月最後の回は4月30日 24時(5月1日 0時)から約五時間の長丁場、ドキュメンタリーとオーケストラ演奏会二つです。

●ドキュメンタリー『エルプフィルハーモニー ~ハンブルクの新ランドマーク~』/エルプフィルハーモニーこけら落とし演奏会/ダニエル・ハーディング パリ管弦楽団音楽監督就任記念演奏会

前半はドキュメンタリーとコンサートでハンブルクの新ホール、エルプフィルハーモニーを紹介します。…これについては以前紹介記事を書きましたので、よろしければそちらもご参照いただければと存じます。すでにYouTubeで全曲配信されていますがそこはそれ、高画質高音質のBSプレミアムの実力をご覧あれ、です。


開幕式典は前日に行われたこちらです。だから「このホールの音が披露されたコンサート」はこの動画の方になりますが、今回放送されるコンサートは実にチャレンジングなプログラムも素晴らしいものですので、ぜひご覧ください。詳しくは以前の紹介記事をどうぞ。

後半はパリ管弦楽団の音楽監督に就任したダニエル・ハーディングの、最初のコンサートですね。曲はシューマンの「ゲーテの『ファウスト』からの情景」、キャストは以下の面々です。

ファウスト/天使に似た神父/マリアを崇拝する博士:クリスティアン・ゲルハーヘル
グレートヒェン:ハンナ・エリーザベト・ミュラー
メフィストフェレス/悪霊/瞑想の神父:フランツ・ヨーゼフ・ゼーリヒ
マルテ/憂い/罪深い女:マリ・エリクスメン
天使アリエル/法悦の神父:アンドルー・ステープルズ
欠乏/栄光の聖母:ベルナルダ・フィンク
成長した天使:タレク・ナズミ



こちらのコンサートも新しい会場で、オープンは昨年のフィルハーモニー・ド・パリ。詳しくはフランス観光開発機構のページでご覧ください。



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このプログラム、全体を通して「永田音響設計マジぱねえっす」ということなんだろうなあ、と思い当たった時に「これらの会場の原型にして最初の完成形(決めつけ)、ミューザ川崎シンフォニーホールをよろしくお願いします!」※とつい書いてしまう私でありました。

※もちろんこれは市民の贔屓目もございますので、ホール名には各自リンク先のお好みのものを代入して読んで下さい(おいおい)

ということで放送のご案内はここまで。ではまた、ごきげんよう。

※放送前ですが追記(4/24)。この番組の前の時間帯、初音ミクだったりアニサマだったりサブカル枠として機能しているように見受けられるのですけれど、この週はなんと『シン・ゴジラ対エヴァンゲリオン交響楽』の編集版が放送されます(フルサイズ版はソフト化して販売されるのでしょう)。もしそこから視聴を続けるとするならまるっと六時間の長丁場。命を賭けよ、と公共放送様は申していらっしゃいます(笑)。
なお放送についてはリンク先をご参照ください。

2017年4月29日土曜日

「アルテリッカしんゆり」 4/29開幕

こんにちは。千葉です。
市民の義務シリーズです(おいおい)。

●アルテリッカしんゆり 川崎・しんゆり芸術祭2017

音楽のまち・かわさきの、東のというか夏の音楽祭が以前から紹介しているフェスタサマーミューザだとすれば、西のというか春の音楽祭がこちらです。昭和音楽大学がある新百合ヶ丘駅周辺の文化施設を駆使して、クラシックも演劇もバレエも映画も…各種のイヴェントが開催されます。
4月29日開幕で5月7日に閉幕※ですから、丸の内のお祭りよりがっつりとゴールデンウィークをお楽しみいただけます、どうですか!(市民としてのあまり意味のない対抗意識)

※プレイベントは3月から始まっていますし、参加企画は先週末から始まっています。また、5月7日に東京交響楽団によるフィナーレコンサートが行われてその後に、スターダンサーズ・バレエ団による「ドラゴンクエスト」が開催されますが、連日公演が行われる時期はここまで、という意味でこのように表記しました。ご了承ください

詳しいスケジュールはリンク先でご確認ください、そして新百合ヶ丘駅界隈、登戸、宮前平の市民館でのイヴェントをお楽しみくださいませ。

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私、昨日行われた藤原歌劇団「セビリヤの理髪師」ゲネプロを拝見してまいりました。29日公演のキャストだったのですが、ロジーナの脇園彩さんが鮮烈でした。いやもちろん、他のキャストの皆さんが通し稽古でどのくらいの力で歌われていたかはわかりません、リハーサルなので。ですが、はじめからオペラ上演も考えて作られているテアトロ・ジーリオ・ショウワで楽しむオペラはなかなか親密でいいものになりそうですよ。ぜひ。


ではご案内はこれにて、ごきげんよう。


2017年4月28日金曜日

「N響午後のクラシック」 ミューザ川崎シンフォニーホールで4~6月開催

こんにちは。千葉です。

コンサートシリーズのご案内です。なにせ私、野良の宣伝ヒラですので、このホールで行われる特徴的なシリーズを見逃すことはできないのです。

●N響午後のクラシック(特別協賛の明電舎からのリリースにリンク)

以下に公演情報を整理します。もちろん管弦楽はNHK交響楽団、会場はミューザ川崎シンフォニーホールです。

●2017年4月27日(木) 15:00開演

指揮:広上淳一
ヴァイオリン:ダニエル・ホープ ※

ラーション:田園組曲 Op.19
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第一番 ト短調 Op.26 ※
ベートーヴェン:交響曲第七番 イ長調 Op.92



●2017年5月25日(木) 15:00開演

指揮:ウラディーミル・フェドセーエフ
ピアノ:ボリス・ペレゾフスキー ※

ショスタコーヴィチ:祝典序曲 Op.96
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第一番 変ロ短調 Op.23 ※
リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 Op.34
チャイコフスキー:幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」 Op.32



●2017年6月15日(木) 15:00開演

指揮:トン・コープマン
フルート:カール・ハインツ・シュッツ
ハープ:シャルロッテ・バルツェルライト

モーツァルト:
  歌劇「魔笛」序曲
  フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299
  交響曲第四一番 ハ長調 K.511 「ジュピター」



チケットなど詳しくはNHK交響楽団のサイトでご確認くださいませ。

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定期的な公演をこれまでNHKホール、サントリーホール、そしてBunkamuraオーチャードホールで主に行ってきたN響が、ミューザに定期的に登場するのですから、これは注目したい。

個人的なポリシーというかなんというかですが、いわゆるマーケティング的視点から公演を見ることはしないようにしているのです。しかしそれでも、近年の「平日昼間のうちに開催するクラシックの公演」が増えていることは無視できない。先日ご紹介した東京フィルハーモニー交響楽団の「休日/平日午後のコンサート」のような成功例もございますし。しかもその会場に選ばれたのがミューザ川崎シンフォニーホールと来ては、注目せざるをえないのです。
東響のサウンドを洗練させ続けているこのホールで、N響はそんなに多くの演奏会をしていません。恒例のフェスタサマーミューザでも、その直後に行われる「N響ほっとコンサート」とほぼ同じ、エンタテインメントプログラムを披露してきましたから、本格的なシンフォニーオーケストラとしての実力を示す機会はあまりなかった、のです。そんなN響がついにこのシリーズによってミューザ川崎シンフォニーホールで、本気のプログラムを披露してくれることになるわけですから注目しないわけにはいかない。指揮が広上淳一、ウラディーミル・フェドセーエフ、そしてトン・コープマン(!!)とくればなおのこと。
前日にNHKホールで「水曜夜のクラシック」として披露したプログラムをミューザ川崎シンフォニーホールで披露してくれるのですから、演奏の仕上がりも万全のはず、全力のN響を期待できないはずもない。さて、どうなりますか。注目です。

