2017年1月4日水曜日

1月8日に「N響 第1847回 定期公演」放送

こんにちは。千葉です。

放送予定のご案内ですよ。1月8日(日) 21:00からEテレです。


指揮:デーヴィッド・ジンマン
クラリネット:マルティン・フレスト ※
管弦楽:NHK交響楽団

モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調 K.622 ※
グレツキ:交響曲第三番 作品36 「悲歌のシンフォニー」

「悲歌のシンフォニー」、もはや懐かしくすら感じますね。1933年生まれで2011年に没したポーランドの作曲家、ヘンリク・グレツキの、…なんと評したらいいのかな。大ヒット曲、とかそんな具合に捉えられていた時期がかつてあったのですじゃよ(よぼよぼ)。

生年から考えればWWIIが終わってもまだ十代だった彼、成長の過程で普通にいわゆる前衛音楽を学んだ、どこにでもいる普通の作曲家だったんだ!(どこのラノベだマンガだてめえいい加減にしろ)ってなヘンリク・グレツキが1976年に発表した、静かな作品が時を経て一躍注目されることになったのは1992年のこと。その経緯をものすごくザックリ言うと「新譜が英語圏のラジオで放送されたところ反響が大きく、ヘヴィー・ローテーションとなって」どうのこうの、的な展開だったとか。



Nonesuchレーベルからの世界的大ヒットは、きっと今に至るあのレーベルの独自路線を支えたことだろうと思えば別段悪い話ではないのです(昔はよく「小説ヒット!これで売れない本が出せる!」なんて編集の方が言っていたとか聞きますしね)。でも個人的な感想を申しますなら、正直当時は「長い曲なんでしょ?どこ聴いていいと思ったのかな」と感じてしまってピンときませんでしたが、実は今でもよくわかりません(笑)。後のグレゴリオ聖歌(1993)、「アダージョ・カラヤン」(1995)の先駆だったと捉えて考えてみると何かわかりますかしら(と書いて結論は先送り。っていうか、出さないかもしれない、結論なんて)。

そのブームで、美しい歌声が賞賛されたドーン・アップショウの影に隠れた感も無きにしもあらずだったデイヴィッド・ジンマンが、近年共演を重ねるNHK交響楽団に客演して同曲を披露したのがこの演奏会です。シュトラウス、ベートーヴェンにシューマンなどで「廉価版ながら充実したシリーズ」で評判を上げた先駆者の一人としてクラシック音楽好きにはおなじみとなった彼の、ある意味忘れられた出世作は果たして現在どう響いたことでしょうか、というのがこの演奏会の見どころのひとつでしょう。

****************

そして前半に置かれたモーツァルトは、レコーディングであまり踏み込まなかった感があるジンマンよりもむしろ独奏者を聴くべきでしょう、知っている人は知っている名手マルティン・フレストの登場です。私はクラシック倶楽部で放送されたリサイタルで彼を知って(あの枠はよく再放送がありますので、気になる方はこまめにチェックしてくださいまし)、また別のプログラムで聴きたいものだ、と思っていましたからこの機会はありがたいです。
能書きはいいからどんな人よ?はっきり書きなさいな!と思われた方にはこの動画をご覧いただければとお答えします。コープランドの協奏曲、楽しく聴けるいい曲ですし、彼のフットワークの軽いスタイルにもよく合っていると思いますので。




こうも自在な演奏ができる彼を、一度でも見聴きしてから忘れることができますでしょうか?(反語←受験生ジョーク)彼のモーツァルト、楽しみにしてます。


※我らが公共放送様、YouTubeに置かれた動画は埋め込み禁止だし、拡散のしようがないよねってのが正直な感想ではあるのです。消え物にしたいのでしょうか、とかつい勘ぐっちゃう(現実的には権利関係である可能性が高そうですから、邪推しても仕方ないんですけど)。

***************

なお、同日深夜のニューイヤー・コンサートの再放送については各位ご確認くださいませ(元旦放送の記事はこちら)。演奏については「若いのう」「アレグロの上手さもさりながら、会場で聴けば弱音部分への導き方が巧そう」といった様子見の枠を超えないものになります、あしからず。

以上、簡単に書くつもりで長くなっちゃったご案内でした。この辺の長短のバランス、書きながら見つけていくのでそのあたりはご容赦くださいませ。ではまた、ごきげんよう。

※感想というか気づいたポイントを。
マルティン・フレスト、どんな楽器を使うかなと思っていましたが今回はバセット・クラリネットを選択して楽譜どおりの音高で演奏したんですね。通常のクラリネットでは出せない下の音域を折り返してオクターヴ上げた演奏ではどうしても音楽の流れが少し不自然になりますから、当然の選択かもしれません。それにしてもいい音してますわ、フレスト。

0 件のコメント:

コメントを投稿