こんにちは。千葉です。
今日は前置きなしで書いた記事の紹介をば。
●【速報】新国立劇場「魔笛」開幕レポート
新国立劇場2016年最初の公演に伺い、このようなレポートを書きましたよ。文中に書いた通り、一幕では硬さからくる全体のアンサンブルに座りの悪さが気になる部分もありましたが(特に挙げるなら、掛け合いのテンポ感が揃わなかった感あり)、これは慣れの問題かとも思われました、二日目以降は如何でしょうか>聴かれた方。
指揮のパーテルノストロはとくにテンポを動かしてどうのこうのというタイプではなく、アンサンブルをきっちりグリップして、運転に例えるなら適度に刺激的な範囲で安全にドライヴを楽しむタイプかなと思われました。力業で聴き手を振り回すタイプではない、と言いますか。そして東京交響楽団は指揮者を無視して暴走したりはしないタイプのオーケストラですから、お互いに待ちに入ってしまって様子見感があったのは惜しい。とはいえそういう顔合わせ故に、前半より後半に、互いのグリップ感が掴めてからの音楽に多く美点がありました(という話も記事に書いています)。
なんというか、共演回数を重ねればマエストロのまた違う顔が見えそうにも思います、どこかシンフォニーコンサートで呼びませんか?(笑)
キャスト勢で、記事中で触れなかった皆さんのうちでは「モーツァルトってテノールが嫌いなのかなあ、と彼のオペラを聴くといつも思ってしまう千葉です故、今回は言及しにくかったですごめんなさい(ドン・オッターヴィオでなくてよかったと言えなくもない)、タミーノの鈴木准」「アンサンブルが落ちついてからの短い出番で美味しいところを持って行ってしまったのはちょっとずるい、パパゲーナの鷲尾麻衣」ご両名(敬称略)についてはここで拍手を贈らせていただきます(笑)。
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記事の中で、この演出が直球勝負であることに肯定的に言及しておりますことについて一言補足を。
こと「魔笛」について、その昔オペラを聴き始めたころに調べた時期に読んだ本には「混乱した筋書き」「フリーメーソンが」などなど、いつも同じことが書かれていました。で、実際に最初に見た「魔笛」はアルノルト・エストマン指揮のもの、当時はレーザーディスクでした(遠い目)。
これが原体験だったから、とは言いませんけど、考えて考えてその挙句にたとえば「家族の再生の物語」みたいな単語に回収されてしまうような小利口な舞台(あまり言いたくはないけどラトル&ベルリン・フィル他の舞台はその傾向だった)よりは、「シカネーダー一座の歌芝居」を見せてもらうほうが千葉は好きです。猥雑でデタラメで、基本的に収拾ついてないお話の、楽しめるところを受け手それぞれがかってに楽しんじゃう作品なんじゃないかなって思ってるんですよ、身も蓋もない言い方をすれば。要約できない、整理しきれない部分があるから面白い、そこが「魔笛」と、いわゆるダ・ポンテ三部作との違いじゃないかなって。そういうことを書く機会もまたあるだろうと思ってはいますが、とりあえず概略だけ。
そこでこの上演ですが、千葉が行った日にも高校生がまとまって来場されていたように入門に最適だと思いますし、作品がそもそもどういうものであるかを示すプロダクションには入門だけにとどまらない価値がある、とみなす次第ですよ。もちろん、面白いものなら読み替えだって歓迎しますけど、その読みが妥当でなければちょっと辛い。この辺の話は突っ込むと長くなるので機会がありましたらまた。
でこのプロダクションに戻ると、作品本来の姿を示してあればこそ、「プロダクションが豪華すぎて外に出せない」のが惜しいなって思えるんです。せっかくの国の施設なのだから、この良プロダクションで各地に巡業できたりすればより新国立劇場がもっと認知されるだろうに、各地の劇場にはあのような機構がない。絶対にない(笑)。
前にも何度か書いていますが、千葉が最初に会場で見たオペラは、ブルノのオペラの引っ越し公演で「ドン・ジョヴァンニ」でした。これはもうシンプルな大道具いくつかしかなかったはず、演出も至ってシンプル(というか「出入りは台本通り、それ以外は歌手任せじゃないか」と今見たら思うはず)。
そんな舞台ではゴージャスとか祝祭とか、あまり千葉が言及しない方向の(笑)オペラのイメージからは離れてしまうけど、でも「ちゃんとオペラを見たよ」って経験は間違いなくできる。そのときに、その舞台を提供しているのが●×だった、という記憶ってけっこう大事なものだと思うんですね。だから、新国も何かの形で国内巡業ができればそのあたり、いろいろといいことがあると思うんですけど如何かしらん。
(オフ・ブロードウェイ的に、プレミエ前にセミステージ上演とかあってもいいかも。アンサンブルの熟成によさそうですし。あとは休演日にアンダスタディチームによるコンサート形式上演とかも。あともう一個、METみたいなネット配信は無理でも、映画として各地の公共施設で上映会とかできないかな?とかなんとか。)
そんな風にちょっと前まで地方にいた千葉としては思う次第ですよ。
記事を書いた時点でもう楽日の公演は完売でしたのでこれから見に行くのはチケットを買ってある方だけとなりますが、是非皆さまが上演を楽しまれますよう、いい公演となりますよう。
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