ご案内はこのあたりでおしまい。ではまた、ごきげんよう。

※追記。本日、注目のシリーズ第一回を終えてこのようなリリースが出ました。
・N響公演のハイレゾ音源と映像をオンデマンドで配信―「N響 午後のクラシック」公演で
定期公演の代替公演でもありますので、何かの形で放送はされると思っていましたが(FM放送済み)、これは意外でしかもありがたい話です。

※さらに追記。なんとN響のサイトで公演の全プログラムが視聴できるようになりました。詳しくはリンク先にてご確認ください。また、ハイレゾ配信はこちら。時代、動いてる感じがします…

2017年4月25日火曜日

書きました:上岡敏之&新日本フィル 新シーズンプログラム発表記者会見

こんにちは。千葉です。
寄稿した記事のご案内です。

●上岡敏之を音楽監督に迎え、進化を続ける新日本フィルの新シーズン。「映画で言えばハリウッドではなくヨーロッパのそれ」

上岡敏之の音は、かつてヴッパータール交響楽団と来日した際に触れて、驚愕した覚えがあります。複雑な音楽でも声部が迷子になることはないやたらに目の詰んだアンサンブルと、時折見せる個性的なデフォルメが高い精度で共存する演奏に、とにかくまず驚いた。いくつかのレコーディングは長い演奏時間や特徴的な表現を売り文句としていたけれど、私には大きい驚きを伴うものではあるけれど妥当な演奏に思えたものだから正直なところそういった告知との乖離が気になっておりました。私にとって、彼は個性が明確に音楽に現れる、しかしまっとうな音楽家という認識でした。ドイツでオペラハウスを切り盛りできるだけの度量があり、ピアニストとしても活躍できる腕前を持つ、ある意味で日本人離れした音楽家。そんな受け取り方をしていました。

そんなマエストロが新日本フィルハーモニー交響楽団の音楽監督になる、と知ったときは驚いたものです、意外でした。とはいえ新日本フィルハーモニー交響楽団は長くシェフ不在で苦労されていましたから、新しい音楽監督を迎えられることは聴き手としても喜ばしいことでした。それは昨年の就任&今シーズンの記者会見の模様を見ていただければご理解いただけましょう。一時間に及ぶ長尺なのでお時間のある方は、ということにはなりますが、ぜひこちらの動画でその就任発表の会見をどうぞ。安堵感が非常に強かったことをよく憶えています。



そして半年後のコメントがこちら。短いですし、上岡さんの語りの雰囲気を知りたい方はこちらをぜひご覧くださいませ。3月の定期演奏会を前にしたコメントです。12月定期で演奏された、プロコフィエフの交響曲第五番が流れる映像は、その演奏を聴くためだけにでも見ていただきたいです。



その定期の直前に行われた「すみだ平和祈念コンサート2017」については記事中でも少し触れましたが、その直前のリハーサルについてはこちらの記事をどうぞ。下の方に割と詳しいレポートを書いていますので。

公開リハーサルに申し込んだきっかけがこの動画なんですよね、実は。昨年12月の時点でこれだけの音を出していたのか、と感じたものですから、早く聴く機会を作らなければ、と思いまして。この会見に伺ったことで、そのとき感じたこと(記事参照くださいね)を、会見の後に直接崔文洙さんにお伝えすることも出来て、この会見は仕事としてレポートをお出してきたことももちろんですが、一人の受け手として嬉しいことでした。

そしてこの記事を書いていたら、新日本フィルハーモニー交響楽団のYouTubeチャンネルに会見動画の抜粋がアップされました。ぜひ!



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記事が長すぎるといくらなんでも読んでもらえないかな、という気持ちもあって記事中ではほぼプログラム読み職人としての文章を書いていません。なんということでしょう!
なのでここで少し書いておきますね。もちろん記事タイトルにも選ばれた、映画になぞらえた「ハリウッドではなくヨーロッパのそれ」という評で十分かな、という判断もあるのですが、一応私観点ってのも、ね?(必死)

とは言いながら、この記事も既に長いのでいくつかのトピックとして、箇条書きで注目のポイントを書き出しておきますね。詳しいスケジュールは新日本フィルハーモニー交響楽団のサイトでご覧くださいませ。

・モーツァルトからバルトークまで、幅広い時代の作品を取り上げる上岡音楽監督。”ニューイヤーコンサート”の捻り方が絶妙!
・リクエストコンサートは新シーズンも実施。選ばれなかったリクエストも選曲の参考にするので、是非ご応募ください、とのこと
・シュテンツ、鈴木雅明、エリシュカ、タン・ドゥン…客演指揮者陣も実力派揃い。でも個人的に注目なのは、「エッフェル塔の花嫁花婿」を演奏する(!!!)デニス・ラッセル・デイヴィス
・横浜定期の「サファイア」はマーラー、ブルックナーを軸としたシリーズにしていく予定だそうです!(今年もその二人とツェムリンスキーなので筋は通ってます)

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質疑の中で「ルビーはアフタヌーン・コンサートなのにガチの選曲ですね!」(大意)と問われて「”子どものためのコンサート”もそうなんですが、あらかじめそういう狙いをもって手加減したようなプログラムでは見向きもしてくれない。有名な名曲ではないけれど、それに劣らない作品をお示ししたい」(大意)といったお話があったのが非常に印象に残りました。
上岡と新日本フィルは変化を恐れていないし実際に変わってきた、その先がとても楽しみだ。そう感じたものが記事に出せていれば幸いです、過程を楽しめるのは同時代者の特権ですから、今のうちに多くの方が彼らの演奏に触れてくださいますように。

そうそう、この記事を書いている間に知ったことをもう一つ。6月のクラシック音楽館で、来シーズンからは「サファイア」になる横浜みなとみらいホール 特別演奏会が放送されます。…もっとも、このプログラムはこれから初台の東京オペラシティコンサートホール(5/11)横浜みなとみらいホール(5/12)で披露されるものですから、近くば寄って音にお聴きくださいませ。公共放送様の録音技術が如何に高かろうとも、実演以上にはなりにくいものですから(註・席によっては、という保留はしておきますね)。

では記事の紹介の体を取った長ったらしいおまけはここまで。ごきげんよう。


2017年4月24日月曜日

書きました:ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団「名曲全集」第126回レヴュー

こんにちは。千葉です。
伺ってきた公演のレヴュー、公開されました。

●ミューザ川崎シンフォニーホールと東京交響楽団による「名曲全集」の新シーズンが4月16日に開幕

ミューザ川崎シンフォニーホール開館以来続くシリーズ「名曲全集」は今シーズンも興味深いプログラムが揃って、ほぼ月一回のペースで10回が開催されます。その初回は夭逝した作曲家たちの作品によるコンサート、指揮は尾高忠明でした。
この日の演奏の特長を一言にまとめるなら、仕上げの美しさということになるでしょう。挑発的にならないところは美点でありますが、個人的にはもう少し攻撃してくれてもいいわよ、とか思わなくもなかったりしますから好みとはなんとも難しいものです。とはいえ、この感触は私がふだん聴いているシューベルトがブリュッヘンだったりアーノンクールだったり、インマゼールだったりすることからくる感想です、ということは申し添えておきますね。記事にも書きましたとおり、この日の演奏は”ウィーン風”のそれ、だと認識しておりますので、妥当なものだと受け取った上での好みのお話でした。

