2017年1月13日金曜日

ハンブルクに新ホール「エルプフィルハーモニー」誕生

こんにちは。千葉です。

ニュースの話をします。でもその前に少し前置きを。

今年も来日する(2015年以来)、かつてハンブルク北ドイツ放送交響楽団と呼ばれていたNDRエルプフィルハーモニー管弦楽団の活躍は少なからぬファンの皆さまがご存知でしょう。ハンス・シュミット=イッセルシュテットが育て、かつてはギュンター・ヴァントのオーケストラとして、その後トーマス・ヘンゲルブロックのオーケストラとして活躍を続けるこのオーケストラは、今年首席客演指揮者を務めるクシシュトフ・ウルバンスキと来日して各地で演奏会を行います。詳しくはリンク先でどうぞ。

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で、ここからが本題。
そのオーケストラが本拠地とする新ホールが、1月11日に開場しています。なんでも、かなりの工期遅れと予算オーヴァーがあったらしいのだけれど(ガーディアンの記事参照)、できあがったホールは美しく音響も非常に良さそう。いわゆるワインヤード型のホールは曲線で構成された客席のラインこそ違えど、どこか我等の誇りミューザ川崎シンフォニーホールに似ているような、気もしたりしなかったり(Kitaraのほうが似てる!などのご意見はご自身でご自由にお楽しみください)。日本の誇る(しつこい)永田音響設計の仕事である以上、どこか似て感じられるのは自然なことかもしれませんけれど。ケント・ナガノ氏はすでにその音響を評して「世界最高」とまで言っているようなので、今度来日された際にはオーケストラの皆さまに誰か聴いてください、エルプフィルハーモニーVSミューザ川崎シンフォニーホールの結果を(笑)。(ちなみに、今度の来日の際にウルバンスキと縁のあるオーケストラ同士で交流するとかしないとか…)


でね。それだけなら別に記事にしなくてもいいかなって思っていたんですが。オープニング・コンサートのプログラムがかっこよすぎて、ぜひ紹介したいなって思った次第なのです。

開館初日となった11日のプログラムは、途中に挨拶などをはさみながら以下の曲目が演奏されています。

ベートーヴェン:「プロメテウスの創造物」序曲 op. 43
メンデルスゾーン:「ルイ・ブラス」序曲 op. 95
ブラームス:交響曲第二番 ニ長調 op. 73より 終楽章

その模様はこんな感じで紹介されています。



偉い人がご挨拶したりするのはドイツでも同じなんですね、とか思ったり、曲目にハンブルクですねえ、とか「プロメテウス」かあなるほどなあ、とか感じたり。

で、もっと注目すべきは二日目、昨晩の公演です。

ブリテン:オウィディウスによる六つの変容 Op.49より パン(オーボエ独奏)
デュティユー:「瞬間の神秘(Mystere de l'Instant)」より Appels, Echos und Prismes(24の弦楽器、ツィンバロンと打楽器のための)
カヴァリエリ:「ラ・ペレグリーナ」より Dalle piu alte sfere(カウンターテナー)
B.A.ツィンマーマン:大管弦楽のための前奏曲「フォトプトシス」
J.プレトリウス:五声と通奏低音のためのモテット(声楽アンサンブル)
ロルフ・リーバーマン:Furioso(管弦楽)
カッチーニ:「新音楽」より わが麗しのアマリッリ(カウンターテナー)
メシアン:トゥーランガリーラ交響曲より フィナーレ(ピアノ、オンド・マルトノと管弦楽)
- Pause -
ワーグナー:「パルジファル」より 第一幕への前奏曲
リーム:Reminiszenz
ベートーヴェン:交響曲第九番 ニ短調 op. 125より 第四楽章

ということでですね、オーボエ一本からコンサートは始まり、20世紀以降のオーケストラ作品の合間に様々な編成の声楽(それもいわゆる古楽作品)を配した前半、後半はワーグナーからリーム、そしていわゆる第九で〆るという趣向を凝らしまくった開幕公演だったようなんですよ。その上カウンターテナーはフィリップ・ジャルスキー、第九のソリストにはブリン・ターフェルほか(本当はハルテロスとカウフマンも予定されてたみたい)と、開幕を祝うのにこれ以上何かができるのか?ってくらいの充実ぶりですよ。リームの新作もこの公演のための委嘱作品・初演のようですし。

で、何が素晴らしいってこのコンサート、全篇がYouTubeで公開されてるんですよ、もう。






前半の演奏を見ればおわかりいただけるとおり、この人達はこの会場をどう使ってどんなことをしてやろうかと、初手から攻めている。この姿勢、見習いたいものですよ(その姿勢を披露する機会が自分にはないような気もするが)。

おそらくこのホールとは兄弟姉妹関係にあると言えるだろう各地のホールの中でも、もっとも創造的なスタートを切ったハンブルクのエルプフィルハーモニー、そしてそこを拠点に活躍するNDRエルプフィルハーモニー管弦楽団、注目ですよ。

というニュース紹介の記事にございました。来日公演、東京はBunkamuraなのかあ…と思いつつおしまい。ではまた、ごきげんよう。


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