2019年7月27日土曜日

かってに予告篇 〜フェスタサマーミューザKAWASAKI2019 Day2

●こどもフェスタ2019 イッツ・ア・ピアノ・ワールド

2019年7月28日(日) 11:00開演

ピアノ:小川典子

ラフマニノフ:練習曲集「音の絵」 Op.39 から 第一番
ドビュッシー:月の光
菅野由弘:「水の粒子」ピアノと明珍火箸のための から
ドビュッシー:「ピアノのために」から トッカータ
ショパン:スケルツォ第二番から
エルガー:行進曲「威風堂々」第一番

●新日本フィルハーモニー交響楽団

2018年7月28日(日) 18:00開演

指揮:上岡敏之
ピアノ:小川典子
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第二番 ハ短調 Op.18
プロコフィエフ:バレエ音楽「ロメオとジュリエット」組曲から
  モンタギュー家とキャピュレット家 (第2組曲)/少女ジュリエット (第2組曲)/ジュリエット (第3組曲)/ロメオとジュリエット (第1組曲)/僧ローレンス (第2組曲)/タイボルトの死 (第1組曲)/別れの前のロメオとジュリエット (第2組曲)/ジュリエットの墓の前のロメオ (第2組曲)/ジュリエットの死 (第3組曲)

サマーミューザ二日目には、シンフォニーホールで2つのコンサートが開催される。午前中の公演はこどもフェスタ2019として、恒例となったイッツ・ア・ピアノ・ワールドだ。
ステージ上に用意された座席で、ピアノの演奏を間近で聴く機会を用意する、というのはたとえば音楽を学ぶ学生に対して行うケースはよく見かける。なるほど、目の前で一流の演奏を見て聴くことで学び取ることは多くあるのだろう。音楽家を目指す若者を、すでに音楽家として活躍できている先達が導くのはいかにもありがたいことだ。だがこのコンサートの特徴的なところは、ステージ上に招かれるのがこどもたちであることだ。
まだ将来の可能性に満ちたこどもたちは、裏を返せば何になるものかまだまだわからない。このステージに招かれたこどもたちから将来のピアニストが生まれるかもしれない、生まれないかもしれない。ではこう書く私がこの試みに否定的かといえばむしろ逆で、これほど有り難い機会はないだろうと感じているのだ。
野球を見たこともない幼子はプロ野球に憧れないし、サッカーに親しまなかった子は、美しく美味しい菓子に魅了されなかった子は、ステージで輝くアイドルに…何かの魅力的な出会いがなければ、その道を知ることもない。私は前々からそう考えている。であれば(幼いうちにはもっともその魅力が伝わる生演奏に触れにくいクラシック音楽は圧倒的に不利なのでは?)なんてことだって考えるけれど、ただの音楽ファンにはできることもなく…(私の言葉は子どもには届かないだろう自覚もある)この企画のように、音楽家を導くのではなく、音楽家になりうる種を蒔くような試みは、一見すると迂遠に見えなくもない。しかし「出会いがなければその先もない」、そう考えるならばこのようなコンサートこそアウトリーチの企画で本当に求められることなのではないだろうか。小川典子からのメッセージがミューザ川崎シンフォニーホールのホームページで読めるけれど、このように考える私はいちいち得心しながら拝読した。今年もまた、一人でも多くのこどもたちが可能性に出会えますように、と半ば祈るような思いでいる次第だ。

夜には上岡敏之と新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会が開催される。ミューザ川崎シンフォニーホールには、2016年のフェスタサマーミューザ以来の登場となる。あのときは「これから音楽監督になります」というタイミングだったから、今回はそこから三年の上岡時代の成果を携えての再登場となるわけだ。
それだけでも注目公演となるところだが、今回は7/27に開催される「すみだサマーコンサート2019」で日本大学第一中学・高等学校演劇部とのコラボレーションで取り上げるプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」を演奏するのだから期待はより高まる。歌劇場のマイスターとして活躍してきた上岡のドラマ描出は定評あるところだが、「すみだサマーコンサート」では演劇との協業で、「フェスタサマーミューザ」では音楽のみで、と違ったその手腕のほどがスタイルで楽しめるわけである。新日本フィルとの関係の深まりもよくわかろうというこの二つのコンサート、どちらも聴きたいところだが、開幕公演とぶつかってしまっているのが実に残念である…


(家の相克と若者たちの恋のドラマ、ある意味で中高生の演技は最適なのかも…と思わせられる。とにかく日程が残念だ…)

そして新日本フィルハーモニー交響楽団の公演には、午前にも登場した小川典子が出演するのだから、7月28日は「小川典子の日」と言ってしまってもいいだろう。まさにミューザ川崎シンフォニーホールホールアドヴァイザーの面目躍如の日、である。(おそらくは公開リハーサルにも登場されるだろうことを考えると、音楽家のパワーに予め圧倒される思いだ)
両方の公演を楽しむもよし、どちらかお好みの公演で夏休みを満喫するもよし、のサマーミューザ二日目である。

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