モーツァルトとシューベルトの”ウィーン風”の外枠に挟まれたのは尾高忠明の父君、尾高尚忠のフルート協奏曲でした(今回演奏されたオリジナル版のOp.30aは、小協奏曲と表記して後に通常のオーケストラ編成にしたOp.30bと区別する場合があります。Op.30bは作曲者生前には完成せず、林光が補筆完成させています)。
ソリストは高木綾子さん、とここでいきなり敬称がつくのは、私の紹介よりも先に本稿をご紹介いただいてしまったからです。恐縮であります(笑)。


比較的知られざる作品を、自在な演奏で楽しませてくれたことにいま一度拍手させていただきます。

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記事に入れると少し本筋からそれるか、と思って割愛した部分を書き直してここでご紹介します。
ミューザ川崎シンフォニーホールという会場を賞賛することではサー・サイモン・ラトルにもマリス・ヤンソンスにも負けないつもりの私ですが(主観です)、この日もまた新たにした思いがありました。それは「協奏曲を聴くならミューザがいいな」というもの。それも、ピアノのようには音量でオケと対峙できない楽器のそれは、ここでしかこうは聴けませんよね、という。室内楽的な合わせの部分でも、オーケストラがトゥッティの部分でも、簡単にはソリストを消さないんですこのホール。
もちろん、それはソリスト、指揮者、オーケストラのそれぞれの配慮あって実現する音楽的達成ではありますが、それをある種の譲り合いによらずとも可能としてくれるのはこの会場の素晴らしいところなのです。ソリストを守るために鳴らさないオーケストラに歯痒い思いをすることもないし、音色や表現を損なってまでソリストが大音量に挑む必要もない。
弱音の表現力においてこのホール以上の繊細さを持つ会場はそうはないですから、音楽としての協奏曲を楽しむには最高の場所だよね、ということを途中まで書いて削除したのですが、この日は小編成とはいえその感を強めたものですからここに書き残しておきます。

そんなミューザ川崎シンフォニーホールに多くのソリストも登場するフェスタサマーミューザ2017は如何ですか?とダメ押しをしてご紹介はおしまい。
ではまた、ごきげんよう。


2017年4月22日土曜日

4/23(24)「マリインスキー・バレエ公演『ジゼル』/ミラノ・スカラ座バレエ公演『恋人たちの庭』」放送

こんにちは。千葉です。
放送予定のご案内、23日 深夜24:00~(24日 未明0:00~)放送のプレミアムシアター、この回はバレエですよ。

●マリインスキー・バレエ公演『ジゼル』/ミラノ・スカラ座バレエ公演『恋人たちの庭』

最初にお詫びしておきます。探してみたけれど今回は適切な動画が見つけられず、特段のご案内ができません。無念。

前半は、サンクトペテルブルクのマリインスキー・バレエによる「ジゼル」です。
…ここで「アラベスク」がまず出てきてしまう私は多くを語りますまい。ご容赦のほど。
なおキャストは以下のとおりです。

ジゼル:ディアナ・ヴィシニョーワ
アルブレヒト:マチュー・ガニオ(パリ・オペラ座バレエ団)
ハンス:イーゴリ・コルプ
ミルタ(精霊ウィリの女王):エカテリーナ・イワンニコワ  ほか

定期的に来日している名門の名作、ということで勉強させていただこうかと(バレエ・リュスの時代になれば音楽からアプローチすることも容易なのですが、なかなかクラシックは難しくて…)。

後半がミラノ・スカラ座バレエ公演『恋人たちの庭』。この見慣れない作品はモーツァルトの作品による新作なのだとか、であれば幻想的な舞台であるらしいことまでしか事前知識なしで見てみようかと。
キャストはこちらです。

女:ニコレッタ・マンニ
男:ロベルト・ボッレ
夜の女王:マルタ・ロマーニャ
ドン・ジョヴァンニ:クラウディオ・コヴィエッロ
レポレッロ:クリスティアン・ファジェッティ
アルマヴィーヴァ伯爵:ミック・ゼーニ
伯爵夫人:エマヌエラ・モンタナーリ
フィガロ:ワルテル・マダウ
スザンナ:アントネッラ・アルバーノ
グリエルモ:ヴァレリオ・ルナデイ
フェランド:アンジェロ・グレコ
フィオルディリージ:ヴィットリア・ヴァレリオ
ドラベルラ:マルタ・ジェラーニ

見慣れない作品といいましたけれど、こうおなじみのメンバーがどう出てくるなら果たして彼ら彼女らは何をするのやら、という感じがしてきますね(笑)。


※放送後にようやく見つけました。こういう舞台です(遅くてすみません…)

以上放送のご案内でした。ではまた、ごきげんよう。

4/23「鈴木雅明のドイツ・オルガン紀行」放送

こんにちは。千葉です。
日曜21時からのクラシック音楽館、4月23日の放送ご案内ですよ。

●<鈴木雅明のドイツ・オルガン紀行>

バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏でもおなじみの鈴木雅明による、ヨハン・ゼバスティアン・バッハのオルガン作品集が地上波でいい時間帯に放送されるというのは、なかなか画期的なことであるように思います。

会場そのものが楽器であるオルガンですからどこで演奏するか、というのも大きいポイントですが、今回は2017年2~3月にドイツ各地の教会を訪れての収録とのことで”楽器”比べも楽しめます。要チェック、です。

なお発表されている曲目は以下のもの。

幻想曲 ト長調 BWV.572
パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV.582
パストラーレ ヘ長調 BWV.590
オルガン小曲集から 前奏曲とフーガ ホ短調 BWV.548 ほか

以上ご案内でした。ではまた、ごきげんよう。

2017年4月19日水曜日

フェスタサマーミューザ2017、プログラム詳細紹介

こんにちは。千葉です。
さて先日の記者会見レポートに続いて、プログラムすべてに言及した記事を書きましたよ!というご案内。

●フェスタサマーミューザ2017―――プログラムを読み解く

先日第一報として記者会見の模様をお伝えした「フェスタサマーミューザ2017」の、全公演を紹介しています。文章の長短は多少あっても全部です。いまはやりきった感があります。はい。

今年は首都圏10団体に加えてPMFオーケストラ、オーケストラ・アンサンブル金沢が参加※することになり、私が以前から熱望していたプロムスへの道をまた一歩進んだ感があります。
Kitaraで演奏してからミューザに来るPMFの皆さんは果たして親戚筋(おい)のホール、どのように感じられますでしょうか。そして腕利き揃いのOEK、ミューザでガチのプログラムをどう聴かせてくれますやら。そんな特別参加団体だけが目玉じゃないよ、というのが記事の主眼です。どれも見どころ聴きどころのあるコンサートが並んでいますので、ぜひこの夏はミューザ川崎シンフォニーホールで!という川崎市民からの熱いオススメです(笑)。

※新日本フィルハーモニー交響楽団は今回、ワールド・ドリーム・オーケストラ(WDO)としての特別参加

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約三週間の夏祭り、ホールに住んですべてのコンサートが聴けたらさぞや充実することでしょう(註・移動しなくてよかったら涼しいだろうなあ、という意味ですよ)。なお現在、チケットは友の会会員の皆様の先行受付中、一回券の一般発売は4/22からです。詳しくはリンク先にてご確認くださいませ。

