2012年4月2日月曜日

春、なので!

こんにちは。千葉です。

新年度ということで心機一転、こっちのブログもがんばります!…っていうか、一転するほどこっちのトーン、定まってないんですよね、困ったことに。やれやれ、であります。


さて、ようやく千葉の住む関東南部も春らしくなってまいりました(って、昨晩少し油断して風邪をひきかけましたが…朝晩の冷え込み、侮れんなであります)。であれば、ストラヴィンスキーの「春の祭典」の出番でしょうよ!

…安直ですみません(笑)、でも気温が上がって体が少しずつほぐれてくると聴きたくなっちゃうんですよね、何故か。残念ながら身体は動きません、ニジンスキーによるあの振付は今なら普通なんでしょうけど(もちろんモダンダンスの方面では、ですけどね)、普通人の可動域ではちょっと無理があります。ええ、もちろん以前試してみた上での判断ですよ(やったのかよ)。




かつては写真や山岸凉子先生のマンガでしか見られなかったニジンスキー版の振付も、今ではDVDでリリースされてますからね、ありがたいことです。バレエ・リュッス関連ならけっこう映像資料がなくもない、というのはその辺りの作品からクラシックに積極的になった千葉には実に喜ばしいことです。この調子で、あのう、「ダフニスとクロエ」のフォーキン版とか、「バッカスとアリアーヌ」の初演版の舞台(不評だったらしいけど)とか、見られませんかねえ…

さて話を戻して。じゃあ「春の祭典」聴くか!と思ってどの盤を選んだものやら一苦労ですよ。若干のぎこちなさがこの曲が受容される過程を感じさせて興味深いなあ、と思える初演者モントゥーによるもの?それともワイルドに吠えるぜ!とか言い出しかねない雰囲気のあるゲルギエフ盤?(でも彼の演奏なら上のDVDの方がよさそうに思えなくもない。いつか書くかもしれないけど、彼の演奏に対してけっこう疑問があるもので)それともラトルの出世盤、バーミンガム市響とのもの?ブーレーズのどれか?バーンスタインがNYPと暴れている旧盤?


普段は録音の良さと見通しの良いもの、それでいて交通整理で終わっていない盤が好ましく思えるので選ぶので、例えばシャイー&クリーヴランド管や(クラシック初心者だった頃、DECCAレーベルの一押しでした、これ)ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団とのものあたりに手が出ますが、今日はせっかくだからSACDのこちらを、久しぶりに取り出してみました(何が「せっかく」なのか)。




サロネンとロサンゼルス・フィルハーモニックの演奏でSACD、併録がムソルグスキーの「禿山の一夜」(原典版)、バルトークの「中国の不思議な役人」組曲(組曲なのが惜しい、あとこのタイトルどうにかしたい)であれば文句なしの名盤ですよ!

と言いたいのだけれど。この録音を聞くと、ドイッチュ・グラモフォンさまはSACDのハイスペックをどのように使うか、決めかねたまま縮小方向に行っちゃったんだなあ、とわかってしまうのが、なんとも惜しい。この組合せによる来日公演は、その最後となったものしか聴けていないのだけれど録音時期とは近いので断言していいと思います、こんなにのっぺりした音じゃないですよう。きめ細かく輝かしく、20世紀音楽独特のきらきらしさが素敵なコンサートでしたから、この音では満足できません!

そう、演奏に文句があるわけじゃないんです。さすがに作曲から100年も経とうとしているのだから(「春の祭典」の初演は1913年)、演奏が洗練されていくのは当然かも知れません、でもなかなかこうは行きませんよ?先ほど名を挙げたティルソン・トーマスの盤とか圧倒的なまでにデジタルな感触で押すのもいいでしょう、でもサロネンには独特の呼吸と、サウンドの美感があるんですよねえ…早くフィルハーモニアとのコンビも熟成されますように。

思うに、ダイナミックレンジの幅と、クリアなサウンドの強調にこのフォーマットの強みを活かしたのでしょうけれど、結果オーケストラという個々人の集合体がもつ「空気」のようなものが殆ど消えてしまっているのが、どうも。古楽の録音などでは少なくなくそっち方向で成功しているんですけどねえ…(もちろん、楽器本来の豊かな倍音を拾うためにそういう性格の録音になっている、という面はあるのだろうけれど)コンサート会場で、かなり上の階で聴いている時のような「雑味はないけどリアリティもない」、綺麗な音なんだけどちょっと困った感じの録音となっている、ということを再認識する結果と相成りました。

SACDで聴けるこの曲、他にはラトル&ベルリン・フィルの映画サントラ版もあるのだけれど、あれはあれでオーケストラがベルリン・フィルのアカデミー生が混じっているフシがあるので、どうも。




その昔は録音の目覚しい新譜が出るたびに「レコードアカデミー賞!」となっていたこの曲、今では一定以上の評価を受けた盤が多すぎてどれを選んだらいいのかわからない、いわば決定力不足であるように思われます。どなたか、迷えるワタクシに道を示してくださいませ!

なんて、思ってしまいそうになりましたとさ。では本日はこれにて。ごきげんよう。





イヴァン・フィッシャーとブダペスト祝祭管による新譜、気になってます。彼らのアンサンブル精度の高さは折り紙つきですからね!

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