2017年4月25日火曜日

書きました:上岡敏之&新日本フィル 新シーズンプログラム発表記者会見

こんにちは。千葉です。
寄稿した記事のご案内です。

●上岡敏之を音楽監督に迎え、進化を続ける新日本フィルの新シーズン。「映画で言えばハリウッドではなくヨーロッパのそれ」

上岡敏之の音は、かつてヴッパータール交響楽団と来日した際に触れて、驚愕した覚えがあります。複雑な音楽でも声部が迷子になることはないやたらに目の詰んだアンサンブルと、時折見せる個性的なデフォルメが高い精度で共存する演奏に、とにかくまず驚いた。いくつかのレコーディングは長い演奏時間や特徴的な表現を売り文句としていたけれど、私には大きい驚きを伴うものではあるけれど妥当な演奏に思えたものだから正直なところそういった告知との乖離が気になっておりました。私にとって、彼は個性が明確に音楽に現れる、しかしまっとうな音楽家という認識でした。ドイツでオペラハウスを切り盛りできるだけの度量があり、ピアニストとしても活躍できる腕前を持つ、ある意味で日本人離れした音楽家。そんな受け取り方をしていました。

そんなマエストロが新日本フィルハーモニー交響楽団の音楽監督になる、と知ったときは驚いたものです、意外でした。とはいえ新日本フィルハーモニー交響楽団は長くシェフ不在で苦労されていましたから、新しい音楽監督を迎えられることは聴き手としても喜ばしいことでした。それは昨年の就任&今シーズンの記者会見の模様を見ていただければご理解いただけましょう。一時間に及ぶ長尺なのでお時間のある方は、ということにはなりますが、ぜひこちらの動画でその就任発表の会見をどうぞ。安堵感が非常に強かったことをよく憶えています。



そして半年後のコメントがこちら。短いですし、上岡さんの語りの雰囲気を知りたい方はこちらをぜひご覧くださいませ。3月の定期演奏会を前にしたコメントです。12月定期で演奏された、プロコフィエフの交響曲第五番が流れる映像は、その演奏を聴くためだけにでも見ていただきたいです。



その定期の直前に行われた「すみだ平和祈念コンサート2017」については記事中でも少し触れましたが、その直前のリハーサルについてはこちらの記事をどうぞ。下の方に割と詳しいレポートを書いていますので。

公開リハーサルに申し込んだきっかけがこの動画なんですよね、実は。昨年12月の時点でこれだけの音を出していたのか、と感じたものですから、早く聴く機会を作らなければ、と思いまして。この会見に伺ったことで、そのとき感じたこと(記事参照くださいね)を、会見の後に直接崔文洙さんにお伝えすることも出来て、この会見は仕事としてレポートをお出してきたことももちろんですが、一人の受け手として嬉しいことでした。

そしてこの記事を書いていたら、新日本フィルハーモニー交響楽団のYouTubeチャンネルに会見動画の抜粋がアップされました。ぜひ!



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記事が長すぎるといくらなんでも読んでもらえないかな、という気持ちもあって記事中ではほぼプログラム読み職人としての文章を書いていません。なんということでしょう!
なのでここで少し書いておきますね。もちろん記事タイトルにも選ばれた、映画になぞらえた「ハリウッドではなくヨーロッパのそれ」という評で十分かな、という判断もあるのですが、一応私観点ってのも、ね?(必死)

とは言いながら、この記事も既に長いのでいくつかのトピックとして、箇条書きで注目のポイントを書き出しておきますね。詳しいスケジュールは新日本フィルハーモニー交響楽団のサイトでご覧くださいませ。

・モーツァルトからバルトークまで、幅広い時代の作品を取り上げる上岡音楽監督。”ニューイヤーコンサート”の捻り方が絶妙!
・リクエストコンサートは新シーズンも実施。選ばれなかったリクエストも選曲の参考にするので、是非ご応募ください、とのこと
・シュテンツ、鈴木雅明、エリシュカ、タン・ドゥン…客演指揮者陣も実力派揃い。でも個人的に注目なのは、「エッフェル塔の花嫁花婿」を演奏する(!!!)デニス・ラッセル・デイヴィス
・横浜定期の「サファイア」はマーラー、ブルックナーを軸としたシリーズにしていく予定だそうです!(今年もその二人とツェムリンスキーなので筋は通ってます)

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質疑の中で「ルビーはアフタヌーン・コンサートなのにガチの選曲ですね!」(大意)と問われて「”子どものためのコンサート”もそうなんですが、あらかじめそういう狙いをもって手加減したようなプログラムでは見向きもしてくれない。有名な名曲ではないけれど、それに劣らない作品をお示ししたい」(大意)といったお話があったのが非常に印象に残りました。
上岡と新日本フィルは変化を恐れていないし実際に変わってきた、その先がとても楽しみだ。そう感じたものが記事に出せていれば幸いです、過程を楽しめるのは同時代者の特権ですから、今のうちに多くの方が彼らの演奏に触れてくださいますように。

そうそう、この記事を書いている間に知ったことをもう一つ。6月のクラシック音楽館で、来シーズンからは「サファイア」になる横浜みなとみらいホール 特別演奏会が放送されます。…もっとも、このプログラムはこれから初台の東京オペラシティコンサートホール(5/11)横浜みなとみらいホール(5/12)で披露されるものですから、近くば寄って音にお聴きくださいませ。公共放送様の録音技術が如何に高かろうとも、実演以上にはなりにくいものですから(註・席によっては、という保留はしておきますね)。

では記事の紹介の体を取った長ったらしいおまけはここまで。ごきげんよう。


1 件のコメント:

  1. 千葉さんの記事、ほんとに熱いですね。今年は上岡&新日フィルの演奏会に聴きに行きたいと思います。

    後、3/25 ミューザで開催された 第6回音楽大学フェスティバル・オーケストラ演奏会(川崎) でのマーラー:交響曲第6番の演奏が忘れられないので、高関&シティ・フィルの演奏会にも出かけたいと思ってます。

    本当は高関&京都市交響楽団の演奏会に行きたいのですが、悲しいかな、京都に遠征するだけの財力がありません。

    個人的に、将来フェスタサマーミューザがますます盛んに、発展していって、特別参加枠で京都市交響楽団が参加してくれる日が来る事を、本当に勝手ですが一人で夢見ています。

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