ではまた、ごきげんよう。

2017年4月18日火曜日

4/19(20)、29 「読響シンフォニックライブ」放送

こんにちは。千葉です。
恒例の番組の放送予定です。

●読響シンフォニックライブ 4月

日本テレビ:2017年4月19日(水) 26:34~(20日(木) 午前2:34~)
BS日テレ:2017年4月29日(土) 7:00~

番組司会:松井咲子

指揮:田中祐子(ストラヴィンスキー)/シルヴァン・カンブルラン(シューベルト/ウェーベルン)
管弦楽:読売日本交響楽団

曲目

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)
※2017年2月28日 ミューザ川崎シンフォニーホールにて収録

シューベルト/ウェーベルン:六つのドイツ舞曲
※2016年10月19日サントリーホールにて収録

変則的な20世紀音楽プログラム、ということになりますでしょうか。
前半は新進の女性指揮者として注目されつつある田中祐子が、ストラヴィンスキーの三大バレエ音楽から「ペトルーシュカ」を披露します。キレのいい2管編成版をどのように聴かせてくれますか。
後半はシルヴァン・カンブルランの指揮で、シューベルトの作品をヴェーベルンが編曲したものを。…これは余談なのですが、日曜(16日)には日本アルバン・ベルク協会の、月曜(17日)にはゲーテ・インスティトゥートのイヴェントでそれぞれカンブルランの話を聞いてきたばかりなのも何かのご縁というものでしょう。楽しく聴かせていただきます。

※なお、それらのイヴェントについては別途記事としてお出しする予定です。乞うご期待、と申し上げられる出来に仕上がりますように(笑)。

ではご案内はこれにて、ごきげんよう。

※追記。
番組を拝見して、これまでこの番組に感心してきた「作品をカットせずに放送する」美点に加えて「カメラがいいところを映している」というところを高く評価したく思います。「ペトルーシュカ」の大詰め、人形である彼の頭が壊されてしまうところをストラヴィンスキーは「地面にタンバリンを落とす」ことで描写しているのですが、そこをこの番組ほどきっちり見せてくれたのは、私には初めてのことでした。他にも、いつも感じる「音楽が盛り上がってから指揮者を映しても仕方ない」(盛り上がるように仕込みをするのが指揮者の仕事で、盛り上がっちゃったらあとはオケががんばります←嘘ではありません)「ソロのパートを間違いなく映す」(これとても大事)などの基本的な約束事が守られていて、見ている際にストレスを感じることがありません。素晴らしいことです。

そしてもう一つ付け加えましょう。「必要があるならば、拡大版として全曲を放送する」ことです。なんと次回も拡大版、メシアン晩年の大作「彼方の閃光」を全曲放送しますよ、とのこと。日本テレビでは5月18日放送予定とのことですが、詳しくは別途記事を用意します。この放送が、秋の「アッシジの聖フランチェスコ」につながるわけですね、力の入り方が違います…

2017年4月16日日曜日

4/16(17)「笈田ヨシ演出 歌劇『蝶々夫人』/ロサンゼルス・オペラ ウディ・アレン演出 歌劇『ジャンニ・スキッキ』」放送

こんにちは。千葉です。

放送予定のご案内ですよ。4月最初のNHK BSプレミアムシアターは、プッチーニのオペラを二本立て。放送時間は4月16日(日)※ 24:00からです。

※放送局としては17日(月)表記が優先の模様ですが、私としてはまだ眠ってない時間なものですみません。

●笈田ヨシ演出 歌劇『蝶々夫人』/ロサンゼルス・オペラ ウディ・アレン演出 歌劇『ジャンニ・スキッキ』

前半は既に高崎での公演レポートをお届けし、巡演終了後の講演会もご案内した笈田ヨシ演出による「蝶々夫人」の最終公演、東京芸術劇場での2月19日公演の模様が放送されます。16日も日程に入っているのは、おそらくゲネプロも収録していて部分的に編集している、ということでしょうね。楽しみです、あの舞台を皆さまがどう見られるのか。



公演データは以下のとおりです。

指揮:ミヒャエル・バルケ
演出:笈田ヨシ

舞台美術:トム・シェンク
衣装:アントワーヌ・クルック
照明:ルッツ・デッペ

合唱:東京音楽大学
管弦楽:読売日本交響楽団

キャスト:

蝶々夫人:中嶋彰子
スズキ:鳥木弥生
ピンカートン:ロレンツォ・デカーロ
シャープレス:ピーター・サヴィッジ     ほか

後半は、ドミンゴの変貌ぶり(笑)が楽しい「ジャンニ・スキッキ」です。再放送なので詳しくは書きませんが、英雄的なテノールを降りたプラシド・ドミンゴという人の魅力が満載ですし、なにより演出はウディ・アレンですので。お楽しみに。



プッチーニの傾向の違う二作、どちらも楽しめることうけあいです。ぜひご覧くださいませ。

ということでご案内はおしまい。ではまた、ごきげんよう。


4/16「N響 第1855回 定期公演」放送

こんにちは。千葉です。
放送予定、16日 21:00から放送のクラシック音楽館のご案内です。

●<N響 第1855回 定期公演>

指揮:下野竜也
ヴァイオリン:クリストフ・バラーティ
管弦楽:NHK交響楽団

マルティヌー:リディツェへの追悼
フサ:プラハ1968年のための音楽
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77

2017年1月28日にNHKホールで開催された演奏会、壮絶なプログラミングが話題でしたね。いや、後半はブラームスの協奏曲ですから、壮絶などと言っては申し訳ない。堂々たる演奏だったと評判は拝見しています。注目の壮絶なプログラムは前半の、20世紀音楽二作品です。

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リディツェはチェコの地名ですが、追悼を捧げられるのにはもちろん理由があります。詳しくはWikipediaでも参照してください、バビ・ヤールなどと同じ、地名を聞くだけでも沈痛な思いに駆られる歴史があります。そしてぜひこの放送で、アメリカ亡命中のマルティヌーが書いた音楽を聴いてみてください。正直な話、私から申し上げるべきことはないのです。

そして次なる作品、カレル・フサの作品については、私と同じく吹奏楽からのクラシック音楽好きにはおなじみでいらっしゃることでしょう。私の場合は、とお断りするまでもなく愛知工業大学名電高等学校の松井郁雄先生の名前と結びついている作品、と言っても良いかもしれません。


SHOBI NETTVより 吹奏楽版全曲)

きっと生涯で最初に触れた”現代音楽”ということになると思います、「プラハ1968年のための音楽」。当時は”プラハのための音楽1968”と言っていましたね。中学生で、吹奏楽コンクールが情報源だった当時は1968年という時にこめられた意味もわからず、さらに言うと最後に鳴り響く賛美歌「我ら神の戦士」の意味もわかっていない(モルダウしか知らない田舎の子供のことなので許してください)。ただ鮮烈な衝撃として受け取ったものです、この作品(の第四楽章←コンクールの演奏だからね)。もちろん、今なら1968年という年の特権性も理解できるし、この作品についても相応の受け取り方をしていると思います。スコアも前に眺めて、思っていたよりは演奏しやすい感じでしたし(やったことはないです、残念ながら)。
管弦楽版はあのジョージ・セルが希望して作られた、オリジナルの吹奏楽版からの編曲です。近年ではエサ=ペッカ・サロネンがロサンゼルス・フィルハーモニックと録音していたりしますので、興味の湧いた方はぜひ、アルバム単位で買ってください。Amazonで見つからなかった(つまり私の稼ぎの可能性は、ない)けど、こればっかりは単曲で買っても意味ないもので。

