2013年4月12日金曜日

動画日記第二回 アンチェル&トロント響のリハーサル&コンサート

こんにちは。千葉です。

こっちのブログはいいなあ、ダークサイドを晒さなくて済みそうだわ(笑)。いや何も、ワタクシが音楽を聴くとき清い心でいるわけではないのだが、暗黒面は無用だからねえ…
暗黒面というより、時折見かける毒舌とか「正論」なる物言いの危うさ、自分なりに気がついている、つもりなので。この話は向こうでするかなあ、それともここの方がいいのかなあ…

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それはさておき、昨日始めた動画日記、本日は第二回です。

今朝Twitterを眺めていたらなんでも今日はカレル・アンチェルのお誕生日であるとか。であれば何か、この人の動画を!と思いまして見つけたものは……埋め込めない。残念。でもリンクはできます故、よろしければそちらでご覧くださいませ。

Karel Ancerl conducts Smetana (vaimusic.com)

って、あれ俺このソフト持ってんじゃないの?と思いましてDVDを探したらありましたありました。カナダのCBC制作によるトロント響のリハーサル&コンサート番組、アンチェルの「モルダウ」と、シェルヘンの「フーガの技法」。


その程度には記憶していたけど、ざっと見ただけで流してしまっていましたわねえ…

リンク先で見られるのは、スタジオコンサートとでも言うのでしょうか、指揮者がぽつんと指揮台にいて、その周りを遠巻きにオーケストラが囲むかたちで「モルダウ」を演奏する場面のみ。ですが、このDVDではもちろんリハーサルが長くあって、その後に通しの演奏があるのです。小一時間の番組で、「モルダウ」は10分弱ですから、リハーサルのほうがずっと長いわけで。そしてもちろん、そのリハーサルが面白いわけですよ。それこそ指揮者とオケのコミュニケーションがよくわかる、指揮者のアプローチがわかる、という点で。

指揮者のお国もの、俺らもいっちょかましてやりますぜ的な表情のオケのメンバーは、リハーサルが始まってすぐ、このマエストロが超がつくきっちりさんであることを思い知らされます(笑)。楽譜に基づいて丁寧に、それこそ日本のオケの営業公演だったら「じゃあ通しで流れだけ確認しまーす」ってなりかねないこの曲を、きっちり仕上げていくさまは感動的ですらあります。流れに身を任せてしまうようなルーズなやり方はせず(ホルンの狩りのファンファーレのバランス取りは好例でしょう)、どこでもきっちりと拍子を振るマエストロ。うん、こういう人だからああいう音がするのよね、ふむふむ。
チェコ・フィルでの仕事はおそらく、彼らの流儀にこのきっちり感を持ち込むこと、そして伝統とのバランスを取ることだったのであろうマエストロ。新大陸ではその前提だったろう「伝統」抜きのオーケストラと、しかしそれでもこの丁寧で厳しいアプローチを続けられたのだなあ。しみじみ。


オケがマエストロのアプローチを理解していく過程は、そのままこのリハーサルを見る我々がこの作品の美しさを発見する過程にもなります。直される前の音だって汚かったりいい加減だったりするわけじゃない、でも「書かれた楽譜はこうだ」とマエストロの指示の下、認識を揃えて出される音楽はより美しく響き、そこには新鮮な驚きがある。いいですねえ、リハーサル番組。どこかの放送交響楽団もいい話を集めたドキュメンタリーよりもこういう現実を残してくれればいいのに。もちろん、ひとつのリハーサルと演奏会は、あくまでも彼らの関係の中のエピソードにすぎないのだけれど、それでも他人が介入しようのない、解釈無用の在り方をそこに見ることができる、はずなのだから。どうすかね、デュトワ、アシュケナージといろいろ言葉だけが残ってしまっている彼らとの関係を赤裸々に示してみては?(嫌味だな、これは)

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あれ、カナダのCBCでトロントで、ってことは…と思われる方もいらっしゃるんでしょうね、はいその通りです。アンチェルさんはこの地でグレン・グールドと共演していて、その映像もあるのです。ちなみに探せば簡単に見つかりますが、さすがにアレなのでリンクはしませんよ、各自お探しくださいませ(笑)。アンチェルさんの前任者のこういう番組があったら、きっと小澤征爾の生涯を辿れる貴重な資料になると思うんだけどなあ…惜しい。むむ。

さても、本日はこの辺りでおしまいです。ではまた、ごきげんよう。



今はこれが精いっぱい、ではありませんが録音も出てますよ、グールド&アンチェル。

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