2020年3月12日木曜日

かってに予告編 ~モーツァルト・マチネ 第40回/無観客ライブ無料配信「東京交響楽団 Live from Muza!」

初回のニコニコ生放送における「無観客演奏会」の試みが大好評裏に終了し、東響&ミューザのファンとして安堵している。…いや、本当に多くの人たちがミューザでの東響のサウンドに触れてくれたのは喜ばしいことなのだが、自分個人としては配信前より一層”あの場で音楽を聴きたい”という思いが強まっている。欲張りなものである。
さて配信を聴かれた皆様、今度は近代の作品で揃えた名曲全集とはまた違う”ミューザの東響”の本領ともいえる演奏会をぜひご覧あれ。ということで例の予告編行ってみよう。

●モーツァルト・マチネ 第40回

2020年3月14日 (土) 11:00開演 会場:ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮:原田慶太楼
ピアノ:金子三勇士
管弦楽:東京交響楽団

※フルート四重奏:八木瑛子(首席フルート奏者) 水谷晃(ヴァイオリン/コンサートマスター) 武生直子(首席ヴィオラ奏者) 伊藤文嗣(首席チェロ奏者)

モーツァルト:
  フルート四重奏曲第三番 ハ長調 K. 285b
  交響曲第三五番 ニ長調 K.385 「ハフナー」
  ピアノ協奏曲第一三番 ハ長調 K. 415 (387b)

モーツァルトの時代、演奏会はまだジャンルで分かれきっていなかった。オーケストラの演奏会に歌手によるアリアや器楽の独奏が挟まれることも数多あって、その演奏時間の長さたるや貴族ならざる我々にはあまり考えたくないほどのものだ。もちろん、全部付き合っていたわけではないだろう、とも思うけれど。
そのような演奏会の伝統はベートーヴェンの頃にも続いていて、よく知られた「田園」「運命」(←あえて、ね)が初演された演奏会はその二曲でも十分に長いのに、ピアノ協奏曲第四番(!!)など他の作品が演奏される、半日がかりの長大な演奏会であったことは比較的知られている。今回のモーツァルト・マチネはそんな歴史を想い出させる、創意あるプログラミングだ。
だがいくら川崎市がザルツブルクと姉妹都市で、ミューザの開演を告げる音がかの地の鐘の音で、モーツァルトを得意とする東響がミューザで展開してきたシリーズであっても、朝からそんな重たいプログラムを取り上げるわけではさすがにない。だが今回の演奏会は短くはあるけれど、そんな往時の音楽のあり方を思わせてくれるものとなるだろう。なにせ、まずは室内楽で始まって交響曲を演奏し、最後にピアノの協奏曲で締める、というのだから。

マンハイム滞在期の作品ともされるフルート四重奏曲第三番では、先日の演奏会で「牧神の午後への前奏曲」で活躍しフルートの八木、そして首席奏者たちによる親密なコミュニケーションが楽しめるだろう。
続く交響曲第三五番は、ハフナーさん(当時の貴族)のためのセレナードを改作した作品で、その祝祭的な雰囲気はモーツァルトの交響曲の中でも独特なものだ。私としてはこの作品のフィナーレについてなら「疾走する」モーツァルト像を認めてもいいと思う。偉そうですみません。
そして最後はウィーンで、フリーランスの音楽家として活路を求めていた時期のピアノ協奏曲だ。モーツァルトの名を冠したシリーズの、今季の演奏会最後を飾るのにモーツァルト自身の楽器だったピアノが活躍する作品を選ぶのは実に妥当と言えるだろう。

そんなプログラムを、オーケストラをドライヴすることについては既に定評を得つつある原田の指揮で、内外で活躍する金子のピアノで楽しめるのは幸いなことである。スダーンの時代から数々の名演を聴かせてきた”東響のモーツァルト”に、新たな名演が加わることを期待して、土曜の朝を迎えようではないか。

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と、通常のスタイルで書いてきましたが、先日の配信で初めて聴いた皆さんは、構えず楽しみにニコニコ生放送のページにアクセスしてください、ぜひ。ミューザの音響の素晴らしさは室内楽でも発揮されることは経験上良く知っていますので、一曲目からモーツァルトの魅力をお楽しみいただけることは私が保証…するまでもないですね、先日の配信で八木さんのファンになった皆様には。
もし曲がわからないのがちょっと、と思われるようなら曲目のところの「K.(数字)」の部分で配信サイトあたりを検索すればまあ、何かしらありますので。

この無観客演奏会・無料配信は窮余の一策ではあるけれど、これでより多くの人が東響の、ミューザの魅力を知ってくれるなら一ファン、一市民としても嬉しく思います。
次回は午前中の公演ですので、皆様お寝坊などされませぬよう(笑)。

追記。
前回のコメントなどでの意見を踏まえ、二回目の配信となる今回はニコニコ生放送の機能の一つ「ギフト」を導入した、とのことです。さてどうなりますか、まずはリアルタイム視聴、ですよ!

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