好きなものの話が長くなりすぎるのは私のよくないところですな、と自覚したこのあたりでおしまいにします。放送をお楽しみに、ということでごきげんよう。

2017年4月13日木曜日

サントリーホール主催公演 2017年9月~2018年3月発表

こんにちは。千葉です。
公演の、というか一連の公演のご案内です。

●サントリーホールの主催公演(2017年9月~2018年3月)

ご存知のとおり、と言ってしまいますが、サントリーホールは現在改修中のため休館しています(2月6日より)。各種定期演奏会なども今は東京芸術劇場など他の会場に移ったり、あるいは休止していたりと、その影響の大きさはさすが日本のクラシック音楽ホールの中心地、といったところでしょうか。


ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団様もこう申していらっしゃいますしね!(虎の威を借りてみた)

ミュージック・ガーデンやサマー・フェスティバルなどの恒例のイヴェントも時期を移して開催されますし、クリスマスから年末年始にかけてはバッハ・コレギウム・ジャパンの「メサイア」からフォルクスオーパーのジルヴェスター&ニューイヤーへと、サントリーホールが帰ってくるのだな、という印象を受けます。

一連の公演の中でも注目はやはりアンドリス・ネルソンス指揮ボストン交響楽団による一連のコンサートでしょう。これがあるんだから「恒例のウィーンがない」とか思う必要、ないと思います。ええ。中でもやっぱり三公演の初日、11月7日の公演ですね、注目は。うんうん(ただのショスタコーヴィチの人の感想)。
まあ冗談でもありますが、「ネルソンス&BSOはショスタコーヴィチのレコーディングを進めている最中である」ことを考えれば、あながち冗談でもない。いややっぱり本命はこれだよ!そうに決まってる!(キマってる人の感想)
えー気を取り直して、この他のメイン曲はラフマニノフ(第二番)、マーラー(第一番)なのでつまり(イッてる人の感想は割愛)。

※追記。サントリーホールからのリリースが本日配信されました。やっぱりショス(やめなさい)

 
先日演奏したばかり(つまり近いうちにレコーディングが販売される)交響曲第七番についてこんな配信もしてますから、オーケストラもショスタコーヴィチにやる気なんです。これはもう(いい加減にしなさい)。

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サントリーホール不在の間、いつもとは違う首都圏各地の会場で演奏会を楽しまれる方も多いことと存じます。そこで私のオススメは(市民の義務←そんなものはない)。
再開後に聴くサントリーホールの音を他の会場と確認するならこの公演が、などなど楽しみ方もいろいろとありましょうから、今は目の前の演奏会を楽しんで、サントリーホール主催公演のラインナップを拝見しつつ秋の再オープンを待ちましょうそうしましょう。

ということで、ほとんどアンドリス・ネルソンスとボストン交響楽団(とショスタコーヴィチ)の紹介になってしまいましたがこの辺でおしまいとしますね。ではまた、ごきげんよう。


2017年4月12日水曜日

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン「眠れる森の美女」5月上映

こんにちは。千葉です。
舞台の劇場上映、バレエのご案内です。名作ですね。

●英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン「眠れる森の美女」

5月12日より上映されるロイヤル・オペラ・ハウスのバレエは、今度はクラシックで「眠れる森の美女」です。





これは自戒も込めて申し上げるのですが、バレエ音楽にのみ親しんでいるクラシック音楽好きにはバレエを見ることが、必要だと思います。クラシックであれば音楽だけでも”お決まり”が聞き取れますけれど、その意味合いはバレエの振付とセットで理解されるべきものです。また、モダン以降になればマイム的な要素と音楽が強く結びついて、音楽的な新しさと作品の表現が示すものをより理解しやすくなります。また、近代以降の作品は短い上演時間で多くの情報を示すためにも情景描写に感情表現にと、相当に多くの作品内容を負わされています。

これは自分の経験では「ペトルーシュカ」について、バレエを見る前後で理解が圧倒的に変わったことから来た反省でもあります。個人的な経験はモダン寄りのものですが、”チャイコフスキーなら音楽だけでも楽しめるよね!”と思って舞台を遠ざけてしまうのも、同様に可能性を排除してしまっているものなのです。

…現在なら配信で見られるものもあるよね、という気持ちもわかります、わかりますが、劇場で集中する数時間というのは別物ですから、如何でしょうか。
※残念ながら今回は拝見できませんでした…無念。

ではまた、ごきげんよう。

2017年4月11日火曜日

九州交響楽団 熊本地震追悼復興祈念特別番組「復活を誓い、復興へ歩む」をJ-COMで生中継

こんにちは。千葉です。
放送のご案内、ケーブル局ではありますが広くご覧いただけそうに思いますのでぜひ。


4月14日(金)に熊本県立劇場 コンサートホールで開催されるコンサートを、J-COMで生放送する、とのことです。番組情報はリンク先にてご確認くださいませ。


指揮:山下一史
独唱:並河寿美(ソプラノ) 福原寿美枝(アルト)
合唱:九州の有志による特別編成合唱団
管弦楽:九州交響楽団を中心に全国のプロオーケストラ、熊本の音楽家で編成

マーラー:交響曲第二番 ハ短調 「復活」

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あの地震からもう一年が経つのか、という思いはそのまま「被災の現実を知らない」ということにも繋がってしまいます。神戸の地震も、東日本の地震も現在進行形で復興は続いているものですから、併せて思い起こす機会とさせていただきたく存じます。

ではご案内はこれにて、ごきげんよう。

※追記。拝見しました。まず、関係各位にお疲れ様でした、と申し上げます。私はどちらかといえば音楽そのものにこだわりたい方のクラシック音楽好きなのですが、ここまで特別な機会の演奏ともなればその意義に対して、頭を深く垂れるものです。

※さらに追記。6月11日の「クラシック音楽館」でも、この演奏会の模様が紹介されます。ぜひご覧くださいませ。

METライブビューイング「椿姫」

こんにちは。千葉です。
毎度おなじみオペラの劇場上映のご案内です。

●METライブビューイング 「椿姫」

4月8日からの上映ですが、詳しくはリンク先にてご確認くださいませ。

この舞台は見覚えのある方も多いでしょう、ヴィリー・デッカーの演出はザルツブルクでも上演されて、ネトレプコとヴィリャゾンのコンビで収録もされていますね。それに、METでの上演も2010年からなのでここの舞台でもご覧になられた方もいらっしゃるでしょう。

今回のキャストはヴィオレッタにソニア・ヨンチェヴァ、アルフレードにマイケル・ファビアーノ、ジェルモンにトーマス・ハンプソンほか。この三人について、私は「歌が上手いやつが正しい、歌が下手なやつのせいでこんなことになった」という酷い評価の仕方で見てしまうのですが、果たして今回の悪役は誰になるでしょうか(笑)。

そして指揮は二コラ・ルイゾッティ、東京交響楽団の客演指揮者としても活躍してくれた彼が大舞台に登場です。







>海外評1 >海外評2 >海外評3

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さて拝見しましたMETの「椿姫」。
ヴィリー・デッカーの演出はとにかく三人の心理に迫るもの、他の社会的要素はあくまでも環境、背景にすぎないものとして類型化、記号化されて示されます。有名な、あまりにも有名な作品でしかもヴィオレッタとジェルモン親子さえ描ければ十分にドラマが成立する作品だからできる力技ではありますが、これはこれで説得的です。
その力技を成立させるために舞台に持ち込まれた数少ない大道具の時計はヴィオレッタに残された時間を否応なく意識させるもの(だから第三幕のカーニヴァルの群衆とともに持ち去られ、彼女にいつ終わりが訪れても仕方のない状態であることがわかる)。もう一つ、これを大道具扱いは申し訳ないところだけれど、第一幕から黙役として姿を見せるグランヴィル医師はその容姿をヴェルディに似せることで、メタ的な構図を持たせられているように感じました(ちょっとお髭は少ないけど)。ヴィオレッタがこの作品の結末を知る彼に懇願し、ときにその”物語”を覆せたかのように喜ぶ姿により哀しみが増したように思います。造物主に挑む被造物の物語とも、もしくはヴェルディのライフワークであった「リア王」的父娘関係のヴァリエーションのようにも感じられる仕掛けは、よく知られた作品を新鮮に見せてくれるものでした。なるほど、2005年のザルツブルク初演以来各地で繰り返し上演されるわけです。そうそう、第一幕で休憩を入れてそのあとは続けて上演することで、「蝶々夫人」にも似た構成として、後半の悲劇にどんどんと感情的に巻き込んでいく仕掛けは歌い手には大変でしょうけれど、上手く行っていると思います。
…もっとも、フローラやドビニー、ガストーネあたりの役どころがその他大勢に埋没するのは、キャスティングされた皆さんには悪夢なんじゃないかなあ、って思ったことは書いておきますね(笑)。

さて注目のメインキャスト三人の出来についてです。やはりソニア・ヨンチェヴァのヴィオレッタがオペラを駆動し、ドラマをより深く示してくれたのは素晴らしかった。精一杯に生きて、そして死んでいくヴィオレッタの美しさは心に残るものです。そしてなにより多くを求められるこの役でありながら歌に不安がなく、強い声を最後まで維持してくれたので、必要以上に哀れっぽくなってしまわなかったのは特筆ものでしょう。ヨンチェヴァの実演に触れられる機会がありますように。
ジェルモン家の男二人については、それぞれに良し悪しがでたかな、という印象です。アルフレードのマイケル・ファビアーノは、甘く愛を歌うところで旋律線が崩れるのが気になる。旋律が歌い崩されることでこの舞台のアルフレードの性格を少々悪漢に寄せた、とかそういうことではなさそうでしたので、ちょっとそこはどうかな、と(ルックスや振舞いがどこか洋ドラに出てくるタイプの悪い子っぽいから、そういう味付けでもよかったのに、とか思わなくもない)。ジェルモンのトーマス・ハンプソンは、ちょっと調子が悪かったでしょうか、声が軽く響いてしまったのが惜しまれます。容姿と演技は文句なしなのですけれど。

そして特筆すべきは指揮のニコラ・ルイゾッティの充実でしょう。東京交響楽団の客演指揮者だった彼もサンフランシスコ・オペラの音楽監督として充実した活動をしているのでしょう、随所で雄弁な表情を示すオーケストラに感心させられました。耳慣れない響きもちょっとしたデフォルメもドラマをより深め、それでいて不自然に感じられることがないのはお見事です。また客演してくれませんかね、彼。シンフォニーの領分でもお聴きしてみたくなりました。

そんなわけで、この舞台は水準以上の「椿姫」としてオススメできるものでした。都合のつく方はぜひ劇場でご覧くださいませ。

ではまた、ごきげんよう。

2017年4月10日月曜日

東京藝術大学 戦没学生の音楽作品演奏のためクラウドファンディング募集中

こんにちは。千葉です。


●戦没学生の音楽作品よ、甦れ!楽譜に命を吹き込み今、奏でたい

東京藝術大学演奏藝術センターの大石泰さんによる発信で、「太平洋戦争で戦地に赴き、命を落とした音楽学生の作品を発掘・調査し、現代によみがえらせ」るプロジェクトとして、それらの作品を実際に音として広く経験され得る形にするためのコンサートへの協力を求めるクラウドファンディングです。
コンサートを開く、と簡単に申しますが、このプロジェクトの場合その前準備として楽譜の存在確認から状態調査(演奏できるところまで完成されているかどうか、というところから確かめる必要があるでしょう)、選曲、そして演奏家や会場の手配などなどが必要です。大学を舞台にしたプロジェクトですから、それらのうちのいくらかは自前で用意できるとしても手がかかることは誰にでもわかるところです。そのための支援のお願い、というクラウドファンディングがこちらです。興味のある方はぜひリンク先にてご確認ください。

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昨今のアレヤコレヤを鑑みるに、いやそんな前提なくとも私たちの社会はWWIIをまともに消化できていない。もしくは、あの戦争を自分から切り離して、いわば対象化して考えることができていない。だって、「あの戦争をした主体と、現在の社会をシームレスに地続きなもの」と捉えていなければ、三人ほど前の帝による勅を学校で使っても問題ない、なんて言わないでしょう?
であれば、多様なアプローチでその距離とつながりを検証していくしかない。きっと「この世界の片隅に」もそういう作品になりうるでしょうし(受容については少し懸念もなくはないので、原作も併せて読むのがいいんじゃないのかな、なんて思ったりする)、相当にバイアスのかかったものではありながら「海道東征」の再評価も何かの意味はあるのでしょう。どうせなら黛敏郎のあのカンタータを演奏したらどうだい?と半年早いツッコミを今のうちにしておきましょうかね…

このプロジェクトも、実現すればそうした”一石”として評価されることでしょう。私はとても貧しいので参加はできませんが、せめてこうしてご紹介させていただきます。

※追記。東京藝術大学は、クラウドファンディングによる試みを全面的に行っていくようで、こうしたサイトも作られています。考えてみたいこともあるのですが今はちょっと手が回りませんのでひとまずご案内のみ追記しておきます。

ではまた、ごきげんよう。

2017年4月9日日曜日

4/9「N響 第1854回 定期公演/アンサンブル・ウィーン」放送

こんにちは。千葉です。
放送予定のご案内ですよ。4月9日(日) 21:00からの「クラシック音楽館」、N響アワーに復帰です。

●<N響 第1854回 定期公演>

指揮:ヘスス・ロペス・コボス
ヴァイオリン:アルベナ・ダナイローヴァ
管弦楽:NHK交響楽団

レスピーギ:
  グレゴリオ風の協奏曲
  教会のステンドグラス
  交響詩「ローマの祭り」

現在はホールの休館に伴い休止中のN響B定期、2017年1月18日の公演です。ヘスス・ロペス=コボスは昨年東京二期会「トリスタンとイゾルデ」の大好評が記憶にあたらしいところですが、2月にはN響とレスピーギを披露してくれました、という公演ですね。
…「教会のステンドグラス」、一年間に二回も演奏される曲なのだろうか、なんて思ったことは内緒ですよ。

<コンサートプラス アンサンブル・ウィーン(弦楽合奏)>
ヨハン・シュトラウス:ワルツ「南国のばら」

N響定期のソリストとして登場した、ウィーン・フィルのコンサートマスターが率いるアンサンブルのコンサートから一曲、最後に追加されます。2013年6月29日のフィリアホール公演です。

以上ご案内でした。ではまた、ごきげんよう。

2017年4月7日金曜日

鈴木優人&BCJ、森麻季、小林沙羅他による「ポッペアの戴冠」開催決定

こんにちは。千葉です。
注目公演の情報、第一報ですが「これは!」と思いましてご紹介。
※公演詳細、チケット販売情報など確定しましたので以下大幅に改稿しました。

●モンテヴェルディ作曲 歌劇「ポッペアの戴冠」 
  演奏会形式/アラン・カーティス版全三幕/イタリア語上演・日本語字幕付

東京:2017年11月23日(木・祝)  会場:東京オペラシティ コンサートホール
横浜:2017年11月25日(土) 会場:神奈川県立音楽堂

両日とも16:00開演

指揮:鈴木優人
管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン
舞台構成:田尾下哲

キャスト:
ポッペア:森麻季
ネローネ:レイチェル・ニコルズ
オットーネ:クリント・ファン・デア・リンデ
オッターヴィア:波多野睦美
フォルトゥナ/ドゥルジッラ:森谷真理
アモーレ:小林沙羅
アルナルタ/乳母:藤木大地
ルカーノ:櫻田亮
セネカ:ディングル・ヤンデル
メルクーリオ:加耒徹
ダミジェッラ:松井亜希
パッラーデ:清水梢
兵士II:谷口洋介

2009年に新国立劇場 中劇場で鈴木雅明の指揮のもと上演したモンテヴェルディ後期の大作「ポッペアの戴冠」を、今度は鈴木優人が取り上げるわけですね。近年世俗作品にも積極的に取り組んでいる印象の強いバッハ・コレギウム・ジャパンの演奏は注目です。

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楽譜の書法の関係で、この作品はまずどのようにリアライゼーションするかがポイントになりますけれど、今回はチェンバリスト、指揮者として活躍したアラン・カーティス版(1989)を採用とのことです。


1993年のルネ・ヤーコプスによるプロダクションの抜粋です。短いですが、音のイメージだけでも感じていただければ。

チケットの一般発売は東京公演が4月22日(土)横浜公演が6月3日(土)とのことです。

以上ご案内でした。ではまた、ごきげんよう。

書きました:ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第125回レヴュー

こんにちは。千葉です。
寄稿した文章のご紹介です。

●作曲家シベリウスの生涯を俯瞰する、オール・シベリウス・プログラム―――ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第125回

これで本当に東響の昨シーズンが終わった公演です。シベリウスの名曲プロ、といえばこの日の前半、「フィンランディア」からヴァイオリン協奏曲、そして交響曲第二番と相場は決まっておりますが、この日はメインに交響曲第七番が置かれたことで題名の通りのプログラムになりました。もしこれに勝とうと思うなら、「エン・サガ」か「レンミンカイネン組曲」で始めて、「ペレアスとメリザンド」組曲もしくは交響詩のどれか、最後にカンタータもしくは「タピオラ」(尺が余るようなら両方)、そんなプログラムを編むしかありません(何の勝負だろうか)。しかもそのプログラム、果たして「名曲全集」に入れていいのだろうか、と私でも思います(笑)。その点、この日のプログラムは知名度の高い二曲と、比較的知られていない最後の交響曲で一本筋もとおったものになっています。

いえ、「名曲全集」は記事にも書きました通り、125回を数えるシリーズであるからには、もはや”ありがちな名曲”しか演奏しないコンサートシリーズではないのです。たとえば4月18日の新シーズン第一回目には尾高尚忠のフルート小協奏曲(Op.30a)を演奏するし、6月には井上道義の「狂詩曲」づくし、9月には元ベルリン・フィルのバストロンボーン奏者によるケルシェックの新作&ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」など、趣向を凝らしたプログラムで新しい名曲を探す旅の如きシリーズとなっています。もちろん、10月のノット監督による変奏曲づくし、11月の秋山和慶によるスポーツづくしなど、見どころの多いプログラムが並んでいます。ホームで聴く東響、この選択肢も如何ですか?ということで、スケジュールやチケットについてなど詳しくはリンク先にてご確認ください。

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この日はシリーズとしての成熟、好調の東響のサウンドもさることながら、ソリストとして登場したチャン・ユジンに感心させられました。ところどころに弱さはありました、でも若手ですしその長所を明確に打ち出せる美点の方を評価したく思います。



さて、新シーズンの東京交響楽団はミューザ川崎シンフォニーホールで例年以上に多くの演奏会を開催します。ぜひ多くの皆さまが、ホームの会場で創られた音を楽しまれますように。

ではまた、ごきげんよう。

 

2017年4月6日木曜日

テオドール・クルレンツィス、SWR響の首席指揮者に

こんにちは。千葉です。
オーケストラの人事の話、今日はSWR交響楽団の情報です。

●Teodor Currentzis wird Chefdirigent des SWR Symphonieorchesters

テオドール・クルレンツィスは、もはや最も注目を集める指揮者の一人、と言ってしまっていいでしょう。少し前までなら「知る人ぞ知る」「鬼才」といった表現をせざるを得なかったところですけれど。
かく言う私にしても、ショスタコーヴィチの交響曲第一四番の録音で話題になるまでは名前を見かけた程度の認識でしたし、その後も「継続して新譜が出ているな、今時珍しいな」くらいの注目度でした。「”ムジカ・エテルナ”はブルッヘ(ブリュージュ)とペルミ、地名つけないとわかんなくなっちゃうな」とかね。



ですが、2016年度のレコード・アカデミー賞を、パトリツィア・コパチンスカヤとのチャイコフスキーで受賞してしまってなおそんなぼんやりした認識でいるわけにもいきません。なんといっても大好きなヴァイオリニストですから、コパチンスカヤ。



私個人は「ソル・ガベッタとのデュオ・リサイタルで来日するヴァイオリニスト」くらいの認識で聴いたショスタコーヴィチの協奏曲で完全にファンになってしまったわけですが、そもそもが現代作品を非常に得意とし、ここに貼ったコンサートのような意欲的なプログラムにも取り組む実にユニークな人だったんです。チラシの写真がかわいい感じだったから「ヴィジュアル売りかよ…」なんて思って流していた過去の私を殴ってやりたい(笑)。

脇筋が長すぎてもいけないので本題に戻ります。彼女がチャイコフスキーを録音する、それもクルレンツィスと組む、と来ては無視なんてできるはずもない、カップリングがストラヴィンスキーの「結婚」とくればなおのこと。



こんな演奏をされてしまえば嫌でも気になりますよテオドール・クルレンツィス。気がつけば小さいレーベル(すみません)からソニー・クラシカルに移籍して、セッションレコーディングでモーツァルトの「ダ・ポンテ三部作」を録音するという破格の待遇を得る存在になっていた彼ですが、如何せん中央アジアに近いペルミの歌劇場をホームとして、長時間の濃厚なリハーサルを行った上での演奏活動であるため登場頻度も多くない、さらにサイトやYouTubeチャンネルのロシア語・キリル文字のハードルも低いとはいえない(他の言語ができるとは申しませんが、パッと見で受け取れる情報がキリル文字の場合ほぼゼロになってしまうのです。勉強しようかな、ロシア語…)。あえて申しますなら、クルレンツィスとアニマ・エテルナ・ペルミ(便宜的にこう書きます)は「常設のサイトウ・キネン・オーケストラ」的な、プロによるアマチュア並みの時間をかけた演奏活動なんです、彼ら。それも作品の年代に合わせて使用楽器を変えたりといった、かなり考えられたアプローチの。


おや?コンマス裏にいるこのヴァイオリニストは…

私の恥はさておいて、そんな活躍を続けるテオドール・クルレンツィスが、2018年からSWR交響楽団の首席指揮者になる、というニュースがこの記事でお伝えしたいことなんです。やっと本題にたどり着いた(なお、Südwestrundfunkで南西ドイツ放送)。
これからの活動がどのようなものになるかはこれからの発表になりますが、なにより彼の演奏にアクセスしやすくなるのがありがたいところ。なにせSWR交響楽団は合併後最初の演奏会※を現在自身のサイトで全曲公開しているくらいですから、この先も期待できるでしょう、きっと。

※ご存知かもしれませんが、SWR交響楽団はかつてギーレン、カンブルラン、ロトが活躍したフライブルクのオーケストラと、チェリビダッケ、ジェルメッティ、ノリントンらが活躍したシュトゥットガルトのオーケストラが2016年に合併したものです。公式サイトはリンク先でどうぞ。

キリル・ペトレンコがそうだったように、”日本にいる私たちが知らないままにいきなり巨匠として登場する”指揮者、これからも増える予感がします。もっとも未来のことはわからないけれど、この指揮者が強烈な個性の持ち主であり、すでに世界が注目する存在であることは疑いようもない。せっかくなのでご存じなかった方はこの機会に彼の名を覚えてくださいませ。

ということでこの記事はおしまい。ではまた、ごきげんよう。


2017年4月5日水曜日

書きました:東京交響楽団 川崎定期演奏会第59回 レヴュー

こんにちは。千葉です。

東京交響楽団の昨シーズンも終了しました。多くの公演をご案内し、リハーサルを取材し、公演のレヴューを書かせていただきました昨シーズンをまとめる記事も用意します。ですがその前に、こちらの記事をご紹介。

●レスピーギのローマ三部作で2016/17シーズンが終了。創立70周年を祝ってきた東京交響楽団が、大きな区切りを華々しくフィナーレ!

東京交響楽団のシーズンを飾ったのは、飯森範親によるレスピーギの代表作でした。彼と東響は2013年にこの曲を録音していますから、今回はどう来るかといろいろと予想してスコアを眺めていきましたが、今回も正攻法でした。詳しくは記事でお読みくださいませ。

なお、東京交響楽団の昨シーズン最後の公演もミューザ川崎シンフォニーホールで行われています、こちらのレヴューも近日公開の予定です。

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記事にも書いたのですが、レスピーギの管楽器用法はリムスキー=コルサコフ直系の割とシンプルな発想に基づいています。私がそれに気づいたのは、高校生の頃に「祭」をちょっとだけ演奏した時ではなく、最近になっていろいろ勉強してからでもなく。大学の吹奏楽部で戯れにホルンを吹いていたときのことでした。
マーラーの五番とか、超がつく有名なソロを吹いてみたい、それだけの気持ちで遊んでいて、なんとなく「十月祭」を吹いてみたときに発見したのです。あれ、ほとんどF管の開放で吹けちゃうじゃん、と。もちろん平均律的な音程にはならない自然倍音によるクラリーノ音域で旋律を作るわけですけど、もしかしてこれって?そう気づいたんですよね。懐かしいなあ(遠い目)。そのあたりの話はチルチェンセスで鳴り響くブッキーナ(古代ローマのラッパを指すけれど、実際には普通にトランペットで演奏されます)について詳しく読み解いた、先日紹介した佐伯茂樹さんの著作を参照していただけましたら。

同じ20世紀でも、バレエ・リュス周辺で活躍した人たちはそういうアプローチはしないんです、たとえばファリャの「三角帽子」冒頭のファンファーレとか、音にしてみると割とトリッキィなんですよね。
そのあたりの歴史を踏まえたアプローチは、音響的にはグレゴリオ聖歌への傾倒が強く現れた作品群でも明確ですが、それが実に屈託のない音響を生み出すことに貢献しているあたり「嗚呼レスピーギは伊太利亜の人なのだ」と感じた次第でありました。20世紀音楽で、管楽器が活躍してその分演奏が大変でも、レスピーギのオーケストラが描く絵はとても鮮烈で、それが明確に示されていたのがこの演奏の美点で、「その分影もまた色濃いな」ってあたりがもっと強くてもよかったかもしれません。

このあたりでレヴューのあとがきはおしまい。ではまた、ごきげんよう。


2017年4月4日火曜日

書きました:バッティストーニ&東京フィル「平日午後のコンサート」(2017年3月)レヴュー

こんにちは。千葉です。

バッティストーニと東京フィルについては、昨シーズンの記事をまとめた記事(ややこしい)を作るつもりでいるのですが、まずは寄稿したばかりの記事をご紹介。

●首席指揮者アンドレア・バッティストーニのトークを交えた演奏会。東京フィル2016-17シーズンの締めくくり「平日午後のコンサート」

春開幕の東京フィルハーモニー交響楽団のシーズンは3月に終了しました。その最終公演となった「平日午後のコンサート」を、可能な範囲でトークを再現して、可能な範囲で演奏についてのレヴューもしてみました。盛りだくさんな分長めになっていますが大丈夫、通して読んでも一時間四〇分ほどに及んだコンサートほどは長くありません!(笑)…いくら読んでいただいても音は聴けないので、そこは本当に申し訳ないですけどご容赦のほど。

以前に話を聞いた際に、チャイコフスキーの交響曲第六番についての強い思いを受け取っていましたから、この演奏を聴くことができて本当によかったです。
…が感想では、あまりに素朴な言い方になってしまいますが、思うところは記事の方に書いておりますので、ぜひそちらでお読みくださいませ。


こちらのインタヴューも参考になるでしょう。私が彼のリハーサル、コンサートを取材したい!と最初に感じたのは彼の「展覧会の絵」の動画が素晴らしかったからだ、ということも思い出します。仙台の皆さま、彼の演奏は如何でしたか?(返事を書きにくいところで聞くな)



今回のヴェルディとチャイコフスキーによるプログラムは、イタリア音楽とロシア音楽を主に取り上げてきた、これまでの彼と東京フィルの仕事の総決算ということになっただろうと、シーズンが終わった今は感じています。次なるシーズンからは、きっとまた新たな試みを見せてくれるのだろうアンドレア・バッティストーニ&東京フィルハーモニー交響楽団の前途に、幸あれ。

そんな感傷も反省も、近日公開の昨シーズンのまとめ記事には書かずに済ませよう、と思う私でありました。
ではこれにて、ごきげんよう。

2017年4月3日月曜日

書きました:オペラ「眠れる美女」レビュー

こんにちは。千葉です。
寄稿した記事の紹介です。

●川端康成のオブセッションを共有。視覚、聴覚を常に刺激してくる舞台―――オペラ「眠れる美女~House of the Sleeping Beauties~」

昨年12月に行われた公演のレヴューを、遅まきながらお出しできました。書くべきことは書いたと思いますので、できましたら記事をお読みいただけましたら幸いです。…せめて写真だけでも!

なお、それだけでは取っ掛かりがなさすぎる、と思われる方はまずこちらの、作曲のクリス・デフォートがアップした初演版の抜粋をご覧いただけましたら、と思います。



川端康成の原作以外にはこれしか手がかりがない中で、できることはさせていただいた公演でした。記事にも書きましたが、叶うならば再演も期待したく思う刺激的な舞台でしたけれど、この演目は難しいということならばLODのプロダクションでもいいので見てみたいです。…こういうつきっぱなし系の、説明ではなく表現で満たされた舞台はなかなか難しいところがある、というのは理解しているのですけれど。

ともあれ、よろしければ記事をご覧くださいませ、というお願いでした。
ではまた、ごきげんよう。